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第308話 女って怖いね
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ーーまた誰かに呼ばれている。
ーー誰かじゃないよ。
ーーそうだった。俺は知ってるんだった。
ーーそう、知ってるよ。
ーーでも思い出せない。
ーー思い出せないんじゃないよ。知らないだけだよ。
ーー知らない?知ってるんだよね?
ーー知ってるけど知らないんだよ。
ーー意味がわからないよ。
ーー大丈夫だよ。もうすぐだから。
ーー何が?って、うるせーな。
「みくちゃん!!離れなさいよ!!」
「ヤダ!!ウチは離れへん!!」
「牡丹ちゃんっ!!ズルいよっ!!私と交代してよっ!!」
「ふふふ、早い者勝ちです。何より、私の膝はタロウさん専用ですので。」
…何これ?何この地獄絵図みたいな光景は。
何故か綿谷みくが俺の左側に抱きつき、それを楓さんが引き剥がそうとしている。
そして俺の頭の下は柔らかい牡丹の膝枕で頭を撫でられる天国状態になっているが、それを美波が引き剥がそうとしている。
アリスはいつも通りちゃっかり俺の右側にくっついてスースー寝息を立てている。そしてちび助もアリスの肩に止まって寝ている。なんか癒されるな。アリスとちび助だけなら。
なんだこれ。なんでこんな事になってんの。いやね、入替戦やってたのは覚えてるよ?でも何で玄関でこんな事になってんだよ。何より何で綿谷みくがいるの?奴隷だから?解放宣言は間に合わなかったのか。関西弁なんだから関西に住んでんだよなこの子。こっから帰るの大変じゃね。送ってくしかないよな。仕事休まないとな。困ったな。いや、とりあえずこの地獄絵図をなんとかしよう。
「あー起きた!超起きた!!」
ーー慎太郎の一言で彼が目覚めた事に女性陣が気づく。
「タロチャン!!」
俺が目覚めた事に気付いた綿谷みくが抱き締める手を強める。
「え?タロチャン?」
「慎太郎だからタロチャンだよ!みんなはタロウさんって呼んでるけど、『さん』付けで呼ぶのはウチのキャラじゃないからそう呼ぼ思うて!」
距離の詰め方が凄いな。大人な牡丹とは違ってこれが普通の女子高生だよな。家庭教師先の生徒もこんな感じだもんな。
「えっと…綿谷さん?」
「みくでいいよ!タロチャンにはみくって呼んで欲しいな!」
「あ、うん。それじゃ、みく。顔は治ってるっぽいけど痛みは大丈夫?」
笠原のクズにやられたダメージは相当だった。でも今見る限りでは傷も残ってないし腫れてもいない。
「うん、大丈夫だよ。タロチャンの服とハンカチは持ってるけどね。」
みくの服を見て見ると俺のシャツを羽織っている。うわ、俺のシャツがデカイからこの角度だとみくの胸丸見えじゃん。美波より大きい。これはDだな。堪らんなーー痛い痛い!?牡丹が俺の頭皮に爪を立ててる!?ハイライトも無くなってる!?堪らなくないです!?全然堪らなくないです!?牡丹さん見てると堪らなくなるけど他の女に反応しませんから!?
「痛くないなら良かったよ。ごめんな、早く解放すれば俺の家に戻って来なくても済んだだろうに。」
「やっぱりここタロチャンのお家なの?凄いキレーやね!」
「ありがとう。とりあえずは今日は俺の家に泊まりなよ。明日責任持って送ってくからさ。あ、心配しなくても大丈夫だぞ?楓さんも牡丹も泊まってるっていうか住んでるし、こっちの美波とアリスも住んでるから。」
「さっき聞いたから知ってるよ。」
「そうか。あ、先ずは支配下プレイヤーになってるのを解除しようか。マイページに行けばやり方わかるだろうから一緒に来てもらってもいい?」
「それなんやけど、ウチ、このままでええよ。」
「え?なんで?」
何を言ってんだこの娘は。奴隷でいいわけないだろ。
「楓チャンも牡丹チャンも美波チャンもアリスチャンもタロチャンのクランなんだよね?」
「おう。」
「誰も奴隷じゃないんだよね?」
「もちろん。」
「そしたらクラン上限の5人は埋まっとるゆーことだよね?」
「そうなるな。」
「ならウチがタロチャンのクランに入るにはこのままでいるしかないよね?」
「え?俺らのクランに入るの?」
「ウチ入りたいけどダメ…?ウチね、タロチャンに恩返ししたいの。タロチャンがウチを助けてくれなかったら今頃アイツらに酷い目に合わされてた…。好きな事をされて、女として生まれた事を後悔するぐらいの事を何度も何度もされ続けていたと思う。でも、今、ウチはここでこうしていられる。全部タロチャンのおかげ。だから恩返しをしたい。」
「そんな事気にしないでいいよ。俺は当たり前の事をしただけだよ。みくが恩を感じる事なんてない。」
「ううん!絶対にタロチャンに恩返しするの!!それに…もう1人は怖いし…出来れば入れて欲しい…親友の楓チャンと牡丹チャンがいるなら尚更…」
「まー恩は本当に感じる事は無いけど、みくがクランに入るのは俺は構わないぞ?”闘神”が入ってくれるなら心強いし。みんなはどうかな?」
みくには申し訳ないが、みんなが反対するならクランに入れる訳にはいかないからな。ちゃんと意見を確認しないと。
「私は構いませんよ。みくちゃんは親友だし。」
「楓チャン…!」
楓さんは好意的だ。親友って言われてニマニマしてるのが可愛い。押し倒しーー痛い痛い!?倒さない!?全然倒さない!!牡丹さんしか押し倒したく無いです!!!
「私も何も問題はありません。みくちゃんなら大歓迎です。」
「牡丹チャン…!」
牡丹も好意的だ。ま、この2人は友達なんだから当然だよな。問題は美波とアリスだ。
「私も大丈夫ですよっ!さっき事情は聞きましたけど、私と状況が似てるから尚更共感できます。」
「美波チャン…!」
あー、確かにそうだよな。美波の時と似てるよな。てか今更だけど美波の時も俺が美波に何かする訳でも無いんだから奴隷でも良かったよな。そうすれば《巻戻し》だったっけ?それがあったんだもんな。あー、でも初対面の奴が『俺、キミに手を出さないよ。だから奴隷でもいいよね。ギュフフフフ。』なんて言ったって説得力ないし、嫌に決まってるよな。仮に手を出さないってわかってても奴隷なんか嫌に決まってるし。
「私もです!みくさんにちび助も懐いていますし賛成です!」
「アリスチャン…!」
アリスもちび助も賛成なら満場一致じゃん。それなら問題ないな。
「じゃ、全員賛成だね。これからよろしくね、みく。」
「みんな…!うん!よろしくね!ウチ、がんばるからね!」
うんうん。なんかいい話だなぁ。
ーー確かにいい話ではある。だが、寝転がりながら女に囲まれている絵面でこのやり取りしてると全然感動出来ないけどね。ただのハーレム拡張したにしか見えないけどね。
「それじゃ…。ね、タロチャン…」
「どした?」
みくが艶めかしい表情で小声で俺に話しかけてくる。
「2人っきりになれるトコいこ…?ウチはタロチャンの奴隷だから…ウチに好きな事していいんだよ…?」
「な、な、な、な、何を言ってんのお前!?」
「ウチ…タロチャンの事好きになった…あんな事されたら好きになるのが普通や…でもな…みんなに言うわけやないで…?タロチャンだからだもん…ウチ、今まで男と付き合った事もないで…?だから…初めてだけど…優しくしてな…?」
そう言いながらみくは、上目遣いで身体をスリスリさせてくる。楓さん、牡丹、美波という綺麗系美人とは違う、可愛い系の最高峰のルックスを持つみく。こんな美少女に迫られたら俺の理性がぶっ飛ぶのは当然だ。もうやっちまおうか。
ーーなどと考え始めた意志の弱い慎太郎。だが忘れてはいけない。この場には他の4人もいる事を。
慎太郎がみくを抱き寄せようとした時、みくの耳を楓が引っ張る。
「い、痛っ!?イタタタタ!?な、なに!?楓チャン痛い!?」
ーー激痛により慎太郎から離れて楓を見るみく。だが振り返ると怖い目をしている楓がいた。
「ウフフ、新しく仲間になるならちゃんと教育してあげないとね。親友として。」
「ひっ…!!」
ーー邪悪なオーラが出ている楓を見て怯えるみく。だがそれだけでは終わらない。同じく邪悪なオーラとハイライトを無くした牡丹に肩を掴まれる。
「ふふふふふふふふふ。躾のなってない悪い猫ちゃんにはちゃんと教育しないとですねぇ。好きな事をしていいようですし、お言葉に甘えさせてもらいますかねぇ。」
「牡丹チャン、なんかキャラ違く無い!?ハイライト無いよ!?それに好きな事していいって言ったのはタロチャンにだよ!?」
ーー牡丹については説明するまでも無い。安定のヤンデレモードである。
「ふふっ、それじゃあ私もちゃんと教育しますねっ!」
「台詞とは違って邪悪な空気が美波チャンから出てて一番怖いんだけど!?」
ーー美波もハイライトを無くして危険なオーラを撒き散らしている。
「この家のルールを教えるのは家族として当然です。私もみくさんに教えます。」
「家族ってあったかワードなのに凄く怖いニュアンスに感じるのウチだけかな!?」
ーーアリスもハイライトを無くして危険なオーラをプンプン出している。
「タロウさん。」
ーー楓が慎太郎に話しかける。すっごい笑顔で。
「あ、はい。」
「これから私たちは親睦を深める為にみくちゃんとお風呂に入って来ますね。覗いちゃダメですよ?」
「あ、はい。」
「それと、みくちゃんはタロウさんの奴隷じゃなくてクラン預かりでいいですよね?」
「あ、はい。」
「そ、そんなぁ!?ウチはタロチャンのーーひぃぃ…!?」
ーーみくが楓に抗議しようとした時、牡丹が何処からともなく剪定バサミを出してそれを突きつける。
「少し黙ってましょうねぇ、みくちゃん。」
ーーそれによりみくは完全に黙る。
「それじゃ私たちは行きますね。みんな、行こうか。」
ーー4人がみくを強制的に風呂場へ連行していく。
「た、タロチャン!?た、助けてー!?」
ーーそれを慎太郎は死んだ目で見続け、心の中でみくに『がんばれ。』と一言だけ思って5人が風呂場へ消えて行った。
「…ちび助。」
「ぴ?」
「女って怖いね。」
「ぴぴっ?」
こうして綿谷みくが俺たちのクランに加入したのだった。
ーー誰かじゃないよ。
ーーそうだった。俺は知ってるんだった。
ーーそう、知ってるよ。
ーーでも思い出せない。
ーー思い出せないんじゃないよ。知らないだけだよ。
ーー知らない?知ってるんだよね?
ーー知ってるけど知らないんだよ。
ーー意味がわからないよ。
ーー大丈夫だよ。もうすぐだから。
ーー何が?って、うるせーな。
「みくちゃん!!離れなさいよ!!」
「ヤダ!!ウチは離れへん!!」
「牡丹ちゃんっ!!ズルいよっ!!私と交代してよっ!!」
「ふふふ、早い者勝ちです。何より、私の膝はタロウさん専用ですので。」
…何これ?何この地獄絵図みたいな光景は。
何故か綿谷みくが俺の左側に抱きつき、それを楓さんが引き剥がそうとしている。
そして俺の頭の下は柔らかい牡丹の膝枕で頭を撫でられる天国状態になっているが、それを美波が引き剥がそうとしている。
アリスはいつも通りちゃっかり俺の右側にくっついてスースー寝息を立てている。そしてちび助もアリスの肩に止まって寝ている。なんか癒されるな。アリスとちび助だけなら。
なんだこれ。なんでこんな事になってんの。いやね、入替戦やってたのは覚えてるよ?でも何で玄関でこんな事になってんだよ。何より何で綿谷みくがいるの?奴隷だから?解放宣言は間に合わなかったのか。関西弁なんだから関西に住んでんだよなこの子。こっから帰るの大変じゃね。送ってくしかないよな。仕事休まないとな。困ったな。いや、とりあえずこの地獄絵図をなんとかしよう。
「あー起きた!超起きた!!」
ーー慎太郎の一言で彼が目覚めた事に女性陣が気づく。
「タロチャン!!」
俺が目覚めた事に気付いた綿谷みくが抱き締める手を強める。
「え?タロチャン?」
「慎太郎だからタロチャンだよ!みんなはタロウさんって呼んでるけど、『さん』付けで呼ぶのはウチのキャラじゃないからそう呼ぼ思うて!」
距離の詰め方が凄いな。大人な牡丹とは違ってこれが普通の女子高生だよな。家庭教師先の生徒もこんな感じだもんな。
「えっと…綿谷さん?」
「みくでいいよ!タロチャンにはみくって呼んで欲しいな!」
「あ、うん。それじゃ、みく。顔は治ってるっぽいけど痛みは大丈夫?」
笠原のクズにやられたダメージは相当だった。でも今見る限りでは傷も残ってないし腫れてもいない。
「うん、大丈夫だよ。タロチャンの服とハンカチは持ってるけどね。」
みくの服を見て見ると俺のシャツを羽織っている。うわ、俺のシャツがデカイからこの角度だとみくの胸丸見えじゃん。美波より大きい。これはDだな。堪らんなーー痛い痛い!?牡丹が俺の頭皮に爪を立ててる!?ハイライトも無くなってる!?堪らなくないです!?全然堪らなくないです!?牡丹さん見てると堪らなくなるけど他の女に反応しませんから!?
「痛くないなら良かったよ。ごめんな、早く解放すれば俺の家に戻って来なくても済んだだろうに。」
「やっぱりここタロチャンのお家なの?凄いキレーやね!」
「ありがとう。とりあえずは今日は俺の家に泊まりなよ。明日責任持って送ってくからさ。あ、心配しなくても大丈夫だぞ?楓さんも牡丹も泊まってるっていうか住んでるし、こっちの美波とアリスも住んでるから。」
「さっき聞いたから知ってるよ。」
「そうか。あ、先ずは支配下プレイヤーになってるのを解除しようか。マイページに行けばやり方わかるだろうから一緒に来てもらってもいい?」
「それなんやけど、ウチ、このままでええよ。」
「え?なんで?」
何を言ってんだこの娘は。奴隷でいいわけないだろ。
「楓チャンも牡丹チャンも美波チャンもアリスチャンもタロチャンのクランなんだよね?」
「おう。」
「誰も奴隷じゃないんだよね?」
「もちろん。」
「そしたらクラン上限の5人は埋まっとるゆーことだよね?」
「そうなるな。」
「ならウチがタロチャンのクランに入るにはこのままでいるしかないよね?」
「え?俺らのクランに入るの?」
「ウチ入りたいけどダメ…?ウチね、タロチャンに恩返ししたいの。タロチャンがウチを助けてくれなかったら今頃アイツらに酷い目に合わされてた…。好きな事をされて、女として生まれた事を後悔するぐらいの事を何度も何度もされ続けていたと思う。でも、今、ウチはここでこうしていられる。全部タロチャンのおかげ。だから恩返しをしたい。」
「そんな事気にしないでいいよ。俺は当たり前の事をしただけだよ。みくが恩を感じる事なんてない。」
「ううん!絶対にタロチャンに恩返しするの!!それに…もう1人は怖いし…出来れば入れて欲しい…親友の楓チャンと牡丹チャンがいるなら尚更…」
「まー恩は本当に感じる事は無いけど、みくがクランに入るのは俺は構わないぞ?”闘神”が入ってくれるなら心強いし。みんなはどうかな?」
みくには申し訳ないが、みんなが反対するならクランに入れる訳にはいかないからな。ちゃんと意見を確認しないと。
「私は構いませんよ。みくちゃんは親友だし。」
「楓チャン…!」
楓さんは好意的だ。親友って言われてニマニマしてるのが可愛い。押し倒しーー痛い痛い!?倒さない!?全然倒さない!!牡丹さんしか押し倒したく無いです!!!
「私も何も問題はありません。みくちゃんなら大歓迎です。」
「牡丹チャン…!」
牡丹も好意的だ。ま、この2人は友達なんだから当然だよな。問題は美波とアリスだ。
「私も大丈夫ですよっ!さっき事情は聞きましたけど、私と状況が似てるから尚更共感できます。」
「美波チャン…!」
あー、確かにそうだよな。美波の時と似てるよな。てか今更だけど美波の時も俺が美波に何かする訳でも無いんだから奴隷でも良かったよな。そうすれば《巻戻し》だったっけ?それがあったんだもんな。あー、でも初対面の奴が『俺、キミに手を出さないよ。だから奴隷でもいいよね。ギュフフフフ。』なんて言ったって説得力ないし、嫌に決まってるよな。仮に手を出さないってわかってても奴隷なんか嫌に決まってるし。
「私もです!みくさんにちび助も懐いていますし賛成です!」
「アリスチャン…!」
アリスもちび助も賛成なら満場一致じゃん。それなら問題ないな。
「じゃ、全員賛成だね。これからよろしくね、みく。」
「みんな…!うん!よろしくね!ウチ、がんばるからね!」
うんうん。なんかいい話だなぁ。
ーー確かにいい話ではある。だが、寝転がりながら女に囲まれている絵面でこのやり取りしてると全然感動出来ないけどね。ただのハーレム拡張したにしか見えないけどね。
「それじゃ…。ね、タロチャン…」
「どした?」
みくが艶めかしい表情で小声で俺に話しかけてくる。
「2人っきりになれるトコいこ…?ウチはタロチャンの奴隷だから…ウチに好きな事していいんだよ…?」
「な、な、な、な、何を言ってんのお前!?」
「ウチ…タロチャンの事好きになった…あんな事されたら好きになるのが普通や…でもな…みんなに言うわけやないで…?タロチャンだからだもん…ウチ、今まで男と付き合った事もないで…?だから…初めてだけど…優しくしてな…?」
そう言いながらみくは、上目遣いで身体をスリスリさせてくる。楓さん、牡丹、美波という綺麗系美人とは違う、可愛い系の最高峰のルックスを持つみく。こんな美少女に迫られたら俺の理性がぶっ飛ぶのは当然だ。もうやっちまおうか。
ーーなどと考え始めた意志の弱い慎太郎。だが忘れてはいけない。この場には他の4人もいる事を。
慎太郎がみくを抱き寄せようとした時、みくの耳を楓が引っ張る。
「い、痛っ!?イタタタタ!?な、なに!?楓チャン痛い!?」
ーー激痛により慎太郎から離れて楓を見るみく。だが振り返ると怖い目をしている楓がいた。
「ウフフ、新しく仲間になるならちゃんと教育してあげないとね。親友として。」
「ひっ…!!」
ーー邪悪なオーラが出ている楓を見て怯えるみく。だがそれだけでは終わらない。同じく邪悪なオーラとハイライトを無くした牡丹に肩を掴まれる。
「ふふふふふふふふふ。躾のなってない悪い猫ちゃんにはちゃんと教育しないとですねぇ。好きな事をしていいようですし、お言葉に甘えさせてもらいますかねぇ。」
「牡丹チャン、なんかキャラ違く無い!?ハイライト無いよ!?それに好きな事していいって言ったのはタロチャンにだよ!?」
ーー牡丹については説明するまでも無い。安定のヤンデレモードである。
「ふふっ、それじゃあ私もちゃんと教育しますねっ!」
「台詞とは違って邪悪な空気が美波チャンから出てて一番怖いんだけど!?」
ーー美波もハイライトを無くして危険なオーラを撒き散らしている。
「この家のルールを教えるのは家族として当然です。私もみくさんに教えます。」
「家族ってあったかワードなのに凄く怖いニュアンスに感じるのウチだけかな!?」
ーーアリスもハイライトを無くして危険なオーラをプンプン出している。
「タロウさん。」
ーー楓が慎太郎に話しかける。すっごい笑顔で。
「あ、はい。」
「これから私たちは親睦を深める為にみくちゃんとお風呂に入って来ますね。覗いちゃダメですよ?」
「あ、はい。」
「それと、みくちゃんはタロウさんの奴隷じゃなくてクラン預かりでいいですよね?」
「あ、はい。」
「そ、そんなぁ!?ウチはタロチャンのーーひぃぃ…!?」
ーーみくが楓に抗議しようとした時、牡丹が何処からともなく剪定バサミを出してそれを突きつける。
「少し黙ってましょうねぇ、みくちゃん。」
ーーそれによりみくは完全に黙る。
「それじゃ私たちは行きますね。みんな、行こうか。」
ーー4人がみくを強制的に風呂場へ連行していく。
「た、タロチャン!?た、助けてー!?」
ーーそれを慎太郎は死んだ目で見続け、心の中でみくに『がんばれ。』と一言だけ思って5人が風呂場へ消えて行った。
「…ちび助。」
「ぴ?」
「女って怖いね。」
「ぴぴっ?」
こうして綿谷みくが俺たちのクランに加入したのだった。
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