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42話 気配遮断
しおりを挟む次の日、また同じ訓練場を借りて、グレンとトレーニングをしていた。
「魔力探知はもうできるようになったから、今日は気配遮断の練習をするぞ」
「独学だと難しいからな。よろしく頼む」
狩りをする際に猪などに気づかれないくらいには気配を隠せているつもりだった。
だがグレンによると、高ランクの魔物には通用しないらしいし、実際にグレンには通用しなかった。
実際にそれらの敵と戦っているグレンから気配遮断の方法を学ぶのが1番だろう。
「気配遮断は、心を落ち着かせて、魔力とか覇気とかを圧縮して体の中に押し込むイメージだ。やってみろ」
「心を落ち着かせて‥‥魔力を体の中に押し込む‥‥」
「ストップ、ストップ。逆に気配が大きくなってるぞ!」
「うーん‥‥意外と難しいな」
体の中の魔力を意識しすぎるあまり、逆に魔力が体から溢れ出てしまった。
「もう一回やってみよう」
「分かった」
さっきと同じように、心を落ち着かせて魔力を小さく圧縮していく。
順調に圧縮していくが、ある程度までいったところで抑えきれなくなり、また同じように魔力が溢れてしまう。
「また失敗か」
「途中までは順調だったんだけどな」
「なんか途中で跳ね返されるような感じがあったんだけど、何かわかるか?」
「フリージアの場合、魔力が多すぎるから圧縮しきれないんじゃないか?もしそうだとしたら、今以上に魔力操作の精度を上げるしか方法はなさそうだな」
高ランクの魔術師は、豊富な魔力量に加えて高い魔力操作の技術を持っているのが当然である。
だが、俺の場合は特殊スキルの効果もあって急速に魔力量が増えているため、それに魔力操作の精度が追いついておらず、今回のような問題が発生してしまったのだ。
「だけどこれだと完全に気配を遮断できるようになるまでしばらくかかりそうだな」
「ほかに方法があればいいんだけど難しいだろうな」
さすがのグレンでもこの問題を解決する方法は思いつかないらしい。
「そうだ!いっそのこと、魔力で体を覆うってのはどうだ?」
「いまいちピンと来ないが‥とりあえず試してみようか」
俺が考えたのは、魔力を押さえ込むのではなく、魔力の膜のようなもので包んで気配を隠すというものだ。
「魔力を薄く伸ばして‥‥‥っと、これでどうだ?」
「確かに気配は隠せている。フリージアにはこの方法があってたのかもしれないな」
グレンの探知でもうまく隠せていたらしい。
自分のアイデアが実際に成功して、グレンにも認められたのは嬉しいことだ。
「フリージアは魔法が主体だから、もっと魔力操作の技術を高めたほうがいいな。明日からは魔力操作のトレーニングをしよう」
「そうだな。近接特化のグレンより魔力操作技術が低いようでは話にならないし。パーティーとして、グレンの足を引っ張らないように魔法に特化して鍛えるよ」
次の日から1週間は魔力操作や気配探知、気配遮断のトレーニングをし、大分上達してきたらSランクの依頼などを受けていった。
そして1ヶ月近くが経った頃、遂にその時は訪れた。
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