【R18】転生先は男女比１：３０の貞操逆転世界～ビッチを夢見る三十路の魂～

『春日井と待ち合わせ』

『春日井と待ち合わせ』　

「じゃあ、放課後……そうね、この前のコーヒーショップで待ち合わせでいいかしら？」
「あ、うん。一緒に行くわけじゃなくて？」

てっきり下校の時にそのまま行くと思っていたが。

「私はそれでもいいけど、やっぱり噂になっちゃうから。これ以上、宮城君に迷惑かけたくないわ。他の子だって、じゃあ私も私もってついてくるわよ？」
「あ、うん、じゃあ、あのお店で」

不特定多数の女子と仲良くするのはいいが、特定の女子と親密さを露見するのはクラスの平和的に良くないらしい。

現状、オレは女のコたちに優しいが親密な女子はいない。と、されている。

この世の中、女性を蔑視する男が多い。

一方でオレは八方美男とでもいうべ愛想を振りまくイケメンである。

そんなオレならワンチャンあるかもと誰もが手を出したいが、それをオレが不快に思ったら一般的な男のようになってしまうのでは？　という懸念もあって、クラスメートたちは牽制状態となっている。

このあたりのクラス事情は先生から聞き及んでいて『お前の行動にとやかくいう小さな女と思われたくないが、できれば自重してくれ。もしくはこっそりやれ。主に私の教師生活の安寧のために』と頼まれてもいる。

そのお願いを承知した見返りに、今度オレの好きなコスプレをしてもらえることになったので良い取引だった。

先生は『お前は女にコスプレをさせて何が楽しいんだ？』と不思議なモノを見る目で見られた。

何を着せられるかわかっていない美人なそのお顔が、その時を迎えてどうなるか楽しみである。

そうだ。今度、夏木さんにも頼んでみよう。多分、なんだかんだでオーケーしてくれるはずだ。

などと実に夢のある妄想に想いをはせていると。

「ホームルームを始めるぞ！　早く席につけ」

体育教師らしい大声とともに教室に入ってきた冬原先生。

ホームルームに号令はないので、オレも先生に言われるままに席についた。

「まず今日の連絡事項だが、私は今日一日用事で学外に――」

二年一組は朝のホームルームの時間を迎え、冬原先生が連絡事項などを伝え始めた。



＊＊＊



そして迎える放課後。

春日井さんと話し合う前に事前情報を得たかったものの、朝のホームルームでも言われたが冬原先生は何かの用事で学校にいないらしい。

電話などで連絡を取ろうとしても『大丈夫だ、バッチリ誤魔化しておいた』というメールぐらいしか返事が返ってこなかった。

その内容を知りたいのだが仕方ない。

結局、オレはまともな情報をえられないままま、春日井さんが待つコーヒーショップに向かった。

さすがに平日の放課後直後ともありシマ先輩の姿はない。

もしシフトに入っていたとしても、こんなに早い時間は無理だろうしな。

土日と違って席の埋まりもまばらだ。

オレは店内を見回して。

「春日井さんはまだ来てない、か」

どうやらオレの方が早く来たらしい。

カフェオレを注文したオレは、入口のよく見える四人掛けのボックス席に腰を落ち着ける。

十分ほど待っただろうか。

入口の自動ドアが開き、派手な格好をした若い女性が姿を現す。

オーダーをせず、店内を見回してオレと目が合った。

春日井さんだった。