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『春に舞い降りた私の天使(春日井crushing10)』
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『春に舞い降りた私の天使(春日井crushing10)』
もしかして、このまま無かったことになるの?
私、捕まらないの?
私はいつもの優しい様子、もちろん、いつもより多少は驚いているようだが、さほど変わらない態度の宮城君を見る。
少なくとも私を責めようとする気配はない。
私は宮城君が本当に女神様から遣わされた天使ではないかと錯覚した。
であれば、その女神様はきっと、美しく、慈愛深く、何より誰より尊い存在に違いない。
この恩を返せと言われれば、私はそんな女神様に何でも捧げるだろう。
などと、あまりに自分の都合のいい展開に自分でもよくわからない事を考えていた時。
『――テステス。聞こえますか? 私は今、貴女の頭に直接語り掛けています』
頭の奥で何かが弾けたような、まるで誰かが入り込んできたような感覚が走る。
え?
……え?
困惑する私だが、謎の女の人の声はかまわず続いた。
『貴女はそこの失礼極まりない不信心者と違うようです。であれば、我が信徒と認め力を与えましょう。色ボケ無礼者のスキルを上回るだけの性癖染色、その強火仕様の力を。ナメた口を聞くオス猿には良い薬になるでしょうからね。とはいえ、無差別に効果をもたらすのは貴女にとっても良くありませんから、効果対象の男はその色欲小僧のみに限定しておきますよ』
なに?
誰?
知らない女の人の声が頭に響き、そして綺麗に消えさった。
「とにかく……このままじゃマズいからね。春日井さん、着替えって持ってる?」
宮城君の声で我に返る。
今のは一体? なんて気にかけている状況なんかじゃない。
私はとにかく問いかけられたことに返事をする。ええと、着替え? 着替えなら。
「……ジャージなら」
「なら、それに着替えておいて。ボクはバケツと雑巾持ってくるから」
「そ、そんな、男の子にそんな事、させられない……それに私のアレだし、私が」
「戻るのがあまり遅くなるとまずいでしょ? ボクがいない間に着替えちゃって?」
宮城君は私に有無を言わせず教室から走って出ていった。
私は理解ができなかった。
こんな犯罪者の私を気遣って?
しかも、女の汚物を掃除?
どういう事?
実は本当の私はもう捕まっていて、獄中のベッドの中で幸せだった頃の夢でも見ているの?
「……つめた」
現実だと言い聞かされるように、床に触れているお尻から冷たさが伝わってくる。
なんとか宮城君にばれないようにスカートの中に隠していたショーツをはいた。
はかない方がマシというくらいに濡れている。
すぐに足音が帰ってくる。
戻ってきた宮城君は手に水の入ったバケツを持っていた。
目の前に置かれたそれには何枚かの雑巾が沈んでいる。
私はすぐにそれを手に取り、搾り上げて床を拭き始めた。
「ご、ごめんね、ひっく、ごめんね」
もう謝る以外の事ができない。
すると驚いたことに、本当に宮城君も床を拭き始めた。
私の、女の汚物に手が汚れてしまうのに。
天使。
本当に天使はいたのね。
もしかして、このまま無かったことになるの?
私、捕まらないの?
私はいつもの優しい様子、もちろん、いつもより多少は驚いているようだが、さほど変わらない態度の宮城君を見る。
少なくとも私を責めようとする気配はない。
私は宮城君が本当に女神様から遣わされた天使ではないかと錯覚した。
であれば、その女神様はきっと、美しく、慈愛深く、何より誰より尊い存在に違いない。
この恩を返せと言われれば、私はそんな女神様に何でも捧げるだろう。
などと、あまりに自分の都合のいい展開に自分でもよくわからない事を考えていた時。
『――テステス。聞こえますか? 私は今、貴女の頭に直接語り掛けています』
頭の奥で何かが弾けたような、まるで誰かが入り込んできたような感覚が走る。
え?
……え?
困惑する私だが、謎の女の人の声はかまわず続いた。
『貴女はそこの失礼極まりない不信心者と違うようです。であれば、我が信徒と認め力を与えましょう。色ボケ無礼者のスキルを上回るだけの性癖染色、その強火仕様の力を。ナメた口を聞くオス猿には良い薬になるでしょうからね。とはいえ、無差別に効果をもたらすのは貴女にとっても良くありませんから、効果対象の男はその色欲小僧のみに限定しておきますよ』
なに?
誰?
知らない女の人の声が頭に響き、そして綺麗に消えさった。
「とにかく……このままじゃマズいからね。春日井さん、着替えって持ってる?」
宮城君の声で我に返る。
今のは一体? なんて気にかけている状況なんかじゃない。
私はとにかく問いかけられたことに返事をする。ええと、着替え? 着替えなら。
「……ジャージなら」
「なら、それに着替えておいて。ボクはバケツと雑巾持ってくるから」
「そ、そんな、男の子にそんな事、させられない……それに私のアレだし、私が」
「戻るのがあまり遅くなるとまずいでしょ? ボクがいない間に着替えちゃって?」
宮城君は私に有無を言わせず教室から走って出ていった。
私は理解ができなかった。
こんな犯罪者の私を気遣って?
しかも、女の汚物を掃除?
どういう事?
実は本当の私はもう捕まっていて、獄中のベッドの中で幸せだった頃の夢でも見ているの?
「……つめた」
現実だと言い聞かされるように、床に触れているお尻から冷たさが伝わってくる。
なんとか宮城君にばれないようにスカートの中に隠していたショーツをはいた。
はかない方がマシというくらいに濡れている。
すぐに足音が帰ってくる。
戻ってきた宮城君は手に水の入ったバケツを持っていた。
目の前に置かれたそれには何枚かの雑巾が沈んでいる。
私はすぐにそれを手に取り、搾り上げて床を拭き始めた。
「ご、ごめんね、ひっく、ごめんね」
もう謝る以外の事ができない。
すると驚いたことに、本当に宮城君も床を拭き始めた。
私の、女の汚物に手が汚れてしまうのに。
天使。
本当に天使はいたのね。
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