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第15話 スキルアップカードの価値
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仕事が終わり地元の小山駅へと戻って来た。いつもなら駅前にあるコンビニに寄って弁当を買って帰るのが俺の日課なのだが…今日は寄らない。そして明日も寄らない。何でかというとだな、家に帰るとメシがあるんだよ。それもルックスステータスが限界突破したような美女が作って待っててくれてるんだよ。ふっ…いつもコンビニで一緒になるオッさんが『何で今日は寄らないんだ?』みたいな目で見てやがる。スマンなオッさん、もうアンタといつも必ず一個しか無い、豚の生姜焼き弁当を奪い合う必要は無いんだ。争いは終わった。これからはそれはアンタのモンだ。あばよ!
外からマンションを眺めると俺の部屋の明かりが点いている。本当に変な感じだな。一昨日までは部屋の電気なんか点いてるわけもないし、俺の帰りを待ってる人がいるなんて事も無い。それが当たり前だった。
でも今はーー
「ただいま。」
「おかえりなさいっ!」
ーー俺を待っていてくれる人がいる
なんか嬉しいな
「何だか幸せそうですねっ!何かいい事あったんですか?」
「うん、そうだね。いい事あったよ。」
「どんないい事あったんですか?」
「秘密。」
「むぅ…タロウさん意地悪ですっ!」
「あはは!美波がいるのが嬉しかっただけだよ。」
「えっ…!それってどういう…?」
「おっ!今日はドリアじゃん!ドリアなんて久しぶりだな。すごく美味しそう!」
「…両思いなんじゃないかな。嬉しいって事はタロウさんも私と同じ気持ちって事だし、あれだけ幸せそうな顔をしてたって事は私といると幸せになるって事だし、つまりはーー」
またブツブツが始まったな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
夕食を食べて風呂も済ませ、俺は床についた。
バスルームからは美波がドライヤーで髪を乾かしている音が聞こえる。
しれっと布団を並べて敷いてるけどこれが当たり前になるんじゃないだろうな。これが続くとキツイな。
「お待たせしましたっ!」
美波が小走りで部屋に入って来る。
「そんなに焦らなくていいのに。」
「…少しでも一緒にいたいんですよ。」
またブツブツ言ってるな。
「湯冷めするから布団に入りなよ。」
「はいっ!」
美波が布団に入り横になったので、俺も横になる。
「それでさ、ミニイベのリザルトの時の事だけど、スキルアップカードってトレードできるの?」
「できます。オレヒスの情報を調べてる時にトレード掲示板みたいな所を見つけたんです。そこでスキルアップカードの交渉履歴がありました。」
「どういうレートか覚えてる?」
「確か…スキルアップカード1枚に対してSS3枚ぐらいだったと思います。」
「えっ!?そんなに価値あんのかこれ!」
「スキルレベル上げる為には同一カードを合成させるしかないですからね。」
「へぇ、合成とかあるのか。全然知らなかった。でもアルティメット持ってる奴しか必要無いはずなのにずいぶんと需要があるんだな。」
「SSもピンからキリまであるみたいですよ。それに資金力がある人ならスキルアップカードを買い占めて転売する事を考えてるかもしれませんね。」
「資金力?あ、課金か。このゲームのガチャって1回いくらなんだろう。」
「オレヒスは1回10万円ですよ。」
「はっ!?ボリすぎだろ。」
「それに確率も相当悪いみたいですよ。掲示板に書いてある報告をまとめて確率計算してみたんですけど、レアが出る確率で3%、Sレアは0.01%、SSレアは0.00002%ぐらいでした。」
宝クジかよ!いや、1回当たりの賭け金が違いすぎるよな。酷すぎだろそれ。
「酷いな…。あれ?アルティメットはどれぐらいなの?」
「アルティメットに関しては報告がありませんでした。当たる確率は天文学的数字じゃないでしょうか?」
「…もしかして俺がチュートリアルで3回引いて2枚もアルティメット出たって半端ない?一生どころか来世の運も使っちゃった感じ?」
「とても信じられないのは確かですよね。だからそんな貴重なカードを私に使っちゃった事が申し訳なくて…」
「あ、それは後悔なんかないよ。美波を助けられて本当に良かった。」
「…そういう事を即答するから好きになっちゃうんですよ。」
またブツブツ言ってるな。これはスルーするのが一番だな。人の癖を指摘するのは良くない。うん。
「じゃあ美波にやってもらいたいんだけどいいかな?」
「何をですか?」
「そのトレード掲示板で俺のスキルアップカードを出品して欲しいんだ。」
「《剣聖》のスキルレベルを上げないって事ですか?それはもったいと思いますけど…」
「確かにそうかもしれないけど、美波の装備を充実させたいんだ。」
「…はい?」
「スキルアップカードをSSにしてそれを美波のスキルにするんだよ。」
「だっ、ダメですよ!?」
美波が布団から起きて俺に詰め寄って来る。見方によっては美波に今から襲われるみたいだな。
「いざって時に美波が自分自身を守れないってのは不安だ。俺が必ず守れるとは言い切れないからさ。」
「でも…!私にばかりタロウさんは…!」
「心配だから仕方ないよ。わかって欲しい。それに美波を強化すれば俺たちの勝率が上がるわけじゃん。でしょ?」
「そうですけど…。タロウさんは本当に優しすぎます…。」
「あはは。じゃあ早速頼むよ。」
「そう言われたら断れません。わかりましたっ!ありがとうございますっ!じゃあタロウさんのお布団の中で作業をしてもいいですーー」
「それはダメ。」
「むぅ…」
美波のファザコンぶりにも困ったもんだな。
外からマンションを眺めると俺の部屋の明かりが点いている。本当に変な感じだな。一昨日までは部屋の電気なんか点いてるわけもないし、俺の帰りを待ってる人がいるなんて事も無い。それが当たり前だった。
でも今はーー
「ただいま。」
「おかえりなさいっ!」
ーー俺を待っていてくれる人がいる
なんか嬉しいな
「何だか幸せそうですねっ!何かいい事あったんですか?」
「うん、そうだね。いい事あったよ。」
「どんないい事あったんですか?」
「秘密。」
「むぅ…タロウさん意地悪ですっ!」
「あはは!美波がいるのが嬉しかっただけだよ。」
「えっ…!それってどういう…?」
「おっ!今日はドリアじゃん!ドリアなんて久しぶりだな。すごく美味しそう!」
「…両思いなんじゃないかな。嬉しいって事はタロウさんも私と同じ気持ちって事だし、あれだけ幸せそうな顔をしてたって事は私といると幸せになるって事だし、つまりはーー」
またブツブツが始まったな。
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夕食を食べて風呂も済ませ、俺は床についた。
バスルームからは美波がドライヤーで髪を乾かしている音が聞こえる。
しれっと布団を並べて敷いてるけどこれが当たり前になるんじゃないだろうな。これが続くとキツイな。
「お待たせしましたっ!」
美波が小走りで部屋に入って来る。
「そんなに焦らなくていいのに。」
「…少しでも一緒にいたいんですよ。」
またブツブツ言ってるな。
「湯冷めするから布団に入りなよ。」
「はいっ!」
美波が布団に入り横になったので、俺も横になる。
「それでさ、ミニイベのリザルトの時の事だけど、スキルアップカードってトレードできるの?」
「できます。オレヒスの情報を調べてる時にトレード掲示板みたいな所を見つけたんです。そこでスキルアップカードの交渉履歴がありました。」
「どういうレートか覚えてる?」
「確か…スキルアップカード1枚に対してSS3枚ぐらいだったと思います。」
「えっ!?そんなに価値あんのかこれ!」
「スキルレベル上げる為には同一カードを合成させるしかないですからね。」
「へぇ、合成とかあるのか。全然知らなかった。でもアルティメット持ってる奴しか必要無いはずなのにずいぶんと需要があるんだな。」
「SSもピンからキリまであるみたいですよ。それに資金力がある人ならスキルアップカードを買い占めて転売する事を考えてるかもしれませんね。」
「資金力?あ、課金か。このゲームのガチャって1回いくらなんだろう。」
「オレヒスは1回10万円ですよ。」
「はっ!?ボリすぎだろ。」
「それに確率も相当悪いみたいですよ。掲示板に書いてある報告をまとめて確率計算してみたんですけど、レアが出る確率で3%、Sレアは0.01%、SSレアは0.00002%ぐらいでした。」
宝クジかよ!いや、1回当たりの賭け金が違いすぎるよな。酷すぎだろそれ。
「酷いな…。あれ?アルティメットはどれぐらいなの?」
「アルティメットに関しては報告がありませんでした。当たる確率は天文学的数字じゃないでしょうか?」
「…もしかして俺がチュートリアルで3回引いて2枚もアルティメット出たって半端ない?一生どころか来世の運も使っちゃった感じ?」
「とても信じられないのは確かですよね。だからそんな貴重なカードを私に使っちゃった事が申し訳なくて…」
「あ、それは後悔なんかないよ。美波を助けられて本当に良かった。」
「…そういう事を即答するから好きになっちゃうんですよ。」
またブツブツ言ってるな。これはスルーするのが一番だな。人の癖を指摘するのは良くない。うん。
「じゃあ美波にやってもらいたいんだけどいいかな?」
「何をですか?」
「そのトレード掲示板で俺のスキルアップカードを出品して欲しいんだ。」
「《剣聖》のスキルレベルを上げないって事ですか?それはもったいと思いますけど…」
「確かにそうかもしれないけど、美波の装備を充実させたいんだ。」
「…はい?」
「スキルアップカードをSSにしてそれを美波のスキルにするんだよ。」
「だっ、ダメですよ!?」
美波が布団から起きて俺に詰め寄って来る。見方によっては美波に今から襲われるみたいだな。
「いざって時に美波が自分自身を守れないってのは不安だ。俺が必ず守れるとは言い切れないからさ。」
「でも…!私にばかりタロウさんは…!」
「心配だから仕方ないよ。わかって欲しい。それに美波を強化すれば俺たちの勝率が上がるわけじゃん。でしょ?」
「そうですけど…。タロウさんは本当に優しすぎます…。」
「あはは。じゃあ早速頼むよ。」
「そう言われたら断れません。わかりましたっ!ありがとうございますっ!じゃあタロウさんのお布団の中で作業をしてもいいですーー」
「それはダメ。」
「むぅ…」
美波のファザコンぶりにも困ったもんだな。
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