369 / 415
『両手に花』
しおりを挟む
『両手に花』
「あ、あの!?」
「もうダイスは振ったでしょ?」
オレはとぼける。焦らすように。
「え、いや、京センパイ、ウチとショーコ、同じ数なんで……」
薫ちゃんのセリフにオレはすっとぼけ顔で首をかしげた。
「なんだ。てっきり同じ数の時は王様が二人になるのかなって思ったよ。もしかして王様と従者は一人ずつじゃないとダメなのかな?」
オレの言葉を一瞬、理解できなかったのか、二人がキョトンとする。
オレはわざとらしくカードの入っていた箱に手を伸ばした。
「ルールブックってこの中に入ってる?」
ユリちゃんが風になり、寸前でオレの前から箱を奪い去って制服の下から胸の谷間に箱を突っ込んだ。
「あ、あー、あっ! そうでした、そうでした! 王様は二人でも三人でもなれるんですよ!」
ショーコちゃんが大きな声で笑う。
薫ちゃんはいかに?
チラチラとカードを見ている。
もともと、手を繋ぎたい、それだけのために先輩を冗談交じりとは言え脅すような真似までしてきた子だ。
「……そ、そうなんスよ! というわけで、今回はウチら二人が王様ってコトでッ!」
落ちた。
オレを自分だけで独り占めしたいという独占欲より、目の前にぶらさげられたスケベアクションに食いついた。
欲望に素直なのは良い事です。
「そっか。じゃあ始めようか? 二人とも、おいで?」
オレがソファに深く腰掛けながら、それぞれを迎えるように両手を広げる。
「し、失礼します!」
右から丸イスをソファにくっつけながらショーコちゃんがオレの右手の中に納まった。
おそるおそるといったふうに身を寄せたショーコちゃん。
オレは少し笑って。
「もっとコッチに」
「はひっ!」
と言って強く抱き寄せる。
夏木さんほどではないが、長い髪がオレの頬を撫でる。ふわりとフレグランスが香る。
「ん? ショーコちゃん香水つけてる?」
「あ、えと……その、キツすぎました?」
ユリちゃんが小声で「タバコの匂い消しなんで強めなんです」と言った。
オレは……つい、嫌悪感を顔に出してしまった。
正直な話、タバコの匂いはあまり好きではない。
仕事のストレスで吸っていた頃を思い出すし、そもそも女性がタバコを吸うことにも否定的な考えを持っている。
男がタバコのせいで肺がんになるのはどうでもいいが、女の人は子供の事もあるし、特にこの世界では出産を望む女性が多いように思えるから余計にそう思う。
「あ、すんません、京君サン、タバコ、お嫌いですか……」
「そうだね。あまり好きじゃないかな?」
「で、ですよねー……」
それまでの盛り上がりも掻き消えたショーコちゃんが、遠慮するように体を離そうとする。
ふと薫ちゃんを見る。
するとこちらは泣きそうになっている。
薫ちゃんも吸うようだ。
夏木さんは吸ってなかったけど、不良娘の面目躍如? か。
んー……。
よし。申し訳ないが、薫ちゃんには禁煙してもらうことにしよう。
なんでって?
キスした時にタバコの匂いがすると興ざめだから。つまりオレの都合、オレのわがまま。
「薫ちゃん、ショーコちゃん」
オレはカードを見せながら言ってみる。
「ボクね。女の子の甘い香りってすごく好きなんだよね。ボクの為に禁煙する気はある? もちろんボクがお願いしてる事だし、もし聞いてくれたらお返しもするつもりだけど。ちょっと刺激的な、ね? もし他にも吸ってる子がいたら、一緒にどうかな?」
オレのわがままを聞いてもらう以上、ギブにはテイクで返すのが筋だ。
オレが王様ゲームを続行すると知って、二人は顔をあげて喜んだ。
しかも禁煙すれば、エッチっぽいお返しが待つとなれば。
『します!』
お年頃の乙女(肉食系)がうなずいた。
ちなみに双子ちゃん達は吸っていないようだったが、ショーコちゃんが「こいつらは飲兵衛です」と言っていた。まぁ、お酒なら……良くはないけほどほどにね。
「ふふ、ありがと。じゃあお礼の話はちゃんと禁煙できた時にするとして、今はコレ、やってみよっか?」
『お願いします!』
オレは体を離しかけていたショーコちゃんを右手で抱き寄せ、体を小さくしていた薫ちゃんの腕をとると、やや強引に引き寄せて左腕の中に捕まえる。
「ふぁっ」
「はひゃ」
ショーコちゃんの肩に手を回す。
小柄な薫ちゃんはすっぽりとオレの胸の中におさまった。
「まずはショーコちゃんからね」
「ッ! お願い、します!」
暗くなった室内。
右手で捕まえていたショーコちゃんの肩をさらに引き寄せた。
「え?」
オレの胸の中にスッポリと収まるショーコちゃん。
位置的にいえば、オレがショーコちゃんの左耳にキスをすると思っていたのだろう。
だがそんなもったいない事はしない。
オレはそのままショーコちゃんをさらに抱き寄せるようにして、オレのヒザの上に誘導する。
つまりは膝枕だ。
プリン色の髪がオレのスボンの上に広がった。
それを見下ろす薫ちゃんと、ちょっとキツめの姿勢のまま見上げるショーコちゃんの視線が合う。
「え、えっと」
「京センパイ、あの、これって」
なんでこんな恰好に? としいう疑問にオレは答えず、こう言った。
「はい、顔、横に向けて?」
オレは眼下に転がった顔を横に向ける。上にしたのは左耳。
つまりショーコちゃんの眼前には、オレのズボン、それも股間部分が間近にある事だろう。
「ッ!?」
ショーコちゃんが硬直した。
オレはショーコちゃんの頭が乗ったヒザを少し上げて右耳へ唇を寄せて、そのかわいい耳たぶにキスをする。
「あっあっ!」
ショーコちゃんが叫ぶ。
オレはそのまま耳たぶを口の中に入れた。
「いいいいいい!?」
バタバタとショーコちゃんが悶え始める。
アクションカードは『肩を抱き寄せながら耳たぶにキス』だ。
ただしどんなキスかは指定されていない。
オレは暴れ始めたショーコちゃんの肩を強く掴み、動けないようにする。
口の中の耳たぶを甘噛みしながら、舌先でチロチロと舐め続けた。
「あっあ、あっあんっ!」
ショーコちゃんがビクンビクンと跳ねるものの、それもしだいに弱くなっていく。
十秒ほど堪能したところで。
「はい、おしまい」
「あっ……はっふっ……」
ひざの上で動かなくなったショーコちゃんを「しょ、ショーコ?」と、奥の席のユリちゃんが抱き上げた。
「はい。じゃ次、薫ちゃんね?」
「あ、あの!?」
「もうダイスは振ったでしょ?」
オレはとぼける。焦らすように。
「え、いや、京センパイ、ウチとショーコ、同じ数なんで……」
薫ちゃんのセリフにオレはすっとぼけ顔で首をかしげた。
「なんだ。てっきり同じ数の時は王様が二人になるのかなって思ったよ。もしかして王様と従者は一人ずつじゃないとダメなのかな?」
オレの言葉を一瞬、理解できなかったのか、二人がキョトンとする。
オレはわざとらしくカードの入っていた箱に手を伸ばした。
「ルールブックってこの中に入ってる?」
ユリちゃんが風になり、寸前でオレの前から箱を奪い去って制服の下から胸の谷間に箱を突っ込んだ。
「あ、あー、あっ! そうでした、そうでした! 王様は二人でも三人でもなれるんですよ!」
ショーコちゃんが大きな声で笑う。
薫ちゃんはいかに?
チラチラとカードを見ている。
もともと、手を繋ぎたい、それだけのために先輩を冗談交じりとは言え脅すような真似までしてきた子だ。
「……そ、そうなんスよ! というわけで、今回はウチら二人が王様ってコトでッ!」
落ちた。
オレを自分だけで独り占めしたいという独占欲より、目の前にぶらさげられたスケベアクションに食いついた。
欲望に素直なのは良い事です。
「そっか。じゃあ始めようか? 二人とも、おいで?」
オレがソファに深く腰掛けながら、それぞれを迎えるように両手を広げる。
「し、失礼します!」
右から丸イスをソファにくっつけながらショーコちゃんがオレの右手の中に納まった。
おそるおそるといったふうに身を寄せたショーコちゃん。
オレは少し笑って。
「もっとコッチに」
「はひっ!」
と言って強く抱き寄せる。
夏木さんほどではないが、長い髪がオレの頬を撫でる。ふわりとフレグランスが香る。
「ん? ショーコちゃん香水つけてる?」
「あ、えと……その、キツすぎました?」
ユリちゃんが小声で「タバコの匂い消しなんで強めなんです」と言った。
オレは……つい、嫌悪感を顔に出してしまった。
正直な話、タバコの匂いはあまり好きではない。
仕事のストレスで吸っていた頃を思い出すし、そもそも女性がタバコを吸うことにも否定的な考えを持っている。
男がタバコのせいで肺がんになるのはどうでもいいが、女の人は子供の事もあるし、特にこの世界では出産を望む女性が多いように思えるから余計にそう思う。
「あ、すんません、京君サン、タバコ、お嫌いですか……」
「そうだね。あまり好きじゃないかな?」
「で、ですよねー……」
それまでの盛り上がりも掻き消えたショーコちゃんが、遠慮するように体を離そうとする。
ふと薫ちゃんを見る。
するとこちらは泣きそうになっている。
薫ちゃんも吸うようだ。
夏木さんは吸ってなかったけど、不良娘の面目躍如? か。
んー……。
よし。申し訳ないが、薫ちゃんには禁煙してもらうことにしよう。
なんでって?
キスした時にタバコの匂いがすると興ざめだから。つまりオレの都合、オレのわがまま。
「薫ちゃん、ショーコちゃん」
オレはカードを見せながら言ってみる。
「ボクね。女の子の甘い香りってすごく好きなんだよね。ボクの為に禁煙する気はある? もちろんボクがお願いしてる事だし、もし聞いてくれたらお返しもするつもりだけど。ちょっと刺激的な、ね? もし他にも吸ってる子がいたら、一緒にどうかな?」
オレのわがままを聞いてもらう以上、ギブにはテイクで返すのが筋だ。
オレが王様ゲームを続行すると知って、二人は顔をあげて喜んだ。
しかも禁煙すれば、エッチっぽいお返しが待つとなれば。
『します!』
お年頃の乙女(肉食系)がうなずいた。
ちなみに双子ちゃん達は吸っていないようだったが、ショーコちゃんが「こいつらは飲兵衛です」と言っていた。まぁ、お酒なら……良くはないけほどほどにね。
「ふふ、ありがと。じゃあお礼の話はちゃんと禁煙できた時にするとして、今はコレ、やってみよっか?」
『お願いします!』
オレは体を離しかけていたショーコちゃんを右手で抱き寄せ、体を小さくしていた薫ちゃんの腕をとると、やや強引に引き寄せて左腕の中に捕まえる。
「ふぁっ」
「はひゃ」
ショーコちゃんの肩に手を回す。
小柄な薫ちゃんはすっぽりとオレの胸の中におさまった。
「まずはショーコちゃんからね」
「ッ! お願い、します!」
暗くなった室内。
右手で捕まえていたショーコちゃんの肩をさらに引き寄せた。
「え?」
オレの胸の中にスッポリと収まるショーコちゃん。
位置的にいえば、オレがショーコちゃんの左耳にキスをすると思っていたのだろう。
だがそんなもったいない事はしない。
オレはそのままショーコちゃんをさらに抱き寄せるようにして、オレのヒザの上に誘導する。
つまりは膝枕だ。
プリン色の髪がオレのスボンの上に広がった。
それを見下ろす薫ちゃんと、ちょっとキツめの姿勢のまま見上げるショーコちゃんの視線が合う。
「え、えっと」
「京センパイ、あの、これって」
なんでこんな恰好に? としいう疑問にオレは答えず、こう言った。
「はい、顔、横に向けて?」
オレは眼下に転がった顔を横に向ける。上にしたのは左耳。
つまりショーコちゃんの眼前には、オレのズボン、それも股間部分が間近にある事だろう。
「ッ!?」
ショーコちゃんが硬直した。
オレはショーコちゃんの頭が乗ったヒザを少し上げて右耳へ唇を寄せて、そのかわいい耳たぶにキスをする。
「あっあっ!」
ショーコちゃんが叫ぶ。
オレはそのまま耳たぶを口の中に入れた。
「いいいいいい!?」
バタバタとショーコちゃんが悶え始める。
アクションカードは『肩を抱き寄せながら耳たぶにキス』だ。
ただしどんなキスかは指定されていない。
オレは暴れ始めたショーコちゃんの肩を強く掴み、動けないようにする。
口の中の耳たぶを甘噛みしながら、舌先でチロチロと舐め続けた。
「あっあ、あっあんっ!」
ショーコちゃんがビクンビクンと跳ねるものの、それもしだいに弱くなっていく。
十秒ほど堪能したところで。
「はい、おしまい」
「あっ……はっふっ……」
ひざの上で動かなくなったショーコちゃんを「しょ、ショーコ?」と、奥の席のユリちゃんが抱き上げた。
「はい。じゃ次、薫ちゃんね?」
42
お気に入りに追加
893
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
転生したら男女逆転世界
美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。
※カクヨム様にも掲載しております


転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる