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『春に咲いた花を揺らす胡蝶の如く(26)』

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『春に咲いた花を揺らす胡蝶の如く(26)』

しかし、宮城君は動かない。

「……ど、どうしたの?」
「ボクね。女の人が男のコレをおねだりするのが好きなんだ。春日井さん、おねだりしてみてくれる?」
「え? ……ええ、ええと」

おねだり?

ああ、そういうプレイね、大丈夫、知識はあるわ。

確かあれは、先々月号の小冊子特集で、攻め系男子をその気にさせるムード作りの中の誘いセリフのところに……ええと、ええと。

こういう時のために熟読していたというのに、いざとなると頭には一片のセリフすら出てこない私の頭はなんて使えないのだろう。

しかしシンプルなセリフだけは覚えていた。

私はすぐにそれを口にする。

「宮城君のチンポで私をえぐってください」
「……」

チンポ、か、チンボ、でニュアンスはかわるという事だけれども、私としては響きのかわいらしい『〇派』なのでそちらを採用する。

『点々派』の言い分である、荒々しい感じ、たくましいイメージ、というのもよくわかるし否定する気はまったくないけれども、そこは個人の好みだから。

あと、宮城君のチンポは規格外というものでもないと思うし、やっぱり〇派のチンポでいと思うし。

つい黙りこくって考えにふけってしまった私だけれど、宮城君もまた無言で私を見ていた。

「宮城君? どうかした?」
「とってもかわいいね。もっと言ってくれる?」

良かった。気に入ってくれたみたい。

「少し恥ずかしいけど宮城君がそう言うなら……宮城君のチンポ、私にください、ここにください」

雑誌に載っていた決めセリフをあまり思いだせないけれど、私は素直に自分の心に浮かんだ言葉を宮城君に捧げる。

「宮城君の硬いチンポをここで感じたいの、もっと欲しいの」

寝そべったまま、私は自分のアソコをわざと音を立てるようにしていじる。

宮城君が見ている。

私は見やすいように中を広げて、さらに指を出し入れした。

恥ずかしい。

けれど、この恥ずかしさこそ、私が本当に求めていたものかもしれない。

男性に見てほしいという願いに、父性を求めていた事は間違いない。

けれど、それ以上に、自分を女として見てほしかったんだって、今だからこそ理解できた。

宮城君は私がどんなはしたない痴態をさらしても、嫌悪せず、むしろかわいいねと褒めてくれるような、心優しい好色漢。

彼にとって私という女は簡単に手に入る女の一人でしかないけれど。

私にとっては、こんな私を受け入れてくれる男性なんて、間違いなく宮城君、ただ一人。

だから私は宮城君の嗜好にそうように振舞い、またそうでなくてはならない。

そうと決めれば、ますます自分で自分をいじめる指の動きを早めるまで。

そんな私の、あさましい醜態ともいえる恰好を見て。

「ふふ、じゃあ入れてあげるね」

楽しそうな宮城君の声が聞こえてくる。

伏せっている私に彼の表情はうかがえないけれど、再び私のアソコにあてがわれたチンポの硬さが、彼の機嫌を物語っているようだ。

あてがわれたチンポから宮城君の熱が感じられる。

さきほどのように一気に貫かれると思い、唇をかみしめるが。

「あ……ああ、あああ……ああああああ!」

今度は逆にゆっくり。ゆっくりと私の中に入ってきた。
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