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又左の憂鬱
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ここは尾張国。とある晴れた夏の日。派手な出立の一人の青年が土手に寝っ転がっている。隣には丁寧に手入れをされた槍が転がっていた。
「こんなとこにおられたか」
「誰だ、お前……」
「手前は草履取りの――」
「殿に仕える『猿』ってのはお前か?」
「酷い言われようでござる」
「俺にはそんな畏まって話すんじゃねぇ」
「とは言われましても……」
「俺は家督を継ぐなんて一言も言ってねぇ」
「前田殿……」
「兄上には慶次郎って立派なガキがいるんだ。 それを……」
「ですが、御館様の命なれば致し方ありますまい」
青年――前田又左衛門利家――はこの『猿』と呼ばれる男――木下藤吉郎――を睨み付けた。
又左は主の命が気に入らなかった。体の弱い長兄・利久は子を成すのが難しいのではと言われていた。それ故、何事にも無気力で生きている者に関心のない利久。そんな利久にも転機が訪れる。姻戚にあたる滝川家で出会った一人の女人だ。滝川益氏の側室であったその女人に心を奪われたのである。まるで人が変わったように利久は益氏ばかりか滝川の当主・一益にまで頭を下げて……。
その女人は既に益氏の子をその身に宿しており、それを理由に断った。それでも利久は食い下がり、とうとう腹の子共々手に入れたのだ。それからの利久は穏やかでありつつも生き生きとし、目には精気が戻っていた。生まれた子が男児であったことも拍車をかけた。
だが、その幸せを又左自身が握り潰すことになる。それは元服前の初陣での活躍と先の戦での活躍が原因だった。主君・信長に気に入られたのはいい。だが、それにより長兄・利久は前田を継ぐにふさわしくないと判断が下され、自分こそが相応しいとされたのは納得がいかなかった。
「前田殿は殿にお仕えするのが嫌なのですか?」
「嫌ではない……」
「なれば……」
「兄上に申し訳がないのよ」
「兄上様?」
「実子でなくとも妻が産んだ子を跡継ぎにと望まれておった」
「それは……」
「それが殿の一声で覆った」
「それがしにはようわかりませんが、そういうこともあるのではないでしょうか」
「俺は誰かの幸せを踏みにじってまで前田を継ぐ気はねぇ!!」
「前田殿!!」
又左は藤吉郎が止めるのを無視して槍を掴むと歩き出した。真っ赤な小袖を身に纏い、麻で結われた綱を帯代わりに締めたその姿は『傾奇者』と呼ぶにふさわしい。
整った顔立ちは町娘たちの目を引き秋波を送ってくる。だが、又左は我関せずと無視を決め込む。野党崩れの男たちはその眼光の鋭さに陰嚢を縮み上がらせ目を逸らす。
(やれやれ……)
又左はため息をつきたくなった。空を見上げると一羽の鷹が天高く舞っていた。旋回を繰り返しているのは獲物を探しているだろうか……。
(俺にも翼があればなぁ)
又左には我が物顔に大空を舞う鷹は『自由』の象徴であった。武士の家に生まれたからには【一所懸命】となってそれを守り抜く。昨今は『立身出世』と称して士官する者も増えているとか……。
彼にはそれがどうしても納得がいかなかった。利久の重荷を少しでも軽くできればと槍働きをすれば、逆に兄を苦しめる結果となる。
あの日、利久は又左を呼び出し告げた。
「其方が前田家を継ぐことになった」
その一言に又左は困惑する。後に続いて出たのは『体の弱い儂では前田の当主は相応しくない』との言葉。息ができなくなった。又左のなかで様々な感情がグルグルと回る。制御しきれない感情をどうにか抑えるように両の拳を血がにじむのではないかと言うほどにきつく握り締めた。
「それで慶次郎のことなのじゃが……」
その言葉にハッとなり顔を上げると、利久は寂しげな笑顔を浮かべながら告げる。
「滝川殿にお返ししようと思う」
「!!!」
「慶次郎がいたのではお前もやり難かろう……」
「兄上は……」
「ん?」
「兄上は、まこと、それで、よろしいので、ございますか?」
それは地を這うように低く、絞り出された声だった。利久は深いため息をつくと立ち上がり、庭に面した戸を開ける。そこには若い桜の木があった。慶次郎の誕生と引き換えに亡くなってしまった利久の妻が気に入っていた思い出の桜である。
「殿の命である。 儂はそれに従うしかない」
それは以前の何事にも無気力であった利久の顔だった。又左は居たたまれなくなり、その場を逃げるように飛び出したのだった。
(これからどうするか)
又左は当てもなく歩き続ける。すると、どこからか聞き覚えのある女の声がした。嫌な予感がしたが、声の主が知っている女であったならば放って置くわけにはいかない。そんなことをしたらどうなるか目に見えている。又左はため息とともに近づく。
「俺たちは何も取って食おうって訳じゃねぇんだ」
「なら、どういうご用件でございましょうか?」
「だからよぉ、ちぃっとばかし酌をしてくれねぇかって……」
二人の娘が野党崩れの男たちに絡まれている。一人は背が高くてりりしい面立ちで尼将軍もかくの如くかと男たちと渡り合っている。もう一人は彼女が背に隠してよく見えぬが可愛らしい風貌の娘だ。
「昼間っから酌をしろなどとぶしつけにもほどがあります!」
「なにぃぃ!! 女だと思って下手に出てりゃぁ!!」
「おめぇら、そのくらいにしとけ」
「あぁぁ?!」
男たちが一斉に振り返る。全員殺気立っていたが、又左の顔と手にした槍を見ていっぺんに青ざめる。
「あ……」
「又左様!!」
後ろに隠れていた娘が駆け寄ってくる。又左はため息つきながらももう一人の娘に目を向ける。が、逆に睨み返された。
「寧々殿、今日は一体何があったんだ?」
「えっと……」
「大したことじゃありませんよ」
「松、俺は寧々殿に聞いているんだ」
「おい、いつになったら女ぁ連れてくるんだ!!!」
奥からだみ声が聞こえてくる。恐らくは松たちに絡んできた男たちの頭なのであろう。体中から酒の匂いを纏わせている。又左は再びため息をつく。
「無理やり女に酌をさせて楽しいか?」
「あぁ?」
「ったく、女の口説き方も知らねぇとはな」
「小僧、俺を誰だかわかってるんだろうなぁ?!」
「知らねぇな。 野党崩れの小悪党の顔なんかな!」
又左は思いっきり頭突きをかました。男たちの頭がよろめいて後ろに倒れそうになる。
「御頭!!」
「このぉ、ガキが!!」
頭は額を抑えながら子分どもに顎で指示する。全員青ざめているが仕方なしに刀を抜く。そして、出鱈目に切りかかってきた。だが、小刻みに震えている男たちの刀が又左を捕らえることなの出来る筈もなくかわされていく。
「松。これ、持っとけ」
「え?」
「こんな奴らにもったいねぇから」
又左は手にした槍を松に預けると素手で男たちを相手にし始める。男たちは馬鹿にされたと思ったのか、顔を真っ赤にして切りかかってくる。だが、ヒラリヒラリとかわしては蹴りやら拳やらをぶち込んでいく。十人ほどいた男たちはアッという間に地を這いずり回る。
「で、オッサン一人になったけどどうする?」
「ぐぅぅぅぅぅ」
腐っても『頭』である。それなりに意地があったようで太刀を抜き、又左に切りかかってきた。
「又左!!」
見るに見かねて松が預かっていた槍を放り投げた。又左は一太刀目を鮮やかにかわし、槍を受け取る。そして、振り向きざま槍を突き出し、見事に頭の右目を抉った。
「うぎゃぁぁぁ!!!」
頭が刀を落として右目を抑える。
「お、御頭!!」
子分たちがわらわらと集まり始めた。そして、這う這うの体で頭を担ぎ上げその場を後にしたのだった。
「お、覚えてろよ!!」
締まりのない捨て台詞で去っていったのだった。
「やれやれ……」
又左は槍を振って穂先に付いた血糊を払い落とす。懐から懐紙を取り出して穂先を拭き取る。
「さすがは『槍の又左』ね」
「で、何だってあんな奴らに絡まれてたんだ?」
「二人で歩いてたら、『酌をしろ』って……」
「何だそれ……」
「昼間からかなり飲まれてたみたいで……」
又左はドッと疲れる。がっくりと項垂れ、ガシガシと頭を掻き毟った。
(仕方ねぇっちゃ仕方ねぇのかもなぁ)
松も寧々も雰囲気は違えど器量良しだ。そんな二人が連れ立って歩けば男たちが放っておくはずがない。とはいえ、片っ端から叩きのめそうとする松の胆力に又左は辟易する。
「しゃねぇな。 俺が送っていく」
「ありがとうございます」
そう言うと又左は二人を先導するように歩き始めるのだった。
「こんなとこにおられたか」
「誰だ、お前……」
「手前は草履取りの――」
「殿に仕える『猿』ってのはお前か?」
「酷い言われようでござる」
「俺にはそんな畏まって話すんじゃねぇ」
「とは言われましても……」
「俺は家督を継ぐなんて一言も言ってねぇ」
「前田殿……」
「兄上には慶次郎って立派なガキがいるんだ。 それを……」
「ですが、御館様の命なれば致し方ありますまい」
青年――前田又左衛門利家――はこの『猿』と呼ばれる男――木下藤吉郎――を睨み付けた。
又左は主の命が気に入らなかった。体の弱い長兄・利久は子を成すのが難しいのではと言われていた。それ故、何事にも無気力で生きている者に関心のない利久。そんな利久にも転機が訪れる。姻戚にあたる滝川家で出会った一人の女人だ。滝川益氏の側室であったその女人に心を奪われたのである。まるで人が変わったように利久は益氏ばかりか滝川の当主・一益にまで頭を下げて……。
その女人は既に益氏の子をその身に宿しており、それを理由に断った。それでも利久は食い下がり、とうとう腹の子共々手に入れたのだ。それからの利久は穏やかでありつつも生き生きとし、目には精気が戻っていた。生まれた子が男児であったことも拍車をかけた。
だが、その幸せを又左自身が握り潰すことになる。それは元服前の初陣での活躍と先の戦での活躍が原因だった。主君・信長に気に入られたのはいい。だが、それにより長兄・利久は前田を継ぐにふさわしくないと判断が下され、自分こそが相応しいとされたのは納得がいかなかった。
「前田殿は殿にお仕えするのが嫌なのですか?」
「嫌ではない……」
「なれば……」
「兄上に申し訳がないのよ」
「兄上様?」
「実子でなくとも妻が産んだ子を跡継ぎにと望まれておった」
「それは……」
「それが殿の一声で覆った」
「それがしにはようわかりませんが、そういうこともあるのではないでしょうか」
「俺は誰かの幸せを踏みにじってまで前田を継ぐ気はねぇ!!」
「前田殿!!」
又左は藤吉郎が止めるのを無視して槍を掴むと歩き出した。真っ赤な小袖を身に纏い、麻で結われた綱を帯代わりに締めたその姿は『傾奇者』と呼ぶにふさわしい。
整った顔立ちは町娘たちの目を引き秋波を送ってくる。だが、又左は我関せずと無視を決め込む。野党崩れの男たちはその眼光の鋭さに陰嚢を縮み上がらせ目を逸らす。
(やれやれ……)
又左はため息をつきたくなった。空を見上げると一羽の鷹が天高く舞っていた。旋回を繰り返しているのは獲物を探しているだろうか……。
(俺にも翼があればなぁ)
又左には我が物顔に大空を舞う鷹は『自由』の象徴であった。武士の家に生まれたからには【一所懸命】となってそれを守り抜く。昨今は『立身出世』と称して士官する者も増えているとか……。
彼にはそれがどうしても納得がいかなかった。利久の重荷を少しでも軽くできればと槍働きをすれば、逆に兄を苦しめる結果となる。
あの日、利久は又左を呼び出し告げた。
「其方が前田家を継ぐことになった」
その一言に又左は困惑する。後に続いて出たのは『体の弱い儂では前田の当主は相応しくない』との言葉。息ができなくなった。又左のなかで様々な感情がグルグルと回る。制御しきれない感情をどうにか抑えるように両の拳を血がにじむのではないかと言うほどにきつく握り締めた。
「それで慶次郎のことなのじゃが……」
その言葉にハッとなり顔を上げると、利久は寂しげな笑顔を浮かべながら告げる。
「滝川殿にお返ししようと思う」
「!!!」
「慶次郎がいたのではお前もやり難かろう……」
「兄上は……」
「ん?」
「兄上は、まこと、それで、よろしいので、ございますか?」
それは地を這うように低く、絞り出された声だった。利久は深いため息をつくと立ち上がり、庭に面した戸を開ける。そこには若い桜の木があった。慶次郎の誕生と引き換えに亡くなってしまった利久の妻が気に入っていた思い出の桜である。
「殿の命である。 儂はそれに従うしかない」
