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『GW編・三日目夜:帰り道の暗がりで(3)』
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『GW編・三日目夜:帰り道の暗がりで(3)』
――と、叫びたいところをぐっと我慢する。
確かに落胆極まりない結果ではあった。
だがそれはそれとして、この光景。
実に良い。
沈みゆく太陽の赤い陽光に照らされた半裸の彼女は実に美しかった。
夕日という壮大な自然の赤の中で、その白い肌を飾る赤い下着が実に映えている。
顔は隠され、その表情はうかがう事すらできないが、それもまた美を加速させていた。
誰もが知る美の極致、ミロのヴィーナス。
彼女の美しさがあれほど人を酔わせるのは、欠けている腕を想像させるからだ。
であれば、今。
オレの眼前でやや小ぶりな胸と引き締まった腰、そして白く艶やかな太ももをさらしつつも、その顔が見えないという美もまたミロっぽい何あり、ますます興奮をかきたてる。
少なくとも、どちらもヴイーナスである事は間違いないし、オレ個人としては彫像よりこちらのヴィーナスに興味津々だ。
「……」
「……」
オレはじっくりとその女神を拝むように見つめる。
うーむ、もはや芸術。
エロスとアートが混在したそれに、芸術心に目覚めたばかりの愚息が感動のスタンディングオベーションを始めていた。
さらなる美を追求するごとくオレは目をくぎ付けにしたまま彼女の全身をなめるように、もとい、おがむように上から下までねっとり、もとい、じっくり観察する。
「……」
「……」
しかし。
露出系といえばてっきり中年男性、いやこちらの世界では中年女性がやっているものだと前世の感覚で勝手に思い込んでいたが。
目の前の太もも様はとても若々しく、みずみずしい。
それに全身の体格も筋肉や骨格がまだ発達途中というか、冬原先生のようにシッカリとしていないというか。
さすがに中学生というほどではないが……同年代と言われても納得の雰囲気だ。
ここでようやくミス露出狂が、あわてるように視線をあちこちにやり始めた。
普通であれば、バッとやって、オレがキャーと言って、ダッシュして逃走、という流れなのだろう。
しかし今回は相手が悪かった。
いろんな意味で悪かった。
大変、申し訳ない。
彼女はオレが驚きもしなければ悲鳴もあげない事が予想外だったため、逆にリアクションがとれずに立ち尽くしていただけだ。
だが彼女はここでようやく周囲に人がいないかを気遣う程度に正気をとりもどした、と。
「……」
「……」
本来であれば、彼女はここからすぐに逃げ出すべきだろう。
こんなおっぴろげな状況、どうみても、わいせつ物陳列罪の現行犯だ。
だが互いに動かない。
あちらは見せたい、こちらは見たい。
実にウインウインな状況なのだから、どちらかが満足するまで、もしくは他者の介入があるまでこのままでいればいいのだ。
無論、オレから立ち去る事は無い。
であれば、彼女が満足するまでこの素晴らしい時を祝福するのみだ。
「……」
「……」
にらみ合い、というわけではないが対峙する時間が続くにつれてオレはふと思う。
――ブラをとってくれ、というリクエストは通るだろうか?
――と、叫びたいところをぐっと我慢する。
確かに落胆極まりない結果ではあった。
だがそれはそれとして、この光景。
実に良い。
沈みゆく太陽の赤い陽光に照らされた半裸の彼女は実に美しかった。
夕日という壮大な自然の赤の中で、その白い肌を飾る赤い下着が実に映えている。
顔は隠され、その表情はうかがう事すらできないが、それもまた美を加速させていた。
誰もが知る美の極致、ミロのヴィーナス。
彼女の美しさがあれほど人を酔わせるのは、欠けている腕を想像させるからだ。
であれば、今。
オレの眼前でやや小ぶりな胸と引き締まった腰、そして白く艶やかな太ももをさらしつつも、その顔が見えないという美もまたミロっぽい何あり、ますます興奮をかきたてる。
少なくとも、どちらもヴイーナスである事は間違いないし、オレ個人としては彫像よりこちらのヴィーナスに興味津々だ。
「……」
「……」
オレはじっくりとその女神を拝むように見つめる。
うーむ、もはや芸術。
エロスとアートが混在したそれに、芸術心に目覚めたばかりの愚息が感動のスタンディングオベーションを始めていた。
さらなる美を追求するごとくオレは目をくぎ付けにしたまま彼女の全身をなめるように、もとい、おがむように上から下までねっとり、もとい、じっくり観察する。
「……」
「……」
しかし。
露出系といえばてっきり中年男性、いやこちらの世界では中年女性がやっているものだと前世の感覚で勝手に思い込んでいたが。
目の前の太もも様はとても若々しく、みずみずしい。
それに全身の体格も筋肉や骨格がまだ発達途中というか、冬原先生のようにシッカリとしていないというか。
さすがに中学生というほどではないが……同年代と言われても納得の雰囲気だ。
ここでようやくミス露出狂が、あわてるように視線をあちこちにやり始めた。
普通であれば、バッとやって、オレがキャーと言って、ダッシュして逃走、という流れなのだろう。
しかし今回は相手が悪かった。
いろんな意味で悪かった。
大変、申し訳ない。
彼女はオレが驚きもしなければ悲鳴もあげない事が予想外だったため、逆にリアクションがとれずに立ち尽くしていただけだ。
だが彼女はここでようやく周囲に人がいないかを気遣う程度に正気をとりもどした、と。
「……」
「……」
本来であれば、彼女はここからすぐに逃げ出すべきだろう。
こんなおっぴろげな状況、どうみても、わいせつ物陳列罪の現行犯だ。
だが互いに動かない。
あちらは見せたい、こちらは見たい。
実にウインウインな状況なのだから、どちらかが満足するまで、もしくは他者の介入があるまでこのままでいればいいのだ。
無論、オレから立ち去る事は無い。
であれば、彼女が満足するまでこの素晴らしい時を祝福するのみだ。
「……」
「……」
にらみ合い、というわけではないが対峙する時間が続くにつれてオレはふと思う。
――ブラをとってくれ、というリクエストは通るだろうか?
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