【R18】転生先は男女比１：３０の貞操逆転世界～ビッチを夢見る三十路の魂～

尾和　ハボレ

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『春日井、夢うつつ』

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『春日井、夢うつつ』

「……」

オレは十万光年ほど彼方に吹き飛んだ意識をなんとかたぐりよせつつ、冷静をよそおってたずねる。

どういう事なのか。

本当にどういう事なのか。

「ちょっと待ってもらえる？　あと、スカートのすそ、おろして？」
「ご主人様がそういうのなら」

ご主人様ー！

春日井さんのご主人様ー！　どこにいらっしゃいますかー！？　自称ペットの方がお探しですよー！

などと現実逃避した所でどうしようもない。

「ええと、どういう事？　どういう意味？」
「え？　宮城君が言ったじゃない？　さっきの事、黙っていて欲しければなんでもいう事を聞く犬になれって……」

言ってない。まだ言ってない。というかそこまで言う気もなかった。

「言ってないよ？　そんな事は一言も言ってないよね？」
「え？　でもそういうつもりだったでしょ？」

エスパー？

まさか春日井さんも、クソ女神に選ばれしチートスキル持ち？

さすがにそんなわけはない……と思いたい。

落ち着け。ビークール。

まずはどうしてそういう考えになったのか確認しよう。

「いや、ボクのお願いっていうのはね」

もう少しソフトで互いを尊重しあえるような優しいセフレ関係だ。

ジャレあいでもなくガチでご主人様呼ばわりはちょっと荷が重い。

「違うの？　宮城君はさっき男の子も女の子も性欲が暴走する事もあるって言っていたから、てっきり私の痴態をみて盛り上がったのかなって……」

察しはいいが、思い切りも良すぎる。

「な、なるほど。確かに春日井さんの……その……」
「自慰行為？」
「う、うん、まぁ、そうだね。見てしまってちょっとドキドキしているけど」
「なら、互いの了承もあるんだしいいと思うの。私は女だけど男の子に服従するのもいとわない。宮城君の好きにしてくれてかまわない。そう、私は犬なの。メス犬と思ってもらって構わないわ。首輪をつけてお散歩だって行くし、もう粗相はしないから」
「え？　待って？　春日井さん、どうしたの？」

耳を疑うようなセリフを垂れ流しながら、再びスカートに手をかける春日井さん。

またもたくしあげるかと思いきやホックを外した。音もなくスカートが床に落ちる。

いつ誰が入ってくるかもわからない保健室でそれはマズい。

冷静そうでいて今の春日井さんは確実にネジが数本飛んでいる。

前世で置き換えると、クラスの美少女にオナニーを見られた真面目な男子委員長がペニスを出して、自分はペット宣言をしているようなものだぞ？

よく見れば瞳孔も開いていて、目がぐるぐるしているような気がする。

顔も赤いし指先なんかフルフルと震えている。

これ、絶対にアカンやつだ。

きっと春日井さんは自分で何を言ってるいるのかもわかっていない。

いつも通りに見えて、まったくいつも通りじゃない。

そんな春日井さんが迫ってくる。

ついにベッドのはしに手をかけて上がり込むと、オレがくるまる毛布に手をかけた。

オレはどうしたものかと思考をフル回転させる。

このまま流されてもいいんだが、いろいろと段取りというか、互いの関係の認識が不十分なまま話を進めていいものかと悩む。

もし本当に春日井さんが正気じゃなく、今の記憶がないようなら後でとんでもな事になりかねない。

やはりこういう話は、こんなにテンパっているときではなく、ちゃんと正気の時に進めねば。

「ねぇ、宮城君。今からする？　ここでする？」

選択肢のようでいて、はいとイエスみたいな聞き方をしてくる春日井さんは実に色っぽい。

普段のお堅くてまじめな印象からまったく想像がつかない。

真面目な生徒が実はエッチ、まさにオレか目指したギャップ萌えの完成形がここにあった。

ただし正気であれば、だ。

「これ、邪魔だね」

毛布がひっぺがされた。

「あ、だ、だめ」

あれよあれよの展開に、まるで乙女のような声をもらしてしまうオレである。

その時、保健室の扉がノックされた。

そしてノータイムで開かれる。

「二人とも待たせたな。風邪などひいていないか？」

手に大きな紙袋を持った冬原先生だった。

「……ふむ」

冬原先生の視線はまっすぐこちらを向いていた。

すなわちベッドの上で今にもおおいかぶさろうとしている、スカートをはいていない春日井さんと、毛布をはだけられてパンツ一枚のオレがからみあう寸前の姿だ。

先生が荷物を床に置き、近づいてくる。

その気配に気づいたのか、はたまたオレの視線の先に気が付いたのか、振り返った春日井さん。

目が合うなり、先生が春日井さんにデコピンをした。

「痛っ！？　え？　先生？　え？　あれ？　私？　え、え……？　これ、夢じゃ！？」

春日井さんは下半身裸の自分の姿を隠すようにして驚き。

「み、宮城君！？　え、ほ、本物！？」
「……はい、宮城ですよ。本物です」

眼前で半裸をさらしているオレを見て、大きく目をひんむき。

「……うーん」
「あっ、ちょっ！？」

頭から湯気をあげて気絶した。

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