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『春日井と夜の散歩(2)』
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『春日井と夜の散歩(2)』
暗くなりかけた緑地公園の遊歩道を歩く。
すれ違う人影もないまま、春日井さんを横に歩いていく。
「……」
「……」
あえて何も言わず、オレは春日井さんに視線を向ける事もなく歩く。
体を密着させているからわかる。
春日井さんは何かを言いたそうにオレに顔を向けたり、体が触れ合っている部分を意識してモジモジしたりと、せわしない。
きっとすぐにでもオレが何かしら手を出してくると思っていたのに、という所だろう。
だがオレはすべてを無視して歩く。
無言のおねだりをスルーして歩き続ける。
すると。
「あ、あの、宮城く……」
ついに我慢できなくなったのか、声を出した春日さん。
そのタイミングに合わせて、オレは腰にまわしていた手をお尻へと滑らせた。
「あっ」
手のひらにはおさまらない大きめのお尻に優しく手をそえたまま、春日井さんと目を合わせる。
「なにかな?」
「あ、あっ、え? えっと、その……」
お尻を撫でる。優しく撫でる。
「なに?」
「んんっ……な、何でもないわ。何でもない、のっ……んっ」
ホットパンツの上から撫でるだけのささやかな刺激ですら春日井さんは背筋を震わせてうつむている。
お預け効果すごいな。
いや、春日井さんの露出癖に加えて、マゾっ子でワン子属性によるブーストがかっているだけか。
どちらにしろこの、ねだりたいのに必死に我慢している表情が……最高です。
「どうしたの? 足が止まってるよ?」
「あ、ご、ごめんなさい」
オレはお尻を軽くさすりながら、春日井さんを急かすようにして歩き始める。
春日井さんも隣のオレを見上げるよう、視線を向けたりそらせたりしながら歩く。
そうしてさきほどと同じく無言のまま歩き続けるオレたち。
「……」
「……ん」
一つだけ違うのは時折春日井さんが息を漏らすことだけだ。
しばらくそうして歩いていた時、オレが望んでいたものがやってきた。
すでに辺りは暗くなりつつあるとはいえ、まだ人のいる時間でもある。
さきほどのように人気のない公園で座っているのであればともかく、こうして遊歩道を歩けばすれ違う人もいるわけで。
前からは犬を連れた、四十ほどだろうおばさんの姿があった。
おばさんはまず学生服のオレを見るがすぐ目をそらし……たあともチラチラとオレを見ている。
制服のイケメンがいれば誰だってそーなる。
オレだって前世で制服美少女が前から歩いてい来たら同じような事をしていたから、よくわかる。
だがすぐにまゆをひめそた。
露出の激しい恰好の春日井さんが隣にいたからだ。
なんでそんな女がこんな子を連れて歩いているの? という怒りの表情にも見うる。
前世換算の感覚だとチャラ男が真面目な学生を連れまわしているような図だろうか。
通報される事はないと思うが(ないよね?)その予防としても、さりげなく仲の良いアピールをしておこう。
「見てほら、かわいいワンコだね」
オレはすぐそこまできていたおばさんに聞こえるほどの声の大きさで春日井さんに笑いかける。
突然のことにうつむいていた顔をあげ、オレを見た後、前からくるおばさんとワンコにようやく気づいたようで、あわてて同意する。
「そ、そうね、かわいいわ」
オレはそんな春日井さんをスルーして、おばさんに向かい話しかける。
「それってコーギーですよね。ちょっとだけ挨拶してもいいですか?」
「え、ええ、どうぞ」
まさか話しかけられるとは、と驚いたような顔をしつつもオーケーしてくれたので、オレはコーギーを驚かせないように、少し離れてゆっくりとしゃがみこむ。
ふさふさで柔らかく長い毛並み、一方で短い脚が特徴的な犬種だ。
目の前で座り込んだオレにもおびえるようなことも威嚇してくるようなこともなく、むしろオレに興味をもったように近寄ってきたので左手の指を出すとなめてきた。
「おー、なつっこいなー」
アゴの下をなでると濡れた鼻を上にあげてウニウニと動く。
犬すらも感じさせてしまうテクニシャンなオレ。
まー、だいたい犬猫はどの子もここが弱点だが。
「ほら。くすぐったそうにしてる。かわいいね」
「え、ええ、そうね……んっ」
しゃがみこむオレの横にくっついて立っている春日井さん。
おばさんから見えないようなオレの絶妙な位置調整により、お尻を撫でている手はそのままなので春日井さんの声はいまも湿っている。
「ほら、こうして撫でるとね」
左手で犬のノドを強く撫でるとクウンクウンと体を寄せてくるコーギー。
その一方で右手でも春日井さんのお尻を強く撫で上げる。
「んっ……んんっ」
おばさん悟られないように必死で声を殺し、オレの手がお尻にある事を隠すように体を寄せてくる春日井さん。
どっちもかわいい。
しかし右手でかわいがっているお尻の大きい大型犬の方の限界が早そうだ。
「引き止めてすみません、ありがとうございました」
オレはおばさんの散歩のジャマをした事をわびて立ち上がる。
「さ、行こう。ボクらも……散歩の続きだよ?」
「ん……え、ええ」
こんなふうに仲良くしているところを見せれば、おばさんもオレが無理やり連れ回されているとは思わないだろう。