それは以前の何事にも無気力であった利久の顔だった。又左は居たたまれなくなり、その場を逃げるように飛び出したのだった。
(これからどうするか)
又左は当てもなく歩き続ける。すると、どこからか聞き覚えのある女の声がした。嫌な予感がしたが、声の主が知っている女であったならば放って置くわけにはいかない。そんなことをしたらどうなるか目に見えている。又左はため息とともに近づく。
「俺たちは何も取って食おうって訳じゃねぇんだ」
「なら、どういうご用件でございましょうか?」
「だからよぉ、ちぃっとばかし酌をしてくれねぇかって……」
二人の娘が野党崩れの男たちに絡まれている。一人は背が高くてりりしい面立ちで尼将軍もかくの如くかと男たちと渡り合っている。もう一人は彼女が背に隠してよく見えぬが可愛らしい風貌の娘だ。
「昼間っから酌をしろなどとぶしつけにもほどがあります!」
「なにぃぃ!! 女だと思って下手に出てりゃぁ!!」
「おめぇら、そのくらいにしとけ」
「あぁぁ?!」
男たちが一斉に振り返る。全員殺気立っていたが、又左の顔と手にした槍を見ていっぺんに青ざめる。
「あ……」
「又左様!!」
後ろに隠れていた娘が駆け寄ってくる。又左はため息つきながらももう一人の娘に目を向ける。が、逆に睨み返された。
「寧々殿、今日は一体何があったんだ?」
「えっと……」
「大したことじゃありませんよ」
「松、俺は寧々殿に聞いているんだ」
「おい、いつになったら女ぁ連れてくるんだ!!!」
奥からだみ声が聞こえてくる。恐らくは松たちに絡んできた男たちの頭なのであろう。体中から酒の匂いを纏わせている。又左は再びため息をつく。
「無理やり女に酌をさせて楽しいか?」
「あぁ?」
「ったく、女の口説き方も知らねぇとはな」
「小僧、俺を誰だかわかってるんだろうなぁ?!」
「知らねぇな。 野党崩れの小悪党の顔なんかな!」
又左は思いっきり頭突きをかました。男たちの頭がよろめいて後ろに倒れそうになる。
「御頭!!」
「このぉ、ガキが!!」
頭は額を抑えながら子分どもに顎で指示する。全員青ざめているが仕方なしに刀を抜く。そして、出鱈目に切りかかってきた。だが、小刻みに震えている男たちの刀が又左を捕らえることなの出来る筈もなくかわされていく。
「松。これ、持っとけ」
「え?」
「こんな奴らにもったいねぇから」
又左は手にした槍を松に預けると素手で男たちを相手にし始める。男たちは馬鹿にされたと思ったのか、顔を真っ赤にして切りかかってくる。だが、ヒラリヒラリとかわしては蹴りやら拳やらをぶち込んでいく。十人ほどいた男たちはアッという間に地を這いずり回る。
「で、オッサン一人になったけどどうする?」
「ぐぅぅぅぅぅ」
腐っても『頭』である。それなりに意地があったようで太刀を抜き、又左に切りかかってきた。
「又左!!」
見るに見かねて松が預かっていた槍を放り投げた。又左は一太刀目を鮮やかにかわし、槍を受け取る。そして、振り向きざま槍を突き出し、見事に頭の右目を抉った。
「うぎゃぁぁぁ!!!」
頭が刀を落として右目を抑える。
「お、御頭!!」
子分たちがわらわらと集まり始めた。そして、這う這うの体で頭を担ぎ上げその場を後にしたのだった。
「お、覚えてろよ!!」
締まりのない捨て台詞で去っていったのだった。
「やれやれ……」
又左は槍を振って穂先に付いた血糊を払い落とす。懐から懐紙を取り出して穂先を拭き取る。
「さすがは『槍の又左』ね」
「で、何だってあんな奴らに絡まれてたんだ?」
「二人で歩いてたら、『酌をしろ』って……」
「何だそれ……」
「昼間からかなり飲まれてたみたいで……」
又左はドッと疲れる。がっくりと項垂れ、ガシガシと頭を掻き毟った。
(仕方ねぇっちゃ仕方ねぇのかもなぁ)
松も寧々も雰囲気は違えど器量良しだ。そんな二人が連れ立って歩けば男たちが放っておくはずがない。とはいえ、片っ端から叩きのめそうとする松の胆力に又左は辟易する。
「しゃねぇな。 俺が送っていく」
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