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『高嶺の花にはトゲがある(8)』
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『高嶺の花にはトゲがある(8)』
「準備はよろしいですか?」
「え、ええ。もちろんよ。二度とないチャンスだもの。気合入れていくわ」
その言葉に偽りはないし、大げさとも思わない。
本当に私の人生が変わるかもしれないタイミングに違いないのだから。
「それがよろしいかと思います。ただ、ここまで期待させておいてなんですが、彼の好みに会長が外れていた場合は……」
春日井さんにしては歯切れが悪い。
確かにここまで期待して、こんな姿までさらしてダメだったら落ち込む事は必死。
けれど、こんなチャンスを与えてくれた春日井さんに感謝こそすれ、逆恨みするつもりは毛頭ない。
もしダメだったとしても、お礼だけはするつもり。
……もちろん、リトライのチャンスが欲しいという下心もあるのだけど、今はダメだった時の事を考えている場合じゃないわ。
「ええ。結果がどうあれちゃんと受け入れるわ。ところでまたポーズ、とかとったほうがいいかしら?」
「そうですね……」
考え込む春日井さん。
「彼の好みからして、女が服従するポーズ、というのがストライクだと思うので」
「……さっきもそんな事を聞いたけど、その彼って……本当に暴力をふるったりしないのよね?」
「そういう事はありません。物腰も柔らかく性格も優しい人です。ただ、セックスの時は男性上位を好む性癖が強いだけですから安心してください」
安心、してもいいのだろうか。
ともかく今は少しでも"彼"の気を引けるように、春日井さんのいう事に従おう。
「うーん。では最初は控えめに撮っていきましょう。会長、そこに四つん這いになってください」
「よ、よつんばい!?」
「はい。顔はカメラに向けて。口は、なすび……いえ、キュウリをくわえているようなつもりで開けてください」
「え、ええっと?」
混乱する私だが春日井さんが私の隣に来るなり、その場で四つん這いになってカメラに向けて口を開けた。
「会長? 私だけで撮っても仕方ないですよ?」
「え、ええ、そうね。そうよね」
慌てて私も同じように四つん這いになって、口を軽く開けた。
どういう意味なのかしら。
「撮りますよ? はい、あーん」
「あ、あーん」
春日井さんが腕につけているスマートウォッチを操作すると、机にセットしてあるスマホのライト部分が点灯を始めて、やがてパシャリと音がした。
それを持ってきて、私と一緒に確認する春日井さん。
二人して四つん這いになって口を開けている、なんとも間の抜けた写真に私は頭の上にハテナを浮かべる。
「あの、春日井さん。これ、どういう意味があるの?」
「彼はイラマチオが好きなので、受け入れるポーズは受けがいいかと思いまして」
「……イ、イラ……」
「ご存じありません?」
「す、少しだけ、聞いたことがあるような気がするわ」
本当は知っているし、知らない女がいるはずもない。
女声週刊誌でも見た事がある。
男性が自ら腰を振り、女の口を使って激しくピストンをする変態プレイの事。
フェラチオですら体験できる女の数はごくわずかと言われていて、精液の味なんて話し始めたら周囲の耳が大きくなるというのに。
フェラチオどころか都市伝説とまで言われてるイマラチオなんて、そんな贅沢な事まで、その"彼"はしてくれるの?
それこそ女性週刊誌や青年コミックだけの話じゃなくて?
どれだけ淫乱な男の人なんだろう。
「あ、もしかして会長、口淫はお嫌いですか? それでしたら事前に彼にはNGと伝えておきますけれど」
「そ、そんな事ないわ! 大丈夫!」
つい声を上げてしまった。
女なら誰だって、その……アレを口に入れてみたいと思うに決まっているでしょう!
「そうですか。ならもっとアピールいたしましょう」
「これ以上?」
「次はカメラアングルも凝りたいので、被写体は会長おひとりでもよろしいですか?」
「え、うん、わかったわ」
春日井さんは立ち上がり、机上にあったケータイを手にとると、やっぱり半裸のままでカメラを構えた。
「では今度は口を開けたまま舌を出してください。あ、キュウリをくわえているつもりでお願いします」
「き、きゅうり、ね」
さっきも言っていたけれど、その"彼"はきゅうりサイズという事かしら。
それは太さ? それとも長さかしら?
……どちらでもいいわ。いえ、大事な事だけど、その実物に出会う為にもがんばらないと。
私は春日井さんに言われるまま、口はキュウリをくわえているように丸く開けて、舌をおもいきり伸ばす。
「いいですね。あと、上目遣いでお願いします。なるべく媚びるように」
「こうかしら」
いまだ四つん這いの私は上から見下ろすようにケータイを構えている春日井さんに向かって、なるべく媚びたような顔で視線を向ける。
「いいですね。次は指をくわえてみてください……そう、いいですよ」
私は言われるがままにポーズを取り続け、それがしばらく続いたころ。
「そろそろ終わりにしましょうか。お召し物をどうぞ」
「そ、そうね……本当にその写真、流出とかさせないでね?」
私は床に落ちているスカートの前に、足にからまっているショーシを引き上げた。
春日井さんの指示にしたがっているうちに、あれよあれよと全裸にされてしまった。
ただし、ショーツは足にかけたままだとか、靴下は片方だけはいたままだとか、色々と注文があって正確には全裸ではないものの、正直全裸よりひどい。
特に最後の写真。
ウインクをしつつ両手でピースをさせられ、舌も出している写真なんてものが出回ったら不登校どころの騒ぎじゃない。
「もちろんです。データに関しては彼に見せた後、消去いたします。それではお疲れ様でした。写真を見せるタイミングに関しては……少し考えがありますのでしばしお時間を頂ければと思います。もしかしたらお呼び立てするかもしれませんが、その時はよろしくお願いします」
「あ、うん。おまかせするわ。こちらこそよろしくね」
そうしてこの日は春日井さんと別れ。
生徒会室に一人残された私は我に返る。
「……私、とんでもない事をしたんじゃないかしら……」
どんな理由があれ、あんな写真を他人にゆだねている現状というのはとても落ち着かない。
しかし、春日井さんの言っている事が本当であれば、そのチャンスをつかむためのリスクとしては妥当とも思える。
賽は投げられたのだ。
私はただ、春日井さんからの連絡を待つしかない。
「準備はよろしいですか?」
「え、ええ。もちろんよ。二度とないチャンスだもの。気合入れていくわ」
その言葉に偽りはないし、大げさとも思わない。
本当に私の人生が変わるかもしれないタイミングに違いないのだから。
「それがよろしいかと思います。ただ、ここまで期待させておいてなんですが、彼の好みに会長が外れていた場合は……」
春日井さんにしては歯切れが悪い。
確かにここまで期待して、こんな姿までさらしてダメだったら落ち込む事は必死。
けれど、こんなチャンスを与えてくれた春日井さんに感謝こそすれ、逆恨みするつもりは毛頭ない。
もしダメだったとしても、お礼だけはするつもり。
……もちろん、リトライのチャンスが欲しいという下心もあるのだけど、今はダメだった時の事を考えている場合じゃないわ。
「ええ。結果がどうあれちゃんと受け入れるわ。ところでまたポーズ、とかとったほうがいいかしら?」
「そうですね……」
考え込む春日井さん。
「彼の好みからして、女が服従するポーズ、というのがストライクだと思うので」
「……さっきもそんな事を聞いたけど、その彼って……本当に暴力をふるったりしないのよね?」
「そういう事はありません。物腰も柔らかく性格も優しい人です。ただ、セックスの時は男性上位を好む性癖が強いだけですから安心してください」
安心、してもいいのだろうか。
ともかく今は少しでも"彼"の気を引けるように、春日井さんのいう事に従おう。
「うーん。では最初は控えめに撮っていきましょう。会長、そこに四つん這いになってください」
「よ、よつんばい!?」
「はい。顔はカメラに向けて。口は、なすび……いえ、キュウリをくわえているようなつもりで開けてください」
「え、ええっと?」
混乱する私だが春日井さんが私の隣に来るなり、その場で四つん這いになってカメラに向けて口を開けた。
「会長? 私だけで撮っても仕方ないですよ?」
「え、ええ、そうね。そうよね」
慌てて私も同じように四つん這いになって、口を軽く開けた。
どういう意味なのかしら。
「撮りますよ? はい、あーん」
「あ、あーん」
春日井さんが腕につけているスマートウォッチを操作すると、机にセットしてあるスマホのライト部分が点灯を始めて、やがてパシャリと音がした。
それを持ってきて、私と一緒に確認する春日井さん。
二人して四つん這いになって口を開けている、なんとも間の抜けた写真に私は頭の上にハテナを浮かべる。
「あの、春日井さん。これ、どういう意味があるの?」
「彼はイラマチオが好きなので、受け入れるポーズは受けがいいかと思いまして」
「……イ、イラ……」
「ご存じありません?」
「す、少しだけ、聞いたことがあるような気がするわ」
本当は知っているし、知らない女がいるはずもない。
女声週刊誌でも見た事がある。
男性が自ら腰を振り、女の口を使って激しくピストンをする変態プレイの事。
フェラチオですら体験できる女の数はごくわずかと言われていて、精液の味なんて話し始めたら周囲の耳が大きくなるというのに。
フェラチオどころか都市伝説とまで言われてるイマラチオなんて、そんな贅沢な事まで、その"彼"はしてくれるの?
それこそ女性週刊誌や青年コミックだけの話じゃなくて?
どれだけ淫乱な男の人なんだろう。
「あ、もしかして会長、口淫はお嫌いですか? それでしたら事前に彼にはNGと伝えておきますけれど」
「そ、そんな事ないわ! 大丈夫!」
つい声を上げてしまった。
女なら誰だって、その……アレを口に入れてみたいと思うに決まっているでしょう!
「そうですか。ならもっとアピールいたしましょう」
「これ以上?」
「次はカメラアングルも凝りたいので、被写体は会長おひとりでもよろしいですか?」
「え、うん、わかったわ」
春日井さんは立ち上がり、机上にあったケータイを手にとると、やっぱり半裸のままでカメラを構えた。
「では今度は口を開けたまま舌を出してください。あ、キュウリをくわえているつもりでお願いします」
「き、きゅうり、ね」
さっきも言っていたけれど、その"彼"はきゅうりサイズという事かしら。
それは太さ? それとも長さかしら?
……どちらでもいいわ。いえ、大事な事だけど、その実物に出会う為にもがんばらないと。
私は春日井さんに言われるまま、口はキュウリをくわえているように丸く開けて、舌をおもいきり伸ばす。
「いいですね。あと、上目遣いでお願いします。なるべく媚びるように」
「こうかしら」
いまだ四つん這いの私は上から見下ろすようにケータイを構えている春日井さんに向かって、なるべく媚びたような顔で視線を向ける。
「いいですね。次は指をくわえてみてください……そう、いいですよ」
私は言われるがままにポーズを取り続け、それがしばらく続いたころ。
「そろそろ終わりにしましょうか。お召し物をどうぞ」
「そ、そうね……本当にその写真、流出とかさせないでね?」
私は床に落ちているスカートの前に、足にからまっているショーシを引き上げた。
春日井さんの指示にしたがっているうちに、あれよあれよと全裸にされてしまった。
ただし、ショーツは足にかけたままだとか、靴下は片方だけはいたままだとか、色々と注文があって正確には全裸ではないものの、正直全裸よりひどい。
特に最後の写真。
ウインクをしつつ両手でピースをさせられ、舌も出している写真なんてものが出回ったら不登校どころの騒ぎじゃない。
「もちろんです。データに関しては彼に見せた後、消去いたします。それではお疲れ様でした。写真を見せるタイミングに関しては……少し考えがありますのでしばしお時間を頂ければと思います。もしかしたらお呼び立てするかもしれませんが、その時はよろしくお願いします」
「あ、うん。おまかせするわ。こちらこそよろしくね」
そうしてこの日は春日井さんと別れ。
生徒会室に一人残された私は我に返る。
「……私、とんでもない事をしたんじゃないかしら……」
どんな理由があれ、あんな写真を他人にゆだねている現状というのはとても落ち着かない。
しかし、春日井さんの言っている事が本当であれば、そのチャンスをつかむためのリスクとしては妥当とも思える。
賽は投げられたのだ。
私はただ、春日井さんからの連絡を待つしかない。
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