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『保健室での打ち合わせ(2)』
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『保健室での打ち合わせ(2)』
「ええと」
オレが先生のダークな雰囲気にのまれて返事をにごらせていると。
「そんな生半可な覚悟しかないのならやめておけ。知らなくていい事は世にたくさんあるぞ」
「あ、はい」
どうやらオレが今、手にしているシャツやズボンには悲しい理由が宿っているらしい。
面白そうではあるが今はおいておく。いずれ真実を知る日がくるかもしれないし。
「春日井が目を覚ます前に打ち合わせしておくか」
「はい」
「私が入ってきたあたりで気を失ったという事にしておこう。そのあたりが記憶の最も記憶の混濁が激しいはずだ。原因は……そういえば、どういう状況でこんな事になったんだ?」
「そう言えば何もお話してませんでしたね」
しかし春日井さんの名誉のためにも、あまり他言したい内容でもない。
「と言ってもちょっと話しにくい事なんですけど絶対に他言無用でお願いできますか?」
「程度のよるが……犯罪行為ではないんだな?」
「まぁ、はい」
「なら言え。知っておいた方が色々とフォローも効く」
それは確かに。
先生が事情に通じているか否かによって、この学園という閉鎖空間では天と地ほど動きやすさが違う。
先生もそこまで考えている、というよりも違う方向に深く考えているはずだ。
つまり――セフレ序列。
先生はいずれ春日井さんがオレのセフレになるかもと知っているが、春日井さんは先生がオレのセフレとは知らないし、思ってもいないだろう。
それはいつか両人の関係にとって、一方的なまでに強者たるアドハンテージになるだろう。
……そういうズルい事を考える先生も可愛いと思うので、あえて何も言わない。
というわけで、視聴覚室に移動する際のカギの管理などを含めたあれこれと、誰もいなくなった教室でオレの机で気持ちよくなっていた所を目撃して誤魔化そうとしていた事、全てを先生には話した。
「確かに犯罪かと言われれば微妙な所だな。お前の机でいたしていたのは立派なセクハラだが、お前に訴える気がないのであれば不問だろうし」
もちろんオレにその気はない。
先生もそれは言うまでもなくわかっている。
「カギの管理者という観点では職権乱用だが、たかだかクラス委員に職というほど責任を求められるものでもない。むしろいつも雑用をさせられているわけだし、役得ぐらいは認められるべきだろうが、今回のそれは逸脱が過ぎる。施錠した教室で鍵の管理をまかされていた人物が忘れ物という理由で出入りするだけでもマズい。もし勘違いでもクラスの者が何かを紛失したと言い出せば盗難も疑われる」
まさにオレが不安に思っていた事を先生も口にした。
「そうなんです。別にオレの机をどう使ってもらっても構わないんですが、春日井さんが教室でお漏らししてしまった事を隠さないと、教室で何をしていたと嫌疑にかけられてしまうかなと思って」
「春日井に限って、とは思うが、現実問題、このザマを見るまで春日井がお前の机でしでかすなんて考えもしなかったからな。人の本心なんてわからんもんだよ」
ふう、とため息をつくこちらの美人教師は、自分が男子高生のセフレという事を棚上げしてそんな事をのたまう。
面白いので少しからかってみる。
「確かに。普段は厳しい生活指導の先生かつ体育教師が受け持ちの男子生徒のセフレなんて、絶対に考えもしませんからね」
にらまれた。
「ええと」
オレが先生のダークな雰囲気にのまれて返事をにごらせていると。
「そんな生半可な覚悟しかないのならやめておけ。知らなくていい事は世にたくさんあるぞ」
「あ、はい」
どうやらオレが今、手にしているシャツやズボンには悲しい理由が宿っているらしい。
面白そうではあるが今はおいておく。いずれ真実を知る日がくるかもしれないし。
「春日井が目を覚ます前に打ち合わせしておくか」
「はい」
「私が入ってきたあたりで気を失ったという事にしておこう。そのあたりが記憶の最も記憶の混濁が激しいはずだ。原因は……そういえば、どういう状況でこんな事になったんだ?」
「そう言えば何もお話してませんでしたね」
しかし春日井さんの名誉のためにも、あまり他言したい内容でもない。
「と言ってもちょっと話しにくい事なんですけど絶対に他言無用でお願いできますか?」
「程度のよるが……犯罪行為ではないんだな?」
「まぁ、はい」
「なら言え。知っておいた方が色々とフォローも効く」
それは確かに。
先生が事情に通じているか否かによって、この学園という閉鎖空間では天と地ほど動きやすさが違う。
先生もそこまで考えている、というよりも違う方向に深く考えているはずだ。
つまり――セフレ序列。
先生はいずれ春日井さんがオレのセフレになるかもと知っているが、春日井さんは先生がオレのセフレとは知らないし、思ってもいないだろう。
それはいつか両人の関係にとって、一方的なまでに強者たるアドハンテージになるだろう。
……そういうズルい事を考える先生も可愛いと思うので、あえて何も言わない。
というわけで、視聴覚室に移動する際のカギの管理などを含めたあれこれと、誰もいなくなった教室でオレの机で気持ちよくなっていた所を目撃して誤魔化そうとしていた事、全てを先生には話した。
「確かに犯罪かと言われれば微妙な所だな。お前の机でいたしていたのは立派なセクハラだが、お前に訴える気がないのであれば不問だろうし」
もちろんオレにその気はない。
先生もそれは言うまでもなくわかっている。
「カギの管理者という観点では職権乱用だが、たかだかクラス委員に職というほど責任を求められるものでもない。むしろいつも雑用をさせられているわけだし、役得ぐらいは認められるべきだろうが、今回のそれは逸脱が過ぎる。施錠した教室で鍵の管理をまかされていた人物が忘れ物という理由で出入りするだけでもマズい。もし勘違いでもクラスの者が何かを紛失したと言い出せば盗難も疑われる」
まさにオレが不安に思っていた事を先生も口にした。
「そうなんです。別にオレの机をどう使ってもらっても構わないんですが、春日井さんが教室でお漏らししてしまった事を隠さないと、教室で何をしていたと嫌疑にかけられてしまうかなと思って」
「春日井に限って、とは思うが、現実問題、このザマを見るまで春日井がお前の机でしでかすなんて考えもしなかったからな。人の本心なんてわからんもんだよ」
ふう、とため息をつくこちらの美人教師は、自分が男子高生のセフレという事を棚上げしてそんな事をのたまう。
面白いので少しからかってみる。
「確かに。普段は厳しい生活指導の先生かつ体育教師が受け持ちの男子生徒のセフレなんて、絶対に考えもしませんからね」
にらまれた。
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