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第481話 芹澤楓 VS 霧島茜 3
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【 楓・みく 組 2日目 PM 10:03 市街地D地区 】
私は粒子砲が直撃したグローリエの状態を確かめる。目視だけでなく触っても確認するがヒビも無ければ傷も無い。決して粒子砲の火力を手加減したわけではない。全力の力を込めて放った一撃なのだから相応のダメージはあるはず。それも見事なまでの直撃だ。なのにこの子には傷一つついていない。
考えられる理由としては三つある。
一つはグローリエは異常なまでに耐久力があるという仮説。
『神具』というぐらいなのだから並みの耐久力ではないと思うのは自然だ。そもそもゼーゲンでさえ折れる事も傷つく事もほとんどない。ならばゼーゲンを遥かに超える耐久力があっても不自然ではない。
二つ目はグローリエ同士の攻撃は通らないとう仮説。
この仮説は私の中で一番アリだと思っている。グローリエは扱いが難しい。全てに意識を割いて先を予測しながら操作をしなければならない。でもそんな状況なら人間ならミスが起こる事もある。操作をしている過程で剣型と盾型がゴッチンする事だって想定できる。その時にどちらか或いは両方が破損なり大破してしまえば元も子もない。ならば最初からグローリエ同士はダメージが通らないというものにしてしまえば話は早い。
三つ目は私の力により耐久力が決まるという仮説。
最初にグローリエを手にした時に頭の中に流れた説明で私の魔力だかなんだかでグローリエの力が決まるみたいな事を言っていた。現状あまりスキルを使ってない状態ならばその魔力とやらが減っていないと思う。なら、グローリエの耐久力が高く、粒子砲が直撃してもダメージが通っていないとも考えられる。
「……今は検証する時間はないしリスクが高すぎる。誤射には気をつけなくちゃ。1機でも欠けたら霧島茜に勝てない。それに壊れたら直るのかもわからない。慎重にいかないと。その為にはブルドガング、あなたにかかっているからね。」
私は相棒を見る。相棒も私を見る。そして微笑む。
『任せなさいよ。アタシがあの女を抑える。だからアンタはあの女のカラクリを解いて。』
そう、霧島茜のスキル《トキオクリ》とやらを解明しない事には勝機はない。絶望的なのは他にまだ2つのメインスキルとサブスキル、爵位持ちに与えられるというサイドスキルがある事だ。だけどそれは私も同じ。まだ《爆破の種》はあるし、正体不明のサイドスキルもある。やってやれない事はない。でもそれは今は考えないようにしよう。今は《トキオクリ》の解明だ。
「任せて。」
『おし!そんじゃ行くわ。』
「グローリエ、2機で大丈夫?」
『ええ。さっきと同じ陣形でいいわ。『びいむ』攻撃はカエデのタイミングに任せる。』
「了解。気合い入れていくわよ。」
ブルドガングが私に顔を向け軽く頷く。それを合図にブルドガングが駆ける。剣型グローリエ2機もブルドガングに付き添う。
「何か作戦を立てて来たのかな?うん、楽しめそう!!あはっ!!」
霧島茜もブルドガングへ向かい駆ける。
2人の剣が激しくぶつかり合う。
私は私の務めを果たすわ。
********************
「ねえ、ちょっと気になるんだけど。」
ーー夜ノ森葵が小さいハンバーガー型のチョコレート菓子を上に放り投げ、口に入れる。
『何で葵がこんなに馬鹿なのかって事が?』
「違うよ!?何でそんな事気にしなきゃいけないの!?そもそも私は馬鹿じゃないし!?」
『えー?』
「えー?じゃないよ!?」
ーーツヴァイと葵がいつものようにふざけている。長閑な光景だ。
『それで?何が気になるの?』
ーーツヴァイがエヴリバーガーをパクつきながら葵に尋ねる。
「まったく…てか食べ過ぎじゃない?糖尿になっても知らないよ?」
『私は頭使ってるから大丈夫だよ。葵は食べ過ぎないようにした方がいいけど。』
「そろそろ私泣くよ!?」
「はいはい。◯◯も葵をイジメすぎるのはやめなさい。本当の事でも傷つくんだから。」
ーーそこにサーシャが割って入る。こうしていつもこのメンバーは調和が取れているのだ。
「いや、全然フォローになってないんだけど!?サーシャも私の事イジメてるだけだよね!?」
「あら?これはうっかりしたわね。」
「悪気が無い感じ出すのやめて!?なんか悲しくなる!?」
『葵、とりあえずエヴリバーガー食べなよ。イライラするのは糖分が足りてないんだよ。』
「さっきから食べてるよ!!それしかお茶菓子無いんだから!!もう二箱食べたよ!!イライラしてるのは2人のせいでしょ!?」
『あはっ、葵は面白いなぁ。芸人になればいいのに。』
「そうね。葵の転職よ。」
「ぐぬぬ…いいよ、私は◯◯よりお姉さんなんだからこのぐらい気にしないから…!!」
「お姉さんなら『ぐぬぬ』なんて言わないんじゃないかしら?」
「サーシャは少し黙ってようね!?」
『葵イジるの飽きたから話を進めよっか。そんで?何が気になるの?』
「…なんか納得いかないけど、まあいいや。私はお姉さん、私はお姉さん。よし!!」
ーーこう見ると葵は可哀想だなぁ。
「いやね、周世振の事ばっか気にしてたけどさ、たーくんのエリアに茜もいるんだよね?」
『ああ、霧島茜ね。いたわね。』
「茜もヤバくない?茜は上級貴族じゃないけどリリちゃんと同じで『騎士戦』に出ないじゃん?だから剣を交えた事ないからよくわからないけど”免除”なんだから相当強いんでしょ?」
「あなた『騎士戦』のログ見ないの?」
「いやー…めんどくさくて…」
「だからあなたはミリアルドより爵位が低くて弱いのよ。努力すれば私より強くなれるのに。」
「なんか急に褒められると泣きそうになるんだけど。」
『ほら泣かないの。エヴリバーガー食べなよ。』
「いや、もうそれはいい。同じの飽きた。」
『何ぃ!?エヴリバーガーを馬鹿にしてんの!?』
「何で急にキレるの!?仲良くしようよ!?」
ーーと、3人で漫才をやるのであった。
「とまあ冗談は終わりにして茜の話に戻すけど強いんでしょ?」
「前回の『騎士戦』2回戦でリリとあたったわ。」
「リリちゃんと?あれー?リリちゃんのなら私見てた気がするんだけど記憶にないなぁ。」
「同じ時間に貴女も『騎士戦』だったのよ。」
「あ、なるほど。でも結果はリリちゃんの勝ちでしょ?優勝者なんだし。って言ってもリリちゃんとじゃ比べるのが間違ってるけど。」
『そんな事ないわよ。リリと一番良い勝負したのが茜なんだから。リリの左腕を貫いたぐらいだもん。』
「え、マジ…?」
『大マジ。ハッキリ言ってフィーアたちに負けたなんて信じらんない。あの人誰に負けたんだっけ?』
「確か茜が俺'sヒストリーで負けた相手は…カルディナだったかな…?」
「よっぽどの策に嵌められたんでしょうね。私も霧島茜は相当強いと思うわ。純粋な剣の腕ならば私やリリと遜色ないんじゃないかしら。」
「ダメじゃん!?たーくんたちの誰が敵うの!?」
「現実的には無理ね。島村と芹澤でも霧島茜には剣技で及ばない。ましてやスキルを使った戦いなら尚更。それに霧島茜は『最凶10種』のあのスキルを持っている。それに他の2つも凶悪よ。『刻オクリ』だってあるし。」
「ダメじゃん!?死んじゃうじゃん!?」
ーー葵は大きく狼狽える。だがツヴァイとサーシャはそうではない。
『…多分だけど…タロウたちが死ぬ事は無いと思う。』
「え!?なんで!?」
ーーツヴァイの意外な言葉に葵は更に動揺する。
『茜は殺生を嫌うんだよね。イベントに出るときや、茜が参加した俺'sヒストリーの回を見ても殆ど殺してない。極力殺さないで済むようにしてるから。』
「だからってそんなの茜の気まぐれかもしれないじゃん!?楓ちゃんみたいに生意気な子みたら殺しちゃうかもしれないよ!?」
ーーなかなかひどい言い草だな。楓ちゃんに怒られるよ?
「大丈夫よ。田辺慎太郎たちも極力殺生はしないでしょ?男相手は違うかもしれないけど女相手ならね。それなら霧島茜は殺して来たりはしないわよ。」
「そうかなぁ…なんか◯◯とサーシャは楽観的な感じするけど。」
『女のカンってやつかな?』
「仮にそうでもたーくんたちが負けちゃ意味ないじゃん。」
『んー、てかね、あの人はタロウたちを見逃しそう。』
「え、なんで?」
『やっぱカンかな。』
「根拠無いんかい。」
「根拠はあるわよ。」
「あるんかい。」
「霧島隊の2人は元より”オルガニ”に忠誠は違ってない。上手くバレないように立ち回ってるもの。今までだってプレイヤーを多々見逃してたわ。」
「そうなの?知らなかった。」
「だから恐らくは大丈夫よ。霧島茜なら障害にならない。厄介なのは周世振だけ。」
「サーシャがそこまで言うなら茜の事は良しとするけど……たーくんたち大丈夫かなぁ…早く終わるといいなぁ…」
『…そうだね。』
ーー室内に重苦しい空気が流れる。
「てかさ、リリちゃんホントどこ行ったんだろ?トイレにしては長すぎるし。」
『リリは自由だからなぁ。その辺で昼寝してそう。』
「あはは、それあるかもー!もう少ししても帰って来なかったら探しに行こっかー。」
『そうだね。』
「……。」
ーーツヴァイと葵の会話を黙って聞くサーシャ。だが彼女の胸中は決して穏やかでは無かった。
私は粒子砲が直撃したグローリエの状態を確かめる。目視だけでなく触っても確認するがヒビも無ければ傷も無い。決して粒子砲の火力を手加減したわけではない。全力の力を込めて放った一撃なのだから相応のダメージはあるはず。それも見事なまでの直撃だ。なのにこの子には傷一つついていない。
考えられる理由としては三つある。
一つはグローリエは異常なまでに耐久力があるという仮説。
『神具』というぐらいなのだから並みの耐久力ではないと思うのは自然だ。そもそもゼーゲンでさえ折れる事も傷つく事もほとんどない。ならばゼーゲンを遥かに超える耐久力があっても不自然ではない。
二つ目はグローリエ同士の攻撃は通らないとう仮説。
この仮説は私の中で一番アリだと思っている。グローリエは扱いが難しい。全てに意識を割いて先を予測しながら操作をしなければならない。でもそんな状況なら人間ならミスが起こる事もある。操作をしている過程で剣型と盾型がゴッチンする事だって想定できる。その時にどちらか或いは両方が破損なり大破してしまえば元も子もない。ならば最初からグローリエ同士はダメージが通らないというものにしてしまえば話は早い。
三つ目は私の力により耐久力が決まるという仮説。
最初にグローリエを手にした時に頭の中に流れた説明で私の魔力だかなんだかでグローリエの力が決まるみたいな事を言っていた。現状あまりスキルを使ってない状態ならばその魔力とやらが減っていないと思う。なら、グローリエの耐久力が高く、粒子砲が直撃してもダメージが通っていないとも考えられる。
「……今は検証する時間はないしリスクが高すぎる。誤射には気をつけなくちゃ。1機でも欠けたら霧島茜に勝てない。それに壊れたら直るのかもわからない。慎重にいかないと。その為にはブルドガング、あなたにかかっているからね。」
私は相棒を見る。相棒も私を見る。そして微笑む。
『任せなさいよ。アタシがあの女を抑える。だからアンタはあの女のカラクリを解いて。』
そう、霧島茜のスキル《トキオクリ》とやらを解明しない事には勝機はない。絶望的なのは他にまだ2つのメインスキルとサブスキル、爵位持ちに与えられるというサイドスキルがある事だ。だけどそれは私も同じ。まだ《爆破の種》はあるし、正体不明のサイドスキルもある。やってやれない事はない。でもそれは今は考えないようにしよう。今は《トキオクリ》の解明だ。
「任せて。」
『おし!そんじゃ行くわ。』
「グローリエ、2機で大丈夫?」
『ええ。さっきと同じ陣形でいいわ。『びいむ』攻撃はカエデのタイミングに任せる。』
「了解。気合い入れていくわよ。」
ブルドガングが私に顔を向け軽く頷く。それを合図にブルドガングが駆ける。剣型グローリエ2機もブルドガングに付き添う。
「何か作戦を立てて来たのかな?うん、楽しめそう!!あはっ!!」
霧島茜もブルドガングへ向かい駆ける。
2人の剣が激しくぶつかり合う。
私は私の務めを果たすわ。
********************
「ねえ、ちょっと気になるんだけど。」
ーー夜ノ森葵が小さいハンバーガー型のチョコレート菓子を上に放り投げ、口に入れる。
『何で葵がこんなに馬鹿なのかって事が?』
「違うよ!?何でそんな事気にしなきゃいけないの!?そもそも私は馬鹿じゃないし!?」
『えー?』
「えー?じゃないよ!?」
ーーツヴァイと葵がいつものようにふざけている。長閑な光景だ。
『それで?何が気になるの?』
ーーツヴァイがエヴリバーガーをパクつきながら葵に尋ねる。
「まったく…てか食べ過ぎじゃない?糖尿になっても知らないよ?」
『私は頭使ってるから大丈夫だよ。葵は食べ過ぎないようにした方がいいけど。』
「そろそろ私泣くよ!?」
「はいはい。◯◯も葵をイジメすぎるのはやめなさい。本当の事でも傷つくんだから。」
ーーそこにサーシャが割って入る。こうしていつもこのメンバーは調和が取れているのだ。
「いや、全然フォローになってないんだけど!?サーシャも私の事イジメてるだけだよね!?」
「あら?これはうっかりしたわね。」
「悪気が無い感じ出すのやめて!?なんか悲しくなる!?」
『葵、とりあえずエヴリバーガー食べなよ。イライラするのは糖分が足りてないんだよ。』
「さっきから食べてるよ!!それしかお茶菓子無いんだから!!もう二箱食べたよ!!イライラしてるのは2人のせいでしょ!?」
『あはっ、葵は面白いなぁ。芸人になればいいのに。』
「そうね。葵の転職よ。」
「ぐぬぬ…いいよ、私は◯◯よりお姉さんなんだからこのぐらい気にしないから…!!」
「お姉さんなら『ぐぬぬ』なんて言わないんじゃないかしら?」
「サーシャは少し黙ってようね!?」
『葵イジるの飽きたから話を進めよっか。そんで?何が気になるの?』
「…なんか納得いかないけど、まあいいや。私はお姉さん、私はお姉さん。よし!!」
ーーこう見ると葵は可哀想だなぁ。
「いやね、周世振の事ばっか気にしてたけどさ、たーくんのエリアに茜もいるんだよね?」
『ああ、霧島茜ね。いたわね。』
「茜もヤバくない?茜は上級貴族じゃないけどリリちゃんと同じで『騎士戦』に出ないじゃん?だから剣を交えた事ないからよくわからないけど”免除”なんだから相当強いんでしょ?」
「あなた『騎士戦』のログ見ないの?」
「いやー…めんどくさくて…」
「だからあなたはミリアルドより爵位が低くて弱いのよ。努力すれば私より強くなれるのに。」
「なんか急に褒められると泣きそうになるんだけど。」
『ほら泣かないの。エヴリバーガー食べなよ。』
「いや、もうそれはいい。同じの飽きた。」
『何ぃ!?エヴリバーガーを馬鹿にしてんの!?』
「何で急にキレるの!?仲良くしようよ!?」
ーーと、3人で漫才をやるのであった。
「とまあ冗談は終わりにして茜の話に戻すけど強いんでしょ?」
「前回の『騎士戦』2回戦でリリとあたったわ。」
「リリちゃんと?あれー?リリちゃんのなら私見てた気がするんだけど記憶にないなぁ。」
「同じ時間に貴女も『騎士戦』だったのよ。」
「あ、なるほど。でも結果はリリちゃんの勝ちでしょ?優勝者なんだし。って言ってもリリちゃんとじゃ比べるのが間違ってるけど。」
『そんな事ないわよ。リリと一番良い勝負したのが茜なんだから。リリの左腕を貫いたぐらいだもん。』
「え、マジ…?」
『大マジ。ハッキリ言ってフィーアたちに負けたなんて信じらんない。あの人誰に負けたんだっけ?』
「確か茜が俺'sヒストリーで負けた相手は…カルディナだったかな…?」
「よっぽどの策に嵌められたんでしょうね。私も霧島茜は相当強いと思うわ。純粋な剣の腕ならば私やリリと遜色ないんじゃないかしら。」
「ダメじゃん!?たーくんたちの誰が敵うの!?」
「現実的には無理ね。島村と芹澤でも霧島茜には剣技で及ばない。ましてやスキルを使った戦いなら尚更。それに霧島茜は『最凶10種』のあのスキルを持っている。それに他の2つも凶悪よ。『刻オクリ』だってあるし。」
「ダメじゃん!?死んじゃうじゃん!?」
ーー葵は大きく狼狽える。だがツヴァイとサーシャはそうではない。
『…多分だけど…タロウたちが死ぬ事は無いと思う。』
「え!?なんで!?」
ーーツヴァイの意外な言葉に葵は更に動揺する。
『茜は殺生を嫌うんだよね。イベントに出るときや、茜が参加した俺'sヒストリーの回を見ても殆ど殺してない。極力殺さないで済むようにしてるから。』
「だからってそんなの茜の気まぐれかもしれないじゃん!?楓ちゃんみたいに生意気な子みたら殺しちゃうかもしれないよ!?」
ーーなかなかひどい言い草だな。楓ちゃんに怒られるよ?
「大丈夫よ。田辺慎太郎たちも極力殺生はしないでしょ?男相手は違うかもしれないけど女相手ならね。それなら霧島茜は殺して来たりはしないわよ。」
「そうかなぁ…なんか◯◯とサーシャは楽観的な感じするけど。」
『女のカンってやつかな?』
「仮にそうでもたーくんたちが負けちゃ意味ないじゃん。」
『んー、てかね、あの人はタロウたちを見逃しそう。』
「え、なんで?」
『やっぱカンかな。』
「根拠無いんかい。」
「根拠はあるわよ。」
「あるんかい。」
「霧島隊の2人は元より”オルガニ”に忠誠は違ってない。上手くバレないように立ち回ってるもの。今までだってプレイヤーを多々見逃してたわ。」
「そうなの?知らなかった。」
「だから恐らくは大丈夫よ。霧島茜なら障害にならない。厄介なのは周世振だけ。」
「サーシャがそこまで言うなら茜の事は良しとするけど……たーくんたち大丈夫かなぁ…早く終わるといいなぁ…」
『…そうだね。』
ーー室内に重苦しい空気が流れる。
「てかさ、リリちゃんホントどこ行ったんだろ?トイレにしては長すぎるし。」
『リリは自由だからなぁ。その辺で昼寝してそう。』
「あはは、それあるかもー!もう少ししても帰って来なかったら探しに行こっかー。」
『そうだね。』
「……。」
ーーツヴァイと葵の会話を黙って聞くサーシャ。だが彼女の胸中は決して穏やかでは無かった。
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