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美周郎と幼妻
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『江東の小覇王』こと孫策には『断金の交わり』で固く結ばれた幼馴染みがいた。彼は姓を周、名を瑜、字を公瑾といった。
また、彼はその眉目秀麗な顔立ちも相まって世の女人たちからは『美周郎』とあだ名されていた。そんな彼の元には美しく可愛らしい妻がいた。
「公瑾さまぁ」
「何だい、小喬」
「今日はいつお帰りになるのですか?」
「そうだな。特にこれといった案件はなかったはずだから昼過ぎには戻れると思う」
「なら、折角ですので水浴びに行きませんか?」
「水浴び?」
「はい。孤児院で納涼祭と称して水浴びをするそうなんです」
「なるほど……」
「たまには暑気払いでもしないとお体に障りますし」
「連日のこの暑さは確かに堪える」
「ええ。それで一緒に水浴びして、その後は……」
小喬は頬を赤らめながら周瑜に体を摺り寄せてくる。彼女が何を求めているのか分からぬ周瑜ではない。そっと彼女を抱き寄せ、唇を重ねる。
「小喬、君はいつからそんないやらしい女になったんだい?」
「何をおっしゃいますの? 私がこのようなことを申し上げるのは公瑾様お一人だけですわ」
「そうか。では私に今宵も愛でてほしいと?」
「はい。たくさん愛でてください」
「では、それを楽しみに朝議を早々に終わらせてこよう」
周瑜は妻の額に口付けを落とし、邸を後にした。
宮中に参内した周瑜は執務室でニヤニヤと笑みを浮かべながら職務をこなしていた。
「公瑾」
「何だ?」
「お前のそれ、何とかならないのか?」
「何とかとは?」
「だ・か・ら!! その砂糖吐きそうなほどの甘――――――い雰囲気は何とかならねぇのかよ」
「伯符、君に言われたいくない」
「は?」
「君だって、大喬に人目も憚らず睦言を囁いてるではないか」
「あ、あれは!」
「あれは、なんだ?」
「そ、その……、だ。大喬が、す、素直じゃねぇから……」
「ほう」
「って、俺のことはほっとけ!」
「そっくりそのまま君に返すよ。私のことも放っておいてもらおう」
「それができるんなら苦労しねぇよ」
「そうだ。私は用があるので早々に切り上げさせてもらうからそのつもりでいてくれ」
「はぁ? なんだよ、それ?」
「例の孤児院で納涼祭をやるみたいなんだ」
「納涼祭?」
「連日の熱さを忘れるために水浴びをするらしい」
「水浴びねぇ」
「何だ?」
「それ、小喬から誘ってきたんだろ?」
「だったら?」
「お前、やらしいことする気じゃねぇだろうな?」
「何を言っている。私は妻を愛でたいだけだ」
「あ、そ」
「君だって夜な夜な彼女のことを愛でているんだろ?」
「や、やかましい!」
孫策は顔を真っ赤にしてプイッとそっぽを向いた。周瑜はこれでしばらく大人しくなるだろうと思い、手元にある仕事をてきぱきと片付け始める。結果、予定通り昼までに片付いた。
「では、私はこれで失礼する」
「へいへい。まぁ、楽しんでこいよ」
「なんだ、お前へは行かないのか?」
「誰が行くか!!」
「そうか」
そのまま周瑜は孫策を残して執務室を後にした。
「おや? 公瑾殿。もう終わられたのですか?」
「ああ。私はこれから約束があるのでね」
「なるほど、それで表にいらしたのですね」
「?」
「早く行ってあげてください。奥方が待っておられますよ」
「何? それは急がねば」
周瑜は足早にその場を立ち去った。魯粛は肩を竦めて苦笑する。
「まさかこれほど溺愛なさるとは思いもよりませんでしたが……」
周瑜の後ろ姿を見の栗ながらそんなことを独り言ちた。『江東の二喬』を父・喬玄の元に送り届け、恩を売って融資を取り付ける。これは魯粛が言いだしたことだったが、実は別の理由があった。あの姉妹を孫策と周瑜の妻に迎えること、それが本来の目的だった。その目論見は上手くいき、ここ建業に戻ってきた時に孫策は大喬を、周瑜は小喬を娶った。
「ま、公瑾殿はあれ位がちょうど良いかもしれませんね」
魯粛はそう思い、執務室へと向かうのだった。
その頃周瑜は小喬と合流していた
「公瑾様!!」
「小喬、待たせて悪かったね」
「いえ、そんな……。つい、今し方来たばかりですので……」
「そうか」
小喬は恥ずかしそうにもじもじしながら頬を赤らめはにかむ。その姿に周瑜は抱きしめたくなるのをグッと堪える。
「では、行こうか」
「はい」
二人連れ立って件の孤児院へ向かった。門までくると、子供たちのはしゃぐ声が聞こえてくる。どうやらもう水浴びは始まっているようだった。何人かの男の子が小喬の姿に気付き、駆け寄ってきた。
「あ! 小さいお姉ちゃんだ!!」
「こんにちはぁ」
「あれ? 今日は大きいお姉ちゃんは一緒じゃないの?」
「うん、そうなの」
「なーんだ、つまんないの」
「ごめんね」
小喬は少し胸が痛んだ。すると、一人の女の子がやってきて男の子の頭を小突く。
「ちょっと、あんたたち。お姉ちゃんに失礼でしょう!!」
「え~。だって、小さい姉ちゃん、胸が……」
「ほぉ、小喬の胸が何だって?」
男の子たちの言葉にすぐ後ろにいた周瑜が黒いオーラを纏い、鬼の形相で立っていた。子供たちが一斉に息を呑んで後ずさりをする。明らかに周瑜が怒っているのがわかったからだ。
「で、小喬の胸が何だというのか教えてもらおうか?」
「ひぃっ。ご、ごめんなさーーーーい!!」
それだけ言うと、脱兎のごとく逃げ出したのだった。その後ろ姿を冷ややかに見つめる周瑜。
「公瑾様、大人げない……」
「子供が胸がどうとかいうのは早すぎる」
「男の子はそういうもので」
「だとすると、随分とませた子供たちだ」
真顔で怒る周瑜に呆れる小喬。もはやため息しか出てこない。
「おお、小喬ではないか」
「お久しぶりです、父上」
「珍しいな」
「そうですか?」
「お前はいつも大喬の後ろにピッタリくっついておったからな」
「そうですね。お姉さまにいつも頼りっきりでした」
「婿殿に愛でられて少しは自分に自信が持てたか?」
「そうですね。私は公瑾様といることで自信を持てました」
「小喬……」
周瑜は嬉しそうに抱きしめる。そして、人目も憚らず額に口付けをする。小喬は恥ずかしさのあまり耳まで真っ赤になっていた。
「婿殿、あまりやりすぎると小喬が茹で上がってしまいますぞ」
「これは失礼しました」
「ははは、良きかな、良きかな。どうやら、孫の顔が見れるのもそう遠くないようですな」
喬玄はカラカラと笑った。周瑜も嬉しそうにしている。ただ一人、小喬だけは恥ずかしさのあまり隠れてしまいたい気持ちだった。
さて、水浴びはどうなったかというと……。
「あんっ。公瑾、様ったら」
「うん? 小喬はここがイイのだろ?」
「やぁん。そこはぁ……」
二人がいるのは孤児院とは別の喬玄邸の離れだ。そこには川から直接水を引いた水辺がある。二人はそこで水浴びをしながら戯れていた。勿論、裸で……。
「あぁぁんっ。こ、こうきん、さまのぉ、いじわるぅ」
「そうやって可愛らしい声を上げるから……」
「ひゃんっ!」
「虐めたくなってしまうのだよ」
そう言って、周瑜は後ろから抱きしめるようにして小喬の胸を揉みしだく。それは小振りだが感度は抜群だった。小喬は先ほどから腿をすり合わせている。そして、周瑜にしなだれかかってくる。
(少しいじめすぎたか……)
周瑜は横抱きに抱えると水辺から上がり、客間へと運び、奥の寝台へと横たえた。小喬は懇願するようにその潤んだ瞳で見上げてくる。
「すまない」
「公瑾様?」
「少し意地悪をし過ぎた」
「やぁん」
「小喬、君はどうして……」
「え?」
「君のそれは男を煽るんだよ」
「そ、そうですかぁ?」
「そうだよ。君を起き上がれなくなるまで貪りたくなるのだ」
「公瑾さまったら、いやらしい」
「それは、君が可愛く啼くからだ」
「え?」
「ここを撫でると特に甘く啼くだろ?」
そう言って周瑜はその長く美しい指を這わせ足の付け根の繁みに隠れた秘裂へと這わせる。既にそこは十分なほど潤っていた。周瑜は最も敏感な花芯を的確に探り当てる。
「ひゃぁぁん」
「ああ、ここが一番感じるのだったね」
「だ、ダメェぇぇ」
「そう言う割にはここは酷く締め付けてるが?」
耳元でそう囁けば小喬はギュッと目を瞑り、敷布を握りしめる。その眼には涙がうっすらと浮き上がっている。それを舐め取り、更に言葉を繋げる。
「すまなかった。もう虐めないから、目を開けてくれないか?」
「ホントに?」
「ああ」
「じゃあ、いつものように、愛してくれますか?」
「勿論だ」
周瑜は優しく小喬の唇を食んだ。その口付けに答えるように小喬は口を少し開けおずおずと舌を出す。それを自らの舌で絡めとる周瑜。深くなる口付けに小喬の息が上がる。その間も周瑜は花芯への刺激は忘れない。
「小喬、そろそろ……」
「あ……。こ、こうきん、さまぁ」
周瑜は小喬の足を開かせ、その間に自分の体を割り入れる。そして、熱く滾った屹立を濡れそぼった蜜壺に宛がい、一気に押し込んだ。
「はうっ!」
「くっ。相変わらず君のここは狭いな」
「こう、きん、さまぁぁぁ」
「優しくするつもりだったが、無理そうだ」
周瑜は腰をしっかりと掴むと奥を穿つ。そして、抜けるギリギリまで引き抜き、またズンと突き入れる。そうやって徐々に抽挿を速める。やがて、嬌声を上げ始める小喬。その両手は敷布を強く握りしめる。周瑜は眉を寄せて解き放ちそうになる熱を抑え込む。だが、無意識に締め付ける小喬のナカは周瑜を奥へ奥へと誘う。
「いやぁぁぁぁぁ!!」
「くっ!」
ひと際大きな嬌声とともに小喬は達した。それと同時に中にある周瑜をきつく締め上げる。それに贖うことなく周瑜はその熱を解き放つ。
「「はぁ、はぁ、はぁ」」
暫く二人の息遣いが室内に響く。そして、どちらともなく唇を重ねる。周瑜はそれ以上求めず、ただ抱き寄せる。
「公瑾様?」
「なんだい?」
「えっと……」
「今はこのままで構わないよ」
「え?」
「その代わり……」
周瑜は小喬の耳元で囁く。
「続きは今夜、寝室で」
「は、はい」
その夜、周瑜が小喬を抱き潰したのは言うまでもない。そして、それを甘んじて受け入れた小喬は翌日起き上がれなくても文句は言わなかった。二人の甘い時間はその後も長く続くのだった。
また、彼はその眉目秀麗な顔立ちも相まって世の女人たちからは『美周郎』とあだ名されていた。そんな彼の元には美しく可愛らしい妻がいた。
「公瑾さまぁ」
「何だい、小喬」
「今日はいつお帰りになるのですか?」
「そうだな。特にこれといった案件はなかったはずだから昼過ぎには戻れると思う」
「なら、折角ですので水浴びに行きませんか?」
「水浴び?」
「はい。孤児院で納涼祭と称して水浴びをするそうなんです」
「なるほど……」
「たまには暑気払いでもしないとお体に障りますし」
「連日のこの暑さは確かに堪える」
「ええ。それで一緒に水浴びして、その後は……」
小喬は頬を赤らめながら周瑜に体を摺り寄せてくる。彼女が何を求めているのか分からぬ周瑜ではない。そっと彼女を抱き寄せ、唇を重ねる。
「小喬、君はいつからそんないやらしい女になったんだい?」
「何をおっしゃいますの? 私がこのようなことを申し上げるのは公瑾様お一人だけですわ」
「そうか。では私に今宵も愛でてほしいと?」
「はい。たくさん愛でてください」
「では、それを楽しみに朝議を早々に終わらせてこよう」
周瑜は妻の額に口付けを落とし、邸を後にした。
宮中に参内した周瑜は執務室でニヤニヤと笑みを浮かべながら職務をこなしていた。
「公瑾」
「何だ?」
「お前のそれ、何とかならないのか?」
「何とかとは?」
「だ・か・ら!! その砂糖吐きそうなほどの甘――――――い雰囲気は何とかならねぇのかよ」
「伯符、君に言われたいくない」
「は?」
「君だって、大喬に人目も憚らず睦言を囁いてるではないか」
「あ、あれは!」
「あれは、なんだ?」
「そ、その……、だ。大喬が、す、素直じゃねぇから……」
「ほう」
「って、俺のことはほっとけ!」
「そっくりそのまま君に返すよ。私のことも放っておいてもらおう」
「それができるんなら苦労しねぇよ」
「そうだ。私は用があるので早々に切り上げさせてもらうからそのつもりでいてくれ」
「はぁ? なんだよ、それ?」
「例の孤児院で納涼祭をやるみたいなんだ」
「納涼祭?」
「連日の熱さを忘れるために水浴びをするらしい」
「水浴びねぇ」
「何だ?」
「それ、小喬から誘ってきたんだろ?」
「だったら?」
「お前、やらしいことする気じゃねぇだろうな?」
「何を言っている。私は妻を愛でたいだけだ」
「あ、そ」
「君だって夜な夜な彼女のことを愛でているんだろ?」
「や、やかましい!」
孫策は顔を真っ赤にしてプイッとそっぽを向いた。周瑜はこれでしばらく大人しくなるだろうと思い、手元にある仕事をてきぱきと片付け始める。結果、予定通り昼までに片付いた。
「では、私はこれで失礼する」
「へいへい。まぁ、楽しんでこいよ」
「なんだ、お前へは行かないのか?」
「誰が行くか!!」
「そうか」
そのまま周瑜は孫策を残して執務室を後にした。
「おや? 公瑾殿。もう終わられたのですか?」
「ああ。私はこれから約束があるのでね」
「なるほど、それで表にいらしたのですね」
「?」
「早く行ってあげてください。奥方が待っておられますよ」
「何? それは急がねば」
周瑜は足早にその場を立ち去った。魯粛は肩を竦めて苦笑する。
「まさかこれほど溺愛なさるとは思いもよりませんでしたが……」
周瑜の後ろ姿を見の栗ながらそんなことを独り言ちた。『江東の二喬』を父・喬玄の元に送り届け、恩を売って融資を取り付ける。これは魯粛が言いだしたことだったが、実は別の理由があった。あの姉妹を孫策と周瑜の妻に迎えること、それが本来の目的だった。その目論見は上手くいき、ここ建業に戻ってきた時に孫策は大喬を、周瑜は小喬を娶った。
「ま、公瑾殿はあれ位がちょうど良いかもしれませんね」
魯粛はそう思い、執務室へと向かうのだった。
その頃周瑜は小喬と合流していた
「公瑾様!!」
「小喬、待たせて悪かったね」
「いえ、そんな……。つい、今し方来たばかりですので……」
「そうか」
小喬は恥ずかしそうにもじもじしながら頬を赤らめはにかむ。その姿に周瑜は抱きしめたくなるのをグッと堪える。
「では、行こうか」
「はい」
二人連れ立って件の孤児院へ向かった。門までくると、子供たちのはしゃぐ声が聞こえてくる。どうやらもう水浴びは始まっているようだった。何人かの男の子が小喬の姿に気付き、駆け寄ってきた。
「あ! 小さいお姉ちゃんだ!!」
「こんにちはぁ」
「あれ? 今日は大きいお姉ちゃんは一緒じゃないの?」
「うん、そうなの」
「なーんだ、つまんないの」
「ごめんね」
小喬は少し胸が痛んだ。すると、一人の女の子がやってきて男の子の頭を小突く。
「ちょっと、あんたたち。お姉ちゃんに失礼でしょう!!」
「え~。だって、小さい姉ちゃん、胸が……」
「ほぉ、小喬の胸が何だって?」
男の子たちの言葉にすぐ後ろにいた周瑜が黒いオーラを纏い、鬼の形相で立っていた。子供たちが一斉に息を呑んで後ずさりをする。明らかに周瑜が怒っているのがわかったからだ。
「で、小喬の胸が何だというのか教えてもらおうか?」
「ひぃっ。ご、ごめんなさーーーーい!!」
それだけ言うと、脱兎のごとく逃げ出したのだった。その後ろ姿を冷ややかに見つめる周瑜。
「公瑾様、大人げない……」
「子供が胸がどうとかいうのは早すぎる」
「男の子はそういうもので」
「だとすると、随分とませた子供たちだ」
真顔で怒る周瑜に呆れる小喬。もはやため息しか出てこない。
「おお、小喬ではないか」
「お久しぶりです、父上」
「珍しいな」
「そうですか?」
「お前はいつも大喬の後ろにピッタリくっついておったからな」
「そうですね。お姉さまにいつも頼りっきりでした」
「婿殿に愛でられて少しは自分に自信が持てたか?」
「そうですね。私は公瑾様といることで自信を持てました」
「小喬……」
周瑜は嬉しそうに抱きしめる。そして、人目も憚らず額に口付けをする。小喬は恥ずかしさのあまり耳まで真っ赤になっていた。
「婿殿、あまりやりすぎると小喬が茹で上がってしまいますぞ」
