【R18】転生先は男女比１：３０の貞操逆転世界～ビッチを夢見る三十路の魂～

『後輩は見た！ 硬派の先輩が男と歩いているその現場を！（６）』

『後輩は見た！　硬派の先輩が男と歩いているその現場を！（６）』

「あー、呼び捨てはやっぱりイヤだったかな？」

よ、呼び捨て！　呼び捨てにされた！？

「イイイイ、イヤ、イヤない、イヤないです！」
「なら、薫って呼ぼうかなー」
「よ、よよ、よろこんで！」

実家の飲み屋のバイト中みたいなノリになりつつ、ウチがガクガクと首をたてに振っていた所で、青葉センパイの声がかかった。

「おい、宮城」
「なに？　夏木さん」

うお、怒ってる。

めっちゃ怒って……いや、あれはキレてるレベルだ。

やっぱり青葉センパイの彼氏では？

「初対面のガキ相手にからかいすぎだ」
「あれ、妬いてる？　後輩ちゃんを名前で呼んだから？　それとも呼び捨てにしたから？」
「チッ、そんなわけねーだろ！」

めっちゃ妬いてる！

こんな青葉センパイの顔、初めて見たんスけどー！

でも、これって後でウチがシメられる流れでは？

いや、今までも別に殴られたりとかした事はないけど、さすがに今回は……。

「ふふふ、ごめんね。後輩ちゃんがあんまりにも初々しくて。けど、やっぱり他の子を呼び捨てにするのはやめておくよ。それはベッドの上の青葉だけにしとくね？」

！！

「外で名前で呼ぶなっつってんだろ」
「ごめんね、つい。妬いてる夏木さんが可愛くて」

ひ、否定しない先輩方。

つ、つまり、このウチの側で爽やかに笑うイケメン先輩と、少し離れたとこで怒りの形相になっている青葉センパイは、やっぱり、その、アレでアレしてアレレレレな仲なんスね！

「どうしたの、薫ちゃん。ほっぺが赤いよ？」
「ひゃっ！」

その指先でツンとつつかれてウチは、心臓が跳ねた。

「ああ、まだ自己紹介がまだだったね。ボクは宮城京（ミヤギ　キョウ）。好きに呼んでいいよ？」
「き、京、センパイ」

少し驚いた後、ふふ、と笑う、京センパイ。

「へぇ？　下の名前で呼ぶんだ？」
「あ、えっと、その……」

つい、いつものクセで。

「薫はアタシのことも名前で呼ぶし、まぁ、そういうもんなんだよ」
「なにそれ。ああ、髪の色が錆びている人たち界隈のマナー的な？」

錆び……確かにウチは短い髪を銀に染めてるし、青葉センパイだって金髪なんスけど、独特の例えをしますね、京センパイは。

「さて、薫ちゃん。それで、なんだっけ？」
「な、なな、ななな、なんでしょう……？」

ずいっと、京センパイがウチを見る。

見下ろされる。頭まるっと一つ上から見下ろされる。

いいなぁ、これ、いいなぁ。

低身長女子の憧れ、それがかなった瞬間。

男を口説く時は、こうして陰に隠れるくらい近くから迫りたい。

なんならこのまま京センパイを壁まで押し付け逃げられようにして、下からぐいぐい迫りたい……んスけど。

「あ、あの……京センパイ？」
「ん？」

首をかしげながら、なぜか距離を詰めてくる京センパイに、ウチは無意識にあとじさった。

ウチが一歩下がると、京センパイが二歩詰めてくる。

あわ、あわわわ。

そうなるとどうなるか。

「あ」

ウチの背中が硬い校舎の壁に触れた。

それを見てクスクスと笑う京センパイ。

「あーあ。薫ちゃん、もう逃げられないねー？」
「ひ、ひぅ！？」

ウチは上から迫ってくるイケメンのオーラに、ただ悲鳴をあげる事しかできなかった。