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『GW編・六日目 私服の彼女は意外と攻めていた(4)』
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『GW編・六日目 私服の彼女は意外と攻めていた(4)』
「あの派手な女、知り合いか?」
監視塔の歩哨、もしくは監獄の看守と化していたシマ先輩がトレイを返却に来たと思っているオレを見て不機嫌な顔をしている。
どうやら春日井さんのせいでオレが席を立ったと勘違いしているようだ。
会話も聞こえない場所から、しかも近寄る女はすべて厄ネタと思っているシマ先輩からするとそう見えても仕方ない。
しかし、やっぱり春日井さんの恰好はこの世界の男性の目から見て派手なものらしい。
「クラスの委員長ですよ。とても良くしてくれる子です。私服姿は初めて見ましたが、なかなか刺激的な趣味ですね」
「悪趣味ってんだよ。それにそういう役職をかさにきて言い寄ってるんじゃないのか?」
シマ先輩はなかなかに心配性である。もしかしたら、シマ先輩自身にそういう経験があるのかもしれない。
オレにとってはどんな理由であろうと女の子が寄ってきてくれるのは望むところだが、この世界の一般男性からするとそうではないだろう。
シマ先輩の女は全て敵という態度に対しても、安易に否定や非難はできないところだ。
「お気遣いありがとうございます。けど、本当にそういうものではないので。あと、これからちょっとお話も聞こうかなと。学校の事とかまだ色々とわからない事が多いので」
「……そうか。すまん、昨日の事でちょっと神経質になっちまった。クラスメートを悪く言われていい気分はしないよな。悪かった」
頭を下げるシマ先輩。この人のこういう所は尊敬に値すると思う。
「というわけで、おかわりをお願いします。今度はブラックをアイス、氷マシマシで。あと……んー、ツナサンドも」
「ほいよ」
相変わらずの手際で用意してくれたトレイを受けとる。
しかしトレイには、オーダーしていないマフィンが二つ乗っている。
「あれ、これは?」
「さっきの詫びだ。お前のダチを悪く言っちまった。あの子と一緒に食ってくれ」
ふーむ、なかなか生きづらい性格のシマ先輩である。見た目通りの仁義系ヤンキーにーちゃんに、この世界はなかなか大変そうだ。
だが、せっかくの好意と謝意を固辞するものでもないので、オレは素直にいただいておく。
「別にそこまで、とは思いますけど……ゴチになります」
「おう」
というわけで、オレはおかわりのランチと、おまけのスイーツを装備して春日井さんの待つ席へと戻る。
「お待たせ」
「う、ううん! ぜ、ぜんぜんっ!」
ボックス席の奥側で自分のカップやドーナツに手を付けずに待っていた春日井さんは、体も声もこわばらせてオレにひきつった笑顔を向けた。
前世であれば嫌われているのでは? と思うような態度だが今のオレであれば理解できる。
これは美人を前に一緒にお食事できるチャンスが降ってわいた時のオレと同じだ。
仕事ばかりしていた前世でも、たまにこうしたこともあったのだ。
だが持ち前の自己評価の低さも相まってチャンスを活かすことよりも、自分の評価を下げたくない、嫌われたくない、という事ばかり考え、無難にやり過ごそうと愛想笑いを必死に浮かべていたものだ。
つまり。
春日井さんはオレに対して非常に好意的でありつつも、積極的な行動は控えている、と判断していい。
であるならば、こちらから押せばコロっと行くはずだ。
「あの派手な女、知り合いか?」
監視塔の歩哨、もしくは監獄の看守と化していたシマ先輩がトレイを返却に来たと思っているオレを見て不機嫌な顔をしている。
どうやら春日井さんのせいでオレが席を立ったと勘違いしているようだ。
会話も聞こえない場所から、しかも近寄る女はすべて厄ネタと思っているシマ先輩からするとそう見えても仕方ない。
しかし、やっぱり春日井さんの恰好はこの世界の男性の目から見て派手なものらしい。
「クラスの委員長ですよ。とても良くしてくれる子です。私服姿は初めて見ましたが、なかなか刺激的な趣味ですね」
「悪趣味ってんだよ。それにそういう役職をかさにきて言い寄ってるんじゃないのか?」
シマ先輩はなかなかに心配性である。もしかしたら、シマ先輩自身にそういう経験があるのかもしれない。
オレにとってはどんな理由であろうと女の子が寄ってきてくれるのは望むところだが、この世界の一般男性からするとそうではないだろう。
シマ先輩の女は全て敵という態度に対しても、安易に否定や非難はできないところだ。
「お気遣いありがとうございます。けど、本当にそういうものではないので。あと、これからちょっとお話も聞こうかなと。学校の事とかまだ色々とわからない事が多いので」
「……そうか。すまん、昨日の事でちょっと神経質になっちまった。クラスメートを悪く言われていい気分はしないよな。悪かった」
頭を下げるシマ先輩。この人のこういう所は尊敬に値すると思う。
「というわけで、おかわりをお願いします。今度はブラックをアイス、氷マシマシで。あと……んー、ツナサンドも」
「ほいよ」
相変わらずの手際で用意してくれたトレイを受けとる。
しかしトレイには、オーダーしていないマフィンが二つ乗っている。
「あれ、これは?」
「さっきの詫びだ。お前のダチを悪く言っちまった。あの子と一緒に食ってくれ」
ふーむ、なかなか生きづらい性格のシマ先輩である。見た目通りの仁義系ヤンキーにーちゃんに、この世界はなかなか大変そうだ。
だが、せっかくの好意と謝意を固辞するものでもないので、オレは素直にいただいておく。
「別にそこまで、とは思いますけど……ゴチになります」
「おう」
というわけで、オレはおかわりのランチと、おまけのスイーツを装備して春日井さんの待つ席へと戻る。
「お待たせ」
「う、ううん! ぜ、ぜんぜんっ!」
ボックス席の奥側で自分のカップやドーナツに手を付けずに待っていた春日井さんは、体も声もこわばらせてオレにひきつった笑顔を向けた。
前世であれば嫌われているのでは? と思うような態度だが今のオレであれば理解できる。
これは美人を前に一緒にお食事できるチャンスが降ってわいた時のオレと同じだ。
仕事ばかりしていた前世でも、たまにこうしたこともあったのだ。
だが持ち前の自己評価の低さも相まってチャンスを活かすことよりも、自分の評価を下げたくない、嫌われたくない、という事ばかり考え、無難にやり過ごそうと愛想笑いを必死に浮かべていたものだ。
つまり。
春日井さんはオレに対して非常に好意的でありつつも、積極的な行動は控えている、と判断していい。
であるならば、こちらから押せばコロっと行くはずだ。
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