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第430話 雷帝 VS 雷神
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【 楓・牡丹 組 埠頭(夜) 】
ーーブルドガングとウコンバサラが夜の埠頭で凌ぎを削る。夜の闇に包まれた埠頭だが、2人が纏う雷の光によりその存在が明らかとなる。
ーー互いに宿す力の源は雷。同じ属性の攻撃ではあるが決定的な違いがある。それは雷の強さだ。ブルドガングとウコンバサラでは火と炎ぐらい違う。そしてその差はゼーゲン一本程度では到底埋まらない。戦いが始まって間もないにも関わらずブルドガング敗北の時は迫っていた。
『ぐうぅっ…!?一撃一撃に対する電撃の追加効果が重い…!!』
『他愛もないな。この程度で目を白黒させていては先が見えているぞ。』
ーー速くも重いウコンバサラの攻撃。それに加えて雷の追加効果が乗ってくる。同じ属性を扱うブルドガングには雷耐性があるが、それをもってしても強力なウコンバサラの電撃にはダメージが加わってしまう。
ーー切り返しをしていてはそれだけでダメージを負う。ブルドガングはウコンバサラから距離を取るしかない。
ーーブルドガングは身体を反転させ、ウコンバサラから一気に距離を取る。そして間髪入れず自身最速の奥義を放つ。
『ーー雷帝の裁きよ、ブリッツ・ヴィルベルヴィント!!』
ーーブルドガングが聖剣を肩に担ぎ横一閃薙ぎ払う。その刀身からは雷のエフェクトを纏った斬撃の刃が疾風の如くウコンバサラへと向かう。その雷のエフェクトは青や黄色に輝き、見るものを魅了するような美しさを放っている。かつてのブリッツ・ヴィルベルヴィントを遥かに超える圧、こんなモノを喰らったらタダでは済まないだろう。それだけの力をブリッツ・ヴィルベルヴィントは秘めていた。
だが、自分で強大だと思っていても、それを超える力の前には簡単に無力となる。簡単に。
『ーー雷神の裁きだ、ブリッツ・ゼレ・シュタルカー・ヴィント』
『があッッーー』
ーーウコンバサラが肩に担いだ聖斧を叩き落とすように振り降ろすと、爆風と共にその軌道が一瞬光る。すると、その光と同時にブルドガングの身体が鮮血に染まる。想像以上のダメージによりブルドガングはその場で膝をつく。ブリッツ・ヴィルベルヴィントも掻き消され、後に残るのはブルドガングを見下ろすウコンバサラだけであった。
********************
ーーブルドガングとウコンバサラが戦闘を開始すると、楓と坂崎の戦闘も始まろうとしていた。
「ヒハハッ!!オイ、芹澤!!アッチは随分と差があるようだなァ!!」
ーーブルドガングとウコンバサラの攻防を見て坂崎が愉しそうな顔をして楓を見る。しかし楓は特に表情を変える事なく淡々と答える。
「そうね。でもあのぐらいじゃ私の予想よりもウコンバサラは大した事ないわね。」
「あ?」
ーー楓の言葉に坂崎は怪訝な顔をする。そしてそれは牡丹も同じだった。ブルドガングのブリッツ・シュトゥルムを見事なまでに叩き破り、ブルドガングを圧倒するウコンバサラは脅威の他何も無い。寧ろ、牡丹も参戦して戦わないとマズいんじゃないかとすら思っている。それなのに楓の異様な余裕。それが不可解であり不可思議で仕方がなかった。
「お前頭イカレてんのか?あのメスブタが死ねばお前はウコンバサラと俺を相手にしなきゃならねぇんだぞ?それとも島村がいるから余裕ぶっこいてんのか?」
「イカレてるのはあなたでしょ。牡丹ちゃんは参戦しないって話をしていたのもう忘れたの?」
ーー楓がいつもの調子で坂崎を煽り倒す。それを聞いて坂崎はこめかみに青筋を立てながら怒りの表情を見せる。
そんな中、ブルドガング側に良くない事態が起こる。ブルドガングのブリッツ・ヴィルベルヴィントが封じられ、尚且つブルドガングがかなりの深手を負う事態へと急転する。それを確認した坂崎は先程までの怒りに満ちた表情から至福の表情へと切り替わる。
「ブハハッ!!芹澤ァ、お前の英傑が大ピンチだぞォ?ズタボロのボロ雑巾になっちゃったなァ?クハハハハ!!」
ーー坂崎が楓を小馬鹿にするように器用な顔芸と芝居掛かった口調で煽る。煽られる楓だが特段気にする様子も無い。ブルドガングを一度だけチラリと見て楓もとうとう動き出す。
「それじゃそろそろ行こうかしら。出なさい、グローリエーー」
ーー楓の呼びかけに呼応するようにラウムが開く。その開かれた空間から小型のテトラポットのようなモノが4基現れる。グローリエは以前に出した時と同様に半透明で環状な帯を纏い、不規則な動きで楓の周囲を飛び回る。唯一違う点は数が1基多い事だ。
「1基多いわね。ゼーゲンの解放度が上がったからかしら。でも…前の時より明らかにグローリエのプレッシャーが弱いわね。」
ーー楓が考察していると坂崎が恐怖におののいたような顔でグローリエを見つめる。
「な…なんだそりゃあ…!?」
ーー坂崎はグローリエを見てブツブツ言っているが楓は何も気にしていない。眼中に無いようだ。
「とりあえず3基はブルドガングの元へ行きなさい。1基は傷の回復を、あとの2基はブルドガングの剣と盾になって。あの青髪の技は必ず3基で止めるのよ。」
ーー楓の指示を理解したのか宙に漂う3基がブルドガングの元へと移動する。そして残った1基は盾状へとフォルムを変化させ、楓の前へ陣取る。
「それじゃまずはあなたを無力化させるわ。安心しなさい、殺しはしないから。殺すとあっちの青髪もいなくなっちゃうからね。ま、最後には殺しちゃうけど。ウフフ。」
ーー楓から強大なオーラが溢れ出し、坂崎へと攻撃を開始した。
ーーブルドガングとウコンバサラが夜の埠頭で凌ぎを削る。夜の闇に包まれた埠頭だが、2人が纏う雷の光によりその存在が明らかとなる。
ーー互いに宿す力の源は雷。同じ属性の攻撃ではあるが決定的な違いがある。それは雷の強さだ。ブルドガングとウコンバサラでは火と炎ぐらい違う。そしてその差はゼーゲン一本程度では到底埋まらない。戦いが始まって間もないにも関わらずブルドガング敗北の時は迫っていた。
『ぐうぅっ…!?一撃一撃に対する電撃の追加効果が重い…!!』
『他愛もないな。この程度で目を白黒させていては先が見えているぞ。』
ーー速くも重いウコンバサラの攻撃。それに加えて雷の追加効果が乗ってくる。同じ属性を扱うブルドガングには雷耐性があるが、それをもってしても強力なウコンバサラの電撃にはダメージが加わってしまう。
ーー切り返しをしていてはそれだけでダメージを負う。ブルドガングはウコンバサラから距離を取るしかない。
ーーブルドガングは身体を反転させ、ウコンバサラから一気に距離を取る。そして間髪入れず自身最速の奥義を放つ。
『ーー雷帝の裁きよ、ブリッツ・ヴィルベルヴィント!!』
ーーブルドガングが聖剣を肩に担ぎ横一閃薙ぎ払う。その刀身からは雷のエフェクトを纏った斬撃の刃が疾風の如くウコンバサラへと向かう。その雷のエフェクトは青や黄色に輝き、見るものを魅了するような美しさを放っている。かつてのブリッツ・ヴィルベルヴィントを遥かに超える圧、こんなモノを喰らったらタダでは済まないだろう。それだけの力をブリッツ・ヴィルベルヴィントは秘めていた。
だが、自分で強大だと思っていても、それを超える力の前には簡単に無力となる。簡単に。
『ーー雷神の裁きだ、ブリッツ・ゼレ・シュタルカー・ヴィント』
『があッッーー』
ーーウコンバサラが肩に担いだ聖斧を叩き落とすように振り降ろすと、爆風と共にその軌道が一瞬光る。すると、その光と同時にブルドガングの身体が鮮血に染まる。想像以上のダメージによりブルドガングはその場で膝をつく。ブリッツ・ヴィルベルヴィントも掻き消され、後に残るのはブルドガングを見下ろすウコンバサラだけであった。
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ーーブルドガングとウコンバサラが戦闘を開始すると、楓と坂崎の戦闘も始まろうとしていた。
「ヒハハッ!!オイ、芹澤!!アッチは随分と差があるようだなァ!!」
ーーブルドガングとウコンバサラの攻防を見て坂崎が愉しそうな顔をして楓を見る。しかし楓は特に表情を変える事なく淡々と答える。
「そうね。でもあのぐらいじゃ私の予想よりもウコンバサラは大した事ないわね。」
「あ?」
ーー楓の言葉に坂崎は怪訝な顔をする。そしてそれは牡丹も同じだった。ブルドガングのブリッツ・シュトゥルムを見事なまでに叩き破り、ブルドガングを圧倒するウコンバサラは脅威の他何も無い。寧ろ、牡丹も参戦して戦わないとマズいんじゃないかとすら思っている。それなのに楓の異様な余裕。それが不可解であり不可思議で仕方がなかった。
「お前頭イカレてんのか?あのメスブタが死ねばお前はウコンバサラと俺を相手にしなきゃならねぇんだぞ?それとも島村がいるから余裕ぶっこいてんのか?」
「イカレてるのはあなたでしょ。牡丹ちゃんは参戦しないって話をしていたのもう忘れたの?」
ーー楓がいつもの調子で坂崎を煽り倒す。それを聞いて坂崎はこめかみに青筋を立てながら怒りの表情を見せる。
そんな中、ブルドガング側に良くない事態が起こる。ブルドガングのブリッツ・ヴィルベルヴィントが封じられ、尚且つブルドガングがかなりの深手を負う事態へと急転する。それを確認した坂崎は先程までの怒りに満ちた表情から至福の表情へと切り替わる。
「ブハハッ!!芹澤ァ、お前の英傑が大ピンチだぞォ?ズタボロのボロ雑巾になっちゃったなァ?クハハハハ!!」
ーー坂崎が楓を小馬鹿にするように器用な顔芸と芝居掛かった口調で煽る。煽られる楓だが特段気にする様子も無い。ブルドガングを一度だけチラリと見て楓もとうとう動き出す。
「それじゃそろそろ行こうかしら。出なさい、グローリエーー」
ーー楓の呼びかけに呼応するようにラウムが開く。その開かれた空間から小型のテトラポットのようなモノが4基現れる。グローリエは以前に出した時と同様に半透明で環状な帯を纏い、不規則な動きで楓の周囲を飛び回る。唯一違う点は数が1基多い事だ。
「1基多いわね。ゼーゲンの解放度が上がったからかしら。でも…前の時より明らかにグローリエのプレッシャーが弱いわね。」
ーー楓が考察していると坂崎が恐怖におののいたような顔でグローリエを見つめる。
「な…なんだそりゃあ…!?」
ーー坂崎はグローリエを見てブツブツ言っているが楓は何も気にしていない。眼中に無いようだ。
「とりあえず3基はブルドガングの元へ行きなさい。1基は傷の回復を、あとの2基はブルドガングの剣と盾になって。あの青髪の技は必ず3基で止めるのよ。」
ーー楓の指示を理解したのか宙に漂う3基がブルドガングの元へと移動する。そして残った1基は盾状へとフォルムを変化させ、楓の前へ陣取る。
「それじゃまずはあなたを無力化させるわ。安心しなさい、殺しはしないから。殺すとあっちの青髪もいなくなっちゃうからね。ま、最後には殺しちゃうけど。ウフフ。」
ーー楓から強大なオーラが溢れ出し、坂崎へと攻撃を開始した。
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