【R18】転生先は男女比１：３０の貞操逆転世界～ビッチを夢見る三十路の魂～

『春日井、濡れた以上に濡らされる』

『春日井、濡れた以上に濡らされる』

そして今度はなるべく物音を立てないようにダッシュし、本日二度目のトイレ用具にお世話になる。

バケツに水を汲んで戻ると、すでに着替え終えていた春日井さん。

「ご、ごめんね、ひっく、ごめんね」

オレがバケツを床に置くと、中に入っていた雑巾ですぐに床をふきだす春日井さん。

もう一枚の雑巾でオレも手伝う。

……これ、前世で逆の立場だとどうなんだろうか。

クラスメートの女の子の椅子に座っていたらびっくりして射精してしまった、となるのだろうか？

いや、もう、そんな事が周囲に知られたら死んだも同然なんだが。

だから春日井さんはこれだけ取り乱し、泣いているわけか。

いや、もちろんオレは今回の事を口外するつもりはないから、そういう状況にはならないわけだが。

問題は二つ。

誰もいないはずの教室なのに濡れた床。

そしてジャージに着替えている春日井さん。

水という共通点。

しかも春日井さんは無人の教室の鍵を持って、忘れ物を取りに向かっている。

何も知らない第三者が見て、これらを関連づけないというのも難しい。

うまい言い訳が必要だ。

濡れた教室の床と着替えた春日井さん。この二つが不自然でない理由が。

「まぁ……アレしかないよねぇ」
「え？」

捏造ストーリーⅡである。業界用語で天丼ともいう。

あらかた拭き終わった時点でオレは春日井さんに提案する。

「春日井さん。うまく口裏を合わせてね？」
「え？」
「ボクにまかせて。ごまかしてあげられると思うから」

春日井さんは最初、キョトンとした顔だった。

どうやら自分がかばってもらえるとは思っていなかったようだ。

確かにもし前世で同様の事をしでかした場合、相手の女子がかばってくれるとは思わないか。

「じゃ、行こうか」
「え、どこに？」
「職員室」
「……」

サッと顔が蒼くなる春日井さんに、オレはそれが勘違いだと教える。

「大丈夫。きっとうまくいくから」
「……う、うん」

そうして掃除道具を持ち、春日井さんを連れてまず男子トレイへ向かった。

道具を片づけつつ、バケツを洗って水をくむ。

「せっかく先生に新しい服を用意してもらったけど」

半分ほど汲んだあたりで。

「はい、ザブーン」

またしても水のしたたるいい男になったオレ。

さらに両手ですくえる程度の水を手に貯めてトイレから出る。

「ど、どうしたの宮城君、すごい濡れて！？」
「はい、ビシャー」
「きゃ！」

待っていた春日井さんが驚いているすきに少量ながらも頭から水をかけた。

髪からポタポタと雫がたれ、ジャージも肩の辺りだけ濡れているのがわかる程度に色が変わった。

「え、え？　なに？　ど、どうして？」

そりゃあ、驚くでしょうね。

「ま、ま、ま、いいからいいから。じゃあ、職員室に行こう」
「う、うん」

事情も理由も理解できないという顔のまま、ただ走り出したオレにうながされ、春日井さんも後ろについて走り出した。