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黒との激突
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ブラックのおかげでついに発見した金の象像。それと同時に、めちゃめちゃに高いドッグフードを買うことが決定した。
だが、金の象像を見つけたことと引き換えと考えれば、安いものだ。これからとんでもない量の収入が入ってくるのだから。
「……よし、よくやったブラック!!! 俺は信じてたぞ!」
「ワンワン! キャウーン!!」
俺はササッとブラックのそばに近づき、頭と顎の下を撫でくり回していく。
もちろん信じていた。何を言われようと信じていた。異論は認めん。
ブラックは気持ちよさそうに喉を鳴らし、目を細めている。さすがは俺の腕、テクニックが段違いだ。
「さて、そろそろ……」
俺はブラックから両腕を離し、金の象像に向けて立ち上がる。金の象像は、こんなにも暗い金庫のなかでも、破壊されたドアから放たれる少量の光で、強く輝いていた。
「よし、こいつだな……」
俺は金の象像の底の部分を持ち、ぐいっと持ち上げる。意外にもランドセル位のサイズだ。持ち運びやすい。
だが、さすがに金で出来ているだけあって、なかなかの重さだ。老人が持てば腰がやられてしまうだろう。
「よし、きたきた……」
俺は金の象像を持ち上げ、ついに金庫の外へ出ることに成功した。俺の横をブラックがついてくる。俺の額に流れる汗が、どれだけ像が重かったかを物語る。
だが、外へ出てしまえばこちらのものだ。反射で空を飛べば良いだけ。すぐにミッションクリア。
(楽なミッションだったな……)
常人ならば、ありえない事をしている。犯罪を犯している。そんな罪悪感にさいなまれ、湧き上がる緊張感で心臓がはち切れそうになったに違いない。
しかし、俺は違う。東京でレベルダウンや警察を虐殺し、神奈川でウルトロンを強奪した。そんな人間が、今さらこんなことでビビるわけがない。あの時と比べれば余裕だ。
今回はかなり余裕だった。そんなことを思っていた。
しかし。
任務と言うのは、油断したやつからやられていくのが常だ。
「……ッ!!!!」
瞬間、とてつもない殺気を感じ、頭をそらす。その刹那、俺から見て右から左にかけて、鋭い風が走る。自然には決してない鋭い風。それは確実に何かが凄いスピードで通り抜けたことを示していた。
「誰だ!!!!」
俺は左を振り向き、大声を上げる。自分でもこのくらい出るのかと思う位の大声。
そして、俺が振り向いた先には。
全身を黒で隠した人物が現れた。
「…………」
黒のズボン、黒のコート、手袋、顔には黒のフードを被り、肌色が見えるのは口元のみとなっている。
口元しか判別できる部分がないため、男なのか女なのかはわからないが……先の攻撃を見るに、かなりの実力者である事は間違いないだろう。
「…………」
黒の人物は仁王立ちで俺のことを見ている。一見、隙だらけのようにも見えるが、そこから溢れ出る殺気は、殺る気ムンムンだと言うことがわかる。既に臨戦態勢と言うことだ。
「…………やってやるよ」
相手がその気ならこちらもその気になってやろう。こちらも久々に対人戦がしたかったところだ。
俺はサッと自分の持ち物を確認し、問題ないことを確認すると、黒の人物に向き直り、戦闘態勢を取る。
黒の人物は俺も殺る気になったのを感じ取ったのか、わずかに口元が反応した。
流れる風。こちらはさっきの鋭い風ではなく、優しく肌を撫でるような自然の風。それは寒いはずなのに、何故か暖かく感じられる。
瞬間。
優しい風を合図に、拳と拳が激突した。
だが、金の象像を見つけたことと引き換えと考えれば、安いものだ。これからとんでもない量の収入が入ってくるのだから。
「……よし、よくやったブラック!!! 俺は信じてたぞ!」
「ワンワン! キャウーン!!」
俺はササッとブラックのそばに近づき、頭と顎の下を撫でくり回していく。
もちろん信じていた。何を言われようと信じていた。異論は認めん。
ブラックは気持ちよさそうに喉を鳴らし、目を細めている。さすがは俺の腕、テクニックが段違いだ。
「さて、そろそろ……」
俺はブラックから両腕を離し、金の象像に向けて立ち上がる。金の象像は、こんなにも暗い金庫のなかでも、破壊されたドアから放たれる少量の光で、強く輝いていた。
「よし、こいつだな……」
俺は金の象像の底の部分を持ち、ぐいっと持ち上げる。意外にもランドセル位のサイズだ。持ち運びやすい。
だが、さすがに金で出来ているだけあって、なかなかの重さだ。老人が持てば腰がやられてしまうだろう。
「よし、きたきた……」
俺は金の象像を持ち上げ、ついに金庫の外へ出ることに成功した。俺の横をブラックがついてくる。俺の額に流れる汗が、どれだけ像が重かったかを物語る。
だが、外へ出てしまえばこちらのものだ。反射で空を飛べば良いだけ。すぐにミッションクリア。
(楽なミッションだったな……)
常人ならば、ありえない事をしている。犯罪を犯している。そんな罪悪感にさいなまれ、湧き上がる緊張感で心臓がはち切れそうになったに違いない。
しかし、俺は違う。東京でレベルダウンや警察を虐殺し、神奈川でウルトロンを強奪した。そんな人間が、今さらこんなことでビビるわけがない。あの時と比べれば余裕だ。
今回はかなり余裕だった。そんなことを思っていた。
しかし。
任務と言うのは、油断したやつからやられていくのが常だ。
「……ッ!!!!」
瞬間、とてつもない殺気を感じ、頭をそらす。その刹那、俺から見て右から左にかけて、鋭い風が走る。自然には決してない鋭い風。それは確実に何かが凄いスピードで通り抜けたことを示していた。
「誰だ!!!!」
俺は左を振り向き、大声を上げる。自分でもこのくらい出るのかと思う位の大声。
そして、俺が振り向いた先には。
全身を黒で隠した人物が現れた。
「…………」
黒のズボン、黒のコート、手袋、顔には黒のフードを被り、肌色が見えるのは口元のみとなっている。
口元しか判別できる部分がないため、男なのか女なのかはわからないが……先の攻撃を見るに、かなりの実力者である事は間違いないだろう。
「…………」
黒の人物は仁王立ちで俺のことを見ている。一見、隙だらけのようにも見えるが、そこから溢れ出る殺気は、殺る気ムンムンだと言うことがわかる。既に臨戦態勢と言うことだ。
「…………やってやるよ」
相手がその気ならこちらもその気になってやろう。こちらも久々に対人戦がしたかったところだ。
俺はサッと自分の持ち物を確認し、問題ないことを確認すると、黒の人物に向き直り、戦闘態勢を取る。
黒の人物は俺も殺る気になったのを感じ取ったのか、わずかに口元が反応した。
流れる風。こちらはさっきの鋭い風ではなく、優しく肌を撫でるような自然の風。それは寒いはずなのに、何故か暖かく感じられる。
瞬間。
優しい風を合図に、拳と拳が激突した。
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