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33話 グレンの奮闘

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「これで終わりだ!聖撃!」

 エクストラスキル『聖撃』は、当たった箇所を浄化するスキルであり、ヴァンパイアの眷属となったブラッディオーガには効果抜群だ。
 聖撃には、浄化の他にも魔法やスキルの効果を無効化する能力もある。

 ブラッディオーガが浄化されてかなり弱体化したところをすかさず拳を振るい倒す。

「フリージア!こっちは終わったぞ!」

 フリージアはこれまでずっとヴァンパイアとその眷属を1人で相手取っている。
 ヴァンパイアの眷属があまりにも多いため、少しずつ劣勢になりつつあった。

「グレン!俺は一か八か、防御を捨てて攻撃にでる!グレンは防御中心にしてくれ!」

 フリージアが念話で伝えてくる。
 このままではいけないというのは俺も気付いていたことなので、フリージアの指示に従い防御に移る。

 聖撃を応用することで、結界にも聖属性を付与することができる。
 武器などで触れただけではなんともないが、直接この結界に触れると、そこから浄化できるため、武器を持たないゴブリンやオークなどの魔物には有効だ。

 防御に集中したこともあって、あまり数は減らせていないものの、自分がダメージを負うことはなかった。
 代わりにフリージアが敵を減らしていったのだが、ヴァンパイアはここぞとばかりに全力を出してきたようだ。
「もらった!」

 ヴァンパイアは気配を遮断して、フリージアの隙をついて吸血したのだ。
 これでフリージアまでもが眷属となってしまった。

「クハハハハ!こいつはすごい!力が溢れてくるようだ」

 他の冒険者なら、この場面で逃げるだろう。冒険者にとって命が何よりも大切であり、その次に信頼が続くのだ。
 だが、俺はかつて騎士だった。その頃の精神はいまだに残っている。すなわち、民を第一に考えることだ。
 ここでヴァンパイアを放置してしまっては、多くの民が犠牲になるだろう。
 フリージアもそう考えたからこの場に残って戦ったのだろう。

 ヴァンパイアが現れた時点でギルドカードの機能を使って連絡入れてある。今頃は王都のギルド本部で準備がされていることだろう。
 ならば、俺のすべきことは少しでも敵の数を減らし、少しでも長く時間を稼ぐことだ。

「聖結界」

 相手の数が多すぎるため、この結界はすぐ破られるだろう。
 だが、それでいい。

 パリンと音を立てて結界が破られる。

聖雷ホーリースパーク

 放電スパークに聖撃の力を込めた魔法であり、広域に効果をもたらす。
 強い相手には効果が薄いが、ザコを蹴散らすことはできる。
 これによって残るはヴァンパイアとフリージアのみとなった。

「貴様もなかなかやるようだな。我が配下に加えてやろう。フリージア、やれ」
「死んでもごめんだ!」

 褐色の肌へと変化したフリージアがこちらに襲いかかってくる。
 もともとのステータスの差はさほどなかったはずだが、眷属となったことで強化されているようで、力負けしてしまう。
 だが、理性がないようで攻撃が単調だ。
 そこが唯一の隙となるだろう。

 ヴァンパイアの相手をしながらフリージアの相手もするのは大変だがやるしかない。
 俺はそっと聖撃を発動させた。
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