心からお慕いしておりましたが、お別れいたしましょう。永遠に、さようなら。

麦畑ムギ

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 「まあそれはそうかもしれませんけど、脳天気すぎやしませんか」

 従者のダリウスは呆れ顔だ。

 「あらどうして?嘆いたって無意味じゃありませんか。それなら良いことに目を向けて、前を向いて進んでいった方がよっぽど有意義ですわ」

 「間違っちゃいないんですけどねー…なんか楽観的すぎて腹が立ちますわ」

 「悲観的すぎるのも良くないと思いますの。ただ、あなたや両親に心配や迷惑を掛けることは申し訳なく思っていましてよ」

 にこやかだったロゼの顔が少し陰る。だがダリウスは容赦なかった。 

 「でしたらその気持ちを言葉だけでなく行動で示してくださいね」

 「ええ、分かりましたわ。でも貴方、わたくしにしてほしいことなんて何もないんじゃなくて?」

 「そんなことはないですよ。むしろ山ほどありますね」

 「あらまあ欲しがりさんね。あんまり欲張っちゃいけなくてよ」

 ロゼはそう言って花のように笑った。
 だがダリウスは少しも笑っていなかった。
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