279 / 415
『春に舞い降りた私の天使(春日井crushing14)』
しおりを挟む
『春に舞い降りた私の天使(春日井crushing14)』
「あのっ、宮城君!」
「ねぇ、春日井さん」
同時に、宮城君が私に声をかけた。
「……何かな?」
「なっなに!?」
とっさにそう返したもののも、宮城君も驚いていた。
こういう時、不思議とタイミングが重なってしまう。
「いいよ、春日井さんからお先にどうぞ」
「う……うん」
宮城君が言いかけた用件も気になるけれど、せっかくゆずってくれたのであれば私から。
それに、この勢いと覚悟がなくなれば、私はもう口が開けなくなるかもしれない。
「え、えっと……その」
聞くべき事、言うべき事は決まっているのに、声がでない。
「先生にもうまく誤魔化してくれたさっきの事……このまま黙ってて欲しいの……」
なんとか絞り出した。
この年でお漏らしをした女の事なんて、汚らしいとしか思えないはずなのに。
先生に嘘をついて、自分で水をかぶってまで、私をかばってくれた宮城君なら、と信じて。
「もちろん。ボクらも年頃だからね。性欲が良くないカンジに爆発する事だってあると思うよ。大丈夫、誰かにこの事を言ったりしない。ボクは春日井さんが好きだから」
――え?
私は耳を疑った。
今、宮城君は確かにこう言った。
性欲と。性欲が爆発した、と。
「性欲? え? み、宮城君……あの、私、お漏らし……じゃなくて、もしかして……見てたの?」
「あ」
もう間違いない。
宮城君は見ていた。
私が彼の机で自慰をしていた事を見ていたのだ!
けれど、私にそうと気づかせないまま、それをやめさせようと……。
「それで……あんなに大声を出してたの? 私が気づくように?」
大きな声をあげながら、廊下を歩いてたのだ。
するとそれが正解だったように、宮城君が慌てた声で。
「あ、うん。その、ね? ボク見なかった事にすれば丸くおさまるかなーって。大丈夫、ボクは誰にもこの事は言わないから!」
「……宮城君、本当に……?」
本当に、言わないでいてくれる。
その言葉に間違はない。
だってそれはつまり、一度、教室にやってきて、私のあんな姿を見て?
わざわざ戻って、道化を演じるように声を出してまた戻ってきた?
そんな事までして、私の犯罪行為を無かったことにしてくれようとしたのだから。
だから、きっと宮城君は決して他言しない。
……でも、それって宮城君にメリットが何も無い。
さすがにそれは看過できない。私にできることであれば、と言い出そうとして。
「ねぇ、春日井さん。もしボクが黙っている代わりに何か一つ言う事を聞いて欲しいって言ったらどうかな?」
「わ、わかったわ。そうね、そうよね。そういうものだってちゃんとわかってるわ。私は大丈夫」
考える前に即答した。
私にできることはあまり多くないだろうけれど、宮城君が何かを望むのであれば否やも無い。
そして唐突に閃いた。
さっき宮城君はなんと言っただろうか?
『もちろん。ボクらも年頃だからね。性欲が良くないカンジに爆発する事だってあると思うよ。大丈夫、誰かにこの事を言ったりしない。ボクは春日井さんが好きだから』
そう、確かにこう言った。
互いに若く、性欲が抑えられなくなることもある、と。
そして私の事を好き、だとも。
であれば求められるのは……私自身?
男の子だって性欲はあると、女だけの授業で習っている。
ただ、男の子から女に対してそう言う事を要求することは非常にハードルの高い事だとも想像がつく。
もし誘って乱暴にされたら? もし写真や動画を撮られたら? そういった危険が常に付きまとう。
しかし私であればどうだろう?
私は宮城君にとんでもない事をしてしまったし、良くも悪くも弱みを握られている。
つまり、安心して言う事をきかせられる”女として使える”と宮城君が思ってくれたのなら?
いや、もう他にない。それしかない。
私は彼の性欲のはけ口として選ばれた!
そう悟った瞬間。
『――テステス。聞こえますか。ふふ、貴女、実に良いですね。私の目に狂いはなかった。さあ、無礼な転生者に神罰覿面です』
と、さきほど頭に響いた幻聴と同じ声が聞こえたような気がした。
「あのっ、宮城君!」
「ねぇ、春日井さん」
同時に、宮城君が私に声をかけた。
「……何かな?」
「なっなに!?」
とっさにそう返したもののも、宮城君も驚いていた。
こういう時、不思議とタイミングが重なってしまう。
「いいよ、春日井さんからお先にどうぞ」
「う……うん」
宮城君が言いかけた用件も気になるけれど、せっかくゆずってくれたのであれば私から。
それに、この勢いと覚悟がなくなれば、私はもう口が開けなくなるかもしれない。
「え、えっと……その」
聞くべき事、言うべき事は決まっているのに、声がでない。
「先生にもうまく誤魔化してくれたさっきの事……このまま黙ってて欲しいの……」
なんとか絞り出した。
この年でお漏らしをした女の事なんて、汚らしいとしか思えないはずなのに。
先生に嘘をついて、自分で水をかぶってまで、私をかばってくれた宮城君なら、と信じて。
「もちろん。ボクらも年頃だからね。性欲が良くないカンジに爆発する事だってあると思うよ。大丈夫、誰かにこの事を言ったりしない。ボクは春日井さんが好きだから」
――え?
私は耳を疑った。
今、宮城君は確かにこう言った。
性欲と。性欲が爆発した、と。
「性欲? え? み、宮城君……あの、私、お漏らし……じゃなくて、もしかして……見てたの?」
「あ」
もう間違いない。
宮城君は見ていた。
私が彼の机で自慰をしていた事を見ていたのだ!
けれど、私にそうと気づかせないまま、それをやめさせようと……。
「それで……あんなに大声を出してたの? 私が気づくように?」
大きな声をあげながら、廊下を歩いてたのだ。
するとそれが正解だったように、宮城君が慌てた声で。
「あ、うん。その、ね? ボク見なかった事にすれば丸くおさまるかなーって。大丈夫、ボクは誰にもこの事は言わないから!」
「……宮城君、本当に……?」
本当に、言わないでいてくれる。
その言葉に間違はない。
だってそれはつまり、一度、教室にやってきて、私のあんな姿を見て?
わざわざ戻って、道化を演じるように声を出してまた戻ってきた?
そんな事までして、私の犯罪行為を無かったことにしてくれようとしたのだから。
だから、きっと宮城君は決して他言しない。
……でも、それって宮城君にメリットが何も無い。
さすがにそれは看過できない。私にできることであれば、と言い出そうとして。
「ねぇ、春日井さん。もしボクが黙っている代わりに何か一つ言う事を聞いて欲しいって言ったらどうかな?」
「わ、わかったわ。そうね、そうよね。そういうものだってちゃんとわかってるわ。私は大丈夫」
考える前に即答した。
私にできることはあまり多くないだろうけれど、宮城君が何かを望むのであれば否やも無い。
そして唐突に閃いた。
さっき宮城君はなんと言っただろうか?
『もちろん。ボクらも年頃だからね。性欲が良くないカンジに爆発する事だってあると思うよ。大丈夫、誰かにこの事を言ったりしない。ボクは春日井さんが好きだから』
そう、確かにこう言った。
互いに若く、性欲が抑えられなくなることもある、と。
そして私の事を好き、だとも。
であれば求められるのは……私自身?
男の子だって性欲はあると、女だけの授業で習っている。
ただ、男の子から女に対してそう言う事を要求することは非常にハードルの高い事だとも想像がつく。
もし誘って乱暴にされたら? もし写真や動画を撮られたら? そういった危険が常に付きまとう。
しかし私であればどうだろう?
私は宮城君にとんでもない事をしてしまったし、良くも悪くも弱みを握られている。
つまり、安心して言う事をきかせられる”女として使える”と宮城君が思ってくれたのなら?
いや、もう他にない。それしかない。
私は彼の性欲のはけ口として選ばれた!
そう悟った瞬間。
『――テステス。聞こえますか。ふふ、貴女、実に良いですね。私の目に狂いはなかった。さあ、無礼な転生者に神罰覿面です』
と、さきほど頭に響いた幻聴と同じ声が聞こえたような気がした。
20
お気に入りに追加
893
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
転生したら男女逆転世界
美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。
※カクヨム様にも掲載しております


転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる