215 / 415
『性癖染色、その深淵へ』
しおりを挟む
『性癖染色、その深淵へ』
『ふふふ。ずいぶんと思いふけっていますね? しかし真実というのは時に残酷なものですよ?』
美しい思い出に浸っているところ、まったく気遣いのない女神様の声が響く。
『あの時は、貴方が”初めての相手”と夢想する相手との性交を望み、そこの少女が促された結果、そう振舞ったのです』
「……え?」
『甘々しく名前を呼び合ったのは、その少女本来の嗜好ではない、というわけですね』
「……」
それはそれでショックだが……別の話としては、他人を洗脳するようでイヤだな。
『ふふふ、その顔。他人の考えを矯正する事に忌避感を覚えているという事ですか? 意外と潔癖ですね? 安心なさい。嫌悪を感じるような行動にはブレーキがかかります。ですから名前を呼びあうことそのものは少女もやぶさかではない、という事ですよ』
「……」
オレの繊細な男心は、性悪女神様の手のひらの上でコロコロされつつも、ちょっと安心した。
これはつまりオレが遠慮したい茶色系プレイを知らず知らずに楽しんでしまう、ということもないわけだ。
『これは普段は隠している、もしくは憧れている愛の形を知る事ができる、そういうスキルでもあるのですよ? 改めて聞きましょう。貴方なら使いこなせるのでは?』
「……前向きにがんばる気持ちにはなりました」
『では最後にもう一つ。個人差はありますが性癖染色は時間経過で正気に戻ります。その後、本人がそれまでにさらした痴態を受け入れるか、そうでないかは人それぞれですよ。それではまた』
「あ、はい。ありがとうございました、またよろしくお願いいします」
頭の中から女神様の気配が消えたような感覚を覚え、オレはお礼を言って別れを告げた。
女神様にお礼を言って別れる。
「ふむ。お楽しみの後は正気に返る、と」
さきほどの夏木さんとのお尻ぺっちんぺっちんプレイは、女神様の答え合わせ的にオレの性癖っぽい。
ツンな夏木さんをイジメてみたかったという無意識の衝動……か、なにかわからないが、お尻を気持ちよく叩いてしまった。
その際中、夏木さんも拒否しなかったのは、この『性癖染色』によって流されていたのだろう。心の奥底ではこんなプレイもわずかなり期待していた事も女神様の言葉からわかった。
「……」
「……」
座り込んでいる夏木さんを見る。
朦朧としていた顔に生気が戻り、瞳に光が戻っている。
すでに正気に戻っているというわけだ。
目が合う。
プルプルしている。
これは自分のさきほどまでの痴態を恥ずかしがっているというのが半分。
残り半分は言うまでもない。
殺気だ。
湧き上がる殺意をおさえるためにプルプルしているのだ。
「宮城」
「……うん」
実に怒っていらっしゃる。
「アタシは尻を叩かれて喜ぶ変態じゃない」
喜ぶ冬原先生の顔が脳裏に浮かぶが、それはともかく。
「二度とするな。あと髪は……持ってもいいけど、引っ張るな」
「ああ、手綱みたいにされるのはやっぱり好きなんだ?」
オレに髪をあずけて口でしている時の夏木さんは実に幸せそうだ。
「……」
だからと言って言わなくていい事をわざわざ言ってしまう愚かなオレは、今もこうして失敗を重ねるわけだな。
「宮城」
「うん」
「後ろ向け」
「え?」
夏木さんが立ち上がり、オレを後ろに向かせる。
「え、ちょっと? あ、ズボン……」
下げたままの下着とスラックスで足がからまりそうになる。
夏木さんはフラフラしているオレにかまわず背中を向けさせると、すでに手をふりかぶっていた。
「コレで勘弁してやる。おあいこってヤツだ」
「あいたー!!」
むき出しのオレのかわいい尻に、夏木さんの手形が真っ赤に刻まれた。
『ふふふ。ずいぶんと思いふけっていますね? しかし真実というのは時に残酷なものですよ?』
美しい思い出に浸っているところ、まったく気遣いのない女神様の声が響く。
