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『春に舞い降りた私の天使(春日井crushing15)』

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『春に舞い降りた私の天使(春日井crushing15)』

宮城君に選ばれたというあまりの幸運に、ついまた幻聴が聞こえ始めたかと思ったが、それも仕方ない。

天使が私を選んだ、そんな幻聴くらい聞こえて当然の幸運なのだから。

言葉の内容は理解できなかったが、そもそも幻聴に意味などない。

私は座っていた丸椅子から立ち上がり、手早く下着を脱ぎ去った。

宮城君に手間をかけさせてはいけない。

これ以上、待たせてもいけない。

すぐに私を使えるようにしておかないと。

男性にさらした事のない自身の秘所を、こんな所で露出する事には抵抗がある。

ただしその抵抗を1とするならば、露出することへの興奮が2、そして宮城君に見て貰えることへの興奮が7だ。

私はスカートのすそを左手で胸までひきあげ、全てをさらしながら右手をカーテンにかけ。

シャッと仕切りのカーテンを一気に開いた。

「え?」

宮城君がいる。

ベッドに座り、毛布にくるまった宮城君。

肩を出しているその姿はまさに天使。

これから私を使ってくださる天使様。

そんな彼が私を見て何かを言おうとしていた。

うん、いいの、大丈夫。何も言う必要はないわ。

私は全てわかってる、わかっています。

けれど、押し付けるような事はしない。

女が迫ればきっと宮城君は怖がってしまう。

だから私はただ差し出すだけだ。

自分の全てを。

「ど、どうぞ」

と。

しかし宮城君は困ったような顔で。

「ちょっと待ってもらえる? あと、スカートおろして?」

宮城君がそう言った。

男性には体も心も準備が必要だと授業で習っていたのに、私はバカだ。

「ご主人様がそういうのなら」

私は気の利かない自分に恥ずかしくなって、頭を下げながらスカートを降ろす。

しかし宮城君は、不思議な事を言い出した。

「ええと、どういう事? どういう意味?」

どういう意味、とはどういう意味だろう?

宮城君は確かにさっきこう言った。

「え? 宮城君が言ったじゃない? さっきの事、黙っていて欲しければなんでもいう事を聞く犬になれって……」
「言ってないよ? そんな事は一言も言ってないよね?」

言ってない? ええと。私は宮城君のさっきのセリフを懸命に思い出す。

『もちろん。ボクらも年頃だからね。性欲が良くないカンジに爆発する事だってあると思うよ。大丈夫、誰かにこの事を言ったりしない代わりに、春日井さんはボクの犬になってくれるんだよね?』

と。

ちょっと違うかしら? けれどだいたいあっているはず。

少なくとも意味は違ってないはずだ。

「え? でもそういうつもりだったでしょ?」
「いや、ボクのお願いっていうのはね」

お願い?

ふふ、おかしい。

ご主人様の宮城君と犬の私の間にあるのはお願いじゃなくて命令なのに。

けれど、そんな奥ゆかしい所も好き。

きっとまだ恥ずかしいのか、それとも私に遠慮しているのかも。

女からぐいぐいと行くのはあまり良くないかなと思っていたけど、奥手すぎる宮城君の性格を考えたら、私がもっと気を利かすべきなのね。

私は男の子が言いにくそうな事を代弁する事にした。

「違うの? 宮城君はさっき男の子も女の子も性欲が暴走する事もあるって言っていたから、てっきり私の痴態をみて盛り上がったのかなって……」
「な、なるほど。確かに春日井さんの……その……」
「自慰行為?」
「う、うん、まぁ、そうだね。見てしまってちょっとドキドキしているけど」

やっぱり。

自慰なんて言葉すら、恥ずかしくて言葉にできないのね。男の子は繊細だわ。

私はさらに宮城君の心に沿うように、言葉を選ぶ。

きっとこうしたい、ああしたい、そういう欲求があるはず。

私は何でも受け入れるという事をアピールすれば、きっと宮城君の望む行為を教えてくれるだろう。

「なら、互いの了承もあるんだしいいと思うの。私は女だけど男の子に服従するのもいとわない。宮城君の好きにしてくれてかまわない。そう、私は犬なの。メス犬と思ってもらって構わないわ。首輪をつけてお散歩だって行くし、もう粗相はしないから」
「え? 待って? 春日井さん、どうしたの?」

首輪をつけてお散歩は私の趣味だけれど、犬の散歩は飼い主の、ご主人様の義務でもあるし、それくらいのおねだりはいいわよね?

しかし宮城君は動かない。

ベッドもあるし、宮城君はもう脱いでいるのだから、すぐに私を使ってくれてもいいのに、と。

あ、そうか。私も脱げという事だろうか?

宮城君を見ると、言われなくても脱げよ、という視線のような気もする。

舞い上がってしまっていて、私はどうにも気配りができないダメな女だ。

反省しつつ、スカートのホックに指をかける。

そして私は宮城君の座るベッドに手をかけて、ゆっくりと近づく。

急に迫っては怖がらせてしまう。

生まれたての子猫に触れるように、刺激しないよう、ゆっくりと、宮城君がくるまる毛布にそっと手をかけた。

そして囁くように。

「ねぇ、宮城君。今からする? ここでする?」

宮城君はただうなずくだけでいいように、そうたずねかけた。

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