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『春眠の密約(春日井crushing20)』
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『春眠の密約(春日井crushing20)』
「さっきも言ったが、宮城はきっとお前をモノにした後も、他に女を作るだろう」
「え、先生と……その、私の他にも?」
さっきの聞き違いではなかった。だけど信じられない。
そんなに積極的に女性と関わりを持とうとする男の人がいるかしら?
しかも、それがあの宮城君なんて。
「今はとにかく私の言う事を信じろ。後悔したくなければな」
そうだった。
私は先生の言葉を信じると言ったばかり。
「私としては、お前の後に入ってくる女たちをお前とともに管理、もしくはけん制したい」
「……」
「先行有利の状況を作っておきたいんだよ。宮城だって、新しい女の方に興味が行くのは自然だからな。私とお前が飽きられる……というのはあまり考えたくないし、宮城がそういう不義理をするとは思いたくないが、備えないのは愚か者だ」
「……」
「ありていに言えば、宮城は逆ハーレムを作る気だ。お前はそこでどう立ち回る? ここで私の下につくか? それとも一人で宮城の横を常に狙い続けるか?」
ハーレム。
女の夢。
たくさんの男に愛される女の理想郷。
宮城君はそれを男の身で成そうとしている。なら逆ハーレムというのも間違いではないと思う。
その逆ハーレムにおいて自然発生するだろう序列を、逆に管理統制する事を先生は先んじて狙っているのだ。
逆ハーレムの主たる宮城君の関与なく、そして知られる事なく、トップに君臨する事で寵愛を得るために。
ここで先生と手を組めば、今後、宮城君が本当に多くの女性を引き入れたとしても、色々と有利になれると思う。
だがそれは言外に、私が手を組まなければ先生よりも宮城君に愛される可能性も示唆している。
子を作る。
そこまで約束してもらっている冬原先生より上に立てるのなら、私に子供を与えてくれるかもしれない。
ただ、もし、そこまで宮城君の気を引けなければ、私は冬原先生を敵に回すという事になる。
メリットとリスク。8:2という所だろうか。
だがその前提として、私はすでに先生に弱みを握られている。
施錠された教室に入り込み、男子生徒の机で自慰行為をしたという秘密を。
だが、私も同様以上に冬原先生の秘密を握っている。未成年の教え子に手を出したというのは、私以上の弱みだ。
であれば、一蓮托生。
「よろしくお願いいたします」
私は先生の下に着くことを決意した。
「ふ。やはりお前は賢い。敵にならなくて安心した」
あからさまに安堵した先生。
先生自身が言っていたように、確かにこれは女同士の話だった。
「ああ、あと、私の下、なんて言ったがな? お前と宮城の仲を邪魔する気はないし制限する気もない。そこは約束する。宮城がお前の事を私以上に気に入ったとしても、だ。あくまで私達は私達以外の女をけん制す仲間だ。嫉妬し合って自滅だけは避けねばならん」
確かに協力体制をしいた者同士で自滅なんて目も当てられない。
「はい。私も宮城君と冬原先生の……いえ、色々と気にはなりますけど、お邪魔はしませんから」
「気になる事があれば聞けば答える。だが……」
だが?
「例えば今ここで私が、宮城が実は女をペットのように扱うサド気質、と言っても冗談にしか聞こえないだろ?」
「……」
え?
「ほら、その顔。信じていないだろうが、宮城の好みはおいおい自分で確かめろ。とにかくお前はここでの事を覚えていないし、教室での事は宮城からアプローチがあるまで、知らんふりしておけ」
「は、はい。でも本当に宮城君が、私なんかを?」
色々と聞いていた今も信じられない。
こんなに色々と変態行為をしてしまった私を?
「お前が自身を変態と言うほどの性癖までは関知しないが……まぁ、ささいなものだろう。ヤツにとっては。嫌悪している様子もなかったし、お前の性癖は案外ヤツの好みかもしれんぞ? 迫られたら隠さずガンガン迫っていってもいいかもしれんな」
「……」
「さて、濡れたままだと本当に風邪をひいて熱を出しかねない。着替えたら帰るぞ。送っていく」
「え、あ、はい。え、帰る?」
早退するという事?
「口裏合わせの為だ。さっきも言ったようにお前はここで熱でぶっ倒れた。ここで教室に戻ると、ただでさえ無理の有る辻褄口裏合わせが崩壊するだろう? まぁ、お前も今は色々と混乱しているだろうし、帰って休んだ方がいい」
先生も今回の話に無理があるのはご承知のようだ。
「……そうですね。確かに混乱していますけれど、それは信じられない幸運が降ってわいたからです」
「そうだな。私にも覚えがあるよ」
肩をすくめる冬原先生。
「ほら、そろそろ下着を替えろ。宮城と違って高級スーツというわけじゃないが、一応、ジャージも持ってきた。こっちは新品じゃなくて、私の替えだが洗濯はしてある」
「あ、すみません。お借りします」
色々と安心したら、濡れた下着が冷たく感じてきた。
冬原先生が仕切りのカーテンを引き、私はさっきまで宮城君のいたベッドの上で着替えを始めた。
「着替えたらここで待っていろ。宮城が片づけたと言っていたが、私はざっと教室の確認だけしてくる」
冬原先生は保健室から出ていった。
私は着替えを終えた後、ぼんやりと考える。
宮城君がサド気質。
「……」
さっき私が暴走して迫ってしまった時は、そんなふうには見えなかったけれど。
「……自分から迫る下品な女と思われたから、かしら?」
わからない。
ただ、もうそうなら気を付けよう。
もし宮城君が本当に私に迫ってきてくれたのなら、私は従順に、彼を怖がらせたりしないように振舞う。
何を言われても従って、お利口にすれば、きっと。
ああ、もしそうなったら、あの手で私を撫でてくれるかしら?
青葉のお父さんの手は。
男性の手は、とても大きくて硬くて温かかった。
心地よくて、心まで包まれるようでとても安心できた思い出。
「宮城君の手でふれられたい……撫でてもらいたいなぁ」
私は宮城君の優しい笑顔を思い出したながら、先生の帰りを待ち、その後教室に異常がない事を確認した先生に車で送ってもらって帰宅した。
「さっきも言ったが、宮城はきっとお前をモノにした後も、他に女を作るだろう」
「え、先生と……その、私の他にも?」
さっきの聞き違いではなかった。だけど信じられない。
そんなに積極的に女性と関わりを持とうとする男の人がいるかしら?
しかも、それがあの宮城君なんて。
「今はとにかく私の言う事を信じろ。後悔したくなければな」
そうだった。
私は先生の言葉を信じると言ったばかり。
「私としては、お前の後に入ってくる女たちをお前とともに管理、もしくはけん制したい」
「……」
「先行有利の状況を作っておきたいんだよ。宮城だって、新しい女の方に興味が行くのは自然だからな。私とお前が飽きられる……というのはあまり考えたくないし、宮城がそういう不義理をするとは思いたくないが、備えないのは愚か者だ」
「……」
「ありていに言えば、宮城は逆ハーレムを作る気だ。お前はそこでどう立ち回る? ここで私の下につくか? それとも一人で宮城の横を常に狙い続けるか?」
ハーレム。
女の夢。
たくさんの男に愛される女の理想郷。
宮城君はそれを男の身で成そうとしている。なら逆ハーレムというのも間違いではないと思う。
その逆ハーレムにおいて自然発生するだろう序列を、逆に管理統制する事を先生は先んじて狙っているのだ。
逆ハーレムの主たる宮城君の関与なく、そして知られる事なく、トップに君臨する事で寵愛を得るために。
ここで先生と手を組めば、今後、宮城君が本当に多くの女性を引き入れたとしても、色々と有利になれると思う。
だがそれは言外に、私が手を組まなければ先生よりも宮城君に愛される可能性も示唆している。
子を作る。
そこまで約束してもらっている冬原先生より上に立てるのなら、私に子供を与えてくれるかもしれない。
ただ、もし、そこまで宮城君の気を引けなければ、私は冬原先生を敵に回すという事になる。
メリットとリスク。8:2という所だろうか。
だがその前提として、私はすでに先生に弱みを握られている。
施錠された教室に入り込み、男子生徒の机で自慰行為をしたという秘密を。
だが、私も同様以上に冬原先生の秘密を握っている。未成年の教え子に手を出したというのは、私以上の弱みだ。
であれば、一蓮托生。
「よろしくお願いいたします」
私は先生の下に着くことを決意した。
「ふ。やはりお前は賢い。敵にならなくて安心した」
あからさまに安堵した先生。
先生自身が言っていたように、確かにこれは女同士の話だった。
「ああ、あと、私の下、なんて言ったがな? お前と宮城の仲を邪魔する気はないし制限する気もない。そこは約束する。宮城がお前の事を私以上に気に入ったとしても、だ。あくまで私達は私達以外の女をけん制す仲間だ。嫉妬し合って自滅だけは避けねばならん」
確かに協力体制をしいた者同士で自滅なんて目も当てられない。
「はい。私も宮城君と冬原先生の……いえ、色々と気にはなりますけど、お邪魔はしませんから」
「気になる事があれば聞けば答える。だが……」
だが?
「例えば今ここで私が、宮城が実は女をペットのように扱うサド気質、と言っても冗談にしか聞こえないだろ?」
「……」
え?
「ほら、その顔。信じていないだろうが、宮城の好みはおいおい自分で確かめろ。とにかくお前はここでの事を覚えていないし、教室での事は宮城からアプローチがあるまで、知らんふりしておけ」
「は、はい。でも本当に宮城君が、私なんかを?」
色々と聞いていた今も信じられない。
こんなに色々と変態行為をしてしまった私を?
「お前が自身を変態と言うほどの性癖までは関知しないが……まぁ、ささいなものだろう。ヤツにとっては。嫌悪している様子もなかったし、お前の性癖は案外ヤツの好みかもしれんぞ? 迫られたら隠さずガンガン迫っていってもいいかもしれんな」
「……」
「さて、濡れたままだと本当に風邪をひいて熱を出しかねない。着替えたら帰るぞ。送っていく」
「え、あ、はい。え、帰る?」
早退するという事?
「口裏合わせの為だ。さっきも言ったようにお前はここで熱でぶっ倒れた。ここで教室に戻ると、ただでさえ無理の有る辻褄口裏合わせが崩壊するだろう? まぁ、お前も今は色々と混乱しているだろうし、帰って休んだ方がいい」
先生も今回の話に無理があるのはご承知のようだ。
「……そうですね。確かに混乱していますけれど、それは信じられない幸運が降ってわいたからです」
「そうだな。私にも覚えがあるよ」
肩をすくめる冬原先生。
「ほら、そろそろ下着を替えろ。宮城と違って高級スーツというわけじゃないが、一応、ジャージも持ってきた。こっちは新品じゃなくて、私の替えだが洗濯はしてある」
「あ、すみません。お借りします」
色々と安心したら、濡れた下着が冷たく感じてきた。
冬原先生が仕切りのカーテンを引き、私はさっきまで宮城君のいたベッドの上で着替えを始めた。
「着替えたらここで待っていろ。宮城が片づけたと言っていたが、私はざっと教室の確認だけしてくる」
冬原先生は保健室から出ていった。
私は着替えを終えた後、ぼんやりと考える。
宮城君がサド気質。
「……」
さっき私が暴走して迫ってしまった時は、そんなふうには見えなかったけれど。
「……自分から迫る下品な女と思われたから、かしら?」
わからない。
ただ、もうそうなら気を付けよう。
もし宮城君が本当に私に迫ってきてくれたのなら、私は従順に、彼を怖がらせたりしないように振舞う。
何を言われても従って、お利口にすれば、きっと。
ああ、もしそうなったら、あの手で私を撫でてくれるかしら?
青葉のお父さんの手は。
男性の手は、とても大きくて硬くて温かかった。
心地よくて、心まで包まれるようでとても安心できた思い出。
「宮城君の手でふれられたい……撫でてもらいたいなぁ」
私は宮城君の優しい笑顔を思い出したながら、先生の帰りを待ち、その後教室に異常がない事を確認した先生に車で送ってもらって帰宅した。
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