『あの時は、貴方が”初めての相手”と夢想する相手との性交を望み、そこの少女が促された結果、そう振舞ったのです』
「……え?」
『甘々しく名前を呼び合ったのは、その少女本来の嗜好ではない、というわけですね』
「……」
それはそれでショックだが……別の話としては、他人を洗脳するようでイヤだな。
『ふふふ、その顔。他人の考えを矯正する事に忌避感を覚えているという事ですか? 意外と潔癖ですね? 安心なさい。嫌悪を感じるような行動にはブレーキがかかります。ですから名前を呼びあうことそのものは少女もやぶさかではない、という事ですよ』
「……」
オレの繊細な男心は、性悪女神様の手のひらの上でコロコロされつつも、ちょっと安心した。
これはつまりオレが遠慮したい茶色系プレイを知らず知らずに楽しんでしまう、ということもないわけだ。
『これは普段は隠している、もしくは憧れている愛の形を知る事ができる、そういうスキルでもあるのですよ? 改めて聞きましょう。貴方なら使いこなせるのでは?』
「……前向きにがんばる気持ちにはなりました」
『では最後にもう一つ。個人差はありますが性癖染色は時間経過で正気に戻ります。その後、本人がそれまでにさらした痴態を受け入れるか、そうでないかは人それぞれですよ。それではまた』
「あ、はい。ありがとうございました、またよろしくお願いいします」
頭の中から女神様の気配が消えたような感覚を覚え、オレはお礼を言って別れを告げた。
女神様にお礼を言って別れる。
「ふむ。お楽しみの後は正気に返る、と」
さきほどの夏木さんとのお尻ぺっちんぺっちんプレイは、女神様の答え合わせ的にオレの性癖っぽい。
ツンな夏木さんをイジメてみたかったという無意識の衝動……か、なにかわからないが、お尻を気持ちよく叩いてしまった。
その際中、夏木さんも拒否しなかったのは、この『性癖染色』によって流されていたのだろう。心の奥底ではこんなプレイもわずかなり期待していた事も女神様の言葉からわかった。
「……」
「……」
座り込んでいる夏木さんを見る。
朦朧としていた顔に生気が戻り、瞳に光が戻っている。
すでに正気に戻っているというわけだ。
目が合う。
プルプルしている。
これは自分のさきほどまでの痴態を恥ずかしがっているというのが半分。
残り半分は言うまでもない。
殺気だ。
湧き上がる殺意をおさえるためにプルプルしているのだ。
「宮城」
「……うん」
実に怒っていらっしゃる。
「アタシは尻を叩かれて喜ぶ変態じゃない」
喜ぶ冬原先生の顔が脳裏に浮かぶが、それはともかく。
「二度とするな。あと髪は……持ってもいいけど、引っ張るな」
「ああ、手綱みたいにされるのはやっぱり好きなんだ?」
オレに髪をあずけて口でしている時の夏木さんは実に幸せそうだ。
「……」
だからと言って言わなくていい事をわざわざ言ってしまう愚かなオレは、今もこうして失敗を重ねるわけだな。
「宮城」
「うん」
「後ろ向け」
「え?」
夏木さんが立ち上がり、オレを後ろに向かせる。
「え、ちょっと? あ、ズボン……」
下げたままの下着とスラックスで足がからまりそうになる。
夏木さんはフラフラしているオレにかまわず背中を向けさせると、すでに手をふりかぶっていた。
「コレで勘弁してやる。おあいこってヤツだ」
「あいたー!!」
むき出しのオレのかわいい尻に、夏木さんの手形が真っ赤に刻まれた。
21
お気に入りに追加
893
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
転生したら男女逆転世界
美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。
※カクヨム様にも掲載しております


転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる