上 下
201 / 415

『副委員長就任を目指して、早めの登校』

しおりを挟む
『副委員長就任を目指して、早めの登校』

「んー、だいぶ早いけど先生、もういるかな? 」

オレはいつもより三十分ほど早く登校し、人気のない校舎を歩いて職員室へ向かっていた。

生徒にとってはかなり早い時間ではあるものの、先生たちにとっては普通に出勤時間だろうと予想して登校していきたわけだが、はてさて。

職員室のドアをノックした後、失礼します、と声をかけて中を覗き込む。

生徒の入室は基本的に出入り口付近までで、用のある先生をそこから呼ぶという事になっていた。

これはテストやらなんやら生徒に見られてはいけないものなどがあるからだ、と、つい先日、先生に教えてもらった。

冊子をネタにして先生と話しかけたとき、勝手にズカズカ入っていったのはダメだったらしい。

ちなみに「他の同僚……先生方も結構、マッチングアプリやってるしな。女子ならともかく、男子生徒なんかに見られて、最悪それがその父親なんかに伝わるとクレームになったりするんだよ」とも言われた。

なるほど、相変わらずこの世界は情勢に対して色々と厳しく世知辛い。

というわけで、出入り口から冬原先生を呼び出し、ちよっとお話が、と言った途端。

「わ、わかった、ちょっと待て」

と言って、他の先生たちから隠すようにして進路指導室のカギを手にとると、出入り口で待つオレのところへ飛んできた。

いや、わざわざ別室を使うほどでもないと言いかけたオレを強引に連れ出し、そのまま進路指導室へやってくる。

そうして二人きりになった進路指導室で。

「ふふふ、まったく、こんな朝速くから来るなんて仕方のないヤツだな。つい先日、私の体を気絶させるほど楽しんだというのに、まだイジメたりないのか?」

と、いそいそとジャージを脱ぎ始める先生。

なるほど。どうやら愉快な誤解があったらしい。

「いえ。先生。そういうのではなくて」
「……ん?」

脱ぎかけていた手を止めてこちらを見る先生。

「実は副委員長というのに興味がありまして。今からでもなれるのかな、と」
「は? なんだと? 副委員長?」

ジャージの下はあいかわらずスポブラな先生は、脱ぎ掛けたジャージをそのままに、両肩をはだけさせて考え込む。

「うーむ。ウチのクラスはお前がやってくるまで男子がいなかったからな。もちろん副委員長はあいているが……内申目的か? 正直、さほど足しになるもんでもないぞ?」

んー、なんと答えるべきか。

正直、オレもその程度の内申点を必要とするほど男子生徒は進路に対してシビアではない世界という事はもう理解している。

「ええ。そういうメリットもある、とは聞いています」
「ふむ。という事は他に理由があるわけか……新しい女がらみか?」

オレが他の女性に手を出すというのはわかっていたが納得はしていないという顔だ。

女のカンというのは、前世でも今世でも鋭いものらしい。
しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

シン・三毛猫現象 〜自然出産される男が3万人に1人の割合になった世界に帰還した僕はとんでもなくモテモテになったようです〜

ミコガミヒデカズ
ファンタジー
 気軽に読めるあべこべ、男女比モノです。  以前、私がカクヨム様で書いていた小説をリメイクしたものです。  とあるきっかけで異世界エニックスウェアに転移した主人公、佐久間修。彼はもう一人の転移者と共に魔王との決戦に挑むが、 「儂の味方になれば世界の半分をやろう」  そんな魔王の提案に共に転移したもう一人の勇者が応じてしまう。そんな事はさせないと修は魔王を倒そうとするが、事もあろうに味方だったもう一人の勇者が魔王と手を組み攻撃してきた。  瞬間移動の術でなんとか難を逃れた修だったが、たどり着いたのは男のほとんどが姿を消した異世界転移15年後の地球だった…。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界に来たのでVtuberになろうかと思う

月乃糸
大衆娯楽
男女比が1:720という世界に転生主人公、都道幸一改め天野大知。 男に生まれたという事で悠々自適な生活を送ろうとしていたが、ふとVtuberを思い出しVtuberになろうと考えだす。 ブラコンの姉妹に囲まれながら楽しく活動!

男女比1:10000の貞操逆転世界に転生したんだが、俺だけ前の世界のインターネットにアクセスできるようなので美少女配信者グループを作る

電脳ピエロ
恋愛
男女比1:10000の世界で生きる主人公、新田 純。 女性に襲われる恐怖から引きこもっていた彼はあるとき思い出す。自分が転生者であり、ここが貞操の逆転した世界だということを。 「そうだ……俺は女神様からもらったチートで前にいた世界のネットにアクセスできるはず」 純は彼が元いた世界のインターネットにアクセスできる能力を授かったことを思い出す。そのとき純はあることを閃いた。 「もしも、この世界の美少女たちで配信者グループを作って、俺が元いた世界のネットで配信をしたら……」

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...