220 / 415
『春日井と副委員長』
しおりを挟む
『春日井と副委員長』
めでたく副委員長になったオレは以来、号令をかけるという大仕事を担う事となった。
とはいえ、それしか仕事がないとも言う。
最初は緊張していたが、三日も経てば慣れてしまうもので、声が面白くうわずる事もなくなった。
起立、礼、着席を華麗にこなす、完璧な副委員長として成長を遂げた。
そんなパーフェクトな仕事ぶりだというのに、文句をつけてくる不良が一人。
「毎時間、隣から大声でうるせえ」
「ひどい」
我が一組が誇る不良娘の夏木さんである。
先日のお尻叩きイベントから何かとからんでくる。
だが美人にかまわれるのは大歓迎。
夏木さんのこの不機嫌な顔も本気でオレをうとましく思っているわけではないとわかっているので、オレもついついからかうように対応してしまうのだが、それがまた夏木さんのカンにさわるようだ。
こうした日々の他愛無い会話が時折ヒートアップしたりもするがそれもまた青春である。
まぁ、不機嫌の一番の原因はそれまで号令をかけられても立たずに机で寝ていた夏木さんが、オレが号令をかけることになってしぶしぶ、それに従うようになったからだ。
号令に従わない者がいるとオレが困ると思ったのだろうか?
それとも色々な意味で仲の良いオレのためだろうか。
なんにしろこのへんのムーヴが夏木さんのかわいいところである。
人、これをツンデレと言う。
「宮城君、少しいいかしら?」
夏木さんと青春の一ページを綴っていたところ、春日井さんがオレの横にやってくる。
途端、チッ、とあからさまに舌打ちをした夏木さんが机に突っ伏して居眠りを始めた。
春日井さんもそれに気づいていると思うが、特に気にした様子、というか反応すらしない。
これまでも何回かこういう事があった。
二人はケンカしているわけではないが互いに関わらない。ただ夏木さんが何か不良ムーブっぽい事をすると春日井さんが正しにくる、というぐらいだろうか。
夏木さんはとても良い子だと思うが、やっぱり見た目の怖い印象ゆえクラスの皆からは避けられている。
そんな中、春日井さんだけが物怖じせずに対応しているわけだが、委員長という役割だけだからではないと思うのは二人の間の微妙な空気。反発しあっているが距離が近いというか、なんというか。
夏木さんも以前チラっと言っていたが家が近い、みたいな事も言っていたし、昔は仲が良かったとか?
などと考えている中、春日井さんがオレの顔をのぞきこんでくる。
「今日の五限目の授業、視聴覚室に移動でしょう? 私、お昼休み中に職員室に行って教材をもらってそのまま視聴覚室に行くから、宮城君は教室に移動忘れしてる人がいないか確認してから鍵をかけて移動してもらえる?」
ジトっとした目で机で居眠りを始めた夏木さんのポニーテールを見ながら、春日井さんはオレに業務を伝えながら二年一組と書かれたプレートのついた鍵を渡してきた。
最近はワリとこんな感じで、春日井さんはオレに雑用を共有してくるようになった。
当初は遠慮して号令以外の何も仕事を振ってこなかったが、プリントを回すとか、回収物の手伝いなどを経て、色々と仕事をまわしてくれるようになった。
オレとしても春日井さんと仲良くなりたいので、会話の機会が増える事は喜ばしい。
特に以前会った時のような、敬語とタメ語が微妙に混じった固い口調もなくなって、自然と会話できるようになったことが嬉しい。
ただし問題が一つ。
こうして春日井さんと仕事なんかをする機会が増えるにつれ、愛しい金髪ツンデレ不良娘の機嫌も悪くなっていくのである。
めでたく副委員長になったオレは以来、号令をかけるという大仕事を担う事となった。
とはいえ、それしか仕事がないとも言う。
最初は緊張していたが、三日も経てば慣れてしまうもので、声が面白くうわずる事もなくなった。
起立、礼、着席を華麗にこなす、完璧な副委員長として成長を遂げた。
そんなパーフェクトな仕事ぶりだというのに、文句をつけてくる不良が一人。
「毎時間、隣から大声でうるせえ」
「ひどい」
我が一組が誇る不良娘の夏木さんである。
先日のお尻叩きイベントから何かとからんでくる。
だが美人にかまわれるのは大歓迎。
夏木さんのこの不機嫌な顔も本気でオレをうとましく思っているわけではないとわかっているので、オレもついついからかうように対応してしまうのだが、それがまた夏木さんのカンにさわるようだ。
こうした日々の他愛無い会話が時折ヒートアップしたりもするがそれもまた青春である。
まぁ、不機嫌の一番の原因はそれまで号令をかけられても立たずに机で寝ていた夏木さんが、オレが号令をかけることになってしぶしぶ、それに従うようになったからだ。
号令に従わない者がいるとオレが困ると思ったのだろうか?
それとも色々な意味で仲の良いオレのためだろうか。
なんにしろこのへんのムーヴが夏木さんのかわいいところである。
人、これをツンデレと言う。
「宮城君、少しいいかしら?」
夏木さんと青春の一ページを綴っていたところ、春日井さんがオレの横にやってくる。
途端、チッ、とあからさまに舌打ちをした夏木さんが机に突っ伏して居眠りを始めた。
春日井さんもそれに気づいていると思うが、特に気にした様子、というか反応すらしない。
これまでも何回かこういう事があった。
二人はケンカしているわけではないが互いに関わらない。ただ夏木さんが何か不良ムーブっぽい事をすると春日井さんが正しにくる、というぐらいだろうか。
夏木さんはとても良い子だと思うが、やっぱり見た目の怖い印象ゆえクラスの皆からは避けられている。
そんな中、春日井さんだけが物怖じせずに対応しているわけだが、委員長という役割だけだからではないと思うのは二人の間の微妙な空気。反発しあっているが距離が近いというか、なんというか。
夏木さんも以前チラっと言っていたが家が近い、みたいな事も言っていたし、昔は仲が良かったとか?
などと考えている中、春日井さんがオレの顔をのぞきこんでくる。
「今日の五限目の授業、視聴覚室に移動でしょう? 私、お昼休み中に職員室に行って教材をもらってそのまま視聴覚室に行くから、宮城君は教室に移動忘れしてる人がいないか確認してから鍵をかけて移動してもらえる?」
ジトっとした目で机で居眠りを始めた夏木さんのポニーテールを見ながら、春日井さんはオレに業務を伝えながら二年一組と書かれたプレートのついた鍵を渡してきた。
最近はワリとこんな感じで、春日井さんはオレに雑用を共有してくるようになった。
当初は遠慮して号令以外の何も仕事を振ってこなかったが、プリントを回すとか、回収物の手伝いなどを経て、色々と仕事をまわしてくれるようになった。
オレとしても春日井さんと仲良くなりたいので、会話の機会が増える事は喜ばしい。
特に以前会った時のような、敬語とタメ語が微妙に混じった固い口調もなくなって、自然と会話できるようになったことが嬉しい。
ただし問題が一つ。
こうして春日井さんと仕事なんかをする機会が増えるにつれ、愛しい金髪ツンデレ不良娘の機嫌も悪くなっていくのである。
11
お気に入りに追加
893
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
転生したら男女逆転世界
美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。
※カクヨム様にも掲載しております


転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる