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『春に咲いた花を揺らす胡蝶の如く(02)』
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『春に咲いた花を揺らす胡蝶の如く(02)』
宮城君を待たせてしまうかも、と思ったが、私は着替える為に自宅に戻る。
高層マンションのペントハウス。
母がこれまでどれほど頑張ったのか。
その一部がうかがいしれる、この景色を見て私は制服を脱ぎ捨て着替える。
「お母さん、今まで悪い子でごめんなさい」
今も仕事をがんばっているだろう母親へ、とても言えない事を謝る。
そして。
「けれど、もしかしたら……私」
まだ何も始まっていない。
それでも、未来への期待でお腹をさすり。
「……」
しかし、その手を胸にやって、不安で激しく鼓動する心臓をおさえつける。
うまくいくはずがない、自分には告白しなければいけない罪があり、受けるべき罰があると。
不安と期待で体がバラバラになりそうになりながら、見られてしまったこの三ツ星のホクロを隠せる服で待ち合わせ場所へと向かった。
店に入るとすでに先に待っていた宮城君。
彼がいる事はすぐにわかった。
周囲の女性客が常にチラチラと見ているし、隠すようにしたケータイで盗撮もしている。
私はそんな衆目の中、彼に選ばれた女として誇らしい気持ちで声をかけた。
宮城君はニッコリと笑って私を迎えてくれた。
「それで……結構、お待たせしちゃったかしら」
「大丈夫、ボクも今来た所だから」
彼は今来たところ、さほど待っていないと言う。
周囲で声もなく起こったざわめきに、宮城君はまったく気づいていない。
男を待たせた。
その事実に、周囲の客が驚いている。
さらには、待たされていた男がまったく怒っていない。
それどころか。
「ありがとう。ええと、おかわりとかいる?」
「ううん、お先でごめんね。春日井さんも自分の分をどうぞ?」
「ええ、そうするわ」
待たせた女、つまり私を気遣うようなセリフまで口にしたのだから。
これが他の男性であれば、怒鳴られ暴言を吐かれるのが当然。
そもそも、女を待つはずもなく帰っているだろう。
やっぱり宮城君は普通の男性とは違う。
私の天使様だもの。
互いにコーヒーを飲みながら、少し言葉を交わした後。
私はここでは話せない事、けれど、伝えなければならない事の為に公園に誘う。
「宮城君。もしお時間よければ、少し歩かない? 近くにね、少し大きな公園があるの」
そこで私は全ての想いを打ち明けるのだ。
宮城君を待たせてしまうかも、と思ったが、私は着替える為に自宅に戻る。
高層マンションのペントハウス。
母がこれまでどれほど頑張ったのか。
その一部がうかがいしれる、この景色を見て私は制服を脱ぎ捨て着替える。
「お母さん、今まで悪い子でごめんなさい」
今も仕事をがんばっているだろう母親へ、とても言えない事を謝る。
そして。
「けれど、もしかしたら……私」
まだ何も始まっていない。
それでも、未来への期待でお腹をさすり。
「……」
しかし、その手を胸にやって、不安で激しく鼓動する心臓をおさえつける。
うまくいくはずがない、自分には告白しなければいけない罪があり、受けるべき罰があると。
不安と期待で体がバラバラになりそうになりながら、見られてしまったこの三ツ星のホクロを隠せる服で待ち合わせ場所へと向かった。
店に入るとすでに先に待っていた宮城君。
彼がいる事はすぐにわかった。
周囲の女性客が常にチラチラと見ているし、隠すようにしたケータイで盗撮もしている。
私はそんな衆目の中、彼に選ばれた女として誇らしい気持ちで声をかけた。
宮城君はニッコリと笑って私を迎えてくれた。
「それで……結構、お待たせしちゃったかしら」
「大丈夫、ボクも今来た所だから」
彼は今来たところ、さほど待っていないと言う。
周囲で声もなく起こったざわめきに、宮城君はまったく気づいていない。
男を待たせた。
その事実に、周囲の客が驚いている。
さらには、待たされていた男がまったく怒っていない。
それどころか。
「ありがとう。ええと、おかわりとかいる?」
「ううん、お先でごめんね。春日井さんも自分の分をどうぞ?」
「ええ、そうするわ」
待たせた女、つまり私を気遣うようなセリフまで口にしたのだから。
これが他の男性であれば、怒鳴られ暴言を吐かれるのが当然。
そもそも、女を待つはずもなく帰っているだろう。
やっぱり宮城君は普通の男性とは違う。
私の天使様だもの。
互いにコーヒーを飲みながら、少し言葉を交わした後。
私はここでは話せない事、けれど、伝えなければならない事の為に公園に誘う。
「宮城君。もしお時間よければ、少し歩かない? 近くにね、少し大きな公園があるの」
そこで私は全ての想いを打ち明けるのだ。
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