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雅之視点
その男、『今元春』につき~其の漆~
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後編部分の雅之視点です。
ここまで来るの長かった…。
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その男、『今元春』につき… ~其の漆~
翌朝、俺はすぐに毅に電話を入れた。
「朝早くにすまない。」
『大丈夫だ。 旅館業っていうのは朝が早いんでな。』
「それなら良かった。」
『で、俺になんか頼みがあるんだろ?』
「急で悪いんだが一部屋取れないか?
できれば離れの一軒家タイプの宿がいいんだが…。」
『女か?』
「…………。」
『まぁいい。 玉造温泉に一つあるからそこ取っていてやる。』
「恩に着る。」
『今度は失敗するなよ。』
「ああ、分かってる。」
俺は電話を切ると一つ息を吐く。
とりあえず、二人っきりになれる宿は確保した。
あとは佳織本人を捕まえるだけだ。
春香の話では午前中は出雲大社に参拝に行くみたいなので俺も向かうことに。
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――――――――出雲大社――――――――
俺は道の駅『大社ご縁広場』に来ていた。
毅に『道の駅に寄ってみろ』と言われたからだ。
ちょうど、第一の鳥居『神門通りの大鳥居』のすぐ側ということもあって俺はふらりと寄ってみたのだった。
そこは観光客であふれていた。
駐車場も観光バスでいっぱいのようだ。
時計を確認すると10時過ぎ。
折角なので俺も参拝することにした。
勢溜の正面鳥居を抜け、参道を下る。
松並木の参道の鉄鳥居をくぐりさらに進むと、拝殿前の銅鳥居が見えてきた。
長年の風雨に晒されていたこともあり、その鳥居は鈍い色を放っている。
それが逆に風格を漂わせ、厳かに思える。
拝殿の注連縄の大きさには毎回驚かされる。
よく見ると参拝者は若い女性が多いようだ。
まぁ、『縁結び』の神社だから当然か…。
俺もちゃんとお参りをしておく。
(今度こそ、うまくいきますように…。)
そのあと、奥にある『須佐神社』にも参拝する。
ここに祭られているのは素戔嗚尊だ。
昔、大学の恩師が教えてくれたが素戔嗚尊はまたの名を『牛頭天王』と言って京都の八坂神社の祭神だそうだ。
厄病を払う神として祭られているので厄除けの神としての一面もあるとか。
で、ここの主神・大国主命はその素戔嗚尊の息子だか孫にあるらしい。
そのせいか、本殿の奥に素戔嗚尊を祭った『須佐神社』があるのだ。
(よし、これで大丈夫だ!!)
参拝の後、俺はそんな気がした。
再び時計を見ると正午前だった。
俺は神門通りから少し離れた、いつもの喫茶店に向かった。
春香経由で佳織にも伝わっているはずだ。
多分、今の時間なら彼女もそこに向かっているはず。
そう思い俺は件の喫茶店に向かった。
カランカラン…。
いつものようにカウベルの優しい音が迎え入れてくれる。
店内はマスターの好きなジャズが流れている。
俺は彼女の姿を探す。
すると彼女は窓際のテーブル席でメニューと睨めっこしていた。
「いらっしゃいませ。 あれ? 雅之おじさん?」
「紗英ちゃんか…。 久しぶりだね」
俺に声をかけてきたのはここのオーナーの孫娘の紗英ちゃん。
確か、この春に高校生になったんじゃなかったかな。
「どうしたんですか?」
「昨日、高校の同窓会だっただ。」
「あ、そっか、3年に一度開かれるんでしたっけ?」
「そうだよ。 ところで紗英ちゃんはお手伝い?」
「高校生になったんで正式にバイトです。」
「なるほどね。」
「ところで、ランチ食べてくれるんですよね?」
「勿論だ。」
「席どこにします? カウンター?」
「あ、いや、連れがいるんだ。」
「お連れさん?」
「あそこの席…。」
「窓際のあの女性?」
「ああ、会社の部下なんだ。」
「そうだったんですか!」
紗英ちゃんは何かに気付いたようでニヤニヤしながらカウンターのへ引っ込んだ。
俺は一つ深呼吸してから、窓際にいる佳織のもとへ近づいた。
「随分真剣に悩んでいるんだな。」
「え?」
突然、声を掛けられて驚いたように顔を上げる佳織。
「じょ、常務? な、なんでここに?」
「それより相席構わないか?」
「あ、はい、どうぞ…。」
困惑しながらも佳織は俺の愛性を許してくれた。
「で、佳織は何をそんなに悩んでいるのかな?」
「そ、そんなことより、なんで常務がここにいらっしゃるんですか?」
「質問に質問で返すか…。」
「答えになってませんが。」
「先に聞いたのは俺だ。
まずはそれに答えてからじゃないかな?」
「べ、別に大したことじゃないです。」
「ほう。」
「日替わりランチが2種類あってどっちにしようか悩んでるだけです。」
「なるほど…。」
「私、答えましたよ。」
「うん?」
「常務も答えてください。」
「ああ、俺はこっちの出身なんだよ。」
「へ?」
「同窓会があるんで戻ってきたんだ。
そしたら、友人たちに哀れまれて『出雲大社にお参りして来い』と…。」
「それは、はぁ、何と言いますか…。」
「まぁ、50過ぎて一人身になってしまったからな…。」
「…………。」
ちょっと辛気臭い雰囲気になり始めた。
俺は話題を変えるために注文を決めたか聞くことにする。
「ところで、注文は決まったかな?」
「うぅぅぅぅ、実はまだです。」
「だったらこうしよう。
俺がAで君がBを注文して分け合う。」
「そうすれば両方堪能できるだろう?」
「まぁ、そうなりますね。」
「問題解決。 早速注文しよう。」
俺たちはランチを分け合う。
いつにも増して美味いと感じたのは佳織と分け合っているからだろうか…。
俺は意気揚々と会計を済ませた。
「おじさん、頑張って!」
出がけに紗英ちゃんはウインクしてそういった。
佳織を俺が狙ってると気づいたんだろう。
俺は苦笑して肩を竦めながら店を後にした。
「ところで今夜の宿は決まっているのかな?」
「あ、えっと、それは…。」
佳織が口籠る。
春香の情報通りなら多分部屋は取っていない。
急な出張の多い佳織は宿も現地調達する方だからだ。
ここで、口籠るということはやはり決めていないのだろう。
「まだなら俺のところに来るか?」
「はい?」
「実は玉造温泉に宿をとっているんだ。
君も一緒にどうだい?」
「い、いえ、そういう訳には…。」
「大丈夫だ。
そこは昔なじみの宿だからその辺は融通してくれる。」
どうしようか迷っていたようだが、佳織は俺の申し出を受けてくれた。
****************************************************************
――――――――玉造温泉――――――――
「あ、荷物はここに置いておくから。」
「はい…。」
毅が取ってくれた宿は奴の姉が女将を務める宿だった。
希望通りの離れになったており、古民家を移築した物だった。
勿論、温泉付き。
そのせいで佳織は呆気に取られている。
恐らく、宿泊費のことでも考えているのだろう。
俺だって三浦商事の役員を務める身だ。
これくらいはどうってことないってところを見せるにはちょうどいいか。
「どうする?」
「何がですか?」
「いや、だから、温泉入らないか?」
「お先にどうぞ。」
「あのなぁ、こういう時は一緒に…。」
「常務はまた殴られたいんですか?」
「い、いや、結構です。」
「じゃ、お先にどうぞ。」
調子に乗りすぎた。
佳織はニッコリほほ笑んでいるが、目が全然笑ってない。
仕方ないので、先に入ることにする。
で、入れ替わりで佳織が温泉に浸かる。
どうやら俺が襲ってくると警戒しているようだ。
とりあえず、一緒に温泉はまた今度にしよう。
俺は気持ちを切り替えて、夕食をフロントに確認することに…。
美味い酒を用意してもらうためだ。
女将がわざわざ出てきてくれて対応してくれる。
弟の幼馴染ということで融通を効かせてくれようとしたのだろう。
「雅君、あんたついてるわよ。
今日は『国暉』の大吟醸があるのよ!」
「『国暉』あるんですか?」
「つい、昨日仕入れたばかりよ」
「良かった。 地元の美味い酒が飲めるなんて。
あそこは宍道湖の湖畔に会社があるんでしたか。」
「そうそう、酒好きにはたまらないみたいよ。」
「じゃ、夕食にぜひそれをお願いします。」
予想外にいい酒が手に入り俺は喜び勇んで部屋へ戻った。
その後、部屋に運び込まれた夕食は日本海の海の幸に宍道湖特産のシジミの潮汁。
佳織は堪能してくれている。
食が進めば自然と酒も進むもの。
俺は少しづつではあるが、何度か『国暉』を注いでやる。
食事が終わるころには佳織は酔いつぶれ寝てしまっていた。
「あらあら…。 酔い潰しちゃったの?」
「はははは…。」
「まぁ、いいわ。 毅からは聞いてるし。」
「すみません。」
「で、明日の朝食はどうする?」
「えっと…。」
「なしにしとこうか?」
「いいんですか?」
「その娘さんのこと、朝まで離せると思えないもん。
ついでにチェックアウトも15時にしといてあげるわ。」
「あ、いや、それは…。」
「気にしない、気にしない…。
雅君、まだ子供いないんでしょ?
だったら今夜子作り頑張って!!」
女将はにこやかに後片付けをして去っていった。
俺は嬉しいやら恥ずかしいやらで何とも言えなかった。
それからすぐに俺は行動した。
佳織を抱きかかえ、奥のベッドルームに連れていく。
クイーンサイズのベッドにそっと降ろす。
一度深呼吸してから、彼女の浴衣の帯をほどく。
酔っているせいか、その肌はほんのり桜色に染まっている。
俺は震える手で浴衣を脱がせ、下着もすべて取り払う。
母から渡された帯締めで両手首を痕が残らない程度に縛り、ヘッドボードに括りつける。
自身も全裸になり、覆い被さる。
彼女の肌を余すことなく堪能する。
そして、柔らかな双丘の右の頂を口に含み転がし、左の頂は指でつまんで刺激する。
「うん…。」
その刺激に反応するように佳織が声を上げる。
だが、まだ起きる気配はない。
俺はそれに気をよくして、左手をわき腹から徐々に下へと這わせる。
やがて辿り着いた太腿をやわやわと撫で、足の付け根へ。
俺は無遠慮に彼女の秘裂に指を這わせ上下に擦る。
すぐにそこは蜜で潤い始める。
その事実に俺は興奮し、胸の頂から口を離すと彼女の足を開きそこに顔を埋めた。
それまでなぞっていた指に代わり舌を這わせ、ぷっくりと膨れた花芯を口に含み少し強めに吸い上げる。
「あうっ!」
その刺激に佳織の背が跳ねる。
そろそろ頃合いか…。
俺は彼女を起こすことにした。
「佳織…。」
彼女の名前を呼ぶ。まだ夢の中なのか。反応が鈍い。
「佳織、そろそろ目を覚ましてくれないか?」
彼女のまつげが震え始める。
どうやら覚醒が近いようだ。
「まだ気づかないのかい?」
俺は蜜で潤ったその秘裂に中指を差し込む。
そして、彼女があの時一番感じていた場所を中から擦ってやる。
「ほら、君のここはもう俺のことが欲しいって言ってる。」
もう一度、強く中を擦ると、彼女は完全に覚醒した。
そこで一旦指を抜く。
「え? 何、なんでこんなことに?」
「ようやくお目覚めかい?」
「常務!」
「ホントに君はお酒に弱い。」
「飲み慣れてないんです!」
「まぁ、おかげで俺はこうして押し倒せたわけだけど。」
そして、もう一度蜜で潤ったその場所に指を這わせ、秘裂に中指を突き入れる。
同時に親指の腹で花芯をぐりぐりと刺激してやった。
「んっ、はぁ…。」
「ああ、感じてるんな。
佳織のいい所はここだったよね?」
突き入れた中指をクッと曲げて感じやすい部分を責める。
「あぁぁっ!!」
中を抉るように刺激したせいで佳織が仰け反る。
そして、今の自分の置かれている状況に気付いたようだ。
「な、何で縛ってるんですか?!」
「うん? これかい?」
「解いてください。」
「嫌だ。」
「何でこんなことしてるんですか?!」
「逃げられたくないから。」
「はぁ?!」
「解いたらぶん殴って逃げるだろ?」
「…………。」
佳織が黙り込んだ。
そうだよね、君なら十中八九そうするよね。
だから、解かないよ。
そう目で訴えかける。
「無言は肯定とみなす。」
「分かりました。
逃げませんから解いてください。」
「断る。」
「だから、どうして、そうなるんですか?」
佳織は困惑気味に俺に尋ねる。
俺はため息を一つ吐いて、彼女に質問を始める。
「佳織…。 君、今いくつ?」
「へ? 42、ですけど…。」
「そうだな。 で、俺はいくつかな?」
「えっと…、52、でしたっけ?」
「正解。」
「それとこの状況ってどう…。」
「俺、子供がいないんだよ。」
「だから?」
「俺は君との子供が欲しいんだ。」
「はい?」
「つまり避妊しないで君を抱きたい。」
「ちょっ!」
「ほら、そうなるだろ?」
「だ、だからって!」
「これ以上時間をかけてたら君への負担が大きくなるばかりだ。
だから、このまま君を抱く。」
「私への同意はなしですか!」
彼女のその言葉に一瞬躊躇したが、それでも俺の意志は変わらない。
だから、目を細め薄く笑みを浮かべ問いただす。
「じゃ、聞くが君は俺のことが嫌い?」
「そ、それは…。」
「俺ね。 今回ちょっと願掛けしてたんだ。」
「願掛け?」
「君は知ってるかな? 千日回峰行者って…。」
「えっと…、確か数年かけて悟りを開く大変な修行に挑む僧侶、でしたっけ?」
「そう…。 彼らには失敗は許されない。
失敗は即、死を意味する。
だから、彼らは自害のために首には麻縄をかけ、腰には両刃の短剣を差してるんだ。」
「麻縄と短剣…。」
佳織の雰囲気が変わった気がした。
俺の覚悟のほどを感じてくれたのだろうか。
ゴクリと唾をのんだようだった。
「まぁ、俺のは真似事にすぎないけど。」
「真似事、ですか…。」
「そう、だから麻縄の代わりに帯締めを持って来たんだ。」
「はい?」
「そっちの方が艶があっていいだろう?」
「何ですか、それ?」
「で、話を戻そう。
君は俺のことをどう思ってる?」
「嫌い、じゃないです。」
「ふむ、それは好きってことでいいかな?」
「お好きなように解釈いただいて結構です。」
「では、そうさせてもらう。」
俺は佳織の足を開き、体を滑り込ませる。
そして潤った蜜壺に雄々しく立ち上がった熱杭をあてがう。
そして、一気に押し込む。
そこは久々に受け入れたのか狭く俺の物に絡みついてくる。
「キツイな…。 そんなに久しぶりだったのか?」
「いけませんか?」
「全然。」
俺は嬉しそうに笑ってやった。
どうやら、佳織は観念したようで俺の与える快楽にその身を任せることにしたようだ。
「佳織、いい加減名前で呼べ。」
「そ、そん、なこと、言われても…。」
俺は容赦なく佳織を揺さぶる。
室内には荒い息遣い、体のぶつかる音、そして卑猥な水音が響き渡る。
「佳織…。」
「あんっ…、ま、雅之、さん…。」
「フッ…、やっと呼んでくれた。」
名前を呼ばれただけで俺の心は温かくなる。
だからつい、笑みが零れてしまった。
その顔に佳織の中が反応して俺を占め上げる。
「佳織、それ、反則。」
「やん、だって…。」
「そんなことされたら、俺、我慢できない。」
俺は更に激しく揺さぶった。
佳織は一気に高みへと押し上げられたようで、ひときわ甲高い嬌声をあげ、果てた。
そして、俺も同時に果て、彼女の最も奥へとその熱を吐き出したのだった。
****************************************************************
――――――――翌朝――――――――
俺は佳織を縛っていた帯締めを解いた。
正直、殴られることを覚悟したのだが、彼女はそうはしなかった。
「雅之さん…。 兎に角そこへ座ってください。」
「はい…。」
俺は言われるままに胡坐をかいて座ろうとしたのだが…。
「だ・れ・が! 胡坐かいていいなんて言いました?」
「え?」
佳織さん、目がすごく怖いです。
「正座…、そこへ正座してください。」
「は、はい!」
俺は慌てて背筋を伸ばしベッドに正座した。
「いいですか!
同意もなしに生挿入して中出しなんて社会人としてのモラルを疑います!!」
「はい……。 申し訳ありません。」
「たとえ恋人同士だろうが、夫婦だろうがダメですから!!」
「あのぉ~、ど、同意があればいいのかな?」
「そ、それはお互いがそうしたいのなら…。」
「そうか…。 じゃ、今度からはそうする。」
「ホントですね。」
「約束します。」
俺は膝に手を置き真顔で答えた。
佳織は一つため息をつくと、呆れた顔で俺を見た。
「今回だけは許してあげます。
でも、次は絶対ありませんからね。」
「無論だ。 その時は佳織の同意を得るよ。」
「分かればいいんです。」
どうやらこれで佳織のお説教は終わりのようだ。
俺は正座を解いて、胡坐をかく。
これ以上正座してたら足が痺れて動けなくなるからだ。
そして、俺は真実を彼女に告げることにする。
「実は離婚自体は一年前に成立してたんだ。」
「ってことは…。」
「あの時…。 君に交際を申し込んだときにはすでに…。」
「マジですか?!」
「マジです。」
佳織が素っ頓狂な声を上げる。
そうなるよね、ちゃんと話してなくてごめんな。
「何で言わないんですか?!」
「言う前に、君が平手打ちかまして逃げたんじゃないか。」
「あ…。」
「まぁ、きちんと説明しなかった俺にも落ち度はある。」
「もう、そういうことは先に言ってください。
そうしたら、一年も無駄に過ごすことなかったのに…。」
「え?」
「不束者ですが、それでもよろしければ…。」
「いい! 俺は佳織がいいんだ!!!」
「そういうことなら、お受けします。」
「やった!!」
「ぎゃっ!!」
俺は嬉しさのあまり佳織を思いっきり抱きしめる。
そして彼女にキスをする。
「チェックアウトは15時にしてるから。」
「え?」
佳織が驚きの表情を作るが俺はお構いなしにベッドへ沈めた。
そこからは俺の独壇場。
押し倒した時には臨戦態勢だったので耳朶を食みながら『入れたい』と懇願すれば、佳織は折れてくれた。
そうして始まったのは抜かずの3回戦。
自分でも驚きである。
まさかこの歳になってもそんな元気が俺に合ったとは…。
当然、二人とも汗やら体液やらでベトベト。
なので、二人で温泉に浸かることに。
「やんっ、だ、ダメですって!」
「何で? 誰も見てないからいいだろ?」
「で、でも…。」
「俺はまだ、満足してないから…。」
そう言って俺は佳織を後ろから貫いた。
体を綺麗にするはずが、またしても汗まみれの体液まみれにしてしまった。
それを再び、お湯で洗い流し、俺たちは上がった。
流石にそこまでやりまくって疲れ果てた。
俺たちはそのまま抱き合って泥のように眠ってしまう。
気づいたのは14時過ぎだった。
それからすぐに着替えを済ませ宿をチェックアウト。
帰り際に女将に呼び止められて…。
「良かったわね。」
俺は肩を竦めてその場を後にした。
そのすぐ後、佳織から話しかけられる。
本当ならヘトヘトで話す元気もないはずだろうにそれができるということは彼女もそれなりに体力があるってことだろう。
「雅之さんってどうしてそんなに元気なんですか?」
不意に投げかけられて問いに俺は首を傾げる。
「うん? 鍛えてるから。」
「はぁ…。 ほんとにそれだけですか?」
「それだけ。」
俺のその答えに納得がいかないのか眉間に皺が寄っている。
すると今度は別の質問が飛んでくる。
「あの、聞いてもいいですか?」
「なんだい?」
「雅之さんの干支は?」
「辰」
何だろう…。
佳織が考え込んでいる。
「誕生日も聞いていいですか?」
「3月20日だ。 ついでに生まれたのは7:39.」
「…………。」
何故か、佳織が黙り込む。
物凄い勢いでスマホを操作し、調べ物をしているようだ。
暫くすると佳織はげんなりとして肩を落とした。
「だから雅之さんは絶倫なんですな…。」
佳織は謎の言葉を吐いて諦めたように納得した。
彼女がこの時何を調べたのか俺は知る由もない。
それを知るのはもう少し後のことである。
************************************************
これにて、雅之視点終了です。
お付き合いいただきありがとうございました。
お話が膨らんできましたので、次回からは『恋人編』として続編を書きたいと思います。
野田兄弟やら、パドックで佳織に声をかけた男やら、明かしてないことがちらほらありますし。
それを明らかにしながら二人のいちゃラブを掛けたらいいなぁ。
なんて思っています。
その前に子作りか?(笑)
ここまで来るの長かった…。
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その男、『今元春』につき… ~其の漆~
翌朝、俺はすぐに毅に電話を入れた。
「朝早くにすまない。」
『大丈夫だ。 旅館業っていうのは朝が早いんでな。』
「それなら良かった。」
『で、俺になんか頼みがあるんだろ?』
「急で悪いんだが一部屋取れないか?
できれば離れの一軒家タイプの宿がいいんだが…。」
『女か?』
「…………。」
『まぁいい。 玉造温泉に一つあるからそこ取っていてやる。』
「恩に着る。」
『今度は失敗するなよ。』
「ああ、分かってる。」
俺は電話を切ると一つ息を吐く。
とりあえず、二人っきりになれる宿は確保した。
あとは佳織本人を捕まえるだけだ。
春香の話では午前中は出雲大社に参拝に行くみたいなので俺も向かうことに。
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――――――――出雲大社――――――――
俺は道の駅『大社ご縁広場』に来ていた。
毅に『道の駅に寄ってみろ』と言われたからだ。
ちょうど、第一の鳥居『神門通りの大鳥居』のすぐ側ということもあって俺はふらりと寄ってみたのだった。
そこは観光客であふれていた。
駐車場も観光バスでいっぱいのようだ。
時計を確認すると10時過ぎ。
折角なので俺も参拝することにした。
勢溜の正面鳥居を抜け、参道を下る。
松並木の参道の鉄鳥居をくぐりさらに進むと、拝殿前の銅鳥居が見えてきた。
長年の風雨に晒されていたこともあり、その鳥居は鈍い色を放っている。
それが逆に風格を漂わせ、厳かに思える。
拝殿の注連縄の大きさには毎回驚かされる。
よく見ると参拝者は若い女性が多いようだ。
まぁ、『縁結び』の神社だから当然か…。
俺もちゃんとお参りをしておく。
(今度こそ、うまくいきますように…。)
そのあと、奥にある『須佐神社』にも参拝する。
ここに祭られているのは素戔嗚尊だ。
昔、大学の恩師が教えてくれたが素戔嗚尊はまたの名を『牛頭天王』と言って京都の八坂神社の祭神だそうだ。
厄病を払う神として祭られているので厄除けの神としての一面もあるとか。
で、ここの主神・大国主命はその素戔嗚尊の息子だか孫にあるらしい。
そのせいか、本殿の奥に素戔嗚尊を祭った『須佐神社』があるのだ。
(よし、これで大丈夫だ!!)
参拝の後、俺はそんな気がした。
再び時計を見ると正午前だった。
俺は神門通りから少し離れた、いつもの喫茶店に向かった。
春香経由で佳織にも伝わっているはずだ。
多分、今の時間なら彼女もそこに向かっているはず。
そう思い俺は件の喫茶店に向かった。
カランカラン…。
いつものようにカウベルの優しい音が迎え入れてくれる。
店内はマスターの好きなジャズが流れている。
俺は彼女の姿を探す。
すると彼女は窓際のテーブル席でメニューと睨めっこしていた。
「いらっしゃいませ。 あれ? 雅之おじさん?」
「紗英ちゃんか…。 久しぶりだね」
俺に声をかけてきたのはここのオーナーの孫娘の紗英ちゃん。
確か、この春に高校生になったんじゃなかったかな。
「どうしたんですか?」
「昨日、高校の同窓会だっただ。」
「あ、そっか、3年に一度開かれるんでしたっけ?」
「そうだよ。 ところで紗英ちゃんはお手伝い?」
「高校生になったんで正式にバイトです。」
「なるほどね。」
「ところで、ランチ食べてくれるんですよね?」
「勿論だ。」
「席どこにします? カウンター?」
「あ、いや、連れがいるんだ。」
「お連れさん?」
「あそこの席…。」
「窓際のあの女性?」
「ああ、会社の部下なんだ。」
「そうだったんですか!」
紗英ちゃんは何かに気付いたようでニヤニヤしながらカウンターのへ引っ込んだ。
俺は一つ深呼吸してから、窓際にいる佳織のもとへ近づいた。
「随分真剣に悩んでいるんだな。」
「え?」
突然、声を掛けられて驚いたように顔を上げる佳織。
「じょ、常務? な、なんでここに?」
「それより相席構わないか?」
「あ、はい、どうぞ…。」
困惑しながらも佳織は俺の愛性を許してくれた。
「で、佳織は何をそんなに悩んでいるのかな?」
「そ、そんなことより、なんで常務がここにいらっしゃるんですか?」
「質問に質問で返すか…。」
「答えになってませんが。」
「先に聞いたのは俺だ。
まずはそれに答えてからじゃないかな?」
「べ、別に大したことじゃないです。」
「ほう。」
「日替わりランチが2種類あってどっちにしようか悩んでるだけです。」
「なるほど…。」
「私、答えましたよ。」
「うん?」
「常務も答えてください。」
「ああ、俺はこっちの出身なんだよ。」
「へ?」
「同窓会があるんで戻ってきたんだ。
そしたら、友人たちに哀れまれて『出雲大社にお参りして来い』と…。」
「それは、はぁ、何と言いますか…。」
「まぁ、50過ぎて一人身になってしまったからな…。」
「…………。」
ちょっと辛気臭い雰囲気になり始めた。
俺は話題を変えるために注文を決めたか聞くことにする。
「ところで、注文は決まったかな?」
「うぅぅぅぅ、実はまだです。」
「だったらこうしよう。
俺がAで君がBを注文して分け合う。」
「そうすれば両方堪能できるだろう?」
「まぁ、そうなりますね。」
「問題解決。 早速注文しよう。」
俺たちはランチを分け合う。
いつにも増して美味いと感じたのは佳織と分け合っているからだろうか…。
俺は意気揚々と会計を済ませた。
「おじさん、頑張って!」
出がけに紗英ちゃんはウインクしてそういった。
佳織を俺が狙ってると気づいたんだろう。
俺は苦笑して肩を竦めながら店を後にした。
「ところで今夜の宿は決まっているのかな?」
「あ、えっと、それは…。」
佳織が口籠る。
春香の情報通りなら多分部屋は取っていない。
急な出張の多い佳織は宿も現地調達する方だからだ。
ここで、口籠るということはやはり決めていないのだろう。
「まだなら俺のところに来るか?」
「はい?」
「実は玉造温泉に宿をとっているんだ。
君も一緒にどうだい?」
「い、いえ、そういう訳には…。」
「大丈夫だ。
そこは昔なじみの宿だからその辺は融通してくれる。」
どうしようか迷っていたようだが、佳織は俺の申し出を受けてくれた。
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――――――――玉造温泉――――――――
「あ、荷物はここに置いておくから。」
「はい…。」
毅が取ってくれた宿は奴の姉が女将を務める宿だった。
希望通りの離れになったており、古民家を移築した物だった。
勿論、温泉付き。
そのせいで佳織は呆気に取られている。
恐らく、宿泊費のことでも考えているのだろう。
俺だって三浦商事の役員を務める身だ。
これくらいはどうってことないってところを見せるにはちょうどいいか。
「どうする?」
「何がですか?」
「いや、だから、温泉入らないか?」
「お先にどうぞ。」
「あのなぁ、こういう時は一緒に…。」
「常務はまた殴られたいんですか?」
「い、いや、結構です。」
「じゃ、お先にどうぞ。」
調子に乗りすぎた。
佳織はニッコリほほ笑んでいるが、目が全然笑ってない。
仕方ないので、先に入ることにする。
で、入れ替わりで佳織が温泉に浸かる。
どうやら俺が襲ってくると警戒しているようだ。
とりあえず、一緒に温泉はまた今度にしよう。
俺は気持ちを切り替えて、夕食をフロントに確認することに…。
美味い酒を用意してもらうためだ。
女将がわざわざ出てきてくれて対応してくれる。
弟の幼馴染ということで融通を効かせてくれようとしたのだろう。
「雅君、あんたついてるわよ。
今日は『国暉』の大吟醸があるのよ!」
「『国暉』あるんですか?」
「つい、昨日仕入れたばかりよ」
「良かった。 地元の美味い酒が飲めるなんて。
あそこは宍道湖の湖畔に会社があるんでしたか。」
「そうそう、酒好きにはたまらないみたいよ。」
「じゃ、夕食にぜひそれをお願いします。」
予想外にいい酒が手に入り俺は喜び勇んで部屋へ戻った。
その後、部屋に運び込まれた夕食は日本海の海の幸に宍道湖特産のシジミの潮汁。
佳織は堪能してくれている。
食が進めば自然と酒も進むもの。
俺は少しづつではあるが、何度か『国暉』を注いでやる。
食事が終わるころには佳織は酔いつぶれ寝てしまっていた。
「あらあら…。 酔い潰しちゃったの?」
「はははは…。」
「まぁ、いいわ。 毅からは聞いてるし。」
「すみません。」
「で、明日の朝食はどうする?」
「えっと…。」
「なしにしとこうか?」
「いいんですか?」
「その娘さんのこと、朝まで離せると思えないもん。
ついでにチェックアウトも15時にしといてあげるわ。」
「あ、いや、それは…。」
「気にしない、気にしない…。
雅君、まだ子供いないんでしょ?
だったら今夜子作り頑張って!!」
女将はにこやかに後片付けをして去っていった。
俺は嬉しいやら恥ずかしいやらで何とも言えなかった。
それからすぐに俺は行動した。
佳織を抱きかかえ、奥のベッドルームに連れていく。
クイーンサイズのベッドにそっと降ろす。
一度深呼吸してから、彼女の浴衣の帯をほどく。
酔っているせいか、その肌はほんのり桜色に染まっている。
俺は震える手で浴衣を脱がせ、下着もすべて取り払う。
母から渡された帯締めで両手首を痕が残らない程度に縛り、ヘッドボードに括りつける。
自身も全裸になり、覆い被さる。
彼女の肌を余すことなく堪能する。
そして、柔らかな双丘の右の頂を口に含み転がし、左の頂は指でつまんで刺激する。
「うん…。」
その刺激に反応するように佳織が声を上げる。
だが、まだ起きる気配はない。
俺はそれに気をよくして、左手をわき腹から徐々に下へと這わせる。
やがて辿り着いた太腿をやわやわと撫で、足の付け根へ。
俺は無遠慮に彼女の秘裂に指を這わせ上下に擦る。
すぐにそこは蜜で潤い始める。
その事実に俺は興奮し、胸の頂から口を離すと彼女の足を開きそこに顔を埋めた。
それまでなぞっていた指に代わり舌を這わせ、ぷっくりと膨れた花芯を口に含み少し強めに吸い上げる。
「あうっ!」
その刺激に佳織の背が跳ねる。
そろそろ頃合いか…。
俺は彼女を起こすことにした。
「佳織…。」
彼女の名前を呼ぶ。まだ夢の中なのか。反応が鈍い。
「佳織、そろそろ目を覚ましてくれないか?」
彼女のまつげが震え始める。
どうやら覚醒が近いようだ。
「まだ気づかないのかい?」
俺は蜜で潤ったその秘裂に中指を差し込む。
そして、彼女があの時一番感じていた場所を中から擦ってやる。
「ほら、君のここはもう俺のことが欲しいって言ってる。」
もう一度、強く中を擦ると、彼女は完全に覚醒した。
そこで一旦指を抜く。
「え? 何、なんでこんなことに?」
「ようやくお目覚めかい?」
「常務!」
「ホントに君はお酒に弱い。」
「飲み慣れてないんです!」
「まぁ、おかげで俺はこうして押し倒せたわけだけど。」
そして、もう一度蜜で潤ったその場所に指を這わせ、秘裂に中指を突き入れる。
同時に親指の腹で花芯をぐりぐりと刺激してやった。
「んっ、はぁ…。」
「ああ、感じてるんな。
佳織のいい所はここだったよね?」
突き入れた中指をクッと曲げて感じやすい部分を責める。
「あぁぁっ!!」
中を抉るように刺激したせいで佳織が仰け反る。
そして、今の自分の置かれている状況に気付いたようだ。
「な、何で縛ってるんですか?!」
「うん? これかい?」
「解いてください。」
「嫌だ。」
「何でこんなことしてるんですか?!」
「逃げられたくないから。」
「はぁ?!」
「解いたらぶん殴って逃げるだろ?」
「…………。」
佳織が黙り込んだ。
そうだよね、君なら十中八九そうするよね。
だから、解かないよ。
そう目で訴えかける。
「無言は肯定とみなす。」
「分かりました。
逃げませんから解いてください。」
「断る。」
「だから、どうして、そうなるんですか?」
佳織は困惑気味に俺に尋ねる。
俺はため息を一つ吐いて、彼女に質問を始める。
「佳織…。 君、今いくつ?」
「へ? 42、ですけど…。」
「そうだな。 で、俺はいくつかな?」
「えっと…、52、でしたっけ?」
「正解。」
「それとこの状況ってどう…。」
「俺、子供がいないんだよ。」
「だから?」
「俺は君との子供が欲しいんだ。」
「はい?」
「つまり避妊しないで君を抱きたい。」
「ちょっ!」
「ほら、そうなるだろ?」
「だ、だからって!」
「これ以上時間をかけてたら君への負担が大きくなるばかりだ。
だから、このまま君を抱く。」
「私への同意はなしですか!」
彼女のその言葉に一瞬躊躇したが、それでも俺の意志は変わらない。
だから、目を細め薄く笑みを浮かべ問いただす。
「じゃ、聞くが君は俺のことが嫌い?」
「そ、それは…。」
「俺ね。 今回ちょっと願掛けしてたんだ。」
「願掛け?」
「君は知ってるかな? 千日回峰行者って…。」
「えっと…、確か数年かけて悟りを開く大変な修行に挑む僧侶、でしたっけ?」
「そう…。 彼らには失敗は許されない。
失敗は即、死を意味する。
だから、彼らは自害のために首には麻縄をかけ、腰には両刃の短剣を差してるんだ。」
「麻縄と短剣…。」
佳織の雰囲気が変わった気がした。
俺の覚悟のほどを感じてくれたのだろうか。
ゴクリと唾をのんだようだった。
「まぁ、俺のは真似事にすぎないけど。」
「真似事、ですか…。」
「そう、だから麻縄の代わりに帯締めを持って来たんだ。」
「はい?」
「そっちの方が艶があっていいだろう?」
「何ですか、それ?」
「で、話を戻そう。
君は俺のことをどう思ってる?」
「嫌い、じゃないです。」
「ふむ、それは好きってことでいいかな?」
「お好きなように解釈いただいて結構です。」
「では、そうさせてもらう。」
俺は佳織の足を開き、体を滑り込ませる。
そして潤った蜜壺に雄々しく立ち上がった熱杭をあてがう。
そして、一気に押し込む。
そこは久々に受け入れたのか狭く俺の物に絡みついてくる。
「キツイな…。 そんなに久しぶりだったのか?」
「いけませんか?」
「全然。」
俺は嬉しそうに笑ってやった。
どうやら、佳織は観念したようで俺の与える快楽にその身を任せることにしたようだ。
「佳織、いい加減名前で呼べ。」
「そ、そん、なこと、言われても…。」
俺は容赦なく佳織を揺さぶる。
室内には荒い息遣い、体のぶつかる音、そして卑猥な水音が響き渡る。
「佳織…。」
「あんっ…、ま、雅之、さん…。」
「フッ…、やっと呼んでくれた。」
名前を呼ばれただけで俺の心は温かくなる。
だからつい、笑みが零れてしまった。
その顔に佳織の中が反応して俺を占め上げる。
「佳織、それ、反則。」
「やん、だって…。」
「そんなことされたら、俺、我慢できない。」
俺は更に激しく揺さぶった。
佳織は一気に高みへと押し上げられたようで、ひときわ甲高い嬌声をあげ、果てた。
そして、俺も同時に果て、彼女の最も奥へとその熱を吐き出したのだった。
****************************************************************
――――――――翌朝――――――――
俺は佳織を縛っていた帯締めを解いた。
正直、殴られることを覚悟したのだが、彼女はそうはしなかった。
「雅之さん…。 兎に角そこへ座ってください。」
「はい…。」
俺は言われるままに胡坐をかいて座ろうとしたのだが…。
「だ・れ・が! 胡坐かいていいなんて言いました?」
「え?」
佳織さん、目がすごく怖いです。
「正座…、そこへ正座してください。」
「は、はい!」
俺は慌てて背筋を伸ばしベッドに正座した。
「いいですか!
同意もなしに生挿入して中出しなんて社会人としてのモラルを疑います!!」
「はい……。 申し訳ありません。」
「たとえ恋人同士だろうが、夫婦だろうがダメですから!!」
「あのぉ~、ど、同意があればいいのかな?」
「そ、それはお互いがそうしたいのなら…。」
「そうか…。 じゃ、今度からはそうする。」
「ホントですね。」
「約束します。」
俺は膝に手を置き真顔で答えた。
佳織は一つため息をつくと、呆れた顔で俺を見た。
「今回だけは許してあげます。
でも、次は絶対ありませんからね。」
「無論だ。 その時は佳織の同意を得るよ。」
「分かればいいんです。」
どうやらこれで佳織のお説教は終わりのようだ。
俺は正座を解いて、胡坐をかく。
これ以上正座してたら足が痺れて動けなくなるからだ。
そして、俺は真実を彼女に告げることにする。
「実は離婚自体は一年前に成立してたんだ。」
「ってことは…。」
「あの時…。 君に交際を申し込んだときにはすでに…。」
「マジですか?!」
「マジです。」
佳織が素っ頓狂な声を上げる。
そうなるよね、ちゃんと話してなくてごめんな。
「何で言わないんですか?!」
「言う前に、君が平手打ちかまして逃げたんじゃないか。」
「あ…。」
「まぁ、きちんと説明しなかった俺にも落ち度はある。」
「もう、そういうことは先に言ってください。
そうしたら、一年も無駄に過ごすことなかったのに…。」
「え?」
「不束者ですが、それでもよろしければ…。」
「いい! 俺は佳織がいいんだ!!!」
「そういうことなら、お受けします。」
「やった!!」
「ぎゃっ!!」
俺は嬉しさのあまり佳織を思いっきり抱きしめる。
そして彼女にキスをする。
「チェックアウトは15時にしてるから。」
「え?」
佳織が驚きの表情を作るが俺はお構いなしにベッドへ沈めた。
そこからは俺の独壇場。
押し倒した時には臨戦態勢だったので耳朶を食みながら『入れたい』と懇願すれば、佳織は折れてくれた。
そうして始まったのは抜かずの3回戦。
自分でも驚きである。
まさかこの歳になってもそんな元気が俺に合ったとは…。
当然、二人とも汗やら体液やらでベトベト。
なので、二人で温泉に浸かることに。
「やんっ、だ、ダメですって!」
「何で? 誰も見てないからいいだろ?」
「で、でも…。」
「俺はまだ、満足してないから…。」
そう言って俺は佳織を後ろから貫いた。
体を綺麗にするはずが、またしても汗まみれの体液まみれにしてしまった。
それを再び、お湯で洗い流し、俺たちは上がった。
流石にそこまでやりまくって疲れ果てた。
俺たちはそのまま抱き合って泥のように眠ってしまう。
気づいたのは14時過ぎだった。
それからすぐに着替えを済ませ宿をチェックアウト。
帰り際に女将に呼び止められて…。
「良かったわね。」
俺は肩を竦めてその場を後にした。
そのすぐ後、佳織から話しかけられる。
本当ならヘトヘトで話す元気もないはずだろうにそれができるということは彼女もそれなりに体力があるってことだろう。
「雅之さんってどうしてそんなに元気なんですか?」
不意に投げかけられて問いに俺は首を傾げる。
「うん? 鍛えてるから。」
「はぁ…。 ほんとにそれだけですか?」
「それだけ。」
俺のその答えに納得がいかないのか眉間に皺が寄っている。
すると今度は別の質問が飛んでくる。
「あの、聞いてもいいですか?」
「なんだい?」
「雅之さんの干支は?」
「辰」
何だろう…。
佳織が考え込んでいる。
「誕生日も聞いていいですか?」
「3月20日だ。 ついでに生まれたのは7:39.」
「…………。」
何故か、佳織が黙り込む。
物凄い勢いでスマホを操作し、調べ物をしているようだ。
暫くすると佳織はげんなりとして肩を落とした。
「だから雅之さんは絶倫なんですな…。」
佳織は謎の言葉を吐いて諦めたように納得した。
彼女がこの時何を調べたのか俺は知る由もない。
それを知るのはもう少し後のことである。
************************************************
これにて、雅之視点終了です。
お付き合いいただきありがとうございました。
お話が膨らんできましたので、次回からは『恋人編』として続編を書きたいと思います。
野田兄弟やら、パドックで佳織に声をかけた男やら、明かしてないことがちらほらありますし。
それを明らかにしながら二人のいちゃラブを掛けたらいいなぁ。
なんて思っています。
その前に子作りか?(笑)
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