もっとも連れまわされているのが、この露出の多い女のコの方だとも思わないだろうが。
暗くなりかけた緑地公園の遊歩道を歩く。
すれ違う人影もないまま、春日井さんを横に歩いていく。
「……」
「……」
あえて何も言わず、オレは春日井さんに視線を向ける事もなく歩く。
体を密着させているからわかる。
春日井さんは何かを言いたそうにオレに顔を向けたり、体が触れ合っている部分を意識してモジモジしたりと、せわしない。
きっとすぐにでもオレが何かしら手を出してくると思っていたのに、という所だろう。
だがオレはすべてを無視して歩く。
無言のおねだりをスルーして歩き続ける。
すると。
「あ、あの、宮城く……」
ついに我慢できなくなったのか、声を出した春日さん。
そのタイミングに合わせて、オレは腰にまわしていた手をお尻へと滑らせた。
「あっ」
手のひらにはおさまらない大きめのお尻に優しく手をそえたまま、春日井さんと目を合わせる。
「なにかな?」
「あ、あっ、え? えっと、その……」
お尻を撫でる。優しく撫でる。
「なに?」
「んんっ……な、何でもないわ。何でもない、のっ……んっ」
ホットパンツの上から撫でるだけのささやかな刺激ですら春日井さんは背筋を震わせてうつむている。
お預け効果すごいな。
いや、春日井さんの露出癖に加えて、マゾっ子でワン子属性によるブーストがかっているだけか。
どちらにしろこの、ねだりたいのに必死に我慢している表情が……最高です。
「どうしたの? 足が止まってるよ?」
「あ、ご、ごめんなさい」
オレはお尻を軽くさすりながら、春日井さんを急かすようにして歩き始める。
春日井さんも隣のオレを見上げるよう、視線を向けたりそらせたりしながら歩く。
そうしてさきほどと同じく無言のまま歩き続けるオレたち。
「……」
「……ん」
一つだけ違うのは時折春日井さんが息を漏らすことだけだ。
しばらくそうして歩いていた時、オレが望んでいたものがやってきた。
すでに辺りは暗くなりつつあるとはいえ、まだ人のいる時間でもある。
さきほどのように人気のない公園で座っているのであればともかく、こうして遊歩道を歩けばすれ違う人もいるわけで。
前からは犬を連れた、四十ほどだろうおばさんの姿があった。
おばさんはまず学生服のオレを見るがすぐ目をそらし……たあともチラチラとオレを見ている。
制服のイケメンがいれば誰だってそーなる。
オレだって前世で制服美少女が前から歩いてい来たら同じような事をしていたから、よくわかる。
だがすぐにまゆをひめそた。
露出の激しい恰好の春日井さんが隣にいたからだ。
なんでそんな女がこんな子を連れて歩いているの? という怒りの表情にも見うる。
前世換算の感覚だとチャラ男が真面目な学生を連れまわしているような図だろうか。
通報される事はないと思うが(ないよね?)その予防としても、さりげなく仲の良いアピールをしておこう。
「見てほら、かわいいワンコだね」
オレはすぐそこまできていたおばさんに聞こえるほどの声の大きさで春日井さんに笑いかける。
突然のことにうつむいていた顔をあげ、オレを見た後、前からくるおばさんとワンコにようやく気づいたようで、あわてて同意する。
「そ、そうね、かわいいわ」
オレはそんな春日井さんをスルーして、おばさんに向かい話しかける。
「それってコーギーですよね。ちょっとだけ挨拶してもいいですか?」
「え、ええ、どうぞ」
まさか話しかけられるとは、と驚いたような顔をしつつもオーケーしてくれたので、オレはコーギーを驚かせないように、少し離れてゆっくりとしゃがみこむ。
ふさふさで柔らかく長い毛並み、一方で短い脚が特徴的な犬種だ。
目の前で座り込んだオレにもおびえるようなことも威嚇してくるようなこともなく、むしろオレに興味をもったように近寄ってきたので左手の指を出すとなめてきた。
「おー、なつっこいなー」
アゴの下をなでると濡れた鼻を上にあげてウニウニと動く。
犬すらも感じさせてしまうテクニシャンなオレ。
まー、だいたい犬猫はどの子もここが弱点だが。
「ほら。くすぐったそうにしてる。かわいいね」
「え、ええ、そうね……んっ」
しゃがみこむオレの横にくっついて立っている春日井さん。
おばさんから見えないようなオレの絶妙な位置調整により、お尻を撫でている手はそのままなので春日井さんの声はいまも湿っている。
「ほら、こうして撫でるとね」
左手で犬のノドを強く撫でるとクウンクウンと体を寄せてくるコーギー。
その一方で右手でも春日井さんのお尻を強く撫で上げる。
「んっ……んんっ」
おばさん悟られないように必死で声を殺し、オレの手がお尻にある事を隠すように体を寄せてくる春日井さん。
どっちもかわいい。
しかし右手でかわいがっているお尻の大きい大型犬の方の限界が早そうだ。
「引き止めてすみません、ありがとうございました」
オレはおばさんの散歩のジャマをした事をわびて立ち上がる。
「さ、行こう。ボクらも……散歩の続きだよ?」
「ん……え、ええ」
こんなふうに仲良くしているところを見せれば、おばさんもオレが無理やり連れ回されているとは思わないだろう。
もっとも連れまわされているのが、この露出の多い女のコの方だとも思わないだろうが。
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