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第五章 日常 ー後編ー

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※読者様へ:こちらは「第五章:日常!? ー前編ー」の続きとなります。本編お読みになられるまえに前編をご覧ください。

所定の時間に近ずいたので街に向かって歩き出した。
大学が休業日ということもあって普段栄えている街中はある意味異様な静けさを持っていた。
俺はそんな静けさから逃げるように足早でゲーセンに向かって歩いた。
街の通りは静かだったがゲーセンではゲーム音のピコピコや「K.O.!」なんて音が木霊していた。
(相変わらずここだけは安心できるわ。wんまぁ…とりあえず時雨さんを探すかぁ。)
ゲーセンとはいえ結構広い場所なので探さなければいけない。少し早めに出たのが幸いしたのかゲーセンについてからは時間があった。
(ショートショート…あのニット帽で来てるのかなぁ…)
15分後、俺は無事時雨さんと合流して、飯を食べに行こうという話になっていたので、あの静けさを持った街中に戻り飯を探した。
「中華食べたい!」
「え~この辺中華あったっけな。」
「もしかして無いの?」
少し悲しそうな顔をする時雨さん。
少し前に疫病が数年に渡り流行した。そして今は世間的に外出は自粛解禁されたけど怖いというような風潮となっていて、飲食店も休業日が続いたり、収入が下がりすぎて閉店せざる得なくなった店がこの街にも多数存在する。政府は外出が大丈夫ですよ、とでも言うようにクーポン券を発行したり店側に不利な状況を焚き付けた。
しかし店が閉店せざる得なくなった現状を見て付け焼き刃でそれを避けるために支援金として飲食店に約5000万提供したりしてりした。それでも閉店を止められたのはごく僅かだという話らしい。そんなわけで飯屋探しは困難を極めた。
「んー…ない…」
「え?何が?」
「…中華屋」
「えぇ?」
(どうしたものか…)
流石に少ないだろうなとは思ったが、少なすぎた。
某ハンバーガーチェーンのマク◯ナルドぐらいしか確認した中で開いてなかった。
そのマク◯ナルドも人影が多いわけではなかった。
「仕方ないし、マク◯ナルドぐらいしかないっすね。」
「奢ってくれる?」
「はい?最近耳が悪くなったのかな。」
ウルウルとした眼で俺を見てくる。正直やめてほしい、何でも言う事聞きそうになってしまう。
「なんで俺が奢らないとなんですか。金ないんすか?w」
「ない!( ー`дー´)キリッ」
「そんなドヤ顔でキリッなんて言われても俺もないんで、普通にチーズバーガーでいいなら貸しますよ。」
「そこは奢る!って言わないと男が廃るね」
「はぁ、わかりましたよ。今回だけっすからね。」
結局俺が奢ることになった。でも俺も手持ちが2000円しかない。セットで頼むならふたりともチーズバーガーしか頼むものがなかった。
「こんな日々もいいねぇ」と時雨さんは言ったが、たしかにそれもイイかもしれないと思った。
奢るのは嫌だが( ー`дー´)キリッ。そんなこんなで来た道を戻り、マク◯ナルドに行くことになった。
「ご注文をお伺いします。」なんてスタッフの定型文を言われて注文を各自して2人分の料金を払った時、熟年働いてきたみたいなチーフ職の女性がニヤニヤしてきた。
「めっちゃ笑顔っすね。」
なんて問を掛けたら、「私のような年になるとあなた達みたいな初々しいカップルを見るのが微笑ましくなるのよ。」なんて返答が来た。正直時雨さんと一緒に頬を赤らめ固まっていると、時雨さんは小声で「…カップルじゃないです」と弁明したが女性スタッフには通用しなかったらしい。
商品を受け取った後、二階のイートインスペースにて昼食を取った。
朝の一騒動の後セミレポしかしてなかったから腹が減っていた。
「「いただきまーす」」二人合わせて食べ始めた。
マク◯ナルドのバーガーはチェーンハンバーガーは伊達ではなくこれぞバーガーみたいな安定的な味だった。
食事中はゲーセンでどんなゲームしたいかとか他愛もない会話を繰り広げていた。とりあえず食べ終わったらマリカするかという話になった。なんだかんだ二人共レースゲーが得意で好きだということが通じ合っていたと思う。
「夜嵐くん。楽しもうね!」
唐突にそんな事を言ってきた。俺は不思議に思ったが同じ気持ちだったので軽い気持ちで「おう、時雨さんも楽しんでくださいねw」と返した。
「先にごちそうさん」
「はっや!?」
「こんなんだと思いますけどね。男子は」
そんな感じで会話を続け時雨さんが食べ終わってゲーセンに行った。
「とりあえずマリカレッツゴー」なんて掛け声に二人して腹を抱えた。
マリカゾーンのレーシング台には先客の小学生が居た。
(平日だけど小学生も休みなのかな?)なんて思ってると時雨さんも同じことを思ったのか、「小学生も休みなんだろうね、まぁあくまで一服?」と聞いてきた。マリカ。以外にしたいゲームというのはあまりなかったので喫煙所に向かうことにした。
「流石にこっちは人が少ないねw」
「祝日じゃないから仕事在るんでしょうねw」
「それ考えたら大学生って自由よねぇ。」
「まぁ大学生は大人でありながら学生ではありますし。」
まぁ社会人の皆様お疲れ様です。という他ありゃしない。

そんなこんなで俺はCoolを彼女はIQOSでなんかの銘柄を吸っていた。
(となりに人がいるのにのんびり出来るのはいつぶりだろうか、)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ー喫煙所 時雨.verー
(はぁ…マリカできなかったなぁ…まぁ一服できるし問題はないか♪)
私は気分が上がっていた。
誰かと同じ時間を共有できる喜びを覚えていた。それがたとえ自分の恥部を知ってる人間だとしても。
(いや、知ってるからこそなのかな)
昨日私は隣でCoolを吸っている夜嵐くんと同じ部屋で寝た。でも彼は泥酔してる私を寝かしつけてベットに押し込んだ。そこから朝のあの出来事まで記憶はない。
だからこそ、私は襲われたと思った。というかそう思わざる得なかったと思う。
手こそは出なかったものの彼にひどいことを言ったかもしれないと思うと気が気じゃない。
でも私は驚いた。彼は許してくれたのだ。この私を。その時は驚きと喜びを覚えていた。
今はそんな彼のことが気になる。彼といたら楽しい時間が流れる。
私は許してもらった代わりに彼に何が出来るだろうか。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ー時を戻しー
とりあえず1本吸ったら1レース出来るかな…
さっきの小学生を思い返し、自分たちも出来るだろうと検討をつけていた。
(時雨さんが吸い終わったら行ってみるかね)
時雨さんが丁度吸い終わったので、さっきのレーシングマシンのところまで歩を進めた。
一服し終わった後戻ったら少年たちは違うゲーム台に移動していた。
(よし、ジャスト…)
「時雨先輩、華は俺がもらいますから。絶対持たせませんから」
挑発を受けた時雨さんは、済ました感じで返してきた。
「負ける方法は教えても私に勝つ方法は教えてないんだけどなぁ。」
「えー先輩のケチ!」
「勝ちにこだわりすぎる男はモテないぞw」
うわ、この人言っちゃったよ…男にとって辛い一言。
顔に出ていたのだろうか時雨さんは失笑しながら一言放ってきた。
「どうしたの?後輩君w」
「分かってて言ってますよね。w」
「まぁねぇ」
そんなこんなで互いに100円を投入し、キャラ選択に移った。
俺は赤の電気工、時雨さんは赤フードを被った敵を選んでいた。
「いやー…買ったらどうします?」
「私が選んでもいいの?後輩くん」
「まぁどうせ時雨さんが奢ってくれるんでw」
「言ったなぁ~?
「まぁ、コンビニでドリンク一本ってことで。w」
「了解」
3,2,1,スタート
画面上数字が浮かびがってレースが開始した。
出だしは好調。エンストを起こすこと無くスタートダッシュを切ることができた。
その調子で雲頂に2周する。
このゲームは3周制のタイムアタックレースだ。出だし途中で出てくるアイテムの運要素も在るが、出だしとコース落下しないという操作性が重要となってくる。
俺が1位だったのだが、後ろからアイテム運が良かったのだろうか、ロケットになって迫ってくる赤フードが飛んできた。
(流石にまずいなぁ…俺もアイテム使うかぁ…。)
俺の所持アイテムは金のきのこで無制限に加速できる。
残り約300M…このままでは負けるから躊躇なく俺はアイテムを連打使用した。
「おいおい…ロケランとは随分うらやましねぇ!」
「勝つための運だから絶対に勝つ!」
俺と時雨さんは小声ではない声で掛け合った。
後ろに居た他のお客さんはびっくりしたような顔で見ていた。
(許せ、でも負けられない…)
スタート地点であり最終ゴール地点であるアーチが目の前で見えてくる。
その距離…50M。
(勝てる…勝てるぞ!勝たなきゃ行けないんだ!)
お互い景品以前にプライドを掛けてこの勝負をしていた。だからこそのめり込んでいた。
残り20M…





ゴールに入った音が2つ同時に響いた。
「ふぅ…」
「はぁ…」
二人してやりきった後の空気を吸って吐いた。
「お疲れ様でした。リザルト見に行きますか。」
「だね、いい試合だったけどたかがドリンク一本されど一本だし。」
その通りだ。
どっちに天使は微笑んだのだ…俺であってくれ…。
                  
                                       (次章に続く)
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