底辺男のミセカタ 〜ゴミスキルのせいで蔑まれていた俺はスキル『反射』を手に入れて憎い奴らに魅せつける〜

筋肉重太郎

文字の大きさ
上 下
12 / 151

暗闇の世界

しおりを挟む
 ……暗い。何も見えない。暗闇の世界。

 沼に引きずり込まれるかのような、それでいて優しい様な、もう諦めてしまいたくなるほどの、心地良い暗闇。

(……もう……良いかな……)

 その瞬間、走馬灯のように思い出される記憶。
 いろんな風景、写真、そして。

(…………)

 見知った顔……笑った顔、にやける顔、嘲笑う顔、見下した顔。

(そうだ……)

(まだ……見てない)

 俺がこいつらの1番みたい顔。それをまだ見ていなかったことを思い出す。
 まだ死ねない。まだ諦め切れない。

 ……その時。

 暗闇の世界に光が灯る。決して純白ではない、濁りに濁った光。

 それがどんどん大きくなって

 暗闇の世界を暗く照らした。








 ――――








「……ん」

 目が覚める。ここはどこだ。目やにがすごくて目が開けられない。

 わかるのは、ここは病院では無い事と先ほどからピチョンピチョンと一定のリズムで鳴り続ける水滴の音のみ。

(……ここは)

 必死に考えていると、横からトコトコと足音がする。

 ここがどこかわからない以上、何をされるか分からない。力が入らない体に活を入れて身構える。
 そんな俺のことなんて露知らず、足音の主は現れる。

「おお、起きておったか。」

 ……? 誰だ? まるでわからない。俺の知り合いにこんなお年寄りのような口調の人間は存在しない。

(それなりのリスクはあるが……仕方ないか)

 俺は意を決して話しかけてみる。

「……誰だ?」

「おいおい、そんなに身構えることもあるまい、楽にしとって良いぞ? さぁ、この水でその目についたゴミをとって見てみろ。」

 目の前の男は、そう言ってバケツのようなものを取り出し、俺の目の前に置いたようだ。

 ……今はそれしかないか。そう思い俺は初めて毛布の外に出る。まず床に手を触れていく。これは……段ボール? そんなものを床にしているのか? 疑問がさらに膨らむが、とにもかくにも俺はバケツのようなものの中身をチェックする。触ったところいたって普通の水のようだ。

 ピチャピチャと音を立て、目やにを取り除く、そこで初めて目が開き見たものは……

「おっ、見えるようになったか?」

 ……あのペストマスクだった。








 ――――








 俺はすぐに立ち上がろうとする。ここで逃げなくては何をされるかわかったもんではない。

「おいおい、そんなに早く立ち上がってしもうたら……「ウッ……」……ほら言わんこっちゃない」

 激痛が走る。先の戦いの傷がかなり痛んでいるのだろう。

「だから身構えるなと言っておろう。安心せい、お前に危害を加えるつもりはない」

 そんなことを言われても納得できるわけがない。だがこのコンディションの悪さはそれ以外の行動をしても期待した事はできないだろう。
 ここは、言葉を信じるしかなさそうだ。

「……なぁ、あんた、ここはどこなんだ?」

「ここはワシの……まぁ本拠地ってやつじゃ。そして場所は……聞いて驚くな? ……下水道じゃ」

 下水道。そう聞いた瞬間、強く体がこわばるのを感じた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう

果 一
ファンタジー
目立つことが大嫌いな男子高校生、篠村暁斗の通う学校には、アイドルがいる。 名前は芹なずな。学校一美人で現役アイドル、さらに有名ダンジョン配信者という勝ち組人生を送っている女の子だ。 日夜、ぼんやりと空を眺めるだけの暁斗とは縁のない存在。 ところが、ある日暁斗がダンジョンの下層でひっそりとモンスター狩りをしていると、SSクラスモンスターのワイバーンに襲われている小規模パーティに遭遇する。 この期に及んで「目立ちたくないから」と見捨てるわけにもいかず、暁斗は隠していた実力を解放して、ワイバーンを一撃粉砕してしまう。 しかし、近くに倒れていたアイドル配信者の芹なずなに目撃されていて―― しかも、その一部始終は生放送されていて――!? 《ワイバーン一撃で倒すとか異次元過ぎw》 《さっき見たらツイットーのトレンドに上がってた。これ、明日のネットニュースにも載るっしょ絶対》 SNSでバズりにバズり、さらには芹なずなにも正体がバレて!? 暁斗の陰キャ自由ライフは、瞬く間に崩壊する! ※本作は小説家になろう・カクヨムでも公開しています。両サイトでのタイトルは『目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう~バズりまくって陰キャ生活が無事終了したんだが~』となります。 ※この作品はフィクションです。実在の人物•団体•事件•法律などとは一切関係ありません。あらかじめご了承ください。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~

芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。 駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。 だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。 彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。 経験値も金にもならないこのダンジョン。 しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。 ――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?

クラス転移、異世界に召喚された俺の特典が外れスキル『危険察知』だったけどあらゆる危険を回避して成り上がります

まるせい
ファンタジー
クラスごと集団転移させられた主人公の鈴木は、クラスメイトと違い訓練をしてもスキルが発現しなかった。 そんな中、召喚されたサントブルム王国で【召喚者】と【王候補】が協力をし、王選を戦う儀式が始まる。 選定の儀にて王候補を選ぶ鈴木だったがここで初めてスキルが発動し、数合わせの王族を選んでしまうことになる。 あらゆる危険を『危険察知』で切り抜けツンデレ王女やメイドとイチャイチャ生活。 鈴木のハーレム生活が始まる!

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅

聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。

処理中です...