大好きな乙女ゲームの世界に転生したぞ!……ってあれ?俺、モブキャラなのに随分シナリオに絡んでませんか!?

あるのーる

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2.バタバタ!入学までにもイベント盛りだくさん!

紹介しよう! これがきみすきの攻略対象たちだ!

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「……はぁ」

 あの後全く集中できないまま勉強会は終わり、気もそぞろな状態で気付けば夜。
 上の空な俺を心配するエドワードにおやすみを告げ隣の部屋に押し込み、俺は自室で絶賛頭の中を整理中だ。

 昔の偉人や神にあやかって同じ名前を付ける、というのはよくあること。だからカルロスがあのカルロスだとはまだ限らない。
 だが、何も構えなく顔を合わせたら確実に不審者的キョドり方をする。心構えをする意味でも、いい機会だしここらで少しゲームの内容、というか攻略対象のことを思い出しておこう。

 ゲームはヒロインである主人公・リリィ(名前変更可)が学園に入学するところから始まる。

 リリィはただの商人一家に産まれた娘であるが、ふわりと光が舞うような不思議な髪をしていた。輝く我が子にもしや、とは思いつつ、裕福な商人ではあるが両親は根っからの平民である。まさか特別な力があるはずもない、と変に距離をおいたりすることもなく、真っ当に愛されて育ったリリィ。
 しかし街でたまたまある魔導師に出会い、今すぐにでもと行われた魔力判定で光属性の適正を認められた。他の属性と違い、光属性は色というよりキラキラしたエフェクトのように現れる。そのため得意属性、ではなく適正、という言われ方をする。
 何はともあれ、そうしてただの平民が未来の聖女としての第一歩を踏み出したのだ。

 ーーちなみにこれは冒頭プロローグでさらっと流される話で、判定をしたのは本編の1年前、つまり14歳の時のことらしい。
 10歳で判定なんじゃないのかって話だが、「学園に入学する15歳までに」という縛りのある貴族に比べ義務ではあるが働くときまでに知れていればいいや、な平民は割と判定ものんびりなのだそう。判定は基本お金はかからないがその代わりに特急代金みたいなものがあり、結果貴族の方が優先されるらしいしね。そんな事情はこの世界で過ごしていて知ったことである。

 プレイヤーが話に入りやすいように、というのもあるのだろうが、そんな訳で主人公は最低限のマナーだけ覚えて学園に入学することになった。なおゲームとしては各種ミニゲームでステータスを上げ、その高さによって特別イベントが起きたり攻略対象と話ができるようになったり、という形式だ。その関係もあり、初期ステは入学テストで最下位ギリギリなのでは? くらい低い。もうちょっと下駄をはかせてくれても良かったのでは?

 とにかく各攻略対象との顔見せ出会いイベントをこなした後は、ちょくちょく遭遇イベントをこなしながら学園生活を送りつつ、ミニゲームをしてステ上げ。その間、主に主人公を気にかけてくれるのが何を隠そう俺の推しである。

 ともすれば聖女候補とはいえ平民生まれだからと絡まれる主人公を助け、イベントへのとっかかりとなり、仲間攻略対象が欠けている間のパーティーメンバーとなる。
 そこそこ高位の貴族らしく、しかし主人公を含めた目下の者にも物腰穏やかに気を配ってくれる推し。相手を頭ごなしに否定するのではなく、上手く言葉を使って主人公への当たりをいなしてくれる様は流石貴族といったところ。
 戦闘では髪色からも分かるように彼は水属性の回復魔法を得意とし、自分よりも主人公の方を率先して回復してくれる優しさをみせる。それ以外にもチュートリアルキャラとして学園の主要施設の使い方を教えてくれたり貴族社会に疎い主人公に話をしてくれたり事あるごとにアイテムを渡してくれたりととにかく至れり尽くせりなこっちの方が聖人なんじゃないかってほどにとにかく序盤からずっと主人公を手助けしてくれてほんとなんでこんなに優しいのって疑って疑ったのを申し訳なく思うほどに献身的で……。

 ……こほん。ま、まぁ、そんな感じでステータスを上げていき、ようやく攻略対象と繋がりができていく。

 まず始めに現れるのは、ご存じカルロス。濃い目の金の髪に青の瞳、土属性の防御兼タンク担当である。出会いイベントは学園の渡り廊下、迷ってしまった主人公をカルロスが見つけ教室までエスコートする、というもの。パッケージで中央を飾る、どう見ても一番メインになりそうな王子が最初? という感じだが、それは主人公の立ち位置、「聖女候補」というものが関係している。
 かつて長年婚約関係だった令嬢を王子が婚約破棄してしまったというありがちな事件があったことで、この国の王族は成人するまで婚約者を確定させるのではなく数人の令嬢を”候補”とする決まりとなっている。そして聖女は国で保護する存在であるため、場合によっては新たな婚約者候補になることもあるのだ。
 そんな背景もあり、数多くの令嬢を候補として適度な距離感で接していたカルロスは後ろ盾になるという意味も含めて早々に主人公を婚約者候補の一人にした。しかし、仲間になるために要求されるステータスは低く初期キャラということでイベント数も多いが、それに反して攻略難易度は最も高い。
 完全攻略すれば例のスチルでの告白の後カルロスと結婚、王妃になる結末となるが、そうでなければ伝統に従い学園卒業と共に婚約者候補は解消、聖女として独り身を貫く、という最後になる。
 裏はあるものの基本的には真っ当な王子様キャラで、作中人気は当然一番。ファンの数も里香を始め数多くいる。
 
 次に出てくるのは2人、ステータスやイベントによって順番が前後する。魔道師長子息のリンテシア・ハルファンと騎士団長子息のギルベルト・レジンだ。

 リンテシアは海のような青の髪に金の瞳の水属性の回復担当。出会いイベントは初めてのテストで魔法部門一位として名を上げられているところに遭遇するもので、魔道師長子息ということもありステータスで魔法ランクを上げると加入イベントとして向こうから話しかけてくる。
 主人公に判定を勧めた魔術師というのがリンテシアの父、つまりは魔道師長で、そんな父が気にかけた相手として主人公にちょっとした対抗心を燃やすリンテシア。しかしイベントを重ねるにつれお互いを高めあえるライバルとして主人公を認め、魔法以外にも興味を持つことのできる存在である主人公に惹かれていく、というある意味王道な流れだ。
 照れ屋なツンデレということで熱狂的なファンがおり、時折行われる名場面投票では第一作目のものだというのにリンテシアの赤面スチルが必ずトップ10に入るという恒例行事がある。
 
 そしてもう1人、ギルベルトは明るい赤い髪にレンガ色の瞳。火属性の攻撃担当で戦闘関連のイベントを一定数クリアすると登場する。
 出会いイベントは剣術大会で優勝している場面であり、加入イベントはひと月に一度行われる剣術の授業で3位以内を5回取ると、相手としてギルベルトが立ちふさがる。それに勝利すると主人公を強敵と認識し、事あるごとに戦闘を持ちかける戦闘狂キャラとして仲間入りするのだ。
 しかし好感度を上げていくと素直に好意を示してくる大型犬のような面が押し出されていき、厳つい見た目と懐きっぷりのギャップにノックアウトされるプレイヤーも少なくないとのこと。

 そして、ステータスが全体的にラインを越え、メインシナリオが少々進んだあたりで出てくる最後の攻略対象。
 エディ……エディ・フォーリン。黒と言えるほどに濃い緑の髪をした、風属性の補助担当の辺境伯子息である。
 彼のことを一言で言うなら、チャラ男だ。いつもニコニコ柔らかい表情で、するりと会話に入り込んでは婚約者のあるなしに関わらず女子を口説く軟派男。
 学園内を歩いていると確率で話しかけられる出会いイベントが発生し、第一王子の婚約者であり未来の聖女である主人公をさらに口説こうとしたところをそのとき一番好感度の高い攻略対象に守られる、というのが加入イベントになる。
 だが加入条件からも分かるようにステータスはずば抜けて高く、補助といってもその幅は驚くほどに広い。味方のバフを始め敵のデバフ、経験値アップに最終的にはテレポートなんてものも覚えるのだ。通常攻撃も威力が高く、彼がパーティーに居れば大抵の雑魚敵が一瞬にして溶けるとはプレイヤーの総意。
 チャラチャラしている中でふと見せる真面目な部分が好奇心を刺激し、イベントを重ねると次第に主人公に一途になっていく様は人気が高い。エピローグで語られる恋人生活の様子も大変人気で、ファンディスクが出るならばそこを掘り下げてほしいという要望が絶えずなされるほどには甘々になる。

 と、以上が攻略対象者たちだ。
 エドワードがエディじゃないか、と考えた時もあったが、エディは濃い紫の瞳。エドワードの透き通った灰色の瞳とは違う。だから別人なんだと思うのだが……エドワードがチャラ男になるとも思えないし。
 となると、一体エディは何者なのだ、という話になる。エドワードの従兄弟の名前も違うらしいし、他に兄妹もいない。しかし『フォーリン』と名乗っているからには何かしらで関係があるはず……なのだが、今のところ接点は見当たらない。

 それと、エリザベスのことである。ゲームではカルロスに婚約者候補がいることは話されていたが、その一人一人についてはさほど語られていなかった。
 その中の一人がエリザベス、ということは場合によっては学園卒業と共に婚約解消されてしまう、ということだ。
 一応年頃の令嬢を縛り付けることになるため、王子の婚約者候補はお役目を解かれたあと王家に嫁ぎ先を見繕ってもらうことができる。が、記憶がなくとも友人で、エドワードの妹なのだ。少しでも何かの力になれるといいのだが……。

「とりあえず、この二つが問題……いや、魔物の襲撃もあるのか……」

 意外とこの先考えることは多そうである。まずは時期的にそろそろ起こりそうな襲撃をなんとかしないとな。
 
 気を引き締めて領地巡回をしようと改めて心に誓い、万全の状態でいるためにも俺は眠りについた。
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