ゲーセンでの話 〜マリカしていたら〜

のんびりかふぇおれ

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第十九章:The first time flight

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空港には、自分が一番最初に来た。
時刻は午前11時、そろそろ時雨達も来るだろう。
周りは短い休みだというのに忙しなく動き保安検査場にセコセコと移動する家族や、単身赴任だろうか‥スーツ姿の男性が一人でキャリーケースをゴロゴロと引っ張る。
服装は様々あり、夏仕様の人がいれば、冬仕様の人間も居た。
集合時間は11時半…あと30分ぐらい時間は有るが、彼女らは余裕を持って来るだろう。

白い吐息とともに自然と視線が下に下がる。
デジタル時計で11:15を示す。
(そろそろ到着しないとちょっと急がないといけないかもな。)
ふと前を見る。時雨たちの姿はない。
落胆しかけていたとき視界が小さい手で遮られる。
そしてお決まりの言葉が俺に送られる。
「だーれだ。」
「うおっ…!」
予想していた方向の逆方向から来たのでびっくりした。
そして、少し余裕を持って飛行機に乗れることに安堵した。
「おはようございます。」
凪さんも一緒に居た。
「おはよう、二人共早いね。予定よりまだ少し早いけど。」
「それは君もだよ、夜嵐くん。待った?」
「そうですね。」
10分程度を待ったと呼ぶには早いだろうか。
「そこまで待ってないよ。それより昼食べてきた?」
自分は食べてなかったから、空港で適当に食べようと提案した。
二人共、起きてから急いだら悪しく途中で何も食べてなかったらしい。
二つ返事で空港にある蕎麦屋さんで一服することにした。

ツルツルツルッ…
蕎麦を啜る。冷たいざるそばは自分の口に仄かな香りを口の中に残して奥へと入る。
前にいる二人もそれぞれカレーそばや温掛けそばなどそれぞれで食べている。
俺は蕎麦のセットで、かき揚げ丼を付け足した。かき揚げを小分けにして口にいれる。
サクサクとした食感、小さいエビのプリプリ感、大葉の青臭い感じなど、すべてがベストマッチで、白ご飯がそれを最高に引き上げる。
甘いタレで味付けされていて、カツ丼のかき揚げverみたいな感じだろうか。
(めちゃんこ美味いな…時雨達にお裾分けするか。)
うまいものを共有しようと思って声を掛ける。
「時雨、かき揚げ丼食べてみ?めちゃ美味い。」
「え?‥なら一口頂きます。」
時雨も一口、食べ始める。美味しかったのだろう、どんどん顔が赤く、そして美味しそうな顔になる。
満足したのだろう、器を俺に渡してくる。
横に眼をやると、凪さんも欲しそうに眼を向けてきていた。
「…凪さんも食べるかい?」
「え?良いのですか?」
まさか貰えるとは思ってなかったのだろうか、ぱぁっと顔が明るくなる。
時雨が俺から凪へと器を移す、そして一口ホールイン。
凪さんはもっと顔を嬉しそうにして、かき揚げ丼を食べる。
「うっ…ん~ん~」
喉をつまらせたのだろうか、突然苦しそうにする凪さん。
「水でも飲むか?」
俺はからのコップに水を入れて差し出す。
凪さんはよっぽど苦しかったのだろうか、急いで丼を片手に水をがぶ飲みする。
「ぷはぁ…アリ難うございます。鷹野さん。」
「気にしないで、それより大丈夫かい?」
「はい、大丈夫です。」
そうして、俺と時雨ははぁと安堵して、また各々で食べ始めた。

俺がカードで一括支払いをして、保安検査場へと向かう。
多少並んでいたが、スムーズに通過できて、入国審査場も通過してゲートに向かって歩く。
「あの蕎麦屋、空港の外にもないかなー。」
時雨はあの蕎麦屋がお気に入りになったのだろうか、そんな話をする。
「調べたら東京のどっかにはありそうだけどな~」
ゲート前に着き、スマホを取り出して調べる。
しばらくスクロールすると情報が出てきた。
「なんとか有るみたいね?ほら」
スマホを見せる。
「おぉ本当だ、東京に戻ってきたら叉三人で食べようね。」
有無を言わさずに決める時雨、凪さんは顔が暗かった。
「行けたらいいですね。」
空気を崩さないために顔に笑顔を貼り付けて同意する。
「…そうやね。また行こね。」
そう話しているとアナウンスが流れる。

ゲートを越え、真ん中のシートに腰を下ろす。
「ご搭乗の皆様、こんにちは本機は北海道~」
機内アナウンスが流れる。
(着くまでの数時間…することもないし、寝るか。)
そしてそんな時間もかからず、飛行機がエンジンの火力を上げて、飛び始める。
数旬の打つに空へと飛び立つ。

シートベルトの注意ランプが消える。
そんな頃には時雨は寝ていた。俺はそんな時雨の頭を優しく撫でる。
反対側の凪さんを見る。彼女は起きていた。
彼女は俺の視線に気づいたのか、冊子から視線を上げる。
「蕎麦、奢っていただきありがとうございました。」
「いいさ、君がまたあの蕎麦屋一緒に行くならいくらでも奢ってあげるさ。」
「…行けたら良いですね。」
「…家的には無理そうかい?」
「かもですね。詳しいことは分かりませんが…。」
顔を暗くする凪さん。失礼ながらに頭を撫でる。
「何をするんですが?」
少し怒りながら俺に問いかける。
「暗い顔は美人には似合わない…それから俺は寝るから着いたら起こしてくれ~」
そうして時雨により掛かる。
「なにそれ…」そう呟く凪さんを尻目に俺は意識を闇に落とした。
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