363 / 415
『うるわしき大根畑』
しおりを挟む
『うるわしき大根畑』
「あ」
薫ちゃんの小さな声。
コーヒーフロートに浮かぶ、溶けかけたアイスが小さなスプーンから零れ落ちた。
スカートに小さな染みを作る。
「あーあー、ほれ、はよ拭け」
ショーコちゃんがからかうようにしつつも、テーブルの上にあった紙ナプキンを何枚か薫ちゃんに手渡す。
「サンキュ」
自然な流れで薫ちゃんがスカートを持ち上げて、染みを作った場所を紙ナプキンで挟み込んで、ボンポンと叩きだした。
それ自体はおかしい事ではない。
早くしないと紺色のスカートとはいえ、取れない染みになってしまうかもしれない。
だが考えて欲しい。
ただでさえ無防備ながらも、かろうじて影に隠されていた桃源郷。
今、そのベールを解かれた。
桃源郷の名に恥じないピンク色のパンツがあらわになったのだ。
「あ、カ、カオル!」
「なんだよ……あっ」
オレの視線にようやく気付いた薫ちゃんがバッとスカートを戻す。
桃源郷は再び手の届かない場所へと帰ってしまった。
それは別に恥ずかしいなどではなく、男にそんなものを見せてしはセクハラになるからだ。
胸を押し付けておいて今さら? とも思ったが、どのへんがセーフで、どのあたりがアウトなのかというはオレもよくわかっていない。
よって、オレはテーブルの紙ナプキンを手に取った。
「どうしたの薫ちゃん? 早く拭かないと」
オレは自然を装ってスカートに染みに紙ナプキンを当てて押すように拭く。
薫ちゃんの弾力ある太ももの感触が実に良い。
さすがにオレ自らスカートを持ち上げる事は避けたが、薫ちゃんの今の行動はセクハラに当たらないと遠回しに答え合わせをしておく。
すると。
「そ、そうッスね」
と、薫ちゃんは再び、だがオレの顔色をうかがいつつスカートのすそを持ち上げる。
オレが特に気にしていない風を装うと。
「う、うわー、しみがー、とれないなー」
さっきよりも大胆にスカートを持ち上げた。
おかえり、桃源郷。
オレの桃色片思いが両想いになった時。
「あっ」
「あっ」
「あっ」
ショーコちゃんたち三人の声がハモった。
何事かと見れば、全員のスカートにアイスクリームが垂れていた。
「あー、アタシもドジだなー、あー、シミになるなー」
「あー、たいへんー」
「あー、たいへーん」
そろって大根役者である。
具体的には、八本の美味しそうな大根(オレからすれば誉め言葉だ)を持つ女優さんたちだ。
オレはそんな大根畑の中、心中でスタンディングオベーションを贈った。
薫ちゃんの桃色、ショーコちゃんの黒、純白と青白縦縞ストライプのコンビネーション。
ショーコちゃん、進んでおりますね?
「ふふ。みんな、うっかりさんだね?」
オレはパタパタと花咲くミニスカートを堪能する。
そんなトラブル? を挟みながらも、四人はそれぞれの近況なんかを話しながら、オレと歌を歌い、飲んだり食べたりと実に楽しそうだ。
そして人は食べて飲めば出す生き物だ。
「ちょ、ちょっと……失礼しまス……エリ! そこから動くなよ!」
柔らかな重力にとらわれていた左肩が軽くなる。
薫ちゃんが席を立った。
おトイレですかね。
「……あ、待て、カオル。アタシも一緒に行く! ユリ、そっから動くなよ!?」
ショーコちゃんも同時に立ち上がった。
この世界でも女子同士は連れだってトイレに行くようだ。
二人が部屋を出ていくなり。
「京クン」
「京クン」
ステレオでオレを呼ぶ声。
左からL字ソファの上を四つん這いになり、おさげを揺らしながらにじり寄ってくるエリちゃん。
服の首元から胸の谷間がのぞく。
右ではショーコちゃんがそれまで座ってい丸椅子へ移動し、またぐように足を開いて座りなおしたユリちゃん。
青白のストライプが美しい三角を見せつけてくる。
二人の目はさきほどまでと違って鋭く、そして艶めかしい。
「おやおや、二人ともどうしたの?」
「ふふ」
「うふふ」
どうやら双子ちゃんは鋭い牙を隠していたようだ。
これまでの一歩引いたような態度は擬態だったとは、実に恐れ入る。
この魔眼を持っても見破れないとは。
「京クン、カオルが気に入ってるんですか?」
エリちゃんがオレの足に手をそえた。おさげがオレの首元をくすぐるように揺れる。
この世界において間違いなくセクハラに類するものだと思うが、今までのオレの態度からイケると踏んだのだろう。冷静でそれでいて大胆な判断力。
「京クン、年下が好きなんですか?」
ユリちゃんがツインテの片方を持って、オレの頬をなぞった。
年下と思えないほどに妖艶な手管にオレは驚く。
「お試し、とかどうですか?」
「薫とショーコには内緒にしておきますから」
据え膳食わねばとはいうものの、この世界での膳はオレの方だ。
前世で言えば、先輩女子を敬語で攻め落としていく双子の肉食系男子後輩、というシチュエーションか。
いいね、実にいい。
二人が戻るまで、少しお相手してもらおう。
「ふうん?」
オレは少し笑って眼鏡をはずして胸ポケットに入れた。
---
いつもエールを送ってくださる方、ありがとうございます!
広告再生という面倒なお手間まで頂いての応援、とても嬉しいです。
ちなみにシマ先輩再登場回がトップです( ゚Д゚)ヒロイン?
「あ」
薫ちゃんの小さな声。
コーヒーフロートに浮かぶ、溶けかけたアイスが小さなスプーンから零れ落ちた。
スカートに小さな染みを作る。
「あーあー、ほれ、はよ拭け」
ショーコちゃんがからかうようにしつつも、テーブルの上にあった紙ナプキンを何枚か薫ちゃんに手渡す。
「サンキュ」
自然な流れで薫ちゃんがスカートを持ち上げて、染みを作った場所を紙ナプキンで挟み込んで、ボンポンと叩きだした。
それ自体はおかしい事ではない。
早くしないと紺色のスカートとはいえ、取れない染みになってしまうかもしれない。
だが考えて欲しい。
ただでさえ無防備ながらも、かろうじて影に隠されていた桃源郷。
今、そのベールを解かれた。
桃源郷の名に恥じないピンク色のパンツがあらわになったのだ。
「あ、カ、カオル!」
「なんだよ……あっ」
オレの視線にようやく気付いた薫ちゃんがバッとスカートを戻す。
桃源郷は再び手の届かない場所へと帰ってしまった。
それは別に恥ずかしいなどではなく、男にそんなものを見せてしはセクハラになるからだ。
胸を押し付けておいて今さら? とも思ったが、どのへんがセーフで、どのあたりがアウトなのかというはオレもよくわかっていない。
よって、オレはテーブルの紙ナプキンを手に取った。
「どうしたの薫ちゃん? 早く拭かないと」
オレは自然を装ってスカートに染みに紙ナプキンを当てて押すように拭く。
薫ちゃんの弾力ある太ももの感触が実に良い。
さすがにオレ自らスカートを持ち上げる事は避けたが、薫ちゃんの今の行動はセクハラに当たらないと遠回しに答え合わせをしておく。
すると。
「そ、そうッスね」
と、薫ちゃんは再び、だがオレの顔色をうかがいつつスカートのすそを持ち上げる。
オレが特に気にしていない風を装うと。
「う、うわー、しみがー、とれないなー」
さっきよりも大胆にスカートを持ち上げた。
おかえり、桃源郷。
オレの桃色片思いが両想いになった時。
「あっ」
「あっ」
「あっ」
ショーコちゃんたち三人の声がハモった。
何事かと見れば、全員のスカートにアイスクリームが垂れていた。
「あー、アタシもドジだなー、あー、シミになるなー」
「あー、たいへんー」
「あー、たいへーん」
そろって大根役者である。
具体的には、八本の美味しそうな大根(オレからすれば誉め言葉だ)を持つ女優さんたちだ。
オレはそんな大根畑の中、心中でスタンディングオベーションを贈った。
薫ちゃんの桃色、ショーコちゃんの黒、純白と青白縦縞ストライプのコンビネーション。
ショーコちゃん、進んでおりますね?
「ふふ。みんな、うっかりさんだね?」
オレはパタパタと花咲くミニスカートを堪能する。
そんなトラブル? を挟みながらも、四人はそれぞれの近況なんかを話しながら、オレと歌を歌い、飲んだり食べたりと実に楽しそうだ。
そして人は食べて飲めば出す生き物だ。
「ちょ、ちょっと……失礼しまス……エリ! そこから動くなよ!」
柔らかな重力にとらわれていた左肩が軽くなる。
薫ちゃんが席を立った。
おトイレですかね。
「……あ、待て、カオル。アタシも一緒に行く! ユリ、そっから動くなよ!?」
ショーコちゃんも同時に立ち上がった。
この世界でも女子同士は連れだってトイレに行くようだ。
二人が部屋を出ていくなり。
「京クン」
「京クン」
ステレオでオレを呼ぶ声。
左からL字ソファの上を四つん這いになり、おさげを揺らしながらにじり寄ってくるエリちゃん。
服の首元から胸の谷間がのぞく。
右ではショーコちゃんがそれまで座ってい丸椅子へ移動し、またぐように足を開いて座りなおしたユリちゃん。
青白のストライプが美しい三角を見せつけてくる。
二人の目はさきほどまでと違って鋭く、そして艶めかしい。
「おやおや、二人ともどうしたの?」
「ふふ」
「うふふ」
どうやら双子ちゃんは鋭い牙を隠していたようだ。
これまでの一歩引いたような態度は擬態だったとは、実に恐れ入る。
この魔眼を持っても見破れないとは。
「京クン、カオルが気に入ってるんですか?」
エリちゃんがオレの足に手をそえた。おさげがオレの首元をくすぐるように揺れる。
この世界において間違いなくセクハラに類するものだと思うが、今までのオレの態度からイケると踏んだのだろう。冷静でそれでいて大胆な判断力。
「京クン、年下が好きなんですか?」
ユリちゃんがツインテの片方を持って、オレの頬をなぞった。
年下と思えないほどに妖艶な手管にオレは驚く。
「お試し、とかどうですか?」
「薫とショーコには内緒にしておきますから」
据え膳食わねばとはいうものの、この世界での膳はオレの方だ。
前世で言えば、先輩女子を敬語で攻め落としていく双子の肉食系男子後輩、というシチュエーションか。
いいね、実にいい。
二人が戻るまで、少しお相手してもらおう。
「ふうん?」
オレは少し笑って眼鏡をはずして胸ポケットに入れた。
---
いつもエールを送ってくださる方、ありがとうございます!
広告再生という面倒なお手間まで頂いての応援、とても嬉しいです。
ちなみにシマ先輩再登場回がトップです( ゚Д゚)ヒロイン?
52
お気に入りに追加
896
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生したら男女逆転世界
美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。
※カクヨム様にも掲載しております
男が少ない世界に転生して
美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです!
旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします!
交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる