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第28話 拳聖
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「ケンセイ…?」
ケンセイって剣聖の事を言っているの?
それってバルムンクを呼び出せるって事?
2枚あるって事?
その可能性はなくはない。バルムンクがゲームのプログラムみたいなものだとしたら量産されていてもおかしい事は何も無い。でも私はバルムンクが造られたモノだとは思えない。ちゃんと心が通っているように思える。唯一無二の存在というのが私の見解だ。
そうなると量産されているという線は薄い。
じゃあバルムンク1人に対して使用者が2人いるという事だろうか。仮にそうだとしても疑問点がある。簡単に言えばバルムンクは霊、使用者がイタコみたいなものだ。もし使用者が同じ時にバルムンクを呼び出せば片方の使用者は不発で終わってしまう。そんな馬鹿な事が起こるなんて到底考えられない。
何より一番気になっているのが甲斐と山岡の武器だ。
なぜこの2人は剣ではなく手甲を装備しているのだろうか。私の予想が正しければ、適した装備に変えられる方法があるのだと思う。あくまでも基本の初期装備が剣というだけでスキルや基本能力によって装備は交換可能なのだろう。
そこから考えれば甲斐のスキルは剣聖では無い。
恐らくは拳聖…
「タロウさん!多分、武道家の拳聖の事だと思います!気をつけて下さい!」
「武道家…なるほどね。ありがとう美波。」
甲斐の周りの空間に楔形文字のような文字列、前方には金色の魔法陣が現れる。
そして魔法陣の中から召喚されるようにナニカが現れる。
現れたのは銀色の髪をした男の人だ。顔はすごく整っているが、険しい顔をした怖い感じだ。ただならぬ様相を呈している。
『リュウジよ、この男が相手か?』
銀髪の男が口を開く。
「ああ。」
『ふぅ…。こんなゴミを相手にするだけでわざわざ俺を呼んだのか?』
「まぁいいだろ。トレーニングをしないと体が鈍るぞ。」
『こんな奴トレーニングにすらならん。』
…何この人たち。言いたい事ばかり言って。タロウさんを見くびらないでよ!
「ずいぶん好き勝手言ってくれるじゃねーか。お前らってさ、自分中心に世界が回ってるって思ってんじゃねぇの?」
「…何?」
「お前だけがアルティメット持ってるわけじゃねぇんだよ。」
タロウさんの体から金色のエフェクトが現れ、魔法陣を展開する。
「テメェ…!」
「ドヤ顔してたけどすぐに終わりそうにはねーな。」
今度はタロウさんがドヤ顔をしている。凛々しい。うん、最高かな。
『ほう。貴様、聖符を持っているのか。これは面白くなって来たな。さっさと召喚しろ!俺を楽しませろ!』
「何喜んでんだよ。戦闘狂かよ。言われなくたって召喚せてやるぜ。」
タロウさんも魔法陣からバルムンクを召喚する。
相変わらずの美しい顔立ちに金色の髪、女の子にしか見えない可憐さと凛々しさをバルムンクは重ね合わせている。
『ふむ。久しいなシンタロウ。』
「おう。前とは違って強そうな奴だけど大丈夫か?」
『久しぶりに楽しめそうな相手だな。』
バルムンクが楽しそうな顔をしている。それがすごく頼もしく見える。
だが対照的に銀髪の男は不満を露わにしている。
『…興醒めだな。女が相手か。』
んっ?女??私の事じゃないよね…?
「何言ってんのお前?バルムンクは男じゃん。確かに綺麗な顔してっけど。」
『貴様は何を言っている?そいつは女だろう。』
「え?……バルムンクさ、男だよね?」
『我は女であるぞ。確かに我は他の女子のような膨らみはないが、顔は人並み程度には女らしいとは思っていたのだが残念だな。』
「マジっすか…。そりゃあ確かにこんな綺麗な顔してんだから女だとは思ったけど剣聖なんて通り名があるから先入観で思い込んでいた。ごめん。」
…本当にそうかなぁ。タロウさんは胸で判断してるような気がするけど。
『フッ、気にするな。主から綺麗だと言われた事で我は得した気分だ。』
なんだろう…こんな事を思っちゃいけないのはわかってるんだけど、目の前でイチャイチャされるとムカっとくるなぁ。
いや、ダメよ美波!バルムンクも仲間なんだからそんな事でイライラするなんてダメよ!反省しなさい!!
『話を戻そう。貴様は我を不服と見ているのか?』
『当然だろう、俺は拳聖と呼ばれている男だ。その俺が女を相手にしなければならないとは。』
『ふむ。我も剣聖と呼ばれた事がある。字は違えど読みは同じ通り名だ。同じ武に生きる者として与えられたその称号は決して軽いものではない。貴様を退屈させる腕ではないと思うがな。』
そう言ってバルムンクは剣気を放つ。仲間だとわかっていても腰が抜けてしまいそうなぐらいの凄まじい圧力を感じる。
『…なるほど。確かに楽しめそうだ。リュウジ、体を借せ。』
「ああ。さっさと終わらせろ。」
銀髪の男が甲斐の体に重なり合い憑依する。
『シンタロウよ。』
「わかってる。頼むよバルムンク。」
『主の期待に応えられるよう精一杯努めよう。』
バルムンクもタロウさんの体に憑依する。
…冷静に考えたらこれってバルムンクがタロウさんの中に入ってくって事よね。なんかムカムカするなぁ。
「さて、剣聖よ、始めようか。俺の名はウールヴヘジン。拳聖ウールヴヘジンだ。」
「我はバルムンク。剣聖バルムンクと呼ばれている。」
「行くぞ剣聖。」
「来い。」
ケンセイって剣聖の事を言っているの?
それってバルムンクを呼び出せるって事?
2枚あるって事?
その可能性はなくはない。バルムンクがゲームのプログラムみたいなものだとしたら量産されていてもおかしい事は何も無い。でも私はバルムンクが造られたモノだとは思えない。ちゃんと心が通っているように思える。唯一無二の存在というのが私の見解だ。
そうなると量産されているという線は薄い。
じゃあバルムンク1人に対して使用者が2人いるという事だろうか。仮にそうだとしても疑問点がある。簡単に言えばバルムンクは霊、使用者がイタコみたいなものだ。もし使用者が同じ時にバルムンクを呼び出せば片方の使用者は不発で終わってしまう。そんな馬鹿な事が起こるなんて到底考えられない。
何より一番気になっているのが甲斐と山岡の武器だ。
なぜこの2人は剣ではなく手甲を装備しているのだろうか。私の予想が正しければ、適した装備に変えられる方法があるのだと思う。あくまでも基本の初期装備が剣というだけでスキルや基本能力によって装備は交換可能なのだろう。
そこから考えれば甲斐のスキルは剣聖では無い。
恐らくは拳聖…
「タロウさん!多分、武道家の拳聖の事だと思います!気をつけて下さい!」
「武道家…なるほどね。ありがとう美波。」
甲斐の周りの空間に楔形文字のような文字列、前方には金色の魔法陣が現れる。
そして魔法陣の中から召喚されるようにナニカが現れる。
現れたのは銀色の髪をした男の人だ。顔はすごく整っているが、険しい顔をした怖い感じだ。ただならぬ様相を呈している。
『リュウジよ、この男が相手か?』
銀髪の男が口を開く。
「ああ。」
『ふぅ…。こんなゴミを相手にするだけでわざわざ俺を呼んだのか?』
「まぁいいだろ。トレーニングをしないと体が鈍るぞ。」
『こんな奴トレーニングにすらならん。』
…何この人たち。言いたい事ばかり言って。タロウさんを見くびらないでよ!
「ずいぶん好き勝手言ってくれるじゃねーか。お前らってさ、自分中心に世界が回ってるって思ってんじゃねぇの?」
「…何?」
「お前だけがアルティメット持ってるわけじゃねぇんだよ。」
タロウさんの体から金色のエフェクトが現れ、魔法陣を展開する。
「テメェ…!」
「ドヤ顔してたけどすぐに終わりそうにはねーな。」
今度はタロウさんがドヤ顔をしている。凛々しい。うん、最高かな。
『ほう。貴様、聖符を持っているのか。これは面白くなって来たな。さっさと召喚しろ!俺を楽しませろ!』
「何喜んでんだよ。戦闘狂かよ。言われなくたって召喚せてやるぜ。」
タロウさんも魔法陣からバルムンクを召喚する。
相変わらずの美しい顔立ちに金色の髪、女の子にしか見えない可憐さと凛々しさをバルムンクは重ね合わせている。
『ふむ。久しいなシンタロウ。』
「おう。前とは違って強そうな奴だけど大丈夫か?」
『久しぶりに楽しめそうな相手だな。』
バルムンクが楽しそうな顔をしている。それがすごく頼もしく見える。
だが対照的に銀髪の男は不満を露わにしている。
『…興醒めだな。女が相手か。』
んっ?女??私の事じゃないよね…?
「何言ってんのお前?バルムンクは男じゃん。確かに綺麗な顔してっけど。」
『貴様は何を言っている?そいつは女だろう。』
「え?……バルムンクさ、男だよね?」
『我は女であるぞ。確かに我は他の女子のような膨らみはないが、顔は人並み程度には女らしいとは思っていたのだが残念だな。』
「マジっすか…。そりゃあ確かにこんな綺麗な顔してんだから女だとは思ったけど剣聖なんて通り名があるから先入観で思い込んでいた。ごめん。」
…本当にそうかなぁ。タロウさんは胸で判断してるような気がするけど。
『フッ、気にするな。主から綺麗だと言われた事で我は得した気分だ。』
なんだろう…こんな事を思っちゃいけないのはわかってるんだけど、目の前でイチャイチャされるとムカっとくるなぁ。
いや、ダメよ美波!バルムンクも仲間なんだからそんな事でイライラするなんてダメよ!反省しなさい!!
『話を戻そう。貴様は我を不服と見ているのか?』
『当然だろう、俺は拳聖と呼ばれている男だ。その俺が女を相手にしなければならないとは。』
『ふむ。我も剣聖と呼ばれた事がある。字は違えど読みは同じ通り名だ。同じ武に生きる者として与えられたその称号は決して軽いものではない。貴様を退屈させる腕ではないと思うがな。』
そう言ってバルムンクは剣気を放つ。仲間だとわかっていても腰が抜けてしまいそうなぐらいの凄まじい圧力を感じる。
『…なるほど。確かに楽しめそうだ。リュウジ、体を借せ。』
「ああ。さっさと終わらせろ。」
銀髪の男が甲斐の体に重なり合い憑依する。
『シンタロウよ。』
「わかってる。頼むよバルムンク。」
『主の期待に応えられるよう精一杯努めよう。』
バルムンクもタロウさんの体に憑依する。
…冷静に考えたらこれってバルムンクがタロウさんの中に入ってくって事よね。なんかムカムカするなぁ。
「さて、剣聖よ、始めようか。俺の名はウールヴヘジン。拳聖ウールヴヘジンだ。」
「我はバルムンク。剣聖バルムンクと呼ばれている。」
「行くぞ剣聖。」
「来い。」
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