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美髭公の休日
しおりを挟むそれは夏の盛りのある日こと。立派な顎髭を持つ武人が庭で自慢の青竜偃月刀を振り回し鍛錬に励んでいた。彼は姓を関、名を羽、字を雲長という。
その性格から丞相・曹操も配下に加えたいと赤兎馬まで与えたほどだ。それでも、主君を変えることなく劉備に付き従っている。
「兄貴、今日も精が出るなぁ」
「翼徳か」
雲長が振り返るとそこには蛇矛を手にした虎髭の男が立っていた。この男は義弟で姓を張、名を飛、字を翼徳という。人はいいが酒癖が悪いこの弟も武人としては自分と引けを取らない。何せあの呂布と互角に渡り歩いたのだから。
「なぁ、兄貴」
「どうした?」
「俺たちここで朽ちちまうのかねぇ」
「そうはなるまい」
「そうか?」
「劉表殿の後継者問題があるからな」
「それもそうか」
「なるべくなら、大事にはならないでほしいがな」
「無理だろ、そのせいで兄者は……」
今、彼らは荊州の牧である劉表から新野城を任されていた。襄陽では後妻の蔡夫人が自分の産んだ息子をどうにかして跡継ぎにしようと画策していた。それに巻き込まないためと北の防衛を任せるためとでこの地を2人の義兄であり主君である劉備が城主となったのだった。
「兄貴、物は相談なんだが」
「?」
雲長は嫌な予感がした。翼徳が持ちかける相談は大概面倒事ばかりだからだ。案の定だった。
「翼徳、これはどういうことだ?」
「い、いやね、彼女たちに頼まれたんだよ」
雲長が連れていかれた先にいたのは二人の若い娘。一人は翼徳の情人なのだろうか、名を鈴麗。もう一人はその友人で雪蘭。
「「……」」
恥ずかしがっているのか、俯いたままだ。元々、気のきいたセリフなど言えぬ雲長はどうすべきか思い悩む。
「じゃ、兄貴そういうことで」
「は?」
「雲長様、雪蘭のこと頼みますねぇ」
「ま、待たぬか!」
雲長のことなど無視して二人は人込みに消えていった。どうすべきか悩むのだが、あまり晒し者になるのはよくないであろうと考え人気の少ない場所に。
「「……」」
結局、雲長は自身の邸に雪蘭を連れて来てしまった。幸い家人たちには暇を出していて誰もいない。とりあえずは一息をついたのだが……。
「あ、あのぉ」
「!!」
突然声を掛けられ驚いてしまった雲長。振り返ると雪蘭は頬を赤らめながら瞳を潤ませ自分を見上げている。その姿に鼓動が跳ねあがる。気が付けば、己の下半身に熱がこもっていた。
「雲長様?」
「すまぬが、沐浴をしてくる」
「え?」
雪蘭を客間において、雲長はそそくさと奥へ引っ込んだ。下履き姿となり、奥の井戸で水を汲み、それを頭からかぶる。夏とは言え、井戸の水は冷たく、熱を持ち始めた下半身はあっという間に静まった。
「ふぅ」
雲長は手拭いを取ると、滴り落ちる水滴を拭く。後ろに人の気配を感じ、身構え、振り返るとそこには雪蘭が立っていた。
「どうした?」
「わ、私!!」
「?」
「ずっと……。ずっと前から雲長様のことお慕いしておりました!」
「?!」
雪蘭は突然告白すると雲長の胸に飛び込んでくる。雲長の中で理性の糸が切れてしまった。
雪蘭を抱き上げるとそのまま寝室へと連れ込む。そうして、寝台に降ろすとそのまま唇を重ねる。器用に雪蘭の帯を解き、着物の合わせ目から無遠慮に手を差し込みその柔らかい胸を揉みしだく。
「あ、あぁぁん……」
雪蘭は身を捩りながらもその愛撫を受け入れ始める。一度唇を離すと、彼女の潤んだ瞳には期待と不安が入り混じっていた。
「すまぬが、優しくはしてやれる」
「え?」
「女と褥を共にするなど何年もなかったからな」
「雲長様」
「とはいえ、この髭が邪魔だな」
何を思ったのか雲長は寝台の上に寝転んだ。そして、雪蘭の手を引き寄せ自身を跨がらせる。
「あ、あの、これは?」
「お主の好きなようにしてくれて構わぬ」
「え? で、でも」
雪蘭は突然のことに戸惑う。雲長は構うことなく抱き寄せた。
「儂のことを慕っておるのであろう?」
「そ、それは……」
「なら、遠慮することはない」
雪蘭は促されておずおずと覆い被さり唇を重ねる。そして、その唇を下へと這わせていく。献帝より『美髭公』の称号を贈れたほどの雲長の長い顎鬚を震える手で右脇へと流しながらその厚い胸板に唇を這わせる。その乳首に舌を這わせた。
「どこでそのようなことを覚えた?」
「お、お嫌でしたか?」
「いや、むしろもっとしてほしいくらいだ。ただ、お主のような娘が誰かに教わったのかと思うと無性に腹が立っただけだ」
「えっと、鈴麗が……」
「鈴麗?」
「先ほど、翼徳様と一緒にいた私の友人です」
「彼女から何か言われたのか?」
「はい、と、殿方もココを舐められると感じるのだと。その、翼徳様から強請られていつもするのだと言っていました」
雲長は眉を顰め、心の中で舌打ちをする。
(まったくあの弟はあんな若い娘になんということをさせているのだ!)
「雲長様?」
「他には何か言われたか?」
雪蘭の目が宙を彷徨う。そして、意を決したように深呼吸すると、体をずらし、雲長の股間にある逸物に手を添える。それは既に隆々と反り返っており、ビクビクと震えている。
「殿方はこういうのもお好きだと」
「雪蘭?」
雪蘭は逸物の先にそっと触れるように口に含む。そして、丹念に舌を這わせ始める。裏筋を下から上へと舐め上げ、そして鈴口に這わす。雲長はその感触に腰が跳ねる。
「構わぬから、続けてくれ」
雲長は彼女の頭を優しく撫でてやった。そのことで安心したのか、雪蘭は口淫を続ける。亀頭を強く吸い上げたかと思うと、今度は竿全体を飲み込む。だが、雲長のソレはその巨躯に比例して大きく、全ては飲み込めない。それでも限界ギリギリまで咥え、喉の奥で亀頭を締め上げる。雲長は久々に味わう口淫に限界を迎える。
「くっ!」
小さな呻きを上げるとそのまま雪蘭の口の中に白濁を解き放つ。
「んんん!!!」
余りのことに驚き、離れようとする雪蘭の頭を押さえつける。雪蘭は口の中に広がる生臭い匂いと粘る苦い味に眉を顰めながらもそれを溢すまいと必死で飲み込んだ。雲長は彼女の喉が上下する様に愉悦を覚える。雪蘭はすべてを飲み干すとそれから口を離す。雲長はもう一度自身を跨らるようにと誘う。
「雪蘭。今度は其方の蜜の滴るここへ儂の物を宛がうのだ」
「は、はい」
雪蘭はぎこちない動きで逸物を自身の蜜壺に宛がうとそのまま腰を下ろした。彼女の隘路は狭くきつかった。どうやら初めて男を受け入れたらしく、破瓜の血が太腿を伝い赤く細い線を作る。
「痛むか?」
「す、少し……。でも、大丈夫です」
「では、動けるか?」
「あ、あの……。は、初めてなので上手くできなくてもいいですか?」
雪蘭は雲長の鋼のように鍛え上げられた腹筋に手をつきながら申し訳なさそうに聞いてくる。その姿に我慢ができず、雲長は彼女の腰を両手で掴み一気に突き上げた。
「ひゃぁんっ!!」
「そのような、かわ、いい、こと、を、いう、もの、で、はないっ!」
「あ、あっ、あっぁぁぁん!!」
雲長い激しく突き上げられ、体を揺らす雪蘭。初めのうちは痛みのせいか苦悶の表情であったが、やがてその中から快楽を拾い始める。それは本能的に感じ取るのであろうか、いつの間にか自身で腰を振り始めていた。
「雪蘭、其方も、気持ち、良い、か?」
「あぁぁぁん、だ、ダメ! そ、そんなに激しく、しないでぇぇぇ」
「そのように、言っても、其方の中がこうも絡みついてきてはな」
「ひゃんっ!」
もはや与えられる快楽の波に飲み込まれ、嬌声を上げ続ける雪蘭。やがて、絶頂を迎え甲高く喘ぐとそのまま雲長の胸に倒れ込む。その背を優しく撫でながら息を整える。
「雲長様」
「気づいたか?」
「はい」
「では、今度は儂の番だな」
「え?」
雲長は雪蘭の背を抱き、腹筋だけで起き上がる。すると、未だ繋がってままであったため、逸物が奥を穿つ。
「あぁん」
「ふむ、今ので軽くイッたか?」
「い、意地悪しないでください」
「はは、あまり可愛いことを言うな」
「そ、そんな……」
「男はそう言う言葉を聞くともっと虐めたくなるものだ。ましてや、好いた女子に言われては、な」
「雲長様?」
「どうやら、其方に一目惚れしてしまったようだ」
「嬉しい」
「今宵は誰もおらぬから思う存分交わろうぞ」
雲長は向かいあったまま激しく穿つ。やがて二人は同時に果て、雲長はその白濁を中に吐き出し、雪蘭は一滴も零すまいと蠢く。二人はそのまま眠りついた。次に目覚めたのは夜も更け、月が天高く昇ったころであった。
「雲長様、体を流してきてもよろしいですか?」
「うむ、なら、二人で水浴びをするか」
「え、あ、でも」
「それに、其方、一人では立てまい」
雲長は横抱きに抱えると、裸のまま井戸へと向かう。井戸の側で下すと、水を汲みまずは自らがそれを被る。それから桶にもう一度汲むとそれを雪蘭にかけてやる。
「雪蘭……」
「?」
雪蘭が見上げると雲長の瞳の奥に欲情の灯を見つける。その様子に息を呑みながらも体は正直に反応し、下腹部からは蜜が溢れるのがわかる。しばし見つめ合った後、どちらともなく唇を重ねる。そして、箍が外れたように雲長は雪蘭の中へ押し入るとそのまま抱きかかえて立ち上がる。
「あぁぁぁぁん!!」
「くっ、そんなに締めるでない」
「む、無理、ですぅ」
「はは、男を知ったばかりというに」
「そ、それは、雲長様が」
「儂が激しく其方を求めるからか?」
そう言って最奥を穿つ雲長。その衝撃に雪蘭は仰け反って快感を逃がそうとする。だが、容赦なく穿たれ与え続けられる快感にどうすることもできない。ただ、感じるままに喘ぐしかなかった。二人のこの行為は夜が明けるまで続くことになる。ようやく解放されたとき、雪蘭は寝台から起き上がれなくなっていた。彼女が起き上がれたのはその翌日のことであったのは言うまでもない。
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