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『GW編・三日目:7時20分発、急に混みだした電車内で起きた奇跡(3)』
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『GW編・三日目:7時20分発、急に混みだした電車内で起きた奇跡(3)』
ついに夢にまで男が出てきたかと自分の欲求不満具合に苦笑したのだが。
「はぁ、はぁ……」
荒い息遣いはずっと続いていた。
何事だと目を開けて見上げた瞬間、私の息が止まった。
私が見上げたすぐそばに、若い男の苦し気な顔があったのだから。
しかも黒い詰襟の学生服、いわゆる学ランを着用した男子高生だった。
私は目を見張りつつも、その自分の目を疑った。
世界のどこかにはいるだろう存在。
しかしここにいるはずのない存在。
私には一生、縁のないはずの存在。
そんな学ランの男子高生が眼前に立っていたのだから。
手を伸ばしてその存在を確かめたくなり……。
いかん! 人生が終わる!
すぐに正気を取り戻して手をひっこめる。
もし万が一、このD・K(男子・高校生)が私の妄想ではなく本物だった場合、私は周囲の女どもに痴女として取り押さえられ現行犯逮捕だろう。
私はあらためて周囲を見る。
やはり思った通りだ。
生徒もOLも互いが互いを牽制し、いつの間にやら監視し合う状態になっている。
何人かは今、あやうく手を出しかけた私を凝視していた。
これはこの男子高生を痴女から守ろうという善意ではない。私にはわかる。
この女どもだって本当は偶然を装って彼と接触したい。
だが露骨にやれば周囲の女にやられてしまう。
だから一瞬のチャンスさえ逃さないような緊張状態になっているのだ。
私だってここで一瞬の欲情に負けて痴女として捕まる事は避けたい。
しかしチャンスがあればモノにしたい。
チャンスがなければ、チャンスを作ってでもモノにしたい。
と思った時、列車が揺れた。
彼の体も大きく揺れる。
倒れてしまう! 支えなければと私の手が無意識に彼へとのびた。
同時に周囲の手も動いた。
おのれ、こしゃくな!
善意を装って男子高生の体に触れたいだけだろう! ゲス女どもめ! 私だって同じだ!
だが彼はすぐに私がもたれかかっていた縦長の手すりをつかみ体勢を整えた。
今にも倒れそうな顔色だが、なかなかに根性がある。
私はすぐさま手をひっこめる。周囲も同じだ。
一瞬、緊張感に満ちた車内はすでに何事もなかったかのような平静さを取り戻している。
だが彼の苦し気な表情は今も変わらない。
むしろひどくなっている気もする。
「……」
どうする。
私はどうするべきか。
これが女であれば軟弱ものと心で笑うだけだ。
しかし、目の前の可憐で華奢な少年をこのままにしておいてよいものか、悩む。
悩むことないと思うのであれば、その女は男に恵まれているか、男を諦めているかのどちらかだ。
なぜならば、これは千載一遇のチャンスだからだ――ッ!
ついに夢にまで男が出てきたかと自分の欲求不満具合に苦笑したのだが。
「はぁ、はぁ……」
荒い息遣いはずっと続いていた。
何事だと目を開けて見上げた瞬間、私の息が止まった。
私が見上げたすぐそばに、若い男の苦し気な顔があったのだから。
しかも黒い詰襟の学生服、いわゆる学ランを着用した男子高生だった。
私は目を見張りつつも、その自分の目を疑った。
世界のどこかにはいるだろう存在。
しかしここにいるはずのない存在。
私には一生、縁のないはずの存在。
そんな学ランの男子高生が眼前に立っていたのだから。
手を伸ばしてその存在を確かめたくなり……。
いかん! 人生が終わる!
すぐに正気を取り戻して手をひっこめる。
もし万が一、このD・K(男子・高校生)が私の妄想ではなく本物だった場合、私は周囲の女どもに痴女として取り押さえられ現行犯逮捕だろう。
私はあらためて周囲を見る。
やはり思った通りだ。
生徒もOLも互いが互いを牽制し、いつの間にやら監視し合う状態になっている。
何人かは今、あやうく手を出しかけた私を凝視していた。
これはこの男子高生を痴女から守ろうという善意ではない。私にはわかる。
この女どもだって本当は偶然を装って彼と接触したい。
だが露骨にやれば周囲の女にやられてしまう。
だから一瞬のチャンスさえ逃さないような緊張状態になっているのだ。
私だってここで一瞬の欲情に負けて痴女として捕まる事は避けたい。
しかしチャンスがあればモノにしたい。
チャンスがなければ、チャンスを作ってでもモノにしたい。
と思った時、列車が揺れた。
彼の体も大きく揺れる。
倒れてしまう! 支えなければと私の手が無意識に彼へとのびた。
同時に周囲の手も動いた。
おのれ、こしゃくな!
善意を装って男子高生の体に触れたいだけだろう! ゲス女どもめ! 私だって同じだ!
だが彼はすぐに私がもたれかかっていた縦長の手すりをつかみ体勢を整えた。
今にも倒れそうな顔色だが、なかなかに根性がある。
私はすぐさま手をひっこめる。周囲も同じだ。
一瞬、緊張感に満ちた車内はすでに何事もなかったかのような平静さを取り戻している。
だが彼の苦し気な表情は今も変わらない。
むしろひどくなっている気もする。
「……」
どうする。
私はどうするべきか。
これが女であれば軟弱ものと心で笑うだけだ。
しかし、目の前の可憐で華奢な少年をこのままにしておいてよいものか、悩む。
悩むことないと思うのであれば、その女は男に恵まれているか、男を諦めているかのどちらかだ。
なぜならば、これは千載一遇のチャンスだからだ――ッ!
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