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『GW編・五日目 思わぬ出会い(5)』
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『GW編・五日目 思わぬ出会い(5)』
「……すみません。よくよく考えたら、お客さんに二度と来るな、はマズかったですよね?」
まごう事なき営業妨害だ。
だがしかし、イケメン兄ちゃんは。
「いや、助かった。あのババアども最近来る客だったんだが、ずっと迷惑行為を繰り返してたし、他の女性スタッフが対応するとスゲー難癖つけてオレを呼びつけるわで……正直、オレも店やバイト仲間に迷惑かけちまって申し訳なく思ってたんだよ」
肩をすくめる金髪にーちゃん。
「そうでしたか。なら、来なくなったあの二人の分、近くを通った時はなるべく寄るようにします」
「お、そいつはいいな。ぜひそうしてくれ。男の客は少ないからな、仲良くしようぜ? そういや年は? オレは今年の春から高三だが……年上って事ないよな? その制服からして、ニチ学だろ?」
「ボクは今年から二年です。ニチ学……ああ、日華学園の二年です。ええと、先輩は?」
シマ君と呼ばれているの耳にしていたが、初対面で呼ぶ名でもないだろう。
というわけで、年上であれば先輩と呼んでみる。
「おっ、それいいな! 男から先輩って呼ばれるのは新鮮だ!」
なにやらとても嬉しそうだ。
「オレの通ってる高校は……まぁちょっと離れたトコにあるガッコだよ。バイト禁止でな、わざわざ電車に乗って離れたココでバイトしてんだ。交通費も支給されるしな」
「へー、わざわざ大変ですねー」
店のスタッフと客との会話というには少し砕けすぎだが彼の人柄からかまったく嫌味も馴れ馴れしさもない。
と、そんな会話をとしていた時、明らかに周囲がざわめいた。
「シマくんだけでも眼福なのに……あの学生服の子もこの店に通うの?」
「ねえ、奥の予約席って次いつ空き?」
「だめ、もう三か月先まで埋まってる」
なるほど。この店が若い女性客で混んでいたのは彼が目当てか。
確かにワイルドなイケメンで、男気もあるとくればファンがつくのも当然か。
この世界、女二人相手にあそこまで堂々と対峙できる男は少ない、らしいからな。
このあたり、いまいち微妙な感覚になってしまう。
自分にわかりやすいよう前世の感覚に置き換えると、厄介な客に絡まれていた客の女の子を女性スタッフが助け出したという所か?
……うーむ、どうなんだ、それは。
前世の感覚そのままだと助けた女性スタッフがカッコいいというより、他の男性スタッフは何してるん? という気持ちになってしまうが。
「シマちゃん、かっこよかったよー」
「シマ君の入れた冷コーおかわりー」
などと、お客さんからは、素敵! 抱いて! みたいな視線を独り占めしているあたり、そういうものでもないんだろう。
見守っていただけの女性スタッフも彼に感謝していたりするので、この世界でもイケメンムーブはイケメンという事でいいんだろうな。
「じゃ、オレはそろそろ上がりだからさ。また今度会った時には今日の詫びに一杯おごるよ。そん時にゃ名前を教えてくれ。ほれ、せっかくオレが淹れたカフェオレ冷めちまうぞ? ちょうど広い席も空いたしな」
シマ先輩はさっきのオバハン二人が座っていたボックス席のテーブルを実に手際よく片づけて、オレからトレイをさっと取り上げてテーブルに置いた。
「ゆっくりしていってくれ。じゃあ、またな。ちゃんと顔出せよ?」
「あ、はい。また」
手をヒラヒラさせながらカウンターの奥に入っていき、バイト仲間であろう緑のエプロンをつけた若い女の子達にキャーキャーとお礼を言われながら彼はバックヤードに消えていった。
「……すみません。よくよく考えたら、お客さんに二度と来るな、はマズかったですよね?」
まごう事なき営業妨害だ。
だがしかし、イケメン兄ちゃんは。
「いや、助かった。あのババアども最近来る客だったんだが、ずっと迷惑行為を繰り返してたし、他の女性スタッフが対応するとスゲー難癖つけてオレを呼びつけるわで……正直、オレも店やバイト仲間に迷惑かけちまって申し訳なく思ってたんだよ」
肩をすくめる金髪にーちゃん。
「そうでしたか。なら、来なくなったあの二人の分、近くを通った時はなるべく寄るようにします」
「お、そいつはいいな。ぜひそうしてくれ。男の客は少ないからな、仲良くしようぜ? そういや年は? オレは今年の春から高三だが……年上って事ないよな? その制服からして、ニチ学だろ?」
「ボクは今年から二年です。ニチ学……ああ、日華学園の二年です。ええと、先輩は?」
シマ君と呼ばれているの耳にしていたが、初対面で呼ぶ名でもないだろう。
というわけで、年上であれば先輩と呼んでみる。
「おっ、それいいな! 男から先輩って呼ばれるのは新鮮だ!」
なにやらとても嬉しそうだ。
「オレの通ってる高校は……まぁちょっと離れたトコにあるガッコだよ。バイト禁止でな、わざわざ電車に乗って離れたココでバイトしてんだ。交通費も支給されるしな」
「へー、わざわざ大変ですねー」
店のスタッフと客との会話というには少し砕けすぎだが彼の人柄からかまったく嫌味も馴れ馴れしさもない。
と、そんな会話をとしていた時、明らかに周囲がざわめいた。
「シマくんだけでも眼福なのに……あの学生服の子もこの店に通うの?」
「ねえ、奥の予約席って次いつ空き?」
「だめ、もう三か月先まで埋まってる」
なるほど。この店が若い女性客で混んでいたのは彼が目当てか。
確かにワイルドなイケメンで、男気もあるとくればファンがつくのも当然か。
この世界、女二人相手にあそこまで堂々と対峙できる男は少ない、らしいからな。
このあたり、いまいち微妙な感覚になってしまう。
自分にわかりやすいよう前世の感覚に置き換えると、厄介な客に絡まれていた客の女の子を女性スタッフが助け出したという所か?
……うーむ、どうなんだ、それは。
前世の感覚そのままだと助けた女性スタッフがカッコいいというより、他の男性スタッフは何してるん? という気持ちになってしまうが。
「シマちゃん、かっこよかったよー」
「シマ君の入れた冷コーおかわりー」
などと、お客さんからは、素敵! 抱いて! みたいな視線を独り占めしているあたり、そういうものでもないんだろう。
見守っていただけの女性スタッフも彼に感謝していたりするので、この世界でもイケメンムーブはイケメンという事でいいんだろうな。
「じゃ、オレはそろそろ上がりだからさ。また今度会った時には今日の詫びに一杯おごるよ。そん時にゃ名前を教えてくれ。ほれ、せっかくオレが淹れたカフェオレ冷めちまうぞ? ちょうど広い席も空いたしな」
シマ先輩はさっきのオバハン二人が座っていたボックス席のテーブルを実に手際よく片づけて、オレからトレイをさっと取り上げてテーブルに置いた。
「ゆっくりしていってくれ。じゃあ、またな。ちゃんと顔出せよ?」
「あ、はい。また」
手をヒラヒラさせながらカウンターの奥に入っていき、バイト仲間であろう緑のエプロンをつけた若い女の子達にキャーキャーとお礼を言われながら彼はバックヤードに消えていった。
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