上 下
51 / 65

51話 エイル

しおりを挟む
51話 エイル

翌日。
明日以降のドラゴンをはじめとする強力な魔物たちとの戦いに備えて計画を立てていた。

ドラゴンといってもその強さにはかなりの差がある。
弱いものだとワイバーンやレッサードラゴンなどのAランクの魔物もいれば、強いものだとSSランクの古龍エンシェントや、討伐は限りなく不可能に近いとされている難易度未定の龍王までいる。

ギルドはこのドラゴンがどのレベルのものか把握できていないため、念のため危険区域を封鎖するという措置をとっている。
実際には大したことない低級のドラゴンの可能性もあるが、危険なドラゴンを想定しておいた方がいいだろう。

龍王や古龍は自分の縄張りからほとんど離れることはないので、それらを除いた最強格である属性龍エレメントを想定する。
属性龍は炎、水、雷、岩、風の5種類があり、それぞれの属性に応じた強力なブレスを使うことができる。
魔法耐性も物理耐性も高く、複合魔法や魔法剣のような複合技術しか効かないという特徴がある。

俺もマリベルも複合魔法はいくつか使えるし、グレンの雷纏も複合技術なので、そこは心配いらない。
属性龍の強さはS+ランクだ。1人では厳しいが、3人がかりでなら対処できるだろう。
だが、状況によってはドラゴン以外の魔物も同時に相手しなければならない可能性もある。
その場合は相手次第で行動を変えなければならないが、今のうちにある程度決めておいた方が混乱しないで済む。

色々と試しながら話し合うために、ルナリアの街の冒険者ギルドで訓練場を借りることになっている。

「明日には天輪山に入るから、今日は疲れない程度に調整しろよ」
「分かってるよ」
「ならいいけど‥‥あ」
「どうした?」


「遅くなった」
「ひぃやあぁ!?」

グレンが驚いたような声を出したのを疑問に思っていると、突然背後から声がかかった。
探知を覚えて以来、ここまで完璧に不意を突かれたことはなかったので、情けない声をあげてしまった。

「エイルか。なぜここに?」
「天輪花を採りにいく仲間を集めてると聞いたからな。遠くにいたせいで遅くなって、王都に向かってる途中にお前たちが出たことを知ったから、直接ここに来たってわけだ」
「そういうことだったのか。わざわざありがとな。フリージア、こいつは俺の騎士時代の同僚のエイルだ」
「よろしくな」
「それで、こいつが俺とパーティーを組んでるフリージアだ」
「よろしくお願いします」

エイルさんはグレンと同じ歳くらいの黒髪の男性だ。
おとなしそうな見た目に反して、なかなかに活発なようだ。

「なるほど、君がグレンのパートナーか。こいつよく1人で突っ走ってめんどくさいだろ?」
「いえ、むしろ僕たちの暴走を止めてくれてます」
「マジで!?あのグレンが?」
「あのってなんだ。俺はそんなに暴走したことないぞ」
「隊長が追放された時だってグレンがキレて騎士団辞めるって言い出したじゃねぇか」
「あの時はお前らだって怒ってただろ。結局みんな辞めたんだから」
「まぁな。それにしても、隊長を追放したせいでSランク2人を手放しちまうなんて、ざまあみろだな」

しばらくグレンとエイルさんは昔話や騎士を辞めて以降の話で盛り上がっていた。

「っと、わりぃ、久しぶりにあったもんで2人で盛り上がっちまった」
「いえ、気にしないでください」
「それならよかった。じゃあ、ここからは俺も同行させてもらうぜ。よろしくな!」



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~

三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】 人間を洗脳し、意のままに操るスキル。 非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。 「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」 禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。 商人を操って富を得たり、 領主を操って権力を手にしたり、 貴族の女を操って、次々子を産ませたり。 リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』 王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。 邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件

月風レイ
ファンタジー
 普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。    そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。  そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。  そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。  そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。  食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。  不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。  大修正中!今週中に修正終え更新していきます!

貞操逆転世界の温泉で、三助やることに成りました

峯松めだか(旧かぐつち)
ファンタジー
貞操逆転で1/100な異世界に迷い込みました 不意に迷い込んだ貞操逆転世界、男女比は1/100、色々違うけど、それなりに楽しくやらせていただきます。 カクヨムで11万文字ほど書けたので、こちらにも置かせていただきます。 ストック切れるまでは毎日投稿予定です ジャンルは割と謎、現実では無いから異世界だけど、剣と魔法では無いし、現代と言うにも若干微妙、恋愛と言うには雑音多め? デストピア文学ぽくも見えるしと言う感じに、ラブコメっぽいという事で良いですか?

クラス転移で神様に?

空見 大
ファンタジー
空想の中で自由を謳歌していた少年、晴人は、ある日突然現実と夢の境界を越えたような事態に巻き込まれる。 目覚めると彼は真っ白な空間にいた。 動揺するクラスメイト達、状況を掴めない彼の前に現れたのは「神」を名乗る怪しげな存在。彼はいままさにこのクラス全員が異世界へと送り込まれていると告げる。 神は異世界で生き抜く力を身に付けるため、自分に合った能力を自らの手で選び取れと告げる。クラスメイトが興奮と恐怖の狭間で動き出す中、自分の能力欄に違和感を覚えた晴人は手が進むままに動かすと他の者にはない力が自分の能力獲得欄にある事に気がついた。 龍神、邪神、魔神、妖精神、鍛治神、盗神。 六つの神の称号を手に入れ有頂天になる晴人だったが、クラスメイト達が続々と異世界に向かう中ただ一人取り残される。 神と二人っきりでなんとも言えない感覚を味わっていると、突如として鳴り響いた警告音と共に異世界に転生するという不穏な言葉を耳にする。 気が付けばクラスメイト達が転移してくる10年前の世界に転生した彼は、名前をエルピスに変え異世界で生きていくことになる──これは、夢見る少年が家族と運命の為に戦う物語。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

処理中です...