【R18】転生先は男女比1:30の貞操逆転世界~ビッチを夢見る三十路の魂~

尾和 ハボレ

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『春に舞い降りた私の天使(春日井crushing03)』

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『春に舞い降りた私の天使(春日井crushing03)』

雑誌の横に置かれた私のスマホには、何枚、何十枚もの彼の写真データが入っている。

隠し撮りなどではなく、本人の意思と許可に沿って撮られたものだ。

クラスでは面倒でお堅い女として通っている自分だが、こうして写真を融通してくれる仲の良い友人もいる。

彼はあまりに女というものは知らなさすぎる。

写真など許せば、こんなことに使われても当然だというのに、まったく頓着がない。

私以外の女子とのツーショット写真で欲情する自身の浅ましさ、むなしさを抱えつつも、何枚もの写真をスクロールさせながら、もう片方の指で私は自身を慰める。

「私も……一緒に、撮りたいな……」

自分がそういうキャラではないことも自覚している。

真面目に内申点を稼ぎ、少しでも良い大学へ入るために委員長なんてものもやってる。

男子生徒へちょっかいをかけるというのは、ほぼ間違いなくトラブルになるため、先生方などにはあまり印象が良いものではない。

たまたま受けもった男子生徒が面倒な性格をしていた、それだけでノイローゼになってしまう先生だっているのだから。

「でも、宮城君……なら」

あんな恰好をしている冬原先生相手にも嫌悪感を出していないし、隣の席の青葉とも仲がいいよう見える。

彼は多分、女性に対して忌避感を持っていない。

それどころか写真撮影などで体が接触しても、拒否どころか笑顔で迎えてくれる。

「……もしかして、本当にいるのかな……」

それこそ雑誌に載っているマンガや小説に出てくるような淫猥な男性で性的にオープンどころか積極的な男性。

好色漢。

誰が言い出したか、そういう言葉がある。

文字通り、色を好む男。

女が想像する、都合のいい男の幻想。

何をしても受け入れてくれて、望めば何でもしてくれる男。

「……バカね。そんなはずないじゃない……ん……んっ、んんっ」

私は都合のいい考えを振り払うように、指の動きを早める。

見ているだけで、話しかける事ができるだけで。

それだけで望外の幸運なのだから。

そんな事を考えながら、毎日毎日、ベッドの中で自分を慰める。

学校に行けば、毎晩、妄想で優しく私を抱いてくれる宮城君と顔をあわせる日々。

いつか現実と妄想が混じるんじゃないかと、おかしくなりそうだった。

もしかしたら、もっと仲良くなれるかもしれない。

そんな思いは確かにある。

しかし私は、宮城君にとんでもない事をしてしまった。

一生、誰にも言えない、それはそれは本当に大変な事をしてしまった。

気の迷いだった。

魔が差した。

そんなことは言い訳にもならない。

本来であれば、すぐにあの事を……宮城君の前で、顔を隠し、半裸をさらした痴女は自分だと告白しなければならない。

あの時の宮城君は、見たことのないような顔だった。

いつも笑顔の彼が、表情を消してしまい、身動き一つしなくなった。

きっと、突然現れた痴女に襲われると思い、怖くて固まってしまったのだろう。

私は、宮城君の心に傷をつけた。とんでもない事をしてしまったのだ。

すぐに謝罪し、罪をつぐなうべきなのだ。

けれどできない。

そんなことをしたら一生も、牢屋に入れられるかもしれない。

母だって後ろ指をさされるだろう。きっともう、私たち母娘はまともな人生など送れない。

自分の欲望からくる身勝手、それはわかっている。

わかっているけれど、人生が終わってしまう事が怖くて、罪を償うことなどできなかった。

そうして今日も、何食わぬ顔で登校するのだ。
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