191 / 415
『GW編・六日目 私服の彼女は意外と攻めていた(1)』
しおりを挟む
『GW編・六日目 私服の彼女は意外と攻めていた(1)』
というわけで最終日。
「まぁ今日も予定はないんですけどね!」
オレは結局、前世とさほど変わらないゴールデンウィークの最終日を迎えていた。
家にいても仕方ないというのと、せっかくできた同性の友人に会うべく、昨日から引き続きシマ先輩の働いている駅前商店街のコーヒーショップに来ている。
「ほい、カフェオレ、お待ち。しかしお前も寂しいヤツだな」
「え?」
カウンターでシマ先輩の煎れてくれたカフェオレとドーナツの乗ったトレイを受け取ると、かわいそうな子をみる目で見られしまった。
これはアレか。
せっかくの休みなのに彼女もいないことに同情されたのだろうか?
この世界、男は積極的に自分から女性と関わらない。
シマ先輩は昨日のオバはんに対する態度からして、貞操観念の堅い人だと思ったが、意外と青春謳歌系の人なのだろうか。
「カフェに付き合ってくれるダチはいないのか? 男同士の語らいってのは大事だぞ?」
「……あー、実はボク、今月、こちらに転入してきたばかりでして」
やはりシマ先輩もこの世界の男という事らしい。
こちらの世界では男同士でカフェでダベるというは一般的なのか。
いわば女子会みたいなものだろうか。
野郎同士でスイーツを囲んで恋の話で盛り上がる? うーん、いまいち想像がつかない。
男同士との会話というのは得てして、今期のヒロイン最萌決定戦だとか、出の早い中段とガード不能の超必殺技はどちらが有用かとか、そういった硬質でとがったもののはずだ。
少なくとも山田君との会話はそんなのばかりだった。
懐かしい。
灰色とは言わないけど、彩の少ない青春に価値がなかったわけじゃない。
思い出せば確かに楽しかった。得るものがなかっただけだ。
「ですから知り合いもクラスメートくらいしかいませんし、それにクラスに男子はボク一人ですから」
などと、やや郷愁に吹かれながらしゃべっていたせいか、どこか悲しげな声になってしまった。
それをシマ先輩がどう勘違いしたのか。
「……そっか。なかなかシンドイな」
さきほどの軽い感じではなく、こちらを慮ったような顔でそう言った。
愚痴を言い合える、もしくは助け合える男友達がいない、という事を気にかけてくれているのならそのお心遣いはまったくもって杞憂であると伝えたいが、オレは空気の読める人間である。
「ですから、昨日はシマ先輩と知り合えてとても嬉しかったです。なので調子にのって今日もお邪魔してしまいました。ご迷惑でなければいいんですが」
狙ったわけではないが180センチを超えるシマ先輩を見ると、自然と上目遣いになってしまう。
年下で知り合いもいない孤独な美少年が自分を慕ってくるというのはこの世界ではどうなんだろうか。
マリア様が見ていたりするカンジだろうか。
こちらでもアッーなカンジなのだろうか。
前者であればかまわないが、後者であるならばすぐさま面舵いっぱいである。
というわけで最終日。
「まぁ今日も予定はないんですけどね!」
オレは結局、前世とさほど変わらないゴールデンウィークの最終日を迎えていた。
家にいても仕方ないというのと、せっかくできた同性の友人に会うべく、昨日から引き続きシマ先輩の働いている駅前商店街のコーヒーショップに来ている。
「ほい、カフェオレ、お待ち。しかしお前も寂しいヤツだな」
「え?」
カウンターでシマ先輩の煎れてくれたカフェオレとドーナツの乗ったトレイを受け取ると、かわいそうな子をみる目で見られしまった。
これはアレか。
せっかくの休みなのに彼女もいないことに同情されたのだろうか?
この世界、男は積極的に自分から女性と関わらない。
シマ先輩は昨日のオバはんに対する態度からして、貞操観念の堅い人だと思ったが、意外と青春謳歌系の人なのだろうか。
「カフェに付き合ってくれるダチはいないのか? 男同士の語らいってのは大事だぞ?」
「……あー、実はボク、今月、こちらに転入してきたばかりでして」
やはりシマ先輩もこの世界の男という事らしい。
こちらの世界では男同士でカフェでダベるというは一般的なのか。
いわば女子会みたいなものだろうか。
野郎同士でスイーツを囲んで恋の話で盛り上がる? うーん、いまいち想像がつかない。
男同士との会話というのは得てして、今期のヒロイン最萌決定戦だとか、出の早い中段とガード不能の超必殺技はどちらが有用かとか、そういった硬質でとがったもののはずだ。
少なくとも山田君との会話はそんなのばかりだった。
懐かしい。
灰色とは言わないけど、彩の少ない青春に価値がなかったわけじゃない。
思い出せば確かに楽しかった。得るものがなかっただけだ。
「ですから知り合いもクラスメートくらいしかいませんし、それにクラスに男子はボク一人ですから」
などと、やや郷愁に吹かれながらしゃべっていたせいか、どこか悲しげな声になってしまった。
それをシマ先輩がどう勘違いしたのか。
「……そっか。なかなかシンドイな」
さきほどの軽い感じではなく、こちらを慮ったような顔でそう言った。
愚痴を言い合える、もしくは助け合える男友達がいない、という事を気にかけてくれているのならそのお心遣いはまったくもって杞憂であると伝えたいが、オレは空気の読める人間である。
「ですから、昨日はシマ先輩と知り合えてとても嬉しかったです。なので調子にのって今日もお邪魔してしまいました。ご迷惑でなければいいんですが」
狙ったわけではないが180センチを超えるシマ先輩を見ると、自然と上目遣いになってしまう。
年下で知り合いもいない孤独な美少年が自分を慕ってくるというのはこの世界ではどうなんだろうか。
マリア様が見ていたりするカンジだろうか。
こちらでもアッーなカンジなのだろうか。
前者であればかまわないが、後者であるならばすぐさま面舵いっぱいである。
11
お気に入りに追加
893
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
転生したら男女逆転世界
美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。
※カクヨム様にも掲載しております


転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる