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『GW編・六日目 私服の彼女は意外と攻めていた(5)』
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『GW編・六日目 私服の彼女は意外と攻めていた(5)』
……いや、もしコロッと行かなかったらどうしよう。
クラスメートで明日から毎日教室で顔を合わせる相手だから気まずいなんてものじゃない。
いや、男は度胸。
勝ち目のない戦いというわけではなく、勝ち目しかないような戦いのはずだ。
この極端に偏った男女比の世界、かつ、イケメンに生まれ変わったオレに落とせない女はいない!
と、自分に自己暗示をかけて、初手から大胆に攻めるための覚悟を決める。
心の中で、良し、と気合を入れたオレは自分のトレイをテーブルに置きながら。
――春日井さんの隣に座った。
「……え?」
春日井さんの反応を見て、そりゃそうだろうと思う。
四人がけのボックス席に、特に親しいでもない二人が体面ではなく隣同士で座るというのはもはや奇行だ。
しかし春日井さんはボックスの奥側の席に座っていた為、オレに出口をふさがれた形となって逃げるに逃げられない。
宗教勧誘などでよくある手で、昨日のオバはんたちも使っていた手だが、まさか自分が使う側になるとは思わなかった。
しかし前者たちとオレとで決定的に違う点が一つ。
「あ、あの!?」
「ん?」
「……な、なんでも、ないです」
「そう?」
相手が嫌がっていないという事だ。
うぬぼれでないのは春日井さんの照れてうつむいた態度でよくわかる。
だがオレは慌てない。兵は拙速をうんちゃらという考えには否定的なのだ。
七割がた勝負はついていると思うが確実にゆっくりと攻める。
獲物を前に舌なめずりでは決してない。オレは戦う前に決着をつけるタイプなのだ。
いまだあたふたしている春日井さんは、少しでもオレと距離をとろうと奥へ奥へと身を寄せていった。
オレはその分、スススッと詰めていく。
ほぼ密着。
服と服が触れ合うほどであるものの、体は触れていないという絶妙な距離だ。
間合い十分、待ったなし。
と、思いきや。
「あ、あの、あの、宮城君」
さすがに春日井さんが何かを言いかけるが、オレがそれをインターセプトする。
「春日井さんは委員長なんだよね?」
「あ、はい」
「ボクはそういう役職とか、役目とかないけどいいのかなって」
「ええと、そうですね。特には。それに男子生徒にはあまりそういった委員などをあてないものですし」
ふむ。男尊女卑がストップ高な世界ゆえの特権か?
「……決して宮城君はそうではないと思いますけど……他の男子は、その、あまり、そういう仕事をしてくれないので」
少し言いにくそうな春日井さん。
なるほど。風紀委員やら図書委員やら、前世においても古い学生時代の記憶を呼び起こして考えてみる。
所詮は生徒の行う範疇の仕事とはいえ、ボイコットするヤツが出てくると他の生徒にしわよせが来る。
この世界の男子は労働と協調性の意識がとても低いようだし、ボイコット程度ならともかく、逆に難癖をつけられる可能性もあるわけだ。であるならば、最初から選ばない方がいいという事だろう。
「一応、副委員長になれるのは男子生徒のみだからウチの組は空いてるんだけど、これは他と違って希望者次第だから。ほら、その、内申点とかもあるでしょう?」
「……ああ、なるほど」
男子でも成績を上げる為にそういった事を気にする生徒は副委員長のポストがあるぞ、と。
その仕事内容は……ま、予想はできるけど確認しておこう。
……いや、もしコロッと行かなかったらどうしよう。
クラスメートで明日から毎日教室で顔を合わせる相手だから気まずいなんてものじゃない。
いや、男は度胸。
勝ち目のない戦いというわけではなく、勝ち目しかないような戦いのはずだ。
この極端に偏った男女比の世界、かつ、イケメンに生まれ変わったオレに落とせない女はいない!
と、自分に自己暗示をかけて、初手から大胆に攻めるための覚悟を決める。
心の中で、良し、と気合を入れたオレは自分のトレイをテーブルに置きながら。
――春日井さんの隣に座った。
「……え?」
春日井さんの反応を見て、そりゃそうだろうと思う。
四人がけのボックス席に、特に親しいでもない二人が体面ではなく隣同士で座るというのはもはや奇行だ。
しかし春日井さんはボックスの奥側の席に座っていた為、オレに出口をふさがれた形となって逃げるに逃げられない。
宗教勧誘などでよくある手で、昨日のオバはんたちも使っていた手だが、まさか自分が使う側になるとは思わなかった。
しかし前者たちとオレとで決定的に違う点が一つ。
「あ、あの!?」
「ん?」
「……な、なんでも、ないです」
「そう?」
相手が嫌がっていないという事だ。
うぬぼれでないのは春日井さんの照れてうつむいた態度でよくわかる。
だがオレは慌てない。兵は拙速をうんちゃらという考えには否定的なのだ。
七割がた勝負はついていると思うが確実にゆっくりと攻める。
獲物を前に舌なめずりでは決してない。オレは戦う前に決着をつけるタイプなのだ。
いまだあたふたしている春日井さんは、少しでもオレと距離をとろうと奥へ奥へと身を寄せていった。
オレはその分、スススッと詰めていく。
ほぼ密着。
服と服が触れ合うほどであるものの、体は触れていないという絶妙な距離だ。
間合い十分、待ったなし。
と、思いきや。
「あ、あの、あの、宮城君」
さすがに春日井さんが何かを言いかけるが、オレがそれをインターセプトする。
「春日井さんは委員長なんだよね?」
「あ、はい」
「ボクはそういう役職とか、役目とかないけどいいのかなって」
「ええと、そうですね。特には。それに男子生徒にはあまりそういった委員などをあてないものですし」
ふむ。男尊女卑がストップ高な世界ゆえの特権か?
「……決して宮城君はそうではないと思いますけど……他の男子は、その、あまり、そういう仕事をしてくれないので」
少し言いにくそうな春日井さん。
なるほど。風紀委員やら図書委員やら、前世においても古い学生時代の記憶を呼び起こして考えてみる。
所詮は生徒の行う範疇の仕事とはいえ、ボイコットするヤツが出てくると他の生徒にしわよせが来る。
この世界の男子は労働と協調性の意識がとても低いようだし、ボイコット程度ならともかく、逆に難癖をつけられる可能性もあるわけだ。であるならば、最初から選ばない方がいいという事だろう。
「一応、副委員長になれるのは男子生徒のみだからウチの組は空いてるんだけど、これは他と違って希望者次第だから。ほら、その、内申点とかもあるでしょう?」
「……ああ、なるほど」
男子でも成績を上げる為にそういった事を気にする生徒は副委員長のポストがあるぞ、と。
その仕事内容は……ま、予想はできるけど確認しておこう。
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