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第338話 爆破の種
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【 美波・楓 組 1日目 AM 11:50 工場 地下1階 】
「…へぇ。時空系か。いつの間に手に入れてたんですか?俺に隠し事するなんて悪い子ですね。」
「別にあなたに教える事ではないわ。その茶番、やめたらどうかしら?」
「ククク、そうだな。バレてるのに芝居をする事もあるまい。さて、始めようか、楓。愛しい男に殺されるなら本望であろう。」
ーーゲシュペンストから邪悪な雰囲気が醸し出される。しかし、金色のエフェクトが現れるわけではない。ゲシュペンストにはエフェクトが現れないのだろうか。それについては不明な点がおおいが、確実に言える事としてアルティメット以上の力がある事は間違い無い。
「それに…俺と楓は非常に相性が良いんだよ。」
「はぁ?」
ーーゲシュペンストの物言いに楓は不愉快そうな声を出す。だが、事態は急変する。
突如として楓の足を黒いエフェクトが覆い出す。
「か、楓さんっ!?」
ーー地下に美波の悲鳴が響く。
黒いエフェクトが楓の足を蔦のように絡みつく。
「ククク、どうだ楓?足が重いだろう。それは俺の”サイドスキル”である《呪縛》だ。お前はそこからもはや動く事は出来ん。エンゲルを持ってしてもな。お前のエンゲルを封じるのには最高の”サイドスキル”であろう?それにもう一つ絶望を教えよう。お前は今使用しているスキル以外を使う事は出来ん。それは美波も同じだ。俺を倒さない限りはその呪縛は解けんのだ。フハハハハッ!!!」
そんな…!?それじゃブルドガングを呼ぶ事もノートゥングを”具現”する事も出来ないって事じゃないっ…!?
そもそも”サイドスキル”って何よ…!?どうしよう…!!
ーー美波が冷静さを失う中、楓は笑い出す。
「ウフフ。」
ーーゲシュペンストは怪訝な顔をする。
「どうした?気でも狂ったか?跪き俺の性奴隷と化すなら助けてやらんでもないぞ?」
ーーゲシュペンストは勝ち誇り、いやらしい言葉を楓に投げかける。だが、
「その顔と声でそういう台詞を言うのはやめてもらえるかしら?偽物とわかっていても気分が悪いわ。」
「ククク、流石は楓だな。この状況でもまだその態度でいられるのは見事としか言えん。だがな、相手の技量を見極められ無い点はいささかガッカリだ。俺は有象無象のゲシュペンストどもとは違う。時空系相当の力を持っているのだぞ?それに加えて貴様は俺の”サイドスキル”により能力値が低下している。勝てるはずが無い。ならばどういう態度で臨むかは一目瞭然であろう?」
ーーゲシュペンストが失望したような目を楓へと向ける。圧倒的優位なのはゲシュペンストである事を誰もが疑わない。もはや勝負はついた。だからこそのゲシュペンストの態度である。
だが、楓は違う。
「何でそんなに勝ち誇っているのか理解出来ないのだけれど?私は時空系を使っているのよ?」
「フン。その場から動けない貴様に何が出来る。確かに時空系は基本的に遠距離攻撃が主体だ。だが貴様のソレは入手したばかりの付け焼き刃であろう?そんなものでこの俺を倒せると思っているのか?驕るな小娘。」
ーーゲシュペンストが苛立ちを露わにするとともに恐ろしいプレッシャーが周囲に立ち込める。
「あなたは口喧嘩をしに来たのかしら?」
ーーしかし楓はそれを特に気にする様子も無い。冷ややかな目でゲシュペンストを見つめている。
「貴様には失望だ。その命、貰い受ける。」
ーーゲシュペンストが腰に差すゼーゲンを模した剣を引き抜き楓へと迫り来る。それに呼応するように楓の身体が金色に輝き攻撃を開始する。
「へぇ、こうなるのね。先ずは小手調べ。」
ーー突如として迫り来るゲシュペンストの眼前が爆発する。
「ぐうッッッ…!?」
ーー突然の爆発に驚いたゲシュペンストは大きく回避行動を取り、楓との距離を取る。
「チッ…、それが貴様のスキルか。だが何の事は無い。その程度の威力でーー」
ーーゲシュペンストの身体が大きく爆発する。ドゴォンという轟音が地下に鳴り響き、その反動により通路全体が揺れ動く。
「濃度まで調整できるのね。松嶋は無駄に乱発するだけだったからただ爆発するスキルかと思ってたわ。細かい設定まで出来るんじゃない。かなり使えそうね。」
ーー煙が晴れて来ると、ゲシュペンストが身に付けていた服は破れ、肌が露わになる。爆発による火傷だろう。肌は赤黒くなり、爛れている部位まである。《爆破の種》の威力は相当なものだ。
「があァッ…おのれ…!!!この程度で勝った気になるなよッッッ!!!」
ーー血管を浮き上がらせるぐらいに顔を紅潮させたゲシュペンストが楓へ猛然と襲いかかる。だが、ゲシュペンストの周りに赤い玉のようなものが十数個現れ、進路を塞ぐ。
「なんだ…これは…?」
「わかりやすいように濃度を濃くして球体にしてみたの。ウフフ、赤くて綺麗だと思わない?」
ーー楓の言葉にゲシュペンストは赤い玉が何なのか理解する。
「まっ、待てッ!!!待ってよ楓さん!!楓さん、大好きな俺を殺すのか!?」
ーー楓は冷たい目でゲシュペンストを見る。
「彼以外に名前を呼ばれる事がこんなにも不快だなんてね。虫唾が走るわ。死になさい。」
「まっ、待てーー」
「ーーベーゼ・エクスプロージョン」
ーーゲシュペンストを包囲していた赤い玉が発光し大爆発を起こす。あまりの火力により周囲一帯が吹き飛び、建物の上側が露出し、地上が露わになる。工場は半壊し、楓と美波がいた周りには瓦礫すらも残っていない。
「これだけの火力でも術者にはノーダメージ。炎耐性でも付いてるのかしら。このスキルは想像以上ね。」
ーー楓がスキルの考察を行っている中、美波は楓の背後で恐る恐る行く末を見届けていた。
…強いなんてもんじゃない。楓さんに追いつきそうになったと思ったのに一気に離された。今の楓さんは牡丹ちゃんよりも強いんじゃないだろうか。イチャコラ券争奪戦の時に牡丹ちゃんに負けたのは単純にアルティメット1枚分の差だと思う。フリーデン無しで戦えば今なら間違いなく楓さんの方が強い。
「さてと。足枷も取れたみたいだし先に進もっか。」
「はいっ!」
がんばらないとっ。もっとがんばって楓さんよりも、牡丹ちゃんよりも強くなるんだからっ!!
ーー美波が激しく燃えている。
そうすればタロウさんと…うへへぇ…
ーーまた女の子がしちゃいけない顔をしている。そんなどうしようもない自称正妻と、自分の技に中二全開なネーミングを付けるダメープルは歩みを進めるのであった。
「…へぇ。時空系か。いつの間に手に入れてたんですか?俺に隠し事するなんて悪い子ですね。」
「別にあなたに教える事ではないわ。その茶番、やめたらどうかしら?」
「ククク、そうだな。バレてるのに芝居をする事もあるまい。さて、始めようか、楓。愛しい男に殺されるなら本望であろう。」
ーーゲシュペンストから邪悪な雰囲気が醸し出される。しかし、金色のエフェクトが現れるわけではない。ゲシュペンストにはエフェクトが現れないのだろうか。それについては不明な点がおおいが、確実に言える事としてアルティメット以上の力がある事は間違い無い。
「それに…俺と楓は非常に相性が良いんだよ。」
「はぁ?」
ーーゲシュペンストの物言いに楓は不愉快そうな声を出す。だが、事態は急変する。
突如として楓の足を黒いエフェクトが覆い出す。
「か、楓さんっ!?」
ーー地下に美波の悲鳴が響く。
黒いエフェクトが楓の足を蔦のように絡みつく。
「ククク、どうだ楓?足が重いだろう。それは俺の”サイドスキル”である《呪縛》だ。お前はそこからもはや動く事は出来ん。エンゲルを持ってしてもな。お前のエンゲルを封じるのには最高の”サイドスキル”であろう?それにもう一つ絶望を教えよう。お前は今使用しているスキル以外を使う事は出来ん。それは美波も同じだ。俺を倒さない限りはその呪縛は解けんのだ。フハハハハッ!!!」
そんな…!?それじゃブルドガングを呼ぶ事もノートゥングを”具現”する事も出来ないって事じゃないっ…!?
そもそも”サイドスキル”って何よ…!?どうしよう…!!
ーー美波が冷静さを失う中、楓は笑い出す。
「ウフフ。」
ーーゲシュペンストは怪訝な顔をする。
「どうした?気でも狂ったか?跪き俺の性奴隷と化すなら助けてやらんでもないぞ?」
ーーゲシュペンストは勝ち誇り、いやらしい言葉を楓に投げかける。だが、
「その顔と声でそういう台詞を言うのはやめてもらえるかしら?偽物とわかっていても気分が悪いわ。」
「ククク、流石は楓だな。この状況でもまだその態度でいられるのは見事としか言えん。だがな、相手の技量を見極められ無い点はいささかガッカリだ。俺は有象無象のゲシュペンストどもとは違う。時空系相当の力を持っているのだぞ?それに加えて貴様は俺の”サイドスキル”により能力値が低下している。勝てるはずが無い。ならばどういう態度で臨むかは一目瞭然であろう?」
ーーゲシュペンストが失望したような目を楓へと向ける。圧倒的優位なのはゲシュペンストである事を誰もが疑わない。もはや勝負はついた。だからこそのゲシュペンストの態度である。
だが、楓は違う。
「何でそんなに勝ち誇っているのか理解出来ないのだけれど?私は時空系を使っているのよ?」
「フン。その場から動けない貴様に何が出来る。確かに時空系は基本的に遠距離攻撃が主体だ。だが貴様のソレは入手したばかりの付け焼き刃であろう?そんなものでこの俺を倒せると思っているのか?驕るな小娘。」
ーーゲシュペンストが苛立ちを露わにするとともに恐ろしいプレッシャーが周囲に立ち込める。
「あなたは口喧嘩をしに来たのかしら?」
ーーしかし楓はそれを特に気にする様子も無い。冷ややかな目でゲシュペンストを見つめている。
「貴様には失望だ。その命、貰い受ける。」
ーーゲシュペンストが腰に差すゼーゲンを模した剣を引き抜き楓へと迫り来る。それに呼応するように楓の身体が金色に輝き攻撃を開始する。
「へぇ、こうなるのね。先ずは小手調べ。」
ーー突如として迫り来るゲシュペンストの眼前が爆発する。
「ぐうッッッ…!?」
ーー突然の爆発に驚いたゲシュペンストは大きく回避行動を取り、楓との距離を取る。
「チッ…、それが貴様のスキルか。だが何の事は無い。その程度の威力でーー」
ーーゲシュペンストの身体が大きく爆発する。ドゴォンという轟音が地下に鳴り響き、その反動により通路全体が揺れ動く。
「濃度まで調整できるのね。松嶋は無駄に乱発するだけだったからただ爆発するスキルかと思ってたわ。細かい設定まで出来るんじゃない。かなり使えそうね。」
ーー煙が晴れて来ると、ゲシュペンストが身に付けていた服は破れ、肌が露わになる。爆発による火傷だろう。肌は赤黒くなり、爛れている部位まである。《爆破の種》の威力は相当なものだ。
「があァッ…おのれ…!!!この程度で勝った気になるなよッッッ!!!」
ーー血管を浮き上がらせるぐらいに顔を紅潮させたゲシュペンストが楓へ猛然と襲いかかる。だが、ゲシュペンストの周りに赤い玉のようなものが十数個現れ、進路を塞ぐ。
「なんだ…これは…?」
「わかりやすいように濃度を濃くして球体にしてみたの。ウフフ、赤くて綺麗だと思わない?」
ーー楓の言葉にゲシュペンストは赤い玉が何なのか理解する。
「まっ、待てッ!!!待ってよ楓さん!!楓さん、大好きな俺を殺すのか!?」
ーー楓は冷たい目でゲシュペンストを見る。
「彼以外に名前を呼ばれる事がこんなにも不快だなんてね。虫唾が走るわ。死になさい。」
「まっ、待てーー」
「ーーベーゼ・エクスプロージョン」
ーーゲシュペンストを包囲していた赤い玉が発光し大爆発を起こす。あまりの火力により周囲一帯が吹き飛び、建物の上側が露出し、地上が露わになる。工場は半壊し、楓と美波がいた周りには瓦礫すらも残っていない。
「これだけの火力でも術者にはノーダメージ。炎耐性でも付いてるのかしら。このスキルは想像以上ね。」
ーー楓がスキルの考察を行っている中、美波は楓の背後で恐る恐る行く末を見届けていた。
…強いなんてもんじゃない。楓さんに追いつきそうになったと思ったのに一気に離された。今の楓さんは牡丹ちゃんよりも強いんじゃないだろうか。イチャコラ券争奪戦の時に牡丹ちゃんに負けたのは単純にアルティメット1枚分の差だと思う。フリーデン無しで戦えば今なら間違いなく楓さんの方が強い。
「さてと。足枷も取れたみたいだし先に進もっか。」
「はいっ!」
がんばらないとっ。もっとがんばって楓さんよりも、牡丹ちゃんよりも強くなるんだからっ!!
ーー美波が激しく燃えている。
そうすればタロウさんと…うへへぇ…
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