俺'sヒストリー

かつしげ

文字の大きさ
上 下
308 / 539

第308話 女って怖いね

しおりを挟む
ーーまた誰かに呼ばれている。


ーー誰かじゃないよ。


ーーそうだった。俺は知ってるんだった。


ーーそう、知ってるよ。


ーーでも思い出せない。


ーー思い出せないんじゃないよ。知らないだけだよ。


ーー知らない?知ってるんだよね?


ーー知ってるけど知らないんだよ。


ーー意味がわからないよ。


ーー大丈夫だよ。もうすぐだから。


ーー何が?って、うるせーな。





「みくちゃん!!離れなさいよ!!」

「ヤダ!!ウチは離れへん!!」

「牡丹ちゃんっ!!ズルいよっ!!私と交代してよっ!!」

「ふふふ、早い者勝ちです。何より、私の膝はタロウさん専用ですので。」

…何これ?何この地獄絵図みたいな光景は。
何故か綿谷みくが俺の左側に抱きつき、それを楓さんが引き剥がそうとしている。
そして俺の頭の下は柔らかい牡丹の膝枕で頭を撫でられる天国状態になっているが、それを美波が引き剥がそうとしている。
アリスはいつも通りちゃっかり俺の右側にくっついてスースー寝息を立てている。そしてちび助もアリスの肩に止まって寝ている。なんか癒されるな。アリスとちび助だけなら。
なんだこれ。なんでこんな事になってんの。いやね、入替戦やってたのは覚えてるよ?でも何で玄関でこんな事になってんだよ。何より何で綿谷みくがいるの?奴隷だから?解放宣言は間に合わなかったのか。関西弁なんだから関西に住んでんだよなこの子。こっから帰るの大変じゃね。送ってくしかないよな。仕事休まないとな。困ったな。いや、とりあえずこの地獄絵図をなんとかしよう。

「あー起きた!超起きた!!」

ーー慎太郎の一言で彼が目覚めた事に女性陣が気づく。

「タロチャン!!」

俺が目覚めた事に気付いた綿谷みくが抱き締める手を強める。

「え?タロチャン?」

「慎太郎だからタロチャンだよ!みんなはタロウさんって呼んでるけど、『さん』付けで呼ぶのはウチのキャラじゃないからそう呼ぼ思うて!」

距離の詰め方が凄いな。大人な牡丹とは違ってこれが普通の女子高生だよな。家庭教師先の生徒もこんな感じだもんな。

「えっと…綿谷さん?」

「みくでいいよ!タロチャンにはみくって呼んで欲しいな!」

「あ、うん。それじゃ、みく。顔は治ってるっぽいけど痛みは大丈夫?」

笠原のクズにやられたダメージは相当だった。でも今見る限りでは傷も残ってないし腫れてもいない。

「うん、大丈夫だよ。タロチャンの服とハンカチは持ってるけどね。」

みくの服を見て見ると俺のシャツを羽織っている。うわ、俺のシャツがデカイからこの角度だとみくの胸丸見えじゃん。美波より大きい。これはDだな。堪らんなーー痛い痛い!?牡丹が俺の頭皮に爪を立ててる!?ハイライトも無くなってる!?堪らなくないです!?全然堪らなくないです!?牡丹さん見てると堪らなくなるけど他の女に反応しませんから!?

「痛くないなら良かったよ。ごめんな、早く解放すれば俺の家に戻って来なくても済んだだろうに。」

「やっぱりここタロチャンのお家なの?凄いキレーやね!」

「ありがとう。とりあえずは今日は俺の家に泊まりなよ。明日責任持って送ってくからさ。あ、心配しなくても大丈夫だぞ?楓さんも牡丹も泊まってるっていうか住んでるし、こっちの美波とアリスも住んでるから。」

「さっき聞いたから知ってるよ。」

「そうか。あ、先ずは支配下プレイヤーになってるのを解除しようか。マイページに行けばやり方わかるだろうから一緒に来てもらってもいい?」

「それなんやけど、ウチ、このままでええよ。」

「え?なんで?」

何を言ってんだこの娘は。奴隷でいいわけないだろ。

「楓チャンも牡丹チャンも美波チャンもアリスチャンもタロチャンのクランなんだよね?」

「おう。」

「誰も奴隷じゃないんだよね?」

「もちろん。」

「そしたらクラン上限の5人は埋まっとるゆーことだよね?」

「そうなるな。」

「ならウチがタロチャンのクランに入るにはこのままでいるしかないよね?」

「え?俺らのクランに入るの?」

「ウチ入りたいけどダメ…?ウチね、タロチャンに恩返ししたいの。タロチャンがウチを助けてくれなかったら今頃アイツらに酷い目に合わされてた…。好きな事をされて、女として生まれた事を後悔するぐらいの事を何度も何度もされ続けていたと思う。でも、今、ウチはここでこうしていられる。全部タロチャンのおかげ。だから恩返しをしたい。」

「そんな事気にしないでいいよ。俺は当たり前の事をしただけだよ。みくが恩を感じる事なんてない。」

「ううん!絶対にタロチャンに恩返しするの!!それに…もう1人は怖いし…出来れば入れて欲しい…親友の楓チャンと牡丹チャンがいるなら尚更…」

「まー恩は本当に感じる事は無いけど、みくがクランに入るのは俺は構わないぞ?”闘神”が入ってくれるなら心強いし。みんなはどうかな?」

みくには申し訳ないが、みんなが反対するならクランに入れる訳にはいかないからな。ちゃんと意見を確認しないと。

「私は構いませんよ。みくちゃんは親友だし。」

「楓チャン…!」

楓さんは好意的だ。親友って言われてニマニマしてるのが可愛い。押し倒しーー痛い痛い!?倒さない!?全然倒さない!!牡丹さんしか押し倒したく無いです!!!

「私も何も問題はありません。みくちゃんなら大歓迎です。」

「牡丹チャン…!」

牡丹も好意的だ。ま、この2人は友達なんだから当然だよな。問題は美波とアリスだ。

「私も大丈夫ですよっ!さっき事情は聞きましたけど、私と状況が似てるから尚更共感できます。」

「美波チャン…!」

あー、確かにそうだよな。美波の時と似てるよな。てか今更だけど美波の時も俺が美波に何かする訳でも無いんだから奴隷でも良かったよな。そうすれば《巻戻し》だったっけ?それがあったんだもんな。あー、でも初対面の奴が『俺、キミに手を出さないよ。だから奴隷でもいいよね。ギュフフフフ。』なんて言ったって説得力ないし、嫌に決まってるよな。仮に手を出さないってわかってても奴隷なんか嫌に決まってるし。

「私もです!みくさんにちび助も懐いていますし賛成です!」

「アリスチャン…!」

アリスもちび助も賛成なら満場一致じゃん。それなら問題ないな。

「じゃ、全員賛成だね。これからよろしくね、みく。」

「みんな…!うん!よろしくね!ウチ、がんばるからね!」

うんうん。なんかいい話だなぁ。

ーー確かにいい話ではある。だが、寝転がりながら女に囲まれている絵面でこのやり取りしてると全然感動出来ないけどね。ただのハーレム拡張したにしか見えないけどね。

「それじゃ…。ね、タロチャン…」

「どした?」

みくが艶めかしい表情で小声で俺に話しかけてくる。

「2人っきりになれるトコいこ…?ウチはタロチャンの奴隷だから…ウチに好きな事していいんだよ…?」

「な、な、な、な、何を言ってんのお前!?」

「ウチ…タロチャンの事好きになった…あんな事されたら好きになるのが普通や…でもな…みんなに言うわけやないで…?タロチャンだからだもん…ウチ、今まで男と付き合った事もないで…?だから…初めてだけど…優しくしてな…?」

そう言いながらみくは、上目遣いで身体をスリスリさせてくる。楓さん、牡丹、美波という綺麗系美人とは違う、可愛い系の最高峰のルックスを持つみく。こんな美少女に迫られたら俺の理性がぶっ飛ぶのは当然だ。もうやっちまおうか。

ーーなどと考え始めた意志の弱い慎太郎。だが忘れてはいけない。この場には他の4人もいる事を。
慎太郎がみくを抱き寄せようとした時、みくの耳を楓が引っ張る。

「い、痛っ!?イタタタタ!?な、なに!?楓チャン痛い!?」

ーー激痛により慎太郎から離れて楓を見るみく。だが振り返ると怖い目をしている楓がいた。

「ウフフ、新しく仲間になるならちゃんと教育してあげないとね。親友として。」

「ひっ…!!」

ーー邪悪なオーラが出ている楓を見て怯えるみく。だがそれだけでは終わらない。同じく邪悪なオーラとハイライトを無くした牡丹に肩を掴まれる。

「ふふふふふふふふふ。躾のなってない悪い猫ちゃんにはちゃんと教育しないとですねぇ。好きな事をしていいようですし、お言葉に甘えさせてもらいますかねぇ。」

「牡丹チャン、なんかキャラ違く無い!?ハイライト無いよ!?それに好きな事していいって言ったのはタロチャンにだよ!?」

ーー牡丹については説明するまでも無い。安定のヤンデレモードである。

「ふふっ、それじゃあ私もちゃんと教育しますねっ!」

「台詞とは違って邪悪な空気が美波チャンから出てて一番怖いんだけど!?」

ーー美波もハイライトを無くして危険なオーラを撒き散らしている。

「この家のルールを教えるのは家族として当然です。私もみくさんに教えます。」

「家族ってあったかワードなのに凄く怖いニュアンスに感じるのウチだけかな!?」

ーーアリスもハイライトを無くして危険なオーラをプンプン出している。

「タロウさん。」

ーー楓が慎太郎に話しかける。すっごい笑顔で。

「あ、はい。」

「これから私たちは親睦を深める為にみくちゃんとお風呂に入って来ますね。覗いちゃダメですよ?」

「あ、はい。」

「それと、みくちゃんはタロウさんの奴隷じゃなくてクラン預かりでいいですよね?」

「あ、はい。」

「そ、そんなぁ!?ウチはタロチャンのーーひぃぃ…!?」

ーーみくが楓に抗議しようとした時、牡丹が何処からともなく剪定バサミを出してそれを突きつける。

「少し黙ってましょうねぇ、みくちゃん。」

ーーそれによりみくは完全に黙る。

「それじゃ私たちは行きますね。みんな、行こうか。」

ーー4人がみくを強制的に風呂場へ連行していく。

「た、タロチャン!?た、助けてー!?」

ーーそれを慎太郎は死んだ目で見続け、心の中でみくに『がんばれ。』と一言だけ思って5人が風呂場へ消えて行った。


「…ちび助。」

「ぴ?」

「女って怖いね。」

「ぴぴっ?」


こうして綿谷みくが俺たちのクランに加入したのだった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)

幻田恋人
恋愛
 夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。  でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。  親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。  童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。  許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…  僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

処理中です...