「これは失礼しました」
「ははは、良きかな、良きかな。どうやら、孫の顔が見れるのもそう遠くないようですな」
喬玄はカラカラと笑った。周瑜も嬉しそうにしている。ただ一人、小喬だけは恥ずかしさのあまり隠れてしまいたい気持ちだった。
さて、水浴びはどうなったかというと……。
「あんっ。公瑾、様ったら」
「うん? 小喬はここがイイのだろ?」
「やぁん。そこはぁ……」
二人がいるのは孤児院とは別の喬玄邸の離れだ。そこには川から直接水を引いた水辺がある。二人はそこで水浴びをしながら戯れていた。勿論、裸で……。
「あぁぁんっ。こ、こうきん、さまのぉ、いじわるぅ」
「そうやって可愛らしい声を上げるから……」
「ひゃんっ!」
「虐めたくなってしまうのだよ」
そう言って、周瑜は後ろから抱きしめるようにして小喬の胸を揉みしだく。それは小振りだが感度は抜群だった。小喬は先ほどから腿をすり合わせている。そして、周瑜にしなだれかかってくる。
(少しいじめすぎたか……)
周瑜は横抱きに抱えると水辺から上がり、客間へと運び、奥の寝台へと横たえた。小喬は懇願するようにその潤んだ瞳で見上げてくる。
「すまない」
「公瑾様?」
「少し意地悪をし過ぎた」
「やぁん」
「小喬、君はどうして……」
「え?」
「君のそれは男を煽るんだよ」
「そ、そうですかぁ?」
「そうだよ。君を起き上がれなくなるまで貪りたくなるのだ」
「公瑾さまったら、いやらしい」
「それは、君が可愛く啼くからだ」
「え?」
「ここを撫でると特に甘く啼くだろ?」
そう言って周瑜はその長く美しい指を這わせ足の付け根の繁みに隠れた秘裂へと這わせる。既にそこは十分なほど潤っていた。周瑜は最も敏感な花芯を的確に探り当てる。
「ひゃぁぁん」
「ああ、ここが一番感じるのだったね」
「だ、ダメェぇぇ」
「そう言う割にはここは酷く締め付けてるが?」
耳元でそう囁けば小喬はギュッと目を瞑り、敷布を握りしめる。その眼には涙がうっすらと浮き上がっている。それを舐め取り、更に言葉を繋げる。
「すまなかった。もう虐めないから、目を開けてくれないか?」
「ホントに?」
「ああ」
「じゃあ、いつものように、愛してくれますか?」
「勿論だ」
周瑜は優しく小喬の唇を食んだ。その口付けに答えるように小喬は口を少し開けおずおずと舌を出す。それを自らの舌で絡めとる周瑜。深くなる口付けに小喬の息が上がる。その間も周瑜は花芯への刺激は忘れない。
「小喬、そろそろ……」
「あ……。こ、こうきん、さまぁ」
周瑜は小喬の足を開かせ、その間に自分の体を割り入れる。そして、熱く滾った屹立を濡れそぼった蜜壺に宛がい、一気に押し込んだ。
「はうっ!」
「くっ。相変わらず君のここは狭いな」
「こう、きん、さまぁぁぁ」
「優しくするつもりだったが、無理そうだ」
周瑜は腰をしっかりと掴むと奥を穿つ。そして、抜けるギリギリまで引き抜き、またズンと突き入れる。そうやって徐々に抽挿を速める。やがて、嬌声を上げ始める小喬。その両手は敷布を強く握りしめる。周瑜は眉を寄せて解き放ちそうになる熱を抑え込む。だが、無意識に締め付ける小喬のナカは周瑜を奥へ奥へと誘う。
「いやぁぁぁぁぁ!!」
「くっ!」
ひと際大きな嬌声とともに小喬は達した。それと同時に中にある周瑜をきつく締め上げる。それに贖うことなく周瑜はその熱を解き放つ。
「「はぁ、はぁ、はぁ」」
暫く二人の息遣いが室内に響く。そして、どちらともなく唇を重ねる。周瑜はそれ以上求めず、ただ抱き寄せる。
「公瑾様?」
「なんだい?」
「えっと……」
「今はこのままで構わないよ」
「え?」
「その代わり……」
周瑜は小喬の耳元で囁く。
「続きは今夜、寝室で」
「は、はい」
その夜、周瑜が小喬を抱き潰したのは言うまでもない。そして、それを甘んじて受け入れた小喬は翌日起き上がれなくても文句は言わなかった。二人の甘い時間はその後も長く続くのだった。
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