俺'sヒストリー

かつしげ

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第535話 ガールズトーク

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『葵、もっと窓の目貼りしっかりやって。光が入るでしょ。涼子、玄関の目貼り甘い。それじゃ月の光は入らなくても太陽の光は入るよ。』

「はいよ。」
「すまん。」


ーーツヴァイと葵と涼子は掃除と目貼りに勤しんでいる。ツヴァイ一派が慎太郎から提供された別荘へと移り、オルガニや他の連中から監視されない拠点を構えた初日の今日。先ずはやらなきゃいけないのが別荘内部の目貼り。ツヴァイを除くサーシャ、リリ、葵、茜、涼子の5人は呪いにより太陽と月の光を長時間浴びる事が出来ない。それは多少の光であっても駄目なのだ。慎太郎が設置していたカーテンは厚めの生地なのでシャッターと併用すれば遮断されているように見えるのだがシャッターが無い入口や小窓といった場所の光は遮断出来ない。なのでテープで目貼りをして遮断をしているのだ。それとこの別荘は長期間放置されていた事により埃がすごいので室内の清掃を3人で頑張っている。
そんな中、


「ん~!カニ缶おいし~!タラバだよタラバ!いや~ん!リッチすぎてリリちゃん困っちゃう~!」

「リリ、こっちのサバ缶も美味しいよ!美味しい!美味しすぎる!」

「あなたたち、そういうバランスの悪い食べ方はやめなさい。ちゃんとお米と一緒に食べるのよ。特にこの焼き鳥缶とタレをかけて食べる事を私はお勧めするわ。」


ーーツヴァイと葵、涼子が掃除と目貼りを頑張っている中、サーシャとリリ、茜は呑気に備蓄用の缶詰と米を漁って食べている。それを見て涼子は少しイラっとしたように3人を見ている。


「アイツら殴って来ていい?」

『涼子、いいからいいから。サーシャとリリには掃除させないで。』


ーー涼子が怪訝そうにツヴァイに尋ねる。


「どうして?」

『あの2人に掃除させると余計と散らかる。何もしないでいてくれる方が早く終わる。』

「マジでか。」


ーー涼子が呆れた顔をしてサーシャとリリを見る。


「あの2人はホント酷いから。お布団干すのは○○しか出来ないからいつもやってもらってるんだけど他の洗濯物とかは私たちが最初は畳んでたのね。でも畳むだけなのにサーシャとリリちゃんは破いたり伸ばしたり、挙げ句の果てには紛失したりと大変だったんだよ。」

「洗濯物畳んでるだけでどうやったら紛失するわけ……」

「それをやるのがサーシャとリリちゃんなんだよ。」


ーーそうそう。この2人はポンコツだからどうしようもないんだよね。


『どうせ茜もそのクチでしょ?』

「わかるの?」

『うん。あの3人同じ空気出てるし。ポンコツ属性。』

「あはは……。茜は本当に何も出来ないよ。いつも私がやってたから。」

「これからはウチら3人が家事担当だからそのつもりでね。女子力高めチームってことで。」

「むっ?サーシャ隊長!あそこで我々を愚弄している者たちがおりますぞ!」


ーーカニ缶をパクつきながら悪口を言われているのを耳にしたリリが不満そうな顔で騒ぎ始める。


「本当ね、どのクチが言うのかしら。」

「でも仕方なくない?現に私たちは何も出来ないからねー。」

「それは違いますぞ茜中佐!確かにリリ大尉とサーシャ隊長はお掃除はできない!」

「なら仕方ないんじゃない?」

「そうではありませぬ!○○中将と葵二等兵は料理ができないのであ~る!」


ーーえ?できないの?みたいな目で茜はツヴァイと葵を見る。


「ちょっとリリちゃん!!なんで私が二等兵なの!?」

『実力的にじゃない?』

「なんで○○まで敵になってんの!?」


ーーうんうん、いつもの感じだね。


「料理もできない分際で女子力とか片腹痛いわね。」

「だよね~。だから葵ちゃんはいつまでたっても二等兵なんだよ~。」

「アンタらは料理も掃除も何一つできないくせによくそんなドヤ顔で言えんね!?」

「いやいや、そんな事より○○も葵も料理出来ないのか?」


ーー涼子が信じられないものを見るような目でツヴァイと葵を見る。


『できない。』
「できない。」


ーー涼子は左手をおデコに当ててはぁとため息をした。


『ま、エヴリバーガーあればいいでしょ。』

「えー、せっかくたーくんに電子マネーもらったんだから出前とかしようよー。」

「おい、ちょっと待て。そんなお菓子やら出前なんて頼んでいたら田辺慎太郎からもらったお金や今月の給金はすぐ底つくぞ。自炊しなきゃ。」


ーー涼子が呆れたようにツヴァイと葵をたしなめる。だが2人はすぐにそれを否定する。


『自炊は無理。前にやったけどできない。』

「そーそー。どうせ涼子だってできないでしょ?」

「いや私はできるよ。」


ーー衝撃。ツヴァイ、葵、サーシャ、リリの4人は一斉に涼子を見る。


「えっ、なに?そんな圧で見られると怖いんだけど。」

『涼子料理できるの?』

「だからできるって。」


ーーツヴァイが疑わしい目で涼子に尋ねる。


「涼子ちゃん見栄張ってる~?」

「張ってないって。」


ーーリリが疑わしい目で涼子に尋ねる。


「涼子、カップ麺作るのは料理じゃないんだよ?」

「当たり前だろ。馬鹿にしてんのか。」


ーー葵が疑わしい目で涼子に尋ねる。


「涼子のご飯は美味しいんだよ!ビーフシチューなんか特にね。久しぶりに食べたいなぁ。」


ーー茜が涼子のビーフシチューの味を思い出すような表情で物思いにふける。


「涼子、あなた焼きそばパン作れるかしら?」


ーーサーシャが鋭い眼差しで涼子を見ながら尋ねる。


「え?焼きそばパン?そんなの麺をフライパンで焼いてコッペパンとかバターロールに挟むだけだから誰だってできるんじゃない?」

「私はあなたが作れるのかどうかを聞いているのよ。」


ーーサーシャが出す異常な圧に涼子は気圧されながら質問に答える。


「あ、ああ……、作れるよ……?」

「上出来よ。」


ーー涼子は何が上出来なのかわからないでいるがサーシャが怖いので黙った。そしてそれを皮切りに皆がテンションを爆上げし出す。


「涼子少将!あなたを料理長に任命します!」

「涼子少将なの!?リリちゃんの査定酷くない!?私だけなんでそんな階級低いの!?」

『涼子仲間にして良かった。そのメガネはダテじゃないね。』


ーーなんで女が4人もいて料理が出来ないんだと思う涼子であったが皆に頼られるのが少し嬉しいので黙って心の中でニマニマするのであった。


「こんな事してられないわね。急いで焼きそばとコッペパンを買って来ないと。」


ーーサーシャが立ち上がり着ているリッターオルデンの隊服を脱ぎ始める。


「……なあ、葵。サーシャなんか感じ違くないか?」


ーー涼子から見るとサーシャが奇行に走っているように見えるので葵に尋ねる。


「サーシャは焼きそばパンに目がないんだよ。焼きそばパンが絡むと人格変わるから気をつけなね。」

「サーシャって常にクールだと思ってたよ私。っていうか何あの格好!?」


ーー涼子は驚愕した。サーシャが隊服を脱ぎ捨て下着姿になり、鞄から服を取り出すとイヌ耳の付いたカラフルな色のパーカーと、ゴスロリスカートのようなデザインの赤いスカートを履いているからだ。


「え?サーシャの私服っていうか寝巻きだよ?」


ーー涼子が口を半開きにし、目を見開いて葵を見る。女の子がそんな顔しちゃダメだよ。せっかくの可愛い顔が台無しだよ。


「コレってアレ?私と茜を早く馴染ませようとしておどけて見せてる感じ?」

「え?おどけてなんかいないけど?ていうか涼子と茜はもう違和感ないくらい馴染んでるよね?」

「サーシャって実はあんな感じなの?」

「あんな?あー、あの私服か。私らはもう見慣れてるから忘れてたけど確かに少しインパクト強いかもね。」


ーーどこが少しなんだよ。キャラ違いすぎだろ。と涼子は思った。


「じゃ行ってくるわ。500mくらい行けばコンビニあるみたいだから。」


ーーサーシャが焼きそばパンの材料を買いに行こうとした時、呆けていた涼子がハッとした表情で大声を出す。


「待て待て待て!!サーシャ!!コンビニで何をするつもり!?」

「何をする?焼きそばとパンを買って来るって言ったでしょう?」


ーー格好だけはおかしいが表情と口調は全く変わらないいつもの調子で話すサーシャ。


「コンビニで買うな!!焼きそばの麺いくらすると思ってるんだ!!パンも!!スーパーで買わなきゃダメだろ!!」

「何が駄目なのかしら?」

「だから高いの!!そんなお金の使い方してたら貧乏生活に逆戻りだぞ!!」

「そうなの?それは大変ね。」


ーー涼子は深くため息を吐いた。大変だね。


「……それに焼きそばの麺だけ買っても具材は無いんだぞ。豚肉やキャベツが無かったら美味くないぞ。」

「セットになっているんじゃないの?」


ーー涼子はまた深くため息を吐いた。がんばれ涼子。


「……焼きそば作るならキャベツと豚肉も買って来て。あと青のりと紅生姜も。マヨネーズも無いから欲しいなら買って来て。ソースも使うからそれも。付属の粉末ソースだけじゃ物足りないだろうし焼きそばパンにするなら濃いめにしないと美味しくならないから。」

「なるほど。あなた天才ね。」

「……そんなに焼きそばパンが好きならパンも市販のじゃなくて作ってあげるから小麦粉とイースト買って来て。この別荘、ムダにホームベーカリーやら餅つき機やらあるし。」

「あなたパンまで作れるの?」

「材料と機材あればね。」

「涼子、あなた気に入ったわ。」

「どうも。」


ーー涼子の女子力の高さよ。


「ところでイースト?って何かしら?」

「ん~?東の方にあるものなんじゃないカナ~?」

「わかった!卵の事じゃないかな!?イーストって確かなんかの生誕祭?みたいなやつじゃなかったっけ!?」

「わお!それだよ~!茜ちゃんあったまい~!」

「茜、やるわね。」


ーー涼子は思った。今までアホが1人しかいなかったのに3人に増えている。そう思うと頭が痛くなり頭を抱えてしまった。


「もういいや……私も行くわ。その方が話早い。○○、葵、ちょっと抜けるけどいい?」

『いいよ、二等兵こき使うから。』

「変なアダ名やめて!?」

「んじゃちょっと行ってくる。サーシャ、行くよ。」

「ええ。」


ーーサーシャと涼子が部屋から出て行くのを4人が見つめる。それを見てほっこりした気持ちになるのだった。


「仲良しになれそうでよかったね~。」

「だね!涼子はとっつきにくそうに見えちゃうけど良い子だからさ。」

「サーシャも同じだよ。無愛想に見えるけど実は結構面白いんだよ。あの格好とか。」

「あはは!アレには私も流石に笑ったよ。退屈しそうにないなー。リリも葵も○○もきっと面白いトコたくさんあるんだろうから。」

『私とリリはこの通りだけど葵はいっぱいだよ。弄られ担当だし。』

「担当じゃないよ!?そんな担当やだ!!」

『えー?』
「え~?」

「リリちゃんもさりげに混ざらないで!?」


ーー3人がいつもの漫才を繰り広げているのを茜は楽しそうな顔で眺めている。楽しくなりそうでいいことだね。


『さってと。掃除と目貼りの続きしなきゃ。ほら二等兵。キビキビ動きなさい。』

「これイジメだよね!?……イジメられてるのたーくんにチクってやろうかな。」

『あ?今なんつった?』

「怖いよ!?冗談だよ!?」

「そういえばその田辺慎太郎クンにもお礼しないとだよねー。私と涼子は面識ないのにお世話になっちゃってるんだから。んー、何がお礼に嬉しいんだろうねー?やっぱり男なんだから身体かなー?」

『は?』
「は?」


ーー茜がとんでもないことを言い出すのでツヴァイと葵が凄い勢いで首を回して茜を見る。リリは特に興味もなく桃缶を開け始めている。


「客観的に自己分析してみて私って見た目そんなに悪くないと思うんだよね。そりゃあキミたちみたいな綺麗所には負けちゃうけど。涼子だってキミたちに負けないぐらい綺麗だし。」


ーーいやアンタも綺麗でしょ。ていうか慎太郎の周りには綺麗とか可愛いとかの限界突破した女しかいないし。


「それなら嫌がられる事はないと思うんだよね。ほら、スタイルだって悪くない。特に涼子はムダに胸が大きいでしょ?満足すると思うんだよねー。」


ーー茜がその口を閉じずに地雷踏み抜いてそうな台詞を淡々としゃべるのを葵は汗ダラダラで見ていた。ツヴァイの顔がどんな顔してるか怖くてとても横を見れない。それと同時に茜の横で桃缶を幸せそうな顔して食べているリリを見て『なんでこの子はこんなに余裕あるんだ?実はたーくんのことラブではなくライクの気持ちなのか?』と思ってみていた。


『ははは……!!茜は随分と面白い冗談言うんだね……!』


ーーツヴァイはその美麗な顔をヒクつかせ殺気だった雰囲気で茜を見ている。葵はツヴァイを見ずにすり足でツヴァイから少しずつ離れていく。


「冗談じゃないよ?今の立場で私がお礼出来るものなんてないからねぇ。あるとしたらこの腕と身体だけ。正直見た目は気になるけど聞く分には悪くなさそうだし何より性格悪くないなら身体ぐらいなら捧げようかなって。」

『なに?もしかして茜までタロウ気になってる感じ?』


ーーツヴァイがイラっとした気持ちを隠そうともせずに高圧的に茜を尋問する。葵は身の危険を感じてすり足の速度を速める。


「いやー?それはないかなぁ?だってそもそも会った事もないし。何より○○とリリの想い人でしょ?割り込もうとは思わないよ。」

『あはっ!そうなのね。茜は人が悪いんだから。勘違いしちゃうじゃない。ほら、もっと缶詰食べなさいよ。』


ーー茜が慎太郎に興味ない事を知ったツヴァイはご機嫌に缶詰を振る舞う。


『でも身体なんてお礼としてタロウは受け取らないよ。そんな奴じゃないし。』

「うーん、そうなのかー。ならどうすればいいかなー?」

『困ってる時に助けてあげればいいんじゃない?』

「そういうもん?」

『そーいうもん。』

「ん、わかった。」


ーー葵は思った。きっとあのスケコマシは誑し込んでドロつかせるんだろうなぁ、と冷めた目で遠くを見ていた。


『ていうかさ、身体なんていったけど茜って経験あるの?』

「ん?経験?なんの?」

『男経験。』

「あ、それ私も聞きたい。」


ーー遠くへ離れていた葵が近くに寄ってくる。


「ないない!あるわけないよ。」

『えっ?ないの?なんか以外。』

「酷いなぁ。どういう意味だよー。」

『いやだって、身体なんていってるぐらいだから経験豊富なのかと。ねえ?』


ーーツヴァイが葵に話をふる。


「私も思った。経験なきゃでないような台詞だし。」

「興味はあるよ?だって体感年数私らって凄いじゃん?そりゃー溜まるものは溜まるじゃん?」


ーーツヴァイと葵と茜が下ネタトークをする中、隣にいるリリは全く我関せずの雰囲気で桃缶三個目に突入していた。


『まあ……ねえ……。』

「彼氏なんか作れるわけもないし、何より太陽にも月にも長時間当たれないんだから無理でしょ?彼氏出来てもリッターの誰かだよ?誰かいる?」

『無し。』
「ないね。」

「でしょ?だからあまりにも性欲強くなった時に涼子に手を出しちゃったしね。あはは!」

『「はっ!?」』


ーー茜がとんでもない爆弾発言をするのでツヴァイと葵が最大につっこむ。


『えっ、なになに!?どういうこと!?』

「2人ってそういう関係だったの!?」


ーーツヴァイと葵が顔を赤くしながら興奮気味に食いつく。それとは対照的にリリは桃缶を食べ過ぎたのか胸焼けを起こしてるような微妙な顔をしている。


「いやいや、別に付き合ってるとかじゃないよ?性処理しただけだよ。」

『うわ、なんかその発言ゲスいよね。』

「そうじゃないってー。私だけじゃなくて涼子も処理してあげたんだから。」

「うわー……生々しい……」


ーーツヴァイと葵が顔を更に赤くして茜の話を聞く。リリは胸をさすりながら顔を青くし始めている。


『どういう風にヤるわけ?』

「どうって言われても普通に?こう指でクリ触ったり、胸舐めたり、揉んだり、穴に指入れたり。」

「うわー……」

『しょっちゅうヤってるの?』

「凄い聞くねー!まーいいけどさ。しょっちゅうではないよ。まー、週一?かな?」

「うわー…!うわー…!!」

『週一か。それでおさまってるの?』

「○○聞きすぎじゃない!?私顔真っ赤だよ!?」

『葵はムッツリだからなぁ。内心聞きたいくせに。』

「……。」


ーー葵はムッツリだなぁ。


「いやー、流石にそれ以上はなんかねぇ。あくまでお互いそういう対象は男だし。だからどうしようもない時は1人で慰めてるかなぁ。」

『まあそんかもんか。』

「2人はどうなの?性欲あるでしょ?」

『私は1人でしてるよ。』

「えっ!?そうなの!?」


ーー葵が驚愕の表情でツヴァイを見る。


『そりゃするでしょ。葵はしてないの?』

「えー……いやー……まあ……」

『はい、オナってるのね。』

「言葉にするのやめて!?恥ずかしい!?」

「どれぐらいの頻度でしてるの?」

「茜も超聞くね!?」

『私は毎日だよ。』

「まじでー!?」
「マジで!?」


ーー葵は茹で上がりそうなぐらい顔を赤くし、茜は目をキラキラさせている。リリは口に手を当て更に顔色が悪くなっている。


『葵は?』

「えー……いやー……」

『ぶっちゃけトークしてんだから話なよ。私だって言ったんだから。』

「………週三。」

『ほうほう。』
「ほうほう。」


ーー葵はクッションで顔を隠し体をクネらせてもがく。


「オカズは?」

『タロウ。』

「即答!?○○は恥ずかしくないの!?」

『全然。茜は?』

「私は特定の人じゃなくてシチュエーションかな。敗れて犯される的な。」

『そういう性癖か茜は。』

「○○は?」

『ラブラブセックス。』

「○○はそういう感じねー。」

『葵は?』

「えっ!?」


ーー葵はクッションから顔を出ししどろもどろになりながら挙動不審な動きをしている。


『今更でしょ。さっさとオカズ教えなさいよ。人?シチュ?』

「いや……その……」


ーー今まで葵は特にオカズとかは無く、触って気持ち良くなるぐらいで終わっていたのだが、実は葵は最近特定の人をオカズにして毎日している。先日ちょっと優しくされ、甘い言葉を囁かれ、なんとなくちょっといいなと思っている男を。このチョロ娘が。


『お前タロウをオカズにしてるな?』

「えっ!?ちっ、ちがうよ!?てか怖いよ言い方!?」

『このチョロ娘が。』

「だから怖いって!?」

『まあいいや。許してあげる。で?どんなシチュなの?』


ーー別にツヴァイのモノじゃないじゃん。と思う葵だが余計なこと言うと怒られるから黙ることにした。


「えっと……その……優しく……甘々な……みたいな……?」

『ほうほう。』
「ほうほう。」


ーー葵はクッションに顔を埋めて体をクネらせ始めた。


「2人ともなかなかお盛んだねぇ。」

『そりゃあね。ていうかリリ大丈夫?』


ーーやつれてグテっとしているリリにツヴァイが声をかける。


「きもちわる~い。」

『桃缶3個も食べるからよ。シロップまで全部飲んじゃって。』

「もうリリちゃん桃缶いらな~い。」

「リリちゃんいらないじゃなくてもう残ってないよ!?桃缶私も食べたかったのに!?」

「葵ちゃんには特別に空き缶あげる~。」

「いらないよ!?ゴミじゃん!?」

「リリは性処理どうしてるの?」

「茜まだその話続けるの!?」

「リリちゃんはやらないかなぁ。」

『リリはそうだよね。』

「こっち2人もやめる気ないし!?」

「私と涼子の事は言ったけどみんなはどうなの?男経験。」

『あはは、ナイナイ。みんな処女。サーシャもね。』

「へー。」

『茜、キスは?それは経験してる?』

「ないない。付き合ったこともないよ。私も涼子も。そっちは?」

『ぜーんぜん。私らも付き合ったことない。当然キスも。ね。』


ーーツヴァイが葵とリリに同意を求める。


「悲しいけどね。」

「さて、リリちゃんはそろそろ塾の時間だから行くね~。」


ーーリリがそそくさとその場から逃げようと席を立つ。だが当然それを許してくれるわけがない。


『待ちなさいよ。あなた塾なんて通ってないでしょ。え?キスした事あるのリリ?』

「ナイヨ?」

『わぁ、流石はリリお姉ちゃん。経験豊富なんだねぇ。誰としたのー?』

「シテナイヨ?」

『ねえリリ、人と話す時は目を見て話した方がいいよ?で、誰と?ちゃんと私の目を見て言ってね。『た』で始まって『う』で終わる名前の人だと思うけど。』

「ごめんなさい。」

『え、マジでタロウなの?』

「え?バレたんじゃなかったの?」

『うん、今リリが自白したからバレただけで確信なんかなかったよ?』

「あちゃ~、リリちゃんうっかり~。」

『あちゃ~、じゃないでしょ!?いつの間にしてんの!?』

「ちょっと前にしちゃった。」

『何回?』

「5、6回?」

『ぐはっ……』


ーーツヴァイが心を折れて膝から崩れ落ちる。


「○○も心折れたりするんだね?」

「たーくん絡むと基本ポンコツだからしょっちゅう見れるよ。」

『葵うっさい!!葵が相手だったらビンタしてるのに。』

「今に始まったことじゃないけど私の扱い酷くない!?」

『ねえ、リリ。キスってどんな感じ……あー、やっぱいい。聞きたくない。』

「プライド高いんだから困るよねこの子。」

『葵うっさい!!』

「ならいっそのこと2人でしてみたら?」

『やだ!!』
「やだよ!?」

「新しい発見があるかもよ?私だって最初は涼子とセックスするのかなり悩んだけどヤってみたら色んな発けーー痛った!?」


ーー茜の頭に拳骨が落とされる。強烈な一撃。あまりの痛さに茜が振り返ると、凄い怖い顔で自身を見下ろす涼子がいた。


「なんだか随分と楽しそうだね茜。一体ナニを話てたのか教えてくれる?」

「あはは……、帰って来るの早かったね……。」

「サーシャが早く食べたそうだったから急いで帰って来たんだよね。そしたらみんなで楽しそうな話してるみたいだったからさ。ねぇ、ナニ話してたの?セックスとか聞こえたけど私の聞き違いだよね?」

「あはは……」

「いや~ん!涼子ちゃん妬いちゃってるの~?カワイイ~!」


ーーリリが身体をクネクネとさせて楽しそうな顔をして涼子を見る。


「違うよ。妬いてるんじゃなくてこのバカがとんでもないことを言ってるから。」

「まあまあ、涼子ちゃん落ち着きなさい。茜ちゃんは別に変な事は言ってないよ。イイ子だって褒めてただけだよ。」

「そうなの?」

「うん!」

「なんだそうだったのか。私の聞き違いだったんだね。とんでもない事暴露しーー「あ、でもね、ここでセックスは禁止ね。喘ぎ声すごいと絶対聞こえるから。そうしたらリリちゃんこまっちゃ~う。」」

「やっぱり言ってんじゃないか!?このバカ!!何をバラしてんだよ!!」


ーー涼子が顔を赤くしながら茜の首を絞める。
それを後ろで見ながらサーシャは呟いた。


「早く焼きそばパン作ってくれないかしら。」


ーーこうして新拠点1日目が始まっていくのであった。こういうのんびり回もいいよね。
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