302 / 539
第302話 第二次入替戦 楓・牡丹 side 4
しおりを挟む
上空に魔法陣が展開する。時空系だ。これは少し厄介ね。時空系の強さは良く知っている。牡丹ちゃんにしても、夜ノ森葵にしても、第一次クランイベントの時に対峙したリッターの男にしても超人的な強さを誇っていた。それに松嶋は強化系のアルティメットも持っている。手を抜いていたら負けるかもしれない。
だが全力は出せない。先程から澤野が私を舐めますように見ている。やはりあの男は何か狙いがある。それならばこちらの手の内を極力知られたくない。制限された中で松嶋を倒す。これが私に課せられた勝利条件か。中々に厳しいわね。
「ヒッヒッヒ、どうしたぁ?ビビっちまったか?お前が察している通り、私には2枚のアルティメットがある。この力を手にして私は変わった。だからこそこの場にいるんだ。どうする?この場で全裸んなって公開オナニーでもすればケツにブチ込むのだけは勘弁してやってもいいぜ?」
「ウフフ、少し強くなったぐらいで随分と天狗になっているのね。」
「いいねぇ。その態度最高だわ。私に屈するお前のツラ早く見たいねぇ。」
「…ふぅ。もう下ネタは結構。かかって来なさい。」
「そんじゃ遠慮なくッ!!」
ーー松嶋が金色のエフェクトを弾かせて強襲する。それと同時に楓も金色のエフェクトを纏い松嶋に対抗する。
楓の武器は剣。松嶋の武器は手甲。互いの第一撃目が火花を散らして幕を開ける。
ーー松嶋が手甲を駆使して楓にラッシュを仕掛ける。前回の一戦とは異なり自分の得意とする体術での攻め。その威力の一つ一つが凄まじく、流石の楓も一瞬足りとも気が抜けない。
だがそこはやはり芹澤楓だ。松嶋の攻撃の全てをゼーゲンにより捌き落とす。致命傷どころかダメージを与える事すら叶わない。
ーーそして攻守が入れ替わり楓の反撃が始まる。
楓が猛烈な剣の嵐を繰り出す。その剣の一太刀一太刀が一撃で命を狩り取らんとするばかりに松嶋へ猛然と襲い掛かる。
だが強化系アルティメットによる身体能力の大幅上昇、時空系アルティメットによる身体能力強化によって松嶋は楓の攻撃を全て受け流す。
ーー互いの技はほぼ互角。普通に戦うなら勝敗が決する事は無く、引き分けになったかもしれない。だがこれは試合では無く死合だ。必ず決着は着く。そして何より互いにまだ全力では無い。
「ウフフ、なかなかやるじゃない。随分と鍛錬を積んだのね。褒めてあげるわ。」
「フン、あの時は手甲があるなんて知らなかっただけさ。これを装着してる今ならテメェに負けたりなんかしねぇよ。」
「あら、そう。ならそろそろ勝負を決めようかしら。」
ーー楓がそう宣言すると同時に前方に魔法陣が発動する。そして中からブルドガングが現れると同時にラウムから聖剣を取り出して松嶋へと一気に遅い掛かる。その速度は雷のように速く、見ているものを置き去りにし、瞬きをする間に松嶋の間合いに入る。そしてその首に聖剣の剣先が触れようとした瞬間ーー
ーーバゴォーン
ーー轟音が鳴り響く。松嶋とブルドガングの間にガス臭い匂いと煙が充満する。
爆発に巻き込まれたと思われたブルドガングはその超速度により何とか回避する事が出来、ノーダメージに済んだ。
『あっぶなっ!?何々!?自爆!?』
「…違うわね。これがきっとあの女のスキルよ。」
「ヒッヒッヒ、流石は芹澤楓。すぐに理解出来るなんて賢いじゃないか。」
ーー煙の中から松嶋の声が聞こえる。次第に煙が晴れてくると無傷の状態の松嶋千晶が平然と立っていた。
『あの爆発で無傷とか頑丈すぎでしょ。』
「恐らく術者にはノーダメージなんじゃないかしら。」
「ヒッヒッヒ、お前の言う通り私には効果が及ばない。」
ーー松嶋は上機嫌だ。勝負を決めに行った楓の攻撃を失敗させた事により自分が優位だと思ったのだろう。単純だがこういうタイプはそうなると調子付く。楓たちにとっては面倒な事この上無い。
『自爆するスキルって事?』
「違うと思うわ。もしそんなスキルがあったとしても自分が無傷な訳は無い。」
『ならなんだと思う?楓そういうの考えるの得意でしょ。』
「時空系は時間と空間に作用する効果を発揮する。そこから考えれば可能性としてあるのはガスしか無い。」
『がす?がすって何?』
「空気中には酸素だけじゃなくてアルゴンってガスもあるのよ。」
『ふ、ふぅん。』
ブルドガングが気不味い顔をして私から目をそらす。この兆候が出た時は考える事を放棄した時の挙動だ。流石に付き合いも長くなって来たからそれぐらいはわかるわよ。
「でも…アルゴンは可燃性ガスじゃないはずよ。仮に燃えたとしてもこんな大爆発を起こしたりしない。」
「ヒッヒッヒ、頭が良いんだねぇ。私には何の事かさっぱりだがアンタの読みは合ってるよ。私のスキルは《爆破の種》ってヤツさ。空間内にあるガスを使って爆発をさせる事が出来る。燃えようが燃えまいが関係無い。ガスならなんだっていいのさ。まぁ、ガスの種類により威力が段違いなんだろうけどね。」
『何よそれ…だったらどこもかしこも爆発させ放題じゃない…!?』
「そういう事さ。私のこのスキルは恐らく最強。負けるはずが無い。さぁて、たっぷりと可愛がってやろうかね。芹澤楓。」
ーー高性能のスキル効果を発揮する松嶋の時空系アルティメット。それを手を抜いた状態で勝たないといけない楓とブルドガング。2人にとって試練の時がやって来る。
だが全力は出せない。先程から澤野が私を舐めますように見ている。やはりあの男は何か狙いがある。それならばこちらの手の内を極力知られたくない。制限された中で松嶋を倒す。これが私に課せられた勝利条件か。中々に厳しいわね。
「ヒッヒッヒ、どうしたぁ?ビビっちまったか?お前が察している通り、私には2枚のアルティメットがある。この力を手にして私は変わった。だからこそこの場にいるんだ。どうする?この場で全裸んなって公開オナニーでもすればケツにブチ込むのだけは勘弁してやってもいいぜ?」
「ウフフ、少し強くなったぐらいで随分と天狗になっているのね。」
「いいねぇ。その態度最高だわ。私に屈するお前のツラ早く見たいねぇ。」
「…ふぅ。もう下ネタは結構。かかって来なさい。」
「そんじゃ遠慮なくッ!!」
ーー松嶋が金色のエフェクトを弾かせて強襲する。それと同時に楓も金色のエフェクトを纏い松嶋に対抗する。
楓の武器は剣。松嶋の武器は手甲。互いの第一撃目が火花を散らして幕を開ける。
ーー松嶋が手甲を駆使して楓にラッシュを仕掛ける。前回の一戦とは異なり自分の得意とする体術での攻め。その威力の一つ一つが凄まじく、流石の楓も一瞬足りとも気が抜けない。
だがそこはやはり芹澤楓だ。松嶋の攻撃の全てをゼーゲンにより捌き落とす。致命傷どころかダメージを与える事すら叶わない。
ーーそして攻守が入れ替わり楓の反撃が始まる。
楓が猛烈な剣の嵐を繰り出す。その剣の一太刀一太刀が一撃で命を狩り取らんとするばかりに松嶋へ猛然と襲い掛かる。
だが強化系アルティメットによる身体能力の大幅上昇、時空系アルティメットによる身体能力強化によって松嶋は楓の攻撃を全て受け流す。
ーー互いの技はほぼ互角。普通に戦うなら勝敗が決する事は無く、引き分けになったかもしれない。だがこれは試合では無く死合だ。必ず決着は着く。そして何より互いにまだ全力では無い。
「ウフフ、なかなかやるじゃない。随分と鍛錬を積んだのね。褒めてあげるわ。」
「フン、あの時は手甲があるなんて知らなかっただけさ。これを装着してる今ならテメェに負けたりなんかしねぇよ。」
「あら、そう。ならそろそろ勝負を決めようかしら。」
ーー楓がそう宣言すると同時に前方に魔法陣が発動する。そして中からブルドガングが現れると同時にラウムから聖剣を取り出して松嶋へと一気に遅い掛かる。その速度は雷のように速く、見ているものを置き去りにし、瞬きをする間に松嶋の間合いに入る。そしてその首に聖剣の剣先が触れようとした瞬間ーー
ーーバゴォーン
ーー轟音が鳴り響く。松嶋とブルドガングの間にガス臭い匂いと煙が充満する。
爆発に巻き込まれたと思われたブルドガングはその超速度により何とか回避する事が出来、ノーダメージに済んだ。
『あっぶなっ!?何々!?自爆!?』
「…違うわね。これがきっとあの女のスキルよ。」
「ヒッヒッヒ、流石は芹澤楓。すぐに理解出来るなんて賢いじゃないか。」
ーー煙の中から松嶋の声が聞こえる。次第に煙が晴れてくると無傷の状態の松嶋千晶が平然と立っていた。
『あの爆発で無傷とか頑丈すぎでしょ。』
「恐らく術者にはノーダメージなんじゃないかしら。」
「ヒッヒッヒ、お前の言う通り私には効果が及ばない。」
ーー松嶋は上機嫌だ。勝負を決めに行った楓の攻撃を失敗させた事により自分が優位だと思ったのだろう。単純だがこういうタイプはそうなると調子付く。楓たちにとっては面倒な事この上無い。
『自爆するスキルって事?』
「違うと思うわ。もしそんなスキルがあったとしても自分が無傷な訳は無い。」
『ならなんだと思う?楓そういうの考えるの得意でしょ。』
「時空系は時間と空間に作用する効果を発揮する。そこから考えれば可能性としてあるのはガスしか無い。」
『がす?がすって何?』
「空気中には酸素だけじゃなくてアルゴンってガスもあるのよ。」
『ふ、ふぅん。』
ブルドガングが気不味い顔をして私から目をそらす。この兆候が出た時は考える事を放棄した時の挙動だ。流石に付き合いも長くなって来たからそれぐらいはわかるわよ。
「でも…アルゴンは可燃性ガスじゃないはずよ。仮に燃えたとしてもこんな大爆発を起こしたりしない。」
「ヒッヒッヒ、頭が良いんだねぇ。私には何の事かさっぱりだがアンタの読みは合ってるよ。私のスキルは《爆破の種》ってヤツさ。空間内にあるガスを使って爆発をさせる事が出来る。燃えようが燃えまいが関係無い。ガスならなんだっていいのさ。まぁ、ガスの種類により威力が段違いなんだろうけどね。」
『何よそれ…だったらどこもかしこも爆発させ放題じゃない…!?』
「そういう事さ。私のこのスキルは恐らく最強。負けるはずが無い。さぁて、たっぷりと可愛がってやろうかね。芹澤楓。」
ーー高性能のスキル効果を発揮する松嶋の時空系アルティメット。それを手を抜いた状態で勝たないといけない楓とブルドガング。2人にとって試練の時がやって来る。
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる