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『高嶺の花にはトゲがある(9)』
しおりを挟む『高嶺の花にはトゲがある(9)』
その日、私は春日井さんから連絡を受けて生徒会室で待機していた。
校舎の三階にある生徒会室からは第二グラウンドが一望できる。
ちょうどそのグラウンドの側にあるベンチの一つに、二人の生徒が座った所だった。
一人は春日井さん。
一人は……詰襟。
つまり男子生徒。
確か春日井さんのクラスには男子の転入生がいるはず。
とても礼儀正しく、女子生徒にも当たりが柔らかいイケメンという噂は私の耳にも入っている。
直接、彼のクラス見に言った友人いわく、日華学園に舞い降りた天使とまで言っていた。
そうまで言われると興味は沸くし私だって彼のいる教室へ行ってみたい誘惑にかられるものの、生徒会長という立場でさすがにそれは良くない。
春日井さんは例の"彼"と関係を持ちながらなお、クラスメートのイケメンさんと懇意らしい。
まるでエッチなゲームの主人公みたいな環境だ。とっても羨ましい。
私にここで待機しろと言っていたのはそんな自慢をする為? などと心がささくれだった時。
携帯にメールの着信音が鳴った。
「……え、本当に?」
メールの内容はそのクラスメートを紹介する、という内容だった。
なんと春日井さんは、そのイケメン転入生を生徒会に勧誘しているのだという。
そのため生徒会の仕事内容の説明などをして欲しいそうだ。
それなら事前にそう言ってくれれば資料とか用意したのに。
そう思いつつも、私は急いで生徒会室を出るとグランドまで全力疾走をした。
校舎を出て、グランドまで走って、実際に彼の目の前に立った時。
噂はアテにならないと思った。
イケメン? 天使? そんな言葉だけでは表現できない魅力をまとって、彼はそこに存在していた。
「お忙しいところありがとうございます。初めまして、宮城京、と申します」
「初めまして、生徒会長の鮎汲桜子(アユクミ サクラコ)です。生徒会に興味をもってくださってありがとうございます。こちらこそ初めまして」
声もイイ。
すごくイイ。
顔も声も私の心を滅多切りにしてくる年下の男の子、すごくイイ。
例の男の人を紹介してくれる件といい、こんな子にも会わせてたり、春日井さんには感謝しかない!
しかも生徒会に誘ってくれてるなんて!
もう春日井さんは私の心の友ね!
「会長、お忙しい所、急にお呼びしてすみません」
「い、いいえ! いいのよ! そ、それで、ええと、生徒会の仕事内容について、よね?」
「はい。少しお時間をいただけますか? よければおかけになって、彼に詳しい説明をしていただければ」
「もちろん。ええ、もちろん」
つい声がうわずるのを必死におさえながら、なるべく生徒会長、そして先輩としての威厳を出すべく私は振舞う。
宮城君の隣に座り、色々と説明をする。
彼の隣に座っているだけで、もう幸せが溢れてきそう。
しかも、しかも!
女の私の話を、しかも面白くなんてないだろう生徒会活動の話なんかを真摯に聞いてくれる宮城君!
あー、もう本当に夢みたい。
こんな男の子がいるなんて。
まさに高嶺の花!
お近づきになりたい、あわよくばお付き合いしたい! そんな心中をうまく隠しながら私は話を続けた。
彼を狙う女生徒は多いだろうしむしろ狙っていない女生徒がいるの? というレベルだから、私なんかの想い届かない事はわかっている。
自分で言うのは何だけど、確かにウチはいわゆるお金持ち。
けれど、男の人というのはさほどお金に興味を持たない。
そりゃあね。世界で百に入る超大金持ちとかは別としても、せいぜい地主レベルのお金持ち程度では、男の人を引き付ける魅力は足りない。
贅沢して暮らす、それくらいなら一人で十分やっていけるのが男性だ。
ならあえて、特定の女を作って、面倒な制限や拘束を受けたくないというのが、一般的な男性の考え方。
実際、副会長にもそうやって振られてしまった。
この子、宮城君のレベルともなれば、言い寄る女は星の数になるだろうし、私よりももっといい条件を出してくる者だっているだろう。
だから私の想いは届かない。
けれどこうしてそばにいられるだけで胸が張り裂けそうになる。
しかも、もしかしたら生徒会として一緒に活動できるかも、というチャンスだ。
ふんわりと彼から漂ってくるいいい匂いで頭が茹で上がりそうになりながらも、私はがんばってなんとか興味をもってもらえるように説明を続けた。
そんな幸せ絶頂の最中。
彼のスマホに着信音がなった。
メールかSNSか、彼は「すみません、少し失礼します」と言って、ズボンの後ろポケットからケータイを取り出した。
男の人がズボンの後ろポケットからサイフやケータイを取り出す仕草ってセクシーよねー、なんと思いながら見つめていると。
「え?」
何を見たのか、信じられないといった顔になる宮城君。
そしてケータイから顔をあげて私を見る。
何かしら?
「どうかした? 何か急ぎの連絡だったのかしら?」
「あ、いえ。そういうわけではないので。大丈夫です。お話の続きをお願いします」
宮城君はケータイをポケットに戻し、私は生徒会の説明を再開する。
けれど。
それから明らかに宮城君の様子がおかしい。
私を見る目がどうにも変わった。
なんというか、そう。
信じられないものを見た、という顔と視線。
「生徒会の活動としてはこんなところかしら。それで、その、宮城君、どう?」
「あ、はい、ありがとうございました。入会については少し考えるお時間をいただきたいんですけど」
「あ、うん、ええ、ゆっくり考えてね」
説明中はいい雰囲気だったけれど、さすがに即答は望めないか。
「あ、一つだけ質問が」
「ん? な、なにかしら?」
宮城君は探る様な目をしたまま、私にこうたずねかけた。
「鮎汲会長はボクが生徒会に入る事には、問題ありませんか?」
「も、もちろんよ! 大歓迎だわ!」
聞かれるまでもない事を聞かれて、つい声を上げてしまった。
「そうですか。ありがとうございます」
「うう、あ、ごめんなさいね。大声をだしてしまって」
その日はそれで解散となり、その夜。
「あ、春日井さんから……」
自室の机で勉強をしている時、横に置いてあったケータイが震えた。
「……えっ!?」
春日井さんからのメールの内容はシンプル。
例の彼からオーケーの返事がもらえた事と、生徒会室で今後の予定を打ち合わせましょう、との事だった。
「や、やったわ! 春日井さん、本当にありがとう……ッ」
私はお礼のメールを震える指でうちながら、まだ見ぬ男性への想いをはせる。
「そういえば私。お相手の顔どころか年すら教えて貰っていないわ」
春日井さんがおつきいあいしているから、そう年は離れていないものと思い込んでいたけど。
聞く限りでは女に対して積極的らしいし、女慣れした年上の男性の可能性もある。
あんまり年が離れているのは少し考えてしまうけれど……会う前の男性の素性を聞くのはあまり良くない。
機嫌を損ねてしまったらそれでこの話は終わってしまう。
まずお会いしてから色々と考える事にしよう。
勉強の続きに戻る。
「練習、しておいた方がいいかしら」
しかし春日井さんが言っていた事が、ずっと頭に残っていた。
「……イ、イラマチオの練習ってどうすればいいのかしら……」
私はノートや教科書を閉じ、机の引き出しの奥の奥に隠してある、ほどよい大きさと太さのプラケースを取り出した。
グミが入っていた容器で、おそらくグミが嫌いな女のコでも一度は買ったことのある、ぷっちょんという商品だ。
私はケータイで『イラマチオ』と検索してみる。
すると。
「あー、みんな考える事は一緒か」
検索サジェストを見ると。
イラマチオ 疑似体験 ぷっちょん
イラマチオ 練習 ぷっちょん
イラマチオ ぷっちょん
イラマチオ バリ取り
さすが、ぷっちょんは乙女の味方ね。
私は練習方法がのっているページをひらきながらマイぷっちょんの空容器を口に近づけ、人知れず練習を始めるのだった。
その日、私は春日井さんから連絡を受けて生徒会室で待機していた。
校舎の三階にある生徒会室からは第二グラウンドが一望できる。
ちょうどそのグラウンドの側にあるベンチの一つに、二人の生徒が座った所だった。
一人は春日井さん。
一人は……詰襟。
つまり男子生徒。
確か春日井さんのクラスには男子の転入生がいるはず。
とても礼儀正しく、女子生徒にも当たりが柔らかいイケメンという噂は私の耳にも入っている。
直接、彼のクラス見に言った友人いわく、日華学園に舞い降りた天使とまで言っていた。
そうまで言われると興味は沸くし私だって彼のいる教室へ行ってみたい誘惑にかられるものの、生徒会長という立場でさすがにそれは良くない。
春日井さんは例の"彼"と関係を持ちながらなお、クラスメートのイケメンさんと懇意らしい。
まるでエッチなゲームの主人公みたいな環境だ。とっても羨ましい。
私にここで待機しろと言っていたのはそんな自慢をする為? などと心がささくれだった時。
携帯にメールの着信音が鳴った。
「……え、本当に?」
メールの内容はそのクラスメートを紹介する、という内容だった。
なんと春日井さんは、そのイケメン転入生を生徒会に勧誘しているのだという。
そのため生徒会の仕事内容の説明などをして欲しいそうだ。
それなら事前にそう言ってくれれば資料とか用意したのに。
そう思いつつも、私は急いで生徒会室を出るとグランドまで全力疾走をした。
校舎を出て、グランドまで走って、実際に彼の目の前に立った時。
噂はアテにならないと思った。
イケメン? 天使? そんな言葉だけでは表現できない魅力をまとって、彼はそこに存在していた。
「お忙しいところありがとうございます。初めまして、宮城京、と申します」
「初めまして、生徒会長の鮎汲桜子(アユクミ サクラコ)です。生徒会に興味をもってくださってありがとうございます。こちらこそ初めまして」
声もイイ。
すごくイイ。
顔も声も私の心を滅多切りにしてくる年下の男の子、すごくイイ。
例の男の人を紹介してくれる件といい、こんな子にも会わせてたり、春日井さんには感謝しかない!
しかも生徒会に誘ってくれてるなんて!
もう春日井さんは私の心の友ね!
「会長、お忙しい所、急にお呼びしてすみません」
「い、いいえ! いいのよ! そ、それで、ええと、生徒会の仕事内容について、よね?」
「はい。少しお時間をいただけますか? よければおかけになって、彼に詳しい説明をしていただければ」
「もちろん。ええ、もちろん」
つい声がうわずるのを必死におさえながら、なるべく生徒会長、そして先輩としての威厳を出すべく私は振舞う。
宮城君の隣に座り、色々と説明をする。
彼の隣に座っているだけで、もう幸せが溢れてきそう。
しかも、しかも!
女の私の話を、しかも面白くなんてないだろう生徒会活動の話なんかを真摯に聞いてくれる宮城君!
あー、もう本当に夢みたい。
こんな男の子がいるなんて。
まさに高嶺の花!
お近づきになりたい、あわよくばお付き合いしたい! そんな心中をうまく隠しながら私は話を続けた。
彼を狙う女生徒は多いだろうしむしろ狙っていない女生徒がいるの? というレベルだから、私なんかの想い届かない事はわかっている。
自分で言うのは何だけど、確かにウチはいわゆるお金持ち。
けれど、男の人というのはさほどお金に興味を持たない。
そりゃあね。世界で百に入る超大金持ちとかは別としても、せいぜい地主レベルのお金持ち程度では、男の人を引き付ける魅力は足りない。
贅沢して暮らす、それくらいなら一人で十分やっていけるのが男性だ。
ならあえて、特定の女を作って、面倒な制限や拘束を受けたくないというのが、一般的な男性の考え方。
実際、副会長にもそうやって振られてしまった。
この子、宮城君のレベルともなれば、言い寄る女は星の数になるだろうし、私よりももっといい条件を出してくる者だっているだろう。
だから私の想いは届かない。
けれどこうしてそばにいられるだけで胸が張り裂けそうになる。
しかも、もしかしたら生徒会として一緒に活動できるかも、というチャンスだ。
ふんわりと彼から漂ってくるいいい匂いで頭が茹で上がりそうになりながらも、私はがんばってなんとか興味をもってもらえるように説明を続けた。
そんな幸せ絶頂の最中。
彼のスマホに着信音がなった。
メールかSNSか、彼は「すみません、少し失礼します」と言って、ズボンの後ろポケットからケータイを取り出した。
男の人がズボンの後ろポケットからサイフやケータイを取り出す仕草ってセクシーよねー、なんと思いながら見つめていると。
「え?」
何を見たのか、信じられないといった顔になる宮城君。
そしてケータイから顔をあげて私を見る。
何かしら?
「どうかした? 何か急ぎの連絡だったのかしら?」
「あ、いえ。そういうわけではないので。大丈夫です。お話の続きをお願いします」
宮城君はケータイをポケットに戻し、私は生徒会の説明を再開する。
けれど。
それから明らかに宮城君の様子がおかしい。
私を見る目がどうにも変わった。
なんというか、そう。
信じられないものを見た、という顔と視線。
「生徒会の活動としてはこんなところかしら。それで、その、宮城君、どう?」
「あ、はい、ありがとうございました。入会については少し考えるお時間をいただきたいんですけど」
「あ、うん、ええ、ゆっくり考えてね」
説明中はいい雰囲気だったけれど、さすがに即答は望めないか。
「あ、一つだけ質問が」
「ん? な、なにかしら?」
宮城君は探る様な目をしたまま、私にこうたずねかけた。
「鮎汲会長はボクが生徒会に入る事には、問題ありませんか?」
「も、もちろんよ! 大歓迎だわ!」
聞かれるまでもない事を聞かれて、つい声を上げてしまった。
「そうですか。ありがとうございます」
「うう、あ、ごめんなさいね。大声をだしてしまって」
その日はそれで解散となり、その夜。
「あ、春日井さんから……」
自室の机で勉強をしている時、横に置いてあったケータイが震えた。
「……えっ!?」
春日井さんからのメールの内容はシンプル。
例の彼からオーケーの返事がもらえた事と、生徒会室で今後の予定を打ち合わせましょう、との事だった。
「や、やったわ! 春日井さん、本当にありがとう……ッ」
私はお礼のメールを震える指でうちながら、まだ見ぬ男性への想いをはせる。
「そういえば私。お相手の顔どころか年すら教えて貰っていないわ」
春日井さんがおつきいあいしているから、そう年は離れていないものと思い込んでいたけど。
聞く限りでは女に対して積極的らしいし、女慣れした年上の男性の可能性もある。
あんまり年が離れているのは少し考えてしまうけれど……会う前の男性の素性を聞くのはあまり良くない。
機嫌を損ねてしまったらそれでこの話は終わってしまう。
まずお会いしてから色々と考える事にしよう。
勉強の続きに戻る。
「練習、しておいた方がいいかしら」
しかし春日井さんが言っていた事が、ずっと頭に残っていた。
「……イ、イラマチオの練習ってどうすればいいのかしら……」
私はノートや教科書を閉じ、机の引き出しの奥の奥に隠してある、ほどよい大きさと太さのプラケースを取り出した。
グミが入っていた容器で、おそらくグミが嫌いな女のコでも一度は買ったことのある、ぷっちょんという商品だ。
私はケータイで『イラマチオ』と検索してみる。
すると。
「あー、みんな考える事は一緒か」
検索サジェストを見ると。
イラマチオ 疑似体験 ぷっちょん
イラマチオ 練習 ぷっちょん
イラマチオ ぷっちょん
イラマチオ バリ取り
さすが、ぷっちょんは乙女の味方ね。
私は練習方法がのっているページをひらきながらマイぷっちょんの空容器を口に近づけ、人知れず練習を始めるのだった。
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