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愛しのリストナへ、貴方の本当の恋人より
貴方は浮気者だから私にするかナザリェスにするか、それとも他に付き合ってる女にするか悩んでいるかもしれないわ。
だけど何時かは私の方へ、貴方の気持ちを振り向かせてあげるからね。
~~~~~
ラスタノール男爵家の令嬢である私、ナザリェス・ラスタノールが呼んで来てくれたのは、ルーカナス伯爵家の夫人であるミスティノ・ルーカナス。
夫であるリストナ・ラスタノールと共に行った舞踏会で知り合い、それからは困った時に相談する仲になっている。
今日は彼女を家に招き、夫が浮気をしていた証拠である手紙を見せ、どうすればいいかを相談していた。
「それが夫の服に入っていたの?」
「えぇ、そうなのよ。昨日、使ってない夫の洋服たんすにある服を手入れしようとしたら、服の胸元に手紙があるのを見つけたの。中に何が書いてるの? と思って見たら……これよ」
「どれどれ……あらまぁ、これはとんでもない事が書かれてあるわね」
ミスティノ様は滑らかな手付きで受け取って、さらっと手紙を読み流す。
太陽の輝く庭園で見せる優雅な手付き、磨き上げられた大理石の様に光が輝かす美しい肌。
……田舎出の男爵令嬢である自分の日に焼けた姿と比べると、溜め息が口から出てしまう。
「けど、気にし過ぎよ。リストナは気難しいけど誠実な人だし、浮気なんてする筈ないでしょ? きっと誰かの悪戯よ、悪戯。それよりナザリェス、こんな話を聞いた事ある? 私の所に来た噂話なんですけど……」
何時もよりお喋りなミスティノ様の話を聞きながら、私はふと、夫の事を考えていた。
私の夫であるリストナとの結婚は、本心からの恋で婚約した訳ではない。
あくまで金や権威の絡んだ政略結婚でしかなく、夫婦の仲は冷めきっていた。
それでも夫婦は夫婦、これから長い時を共に過ごしていくのだから、彼と仲良くなれる様に努力してきた。
手紙を見つけた時だって、彼の部屋を念入りに掃除して喜ばせようとしたからなのに……。
「……それでね、結局は勘違いって分かったのよ。きっと、リストナの手紙も誰かの悪戯よ」
……それにしても今日の彼女は、本当によく喋るわね。どうかしたのかしら?
愛しのリストナへ、貴方の本当の恋人より
貴方は浮気者だから私にするかナザリェスにするか、それとも他に付き合ってる女にするか悩んでいるかもしれないわ。
だけど何時かは私の方へ、貴方の気持ちを振り向かせてあげるからね。
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ラスタノール男爵家の令嬢である私、ナザリェス・ラスタノールが呼んで来てくれたのは、ルーカナス伯爵家の夫人であるミスティノ・ルーカナス。
夫であるリストナ・ラスタノールと共に行った舞踏会で知り合い、それからは困った時に相談する仲になっている。
今日は彼女を家に招き、夫が浮気をしていた証拠である手紙を見せ、どうすればいいかを相談していた。
「それが夫の服に入っていたの?」
「えぇ、そうなのよ。昨日、使ってない夫の洋服たんすにある服を手入れしようとしたら、服の胸元に手紙があるのを見つけたの。中に何が書いてるの? と思って見たら……これよ」
「どれどれ……あらまぁ、これはとんでもない事が書かれてあるわね」
ミスティノ様は滑らかな手付きで受け取って、さらっと手紙を読み流す。
太陽の輝く庭園で見せる優雅な手付き、磨き上げられた大理石の様に光が輝かす美しい肌。
……田舎出の男爵令嬢である自分の日に焼けた姿と比べると、溜め息が口から出てしまう。
「けど、気にし過ぎよ。リストナは気難しいけど誠実な人だし、浮気なんてする筈ないでしょ? きっと誰かの悪戯よ、悪戯。それよりナザリェス、こんな話を聞いた事ある? 私の所に来た噂話なんですけど……」
何時もよりお喋りなミスティノ様の話を聞きながら、私はふと、夫の事を考えていた。
私の夫であるリストナとの結婚は、本心からの恋で婚約した訳ではない。
あくまで金や権威の絡んだ政略結婚でしかなく、夫婦の仲は冷めきっていた。
それでも夫婦は夫婦、これから長い時を共に過ごしていくのだから、彼と仲良くなれる様に努力してきた。
手紙を見つけた時だって、彼の部屋を念入りに掃除して喜ばせようとしたからなのに……。
「……それでね、結局は勘違いって分かったのよ。きっと、リストナの手紙も誰かの悪戯よ」
……それにしても今日の彼女は、本当によく喋るわね。どうかしたのかしら?
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