213 / 415
『女神様通信』
しおりを挟む
『女神様通信』
「おっと」
「……ぅぁ」
口からヨダレを垂らしたまま、朦朧とした目の夏木さんを抱きかかえたまま、オレはゆっくりとその体を便座に座らせる。
「夏木さん?」
「……」
虚ろな目をした夏木さんはオレの声に反応するでもなく、体を小さく痙攣させている。
「……女神様、おまたせしました」
『まったくです。ずいぶんと待ちましたよ』
「申し訳ありません。けど女神様も毎回こういう時に……」
『女神みずからのありがたい言葉を無下にすると? 女神たる私に人間一匹の都合を考えろと?』
単位は匹であった。
であれば、逆らうなんてもっての他だ。
「いいえ。女神様のお慈悲、ありがたくたまわりたく存じます」
『最初からそう言えばよいのです。さて、そこの少女の乱れ具合。そしてあなた自身の心情変化。具体的にはそのつもりのなかった嗜虐的な性交に違和感を感じていましたね?』
「はい」
そう。
先生相手であればともかく、夏木さんにまでお尻を叩いてのプレイというのは考えていなかった。
クセで叩いていしまったというのもあったと思うが、オレは夏木さんから、イジメられたい、もっと乱暴にして欲しい、そんな雰囲気を感じていたのも事実だ。
『性癖染色です』
「性癖染色?」
あいかわらず無理やり四字熟語っぽくしてくるネーミングセンスだ。
今までもそうだったから、他のスキルとこんがらがってくるぞ。
絶頂吐精、絶倫吐精、性癖開闢……で、今度は性癖染色、だって?
言葉の響きからなんとなく想像はつくとは思いながら、女神様の詳細な説明を待つ。
『ええ。自分の望む性癖、性交、そういった欲情を相手に無意識に伝え、忖度させる。そういったものです』
「忖度?」
だいたい予想通りであるものの、あまり色気のない単語も出てくる。
というか、説明が回りくどい。
オレの不満顔を理解できていない苦悩顔と勘違いしたらしい女神様が鼻で笑う。
『ふふっ、よく理解できていないという顔ですね。もっと知能の低い方向けの説明の方が良いですか?』
「……お願いします」
いちいちイラっとする言い方をしてくださる女神様である。
『仕方ないですね。では簡単に言いましょう。自分の望む性交を相手に促す、というものです』
「……ふむ……ふむ?」
ふーむ? 促す? 命じるでもなく、催眠でもなく、か?
『大した事のないスキル、と思っていますか?』
「……オレが望むプレイを相手が無意識に受け入れる、という話ですか?」
『ふふふ?』
肯定でも否定でもなし。そんなシンプルなものじゃないのか。
女神様の声が露骨に胡散臭い。
今ぐったりしている夏木さんとのお楽しみの話で言えば、オレがサドっぽい行為を望んだから、本来は望まないプレイだったのに、お尻を叩かれて感じていたという事になる。
「……うぅ」
本当に?
何かひっかかる。
「もしかして?」
本人は否定していたが、本当は夏木さんがああいうプレイを望んだため、オレが促された側となり無意識にお尻を叩いた、とか?
つまり夏木さんの望んだシチュエーションに、オレが引っ張られたとか?
『カンはいいようですね』
女神様の声が面白そうにはずんだ。正解だったらしい。
「おっと」
「……ぅぁ」
口からヨダレを垂らしたまま、朦朧とした目の夏木さんを抱きかかえたまま、オレはゆっくりとその体を便座に座らせる。
「夏木さん?」
「……」
虚ろな目をした夏木さんはオレの声に反応するでもなく、体を小さく痙攣させている。
「……女神様、おまたせしました」
『まったくです。ずいぶんと待ちましたよ』
「申し訳ありません。けど女神様も毎回こういう時に……」
『女神みずからのありがたい言葉を無下にすると? 女神たる私に人間一匹の都合を考えろと?』
単位は匹であった。
であれば、逆らうなんてもっての他だ。
「いいえ。女神様のお慈悲、ありがたくたまわりたく存じます」
『最初からそう言えばよいのです。さて、そこの少女の乱れ具合。そしてあなた自身の心情変化。具体的にはそのつもりのなかった嗜虐的な性交に違和感を感じていましたね?』
「はい」
そう。
先生相手であればともかく、夏木さんにまでお尻を叩いてのプレイというのは考えていなかった。
クセで叩いていしまったというのもあったと思うが、オレは夏木さんから、イジメられたい、もっと乱暴にして欲しい、そんな雰囲気を感じていたのも事実だ。
『性癖染色です』
「性癖染色?」
あいかわらず無理やり四字熟語っぽくしてくるネーミングセンスだ。
今までもそうだったから、他のスキルとこんがらがってくるぞ。
絶頂吐精、絶倫吐精、性癖開闢……で、今度は性癖染色、だって?
言葉の響きからなんとなく想像はつくとは思いながら、女神様の詳細な説明を待つ。
『ええ。自分の望む性癖、性交、そういった欲情を相手に無意識に伝え、忖度させる。そういったものです』
「忖度?」
だいたい予想通りであるものの、あまり色気のない単語も出てくる。
というか、説明が回りくどい。
オレの不満顔を理解できていない苦悩顔と勘違いしたらしい女神様が鼻で笑う。
『ふふっ、よく理解できていないという顔ですね。もっと知能の低い方向けの説明の方が良いですか?』
「……お願いします」
いちいちイラっとする言い方をしてくださる女神様である。
『仕方ないですね。では簡単に言いましょう。自分の望む性交を相手に促す、というものです』
「……ふむ……ふむ?」
ふーむ? 促す? 命じるでもなく、催眠でもなく、か?
『大した事のないスキル、と思っていますか?』
「……オレが望むプレイを相手が無意識に受け入れる、という話ですか?」
『ふふふ?』
肯定でも否定でもなし。そんなシンプルなものじゃないのか。
女神様の声が露骨に胡散臭い。
今ぐったりしている夏木さんとのお楽しみの話で言えば、オレがサドっぽい行為を望んだから、本来は望まないプレイだったのに、お尻を叩かれて感じていたという事になる。
「……うぅ」
本当に?
何かひっかかる。
「もしかして?」
本人は否定していたが、本当は夏木さんがああいうプレイを望んだため、オレが促された側となり無意識にお尻を叩いた、とか?
つまり夏木さんの望んだシチュエーションに、オレが引っ張られたとか?
『カンはいいようですね』
女神様の声が面白そうにはずんだ。正解だったらしい。
20
お気に入りに追加
896
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら男女逆転世界
美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。
※カクヨム様にも掲載しております
男が少ない世界に転生して
美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです!
旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします!
交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる