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『GW編・五日目 思わぬ出会い(4)』
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『GW編・五日目 思わぬ出会い(4)』
正気に返ったオレは、オバさんズとイケメンを見比べる。
知り合い? にして……ふむ、なるほど。
「それより、そろそろバイトあがりでしょ? ウチらと一緒にゴハンどう? 何でもご馳走するからさー。お小遣いも奮発するよ? シフトいつも入ってるし、お金いるんでしょ?」
ああ、やっぱり。タチのわるい常連客だ。
そう、この世界で若い男が接客をするという事は、こうやって面倒な女性客に絡まれるという可能性があるわけだ。
しかも遠回しに、金がいるなら姉活をしないかと持ち掛けている。
「これも何度も言ったよな。オレはそういう稼ぎ方をするつもりはねぇ。それより、こっちのお客さんへの謝罪はまだか?」
オレを背にかばいながら、イケメン黒エプロンのスタッフさんが口調を荒くする。
彼はいい人であり、その好意も十分に受け取った。
それが店員としての責任感からとしても。
オレとしては、こういう真面目で善良な人に面倒をかけさせたくない。
「ありがとうございます。けれど大丈夫ですよ、ボクは気にしていませんから」
「体、触られてただろ? オレでよければ証言もする。警察を呼んでも……」
と彼が言うなり、二人のオバはんが騒ぎ出す。
「私たちは客よ? 警察沙汰にした後、やっぱり見間違いでしたじゃすまないわよ?」
「そうよ。ちょっと手がふれただけで大げさな。そっちの子も別に気にしてないって言ってるんだから」
気にしてなかったが、今、気にするようになったわ。
「そうですね。お兄さんにお手間をかけたくなかったのでそう言いましたが……このババアども、クソむかつくんでおまわりさんに来てもらっていいですか?」
「んお?」
大人しそうな雰囲気でかわいい顔した(オレの事だ)学生服クンが豹変したように言葉遣いを汚くしたせいか、イケメンスタッフさんは素っ頓狂な声で反応し、ババアどもは驚きで目を見開いた。
「ボクのケツをなでまわした痴漢行為と、お兄さんに対しての売春行為の強要。お兄さん、未成年ですか? 未成年略取未遂とかってあるんですかね?」
ケツやら売春やら、この世界の男であれば口にするのもはばかれる単語をポンポンと投げかけられ、オバはんたちがざわめく。
お兄さんも同様に驚いた顔だったすぐに。
「はっ! おもしれーヤツ。おし、待ってろ、すぐに警察を呼ぶからな」
「ま、待ってよ、そんな!」
オレのケツを触ったオバはんが血相を変える。
「ならとっとと出ていってもらえます? キーキーキーキーうるさくて、他のお客さんにも迷惑ですし」
「え、ええ、すぐに、出ていくから!」
許されたと思ったのか、まだ座っていたもう一人のオバハンも立ち上がりオレたちの前を頭を低くしながら、出て行こうとする。
先払いの店で分かったな。お勘定プレートのある店だったら、オレの勘定も迷惑料で持たせたところだ。
「二度と来ないでくださいねー、もしここでまた会ったらも、即警察呼びますよー!」
オレは店から出ていく二人に最後の追い打ちをかけ、二人の姿が店の外からも完全に消えたのを見て深く息をはいた。
正気に戻ったと同時に、オレはイケメン兄ちゃんに向き直り頭を下げた。
正気に返ったオレは、オバさんズとイケメンを見比べる。
知り合い? にして……ふむ、なるほど。
「それより、そろそろバイトあがりでしょ? ウチらと一緒にゴハンどう? 何でもご馳走するからさー。お小遣いも奮発するよ? シフトいつも入ってるし、お金いるんでしょ?」
ああ、やっぱり。タチのわるい常連客だ。
そう、この世界で若い男が接客をするという事は、こうやって面倒な女性客に絡まれるという可能性があるわけだ。
しかも遠回しに、金がいるなら姉活をしないかと持ち掛けている。
「これも何度も言ったよな。オレはそういう稼ぎ方をするつもりはねぇ。それより、こっちのお客さんへの謝罪はまだか?」
オレを背にかばいながら、イケメン黒エプロンのスタッフさんが口調を荒くする。
彼はいい人であり、その好意も十分に受け取った。
それが店員としての責任感からとしても。
オレとしては、こういう真面目で善良な人に面倒をかけさせたくない。
「ありがとうございます。けれど大丈夫ですよ、ボクは気にしていませんから」
「体、触られてただろ? オレでよければ証言もする。警察を呼んでも……」
と彼が言うなり、二人のオバはんが騒ぎ出す。
「私たちは客よ? 警察沙汰にした後、やっぱり見間違いでしたじゃすまないわよ?」
「そうよ。ちょっと手がふれただけで大げさな。そっちの子も別に気にしてないって言ってるんだから」
気にしてなかったが、今、気にするようになったわ。
「そうですね。お兄さんにお手間をかけたくなかったのでそう言いましたが……このババアども、クソむかつくんでおまわりさんに来てもらっていいですか?」
「んお?」
大人しそうな雰囲気でかわいい顔した(オレの事だ)学生服クンが豹変したように言葉遣いを汚くしたせいか、イケメンスタッフさんは素っ頓狂な声で反応し、ババアどもは驚きで目を見開いた。
「ボクのケツをなでまわした痴漢行為と、お兄さんに対しての売春行為の強要。お兄さん、未成年ですか? 未成年略取未遂とかってあるんですかね?」
ケツやら売春やら、この世界の男であれば口にするのもはばかれる単語をポンポンと投げかけられ、オバはんたちがざわめく。
お兄さんも同様に驚いた顔だったすぐに。
「はっ! おもしれーヤツ。おし、待ってろ、すぐに警察を呼ぶからな」
「ま、待ってよ、そんな!」
オレのケツを触ったオバはんが血相を変える。
「ならとっとと出ていってもらえます? キーキーキーキーうるさくて、他のお客さんにも迷惑ですし」
「え、ええ、すぐに、出ていくから!」
許されたと思ったのか、まだ座っていたもう一人のオバハンも立ち上がりオレたちの前を頭を低くしながら、出て行こうとする。
先払いの店で分かったな。お勘定プレートのある店だったら、オレの勘定も迷惑料で持たせたところだ。
「二度と来ないでくださいねー、もしここでまた会ったらも、即警察呼びますよー!」
オレは店から出ていく二人に最後の追い打ちをかけ、二人の姿が店の外からも完全に消えたのを見て深く息をはいた。
正気に戻ったと同時に、オレはイケメン兄ちゃんに向き直り頭を下げた。
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