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『うるわしき大根畑』
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『うるわしき大根畑』
「あ」
薫ちゃんの小さな声。
コーヒーフロートに浮かぶ、溶けかけたアイスが小さなスプーンから零れ落ちた。
スカートに小さな染みを作る。
「あーあー、ほれ、はよ拭け」
ショーコちゃんがからかうようにしつつも、テーブルの上にあった紙ナプキンを何枚か薫ちゃんに手渡す。
「サンキュ」
自然な流れで薫ちゃんがスカートを持ち上げて、染みを作った場所を紙ナプキンで挟み込んで、ボンポンと叩きだした。
それ自体はおかしい事ではない。
早くしないと紺色のスカートとはいえ、取れない染みになってしまうかもしれない。
だが考えて欲しい。
ただでさえ無防備ながらも、かろうじて影に隠されていた桃源郷。
今、そのベールを解かれた。
桃源郷の名に恥じないピンク色のパンツがあらわになったのだ。
「あ、カ、カオル!」
「なんだよ……あっ」
オレの視線にようやく気付いた薫ちゃんがバッとスカートを戻す。
桃源郷は再び手の届かない場所へと帰ってしまった。
それは別に恥ずかしいなどではなく、男にそんなものを見せてしはセクハラになるからだ。
胸を押し付けておいて今さら? とも思ったが、どのへんがセーフで、どのあたりがアウトなのかというはオレもよくわかっていない。
よって、オレはテーブルの紙ナプキンを手に取った。
「どうしたの薫ちゃん? 早く拭かないと」
オレは自然を装ってスカートに染みに紙ナプキンを当てて押すように拭く。
薫ちゃんの弾力ある太ももの感触が実に良い。
さすがにオレ自らスカートを持ち上げる事は避けたが、薫ちゃんの今の行動はセクハラに当たらないと遠回しに答え合わせをしておく。
すると。
「そ、そうッスね」
と、薫ちゃんは再び、だがオレの顔色をうかがいつつスカートのすそを持ち上げる。
オレが特に気にしていない風を装うと。
「う、うわー、しみがー、とれないなー」
さっきよりも大胆にスカートを持ち上げた。
おかえり、桃源郷。
オレの桃色片思いが両想いになった時。
「あっ」
「あっ」
「あっ」
ショーコちゃんたち三人の声がハモった。
何事かと見れば、全員のスカートにアイスクリームが垂れていた。
「あー、アタシもドジだなー、あー、シミになるなー」
「あー、たいへんー」
「あー、たいへーん」
そろって大根役者である。
具体的には、八本の美味しそうな大根(オレからすれば誉め言葉だ)を持つ女優さんたちだ。
オレはそんな大根畑の中、心中でスタンディングオベーションを贈った。
薫ちゃんの桃色、ショーコちゃんの黒、純白と青白縦縞ストライプのコンビネーション。
ショーコちゃん、進んでおりますね?
「ふふ。みんな、うっかりさんだね?」
オレはパタパタと花咲くミニスカートを堪能する。
そんなトラブル? を挟みながらも、四人はそれぞれの近況なんかを話しながら、オレと歌を歌い、飲んだり食べたりと実に楽しそうだ。
そして人は食べて飲めば出す生き物だ。
「ちょ、ちょっと……失礼しまス……エリ! そこから動くなよ!」
柔らかな重力にとらわれていた左肩が軽くなる。
薫ちゃんが席を立った。
おトイレですかね。
「……あ、待て、カオル。アタシも一緒に行く! ユリ、そっから動くなよ!?」
ショーコちゃんも同時に立ち上がった。
この世界でも女子同士は連れだってトイレに行くようだ。
二人が部屋を出ていくなり。
「京クン」
「京クン」
ステレオでオレを呼ぶ声。
左からL字ソファの上を四つん這いになり、おさげを揺らしながらにじり寄ってくるエリちゃん。
服の首元から胸の谷間がのぞく。
右ではショーコちゃんがそれまで座ってい丸椅子へ移動し、またぐように足を開いて座りなおしたユリちゃん。
青白のストライプが美しい三角を見せつけてくる。
二人の目はさきほどまでと違って鋭く、そして艶めかしい。
「おやおや、二人ともどうしたの?」
「ふふ」
「うふふ」
どうやら双子ちゃんは鋭い牙を隠していたようだ。
これまでの一歩引いたような態度は擬態だったとは、実に恐れ入る。
この魔眼を持っても見破れないとは。
「京クン、カオルが気に入ってるんですか?」
エリちゃんがオレの足に手をそえた。おさげがオレの首元をくすぐるように揺れる。
この世界において間違いなくセクハラに類するものだと思うが、今までのオレの態度からイケると踏んだのだろう。冷静でそれでいて大胆な判断力。
「京クン、年下が好きなんですか?」
ユリちゃんがツインテの片方を持って、オレの頬をなぞった。
年下と思えないほどに妖艶な手管にオレは驚く。
「お試し、とかどうですか?」
「薫とショーコには内緒にしておきますから」
据え膳食わねばとはいうものの、この世界での膳はオレの方だ。
前世で言えば、先輩女子を敬語で攻め落としていく双子の肉食系男子後輩、というシチュエーションか。
いいね、実にいい。
二人が戻るまで、少しお相手してもらおう。
「ふうん?」
オレは少し笑って眼鏡をはずして胸ポケットに入れた。
---
いつもエールを送ってくださる方、ありがとうございます!
広告再生という面倒なお手間まで頂いての応援、とても嬉しいです。
ちなみにシマ先輩再登場回がトップです( ゚Д゚)ヒロイン?
「あ」
薫ちゃんの小さな声。
コーヒーフロートに浮かぶ、溶けかけたアイスが小さなスプーンから零れ落ちた。
スカートに小さな染みを作る。
「あーあー、ほれ、はよ拭け」
ショーコちゃんがからかうようにしつつも、テーブルの上にあった紙ナプキンを何枚か薫ちゃんに手渡す。
「サンキュ」
自然な流れで薫ちゃんがスカートを持ち上げて、染みを作った場所を紙ナプキンで挟み込んで、ボンポンと叩きだした。
それ自体はおかしい事ではない。
早くしないと紺色のスカートとはいえ、取れない染みになってしまうかもしれない。
だが考えて欲しい。
ただでさえ無防備ながらも、かろうじて影に隠されていた桃源郷。
今、そのベールを解かれた。
桃源郷の名に恥じないピンク色のパンツがあらわになったのだ。
「あ、カ、カオル!」
「なんだよ……あっ」
オレの視線にようやく気付いた薫ちゃんがバッとスカートを戻す。
桃源郷は再び手の届かない場所へと帰ってしまった。
それは別に恥ずかしいなどではなく、男にそんなものを見せてしはセクハラになるからだ。
胸を押し付けておいて今さら? とも思ったが、どのへんがセーフで、どのあたりがアウトなのかというはオレもよくわかっていない。
よって、オレはテーブルの紙ナプキンを手に取った。
「どうしたの薫ちゃん? 早く拭かないと」
オレは自然を装ってスカートに染みに紙ナプキンを当てて押すように拭く。
薫ちゃんの弾力ある太ももの感触が実に良い。
さすがにオレ自らスカートを持ち上げる事は避けたが、薫ちゃんの今の行動はセクハラに当たらないと遠回しに答え合わせをしておく。
すると。
「そ、そうッスね」
と、薫ちゃんは再び、だがオレの顔色をうかがいつつスカートのすそを持ち上げる。
オレが特に気にしていない風を装うと。
「う、うわー、しみがー、とれないなー」
さっきよりも大胆にスカートを持ち上げた。
おかえり、桃源郷。
オレの桃色片思いが両想いになった時。
「あっ」
「あっ」
「あっ」
ショーコちゃんたち三人の声がハモった。
何事かと見れば、全員のスカートにアイスクリームが垂れていた。
「あー、アタシもドジだなー、あー、シミになるなー」
「あー、たいへんー」
「あー、たいへーん」
そろって大根役者である。
具体的には、八本の美味しそうな大根(オレからすれば誉め言葉だ)を持つ女優さんたちだ。
オレはそんな大根畑の中、心中でスタンディングオベーションを贈った。
薫ちゃんの桃色、ショーコちゃんの黒、純白と青白縦縞ストライプのコンビネーション。
ショーコちゃん、進んでおりますね?
「ふふ。みんな、うっかりさんだね?」
オレはパタパタと花咲くミニスカートを堪能する。
そんなトラブル? を挟みながらも、四人はそれぞれの近況なんかを話しながら、オレと歌を歌い、飲んだり食べたりと実に楽しそうだ。
そして人は食べて飲めば出す生き物だ。
「ちょ、ちょっと……失礼しまス……エリ! そこから動くなよ!」
柔らかな重力にとらわれていた左肩が軽くなる。
薫ちゃんが席を立った。
おトイレですかね。
「……あ、待て、カオル。アタシも一緒に行く! ユリ、そっから動くなよ!?」
ショーコちゃんも同時に立ち上がった。
この世界でも女子同士は連れだってトイレに行くようだ。
二人が部屋を出ていくなり。
「京クン」
「京クン」
ステレオでオレを呼ぶ声。
左からL字ソファの上を四つん這いになり、おさげを揺らしながらにじり寄ってくるエリちゃん。
服の首元から胸の谷間がのぞく。
右ではショーコちゃんがそれまで座ってい丸椅子へ移動し、またぐように足を開いて座りなおしたユリちゃん。
青白のストライプが美しい三角を見せつけてくる。
二人の目はさきほどまでと違って鋭く、そして艶めかしい。
「おやおや、二人ともどうしたの?」
「ふふ」
「うふふ」
どうやら双子ちゃんは鋭い牙を隠していたようだ。
これまでの一歩引いたような態度は擬態だったとは、実に恐れ入る。
この魔眼を持っても見破れないとは。
「京クン、カオルが気に入ってるんですか?」
エリちゃんがオレの足に手をそえた。おさげがオレの首元をくすぐるように揺れる。
この世界において間違いなくセクハラに類するものだと思うが、今までのオレの態度からイケると踏んだのだろう。冷静でそれでいて大胆な判断力。
「京クン、年下が好きなんですか?」
ユリちゃんがツインテの片方を持って、オレの頬をなぞった。
年下と思えないほどに妖艶な手管にオレは驚く。
「お試し、とかどうですか?」
「薫とショーコには内緒にしておきますから」
据え膳食わねばとはいうものの、この世界での膳はオレの方だ。
前世で言えば、先輩女子を敬語で攻め落としていく双子の肉食系男子後輩、というシチュエーションか。
いいね、実にいい。
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「ふうん?」